ご理解のほどよろしくお願いします。
ドキドキデート大作戦!!(前編)
クリスマス――それは主に12月25日に催されるイエスキリストの誕生日のことだが大体の人間はそんなこと知らない。ぶっちゃけ、プレゼントがもらえる日くらいにしか思ってないだろう。
そして現在12月22日、明後日はクリスマス・イブなのだが。
我らがこの物語の主人公であるナナシは頭を抱えていた。
「――一体全体どうすりゃあいいんだあぁ!!」
いつも通り、プロキシの仕事を手伝いながら、色々な仕事をして――それらが終わって帰宅したころ。
「――うん?通知が――あれ?バグかな?」
そこには合計15人からのメールがほぼ同時に届いていた。
「――えっと、どれどれ」
確認してみると全員用件は同じで――12月24日と12月25日を一緒に過ごさないかと言うものだった。
とりあえず、予定を確認してみると――12月25日の夜にアキラとリンと一緒にクリスマスパーティーする以外の予定は見つからなかった。
「なら、行ってもいいかな――あ、待てよ?15人――?」
この時、思わず衝撃でスマホを落としてしまったのだが、よく考えてみれば2日で15人と遊ぶなんて――死ぬのではないか、と言うか不可能ではないだろうか。
(いや――うん、流石に2日間をどちらも過ごさなければ――いや、それでも15人は難しいか)
とりあえず、作戦の立案のためにそれぞれのメールを確認する。
ニコ
『ねぇ、あんた24日か25日暇?だったら、孤児院のクリスマスパーティーを手伝いなさい!それで――もし、夜も空いてるんだったら一緒にどこか出かけない?』
アンビー
『24日に一緒に映画に行こう。プロキシのビデオ屋じゃなくて映画館で二人っきりで、もちろん他の邪兎屋の皆にも内緒で――もしかして、他の女を優先したりしないよね』
ビリー
『知ってるか!!25日の19時によ!スターライトナイトの特番が放送されるんだぜ!一緒に、ビデオ屋で鑑賞しねぇか!!』
猫又
『なぁなぁ!実は六分街のステーキ屋さんが24日と25日でスペシャルメニューを売るみたいでさ!!もし、暇だったら一緒に行かない?まあ、断っても引っ張っていくけどな!!』
クレタ
『なあ、25日の昼から、白祇重工の幹部だけで集まってクリスマスパーティーをするんだがよ。もし、暇なら来ねぇか?――それでよ、どっかで抜け出して二人きりで話したいことがあるだが抜けねぇか?』
グレース
『やあ、ナナシ。おそらく、おチビちゃんからクリスマスパーティーの誘いはもう来てると思うんだけど――よければ、パーティーの途中一緒にこっそり抜け出せないかな?』
ライカン
『さて、堅苦しい挨拶は無しにいたしまして、ナナシ様は私の予想では24日と25日は既に空きはございませんでしょう。ですので、よければ23日に私と共にバーに一緒に行かれませんか?』
リナ
『夜分に失礼いたします。クリスマスのご予定を伺いたいのですが、クリスマスケーキをヴィクトリア家政の皆に振舞おうと思いまして、よろしければ24日に再び隠れ家で私に料理を教えていただけますでしょうか?もちろん、二人きりですわ』
カリン
『こ、こんばんは!ナナシ様、あ、あの――ナナシ様に、どうしても渡したいものがあるんです!よろしければ25日の夜にビデオ屋にお邪魔してもよろしいでしょうか!』
エレン
『24日にセールやってるから、買い物に付き合って――拒否権はないから。それと、その後は一緒にご飯行って、最後はあたしとカラオケに行こ』
シーザー
『よぉ!ナナシ、24日か25日空いてねぇか?オレ様のバイクに乗せてやるからよ、一緒に郊外を走らねぇか!――それで、もし空いてるならよ、走った後も一緒にいれねぇか?』
ルーシー
『失礼しますわ!ナナシは24と25日はどうせ忙しいでしょうから、23日の時間を私に頂戴してもよろしくて?まあ、よろしくなくても――帰れるとは思えませんが』
バーニス
『ナナシ―!燃えてる~?25日はクリスマスだよ!!それでね、本当は25日誘いたかったんだけどルーシーから23日しておきなさいって言われたから、23日ニトロフューエルを一緒に浴びるように飲もうよ!!』
パイパ―
『あいよー、ナナシ。シーザーたちから聞いてるぜ~いっぱい誘われてるみたいでこいつは羨ましいぜ。つ―ことで、移動が大変だろ?こいつが足になってやるよ、だから移動中は一緒にいようぜ』
ライト
『夜中に悪いな、ナナシ。まあ、うちの連中が浮足立ってる時点で分かったんだが大変そうだな。もし、予定がやばかったら俺が女連中を少しは足止めしてやるから、頑張れよ。この戦いが終わったら一緒にどっか遊びにでも行こうや』
そっとスマホを置く。
「――見なかったことにしようかな」
もちろん、既に既読を付けてしまったのでそれはできないのだが――一体全体どうすりゃいいんだ。
「少なくともリナさんのは行くべきか――人命にかかわるし」
とりあえず今のうちに軽くまとめておこう。
23日
ライカンさん、ルーシー、バーニス
24日
アンビー、リナさん、エレン
25日
ビリー、白祇重工のみんな、カリン、
24日か25日
ニコ、猫又、シーザー
サポート
パイパー、ライト(対カリュドーンの子専用)
「――オワタ」
一日の予定に3人以上入ってる時点で終わっている気がするのだが、例えば23日、バーニスとニトロフューエルにおぼれるわけだが、その前後にライカンさんとバーに行って、ルーシーと一緒にいる。
(死ぬかな、俺?)
そして、難関は24日と25日だ。
24日はなぜか、エレンからの1日拘束宣言、アンビーの謎の圧、この時点で敗北も同然な気がするが――
「どうすればいいんだぁぁぁぁ!!」
自身の部屋でのたうちまわっていると、鍵をかけていたはずの扉が簡単に開く。
もはや、自然すぎて気にもしなかったが入ってきたのはアキラとリンだった。
「どうしたの、ナナシ!?どこか痛めたの?」
「あ、アキラ、リン――実は」
俺は、アキラとリンに事の詳細を話し知恵を借りることにした。訳を聞いたアキラとリンも頭を抱えて悩んでいたが、リンがすっと顔を上げある提案をしてきた。
「ナナシ、こうなったらやるしかないよ!『ドキドキデート大作戦』を!!」
「ど、ドキドキデート大作戦!?」
全く聞きなれないワードに思わず聞き返す。そもそも、遊びに誘われているだけで特に相手は俺に恋愛感情の類は持ち合わせていないと思うのだが。
ともかく、そこを突っ込むと引っ込みが効かない気がしたのであえてそのまま聞き流した。
「うん、私達に任せて!ナナシが頑張って全員と楽しめるようにスケジュールを作るから!」
「頼もしいよ!じゃあ、早速明日の予定を――」
とにかく明日のライカンさん、ルーシー、バーニスの予定を立てその日は眠りについた。
一方、ナナシが眠った後――
「リン、いいのかい?ナナシの手助けをして」
「いいの、いいの!だって――ナナシは最終的にうちに帰ってくるんだから!」
当初の予定ではクリスマスの日は一歩もナナシを外に出さないつもりだったが、あそこまでの人数から誘われては断るのも難しいだろう。だからこそ、あえてナナシの予定を把握できるようにスケジュールを作ったのだった。
翌日 12月23日――クリスマス2日前。
「おはよう、パイパー。時間ぴったりだよ、ごめんねこんな朝早くから呼び出しちゃって」
23日の朝、俺は早速パイパーのご厚意に甘え郊外まで車を出してもらうことにした。
残念ながら俺は免許を持っていなかったので、最悪郊外まで全力ダッシュしていたかもしれない。
「いいってことよ~ほら、乗りな乗りな。安全運転でぶっとばすぜ~」
「だ、大丈夫かな?」
パイパーの車の助手席に座り、俺達は郊外に向かった。
車で走って数分、ナナシは眠りについていた。
「おっ、話には聞いてたけど本当にナナシには車ですぐ寝る癖があるとはな~。うひひ、役得、役得~」
と、その時そこそこ太い道で誰もいないことを確認したパイパーはハンドルを少し放す。
懐から取り出したカメラをぐーすか寝ているナナシに向けパシャリと撮る。
「――さてと、安全運転、安全運転」
パイパーはカメラを隠し、知らん顔のままブレイズウッドに向かった。
「――ついたかな?」
ブレイズウッドに到着すると同時にナナシは目を覚まし、パイパーにお礼を言ってから車を降りる。
(あれ?なんか、頬がべたべたしてるような――朝ごはんそんな勢いよく食べたっけ?)
違和感はあれど真相には気づかず、ルーシーが待つ家に向かった。
「おはよう、ナナシ。時間ぴったりですわね」
「ああ、そっちこそこんな早くに指定してごめんね。あっ、これクリスマスプレゼント――」
鞄から紙袋を取り出し、ルーシーに手渡す。中身は化粧品だが、一応こういうのが知り合いの中で最も長けてそうなリナさんの指導の下、買ったものだ――気に入ってくれると嬉しいのだが。
「感謝いたしますわ、ナナシ」
「え、いや中身を確認する前に感謝って言われても――」
「そう言うわけじゃありませんわ、大切なのはプレゼントの中身じゃなくて、ナナシからのプレゼントなら私は何でも嬉しいですわ」
そう言われると何だかこそばゆいものを感じるのだが、ともかくルーシーに促され家に入った。
「適当に座ってくださいまし、何か持ってきますわ」
「あ、何か俺も手伝うよ。家主にやってもらってばかりって言うのも落ち着かないからさ」
「でしたら、茶器を出してくださいます?――そこにありますので」
ルーシーに言われた戸棚から茶器を出し、置く。
(何か気配が近づいてくるような――)
「こうしていると何だか夫――」
その時だった、先ほどまで静寂を保っていたドアが勢いよく開かれルーシーの言葉を遮りながらその人が現れる。
「やっほ―!ナナシ、本当はもっと後だったけど待ちきれなくて来ちゃった!」
複数の酒瓶がちらりと見える袋を片手に珍しく火炎放射器を装備していないバーニスが現れた。
「バーニス!あ、あなたいいところで!!」
わなわなと改造バットを振り上げ今にも振り下ろしそうなルーシーを制止させる。
「――えっと、来ちゃったんだ」
「うん!来ちゃった!!」
本当の予定では午前中はルーシーと過ごし、午後をバーニスと過ごす、そしてパイパーの運転で新エリー都に戻りライカンさんと過ごすはずだったのだが――。
(待てよ、これはチャンスでは――もし、バーニスを酔い潰せなかった時はライトに何とかしてもらうつもりだったけど――今からなら潰せるのでは?)
そう意気込んだ俺は覚悟を決め、戦いの火ぶたと地獄への切符を同時に切った。
「じゃあ、早速飲もうよ!一杯ニトロフューエルを作るからね~!!
「受けて立つ!!!」
「あー!もうめちゃくちゃですわ!!」
数時間後――
「ふひゅ―――」
既に、ルーシーは酔いつぶれ、俺も思わず膝をついていた。さっきまで、椅子に座っていたのにも関わらずだ。
(あ、アカン――圧倒的な戦闘力(酒耐性)の差、そしてニトロフューエルが辛いのが癖になって次々飲んでしまうタイプとは、そのせいで次へ次へと飲んでしまった――)
後半は主に俺のせいな気がするが、流石店一番の人気カクテル。
コーラベースのカクテルで、タバスコなどの刺激物なども配合して酒飲みにはたまらない逸品だと聞いていたが――ここまでとは。
(い、いや待てよ。よく見ろ、確かに俺も限界だがバーニスも飲んでいないわけじゃない――相手の体力は無限ってわけじゃないんだ。)
じっとバーニスの表情を観察する、このままでは本当にブレイズウッドから出られそうもない。
「な、ナナシ?そんなに見つめられると照れちゃうよ~」
「――見えた、突破口」
本当に、本当によく見れば飲み始めた時と比べて多少瞼が下がり始めてる。
まあ、正直突破口と言うものでもないのだが――相手にお酒が効いているこれが俺を立ち上がらせる理由になる。
「バーニス!まだ、終わってない!まだまだ、飲もう!!」
「かしこま!飲むよ、飲むよ~!!」
再び、バーニスは酒を俺のコップに注ぎだす。
『仕方ないわね、聖剣の力で肝臓に干渉してアルコールの分解を促進してあげる』
聖剣の意志によって肝臓が爆速でアルコールを分解すれば血中に乗り脳に上るアルコールも少なくなるため――これなら実質酒耐性を上げて戦えるというわけだ。
「行くぞ、バーニス!酒の貯蔵は十分か!」
「えへっ!いっぱいあるよ~!!」
ずらっと、並ぶお酒――よく見ればルーシーの家に彼女の動かせるコンテナバーが横付けされている。
(あっ――死んだかも)
これまた数時間後――日は落ちかけ暗い空が辺りを埋め尽くさんとしたころ――
「ふぇへへ、はぁふぅ――飲んでいいよ~ナナシ~」
頬杖を突きながら眠るバーニス。
「ハァ―――うっ、後一杯飲んでいれば負けてたのはこっちだったか」
聖剣の力なんて言うチートコードを使ったのにも関わらず、頭を抱え既に二日酔いのような状態に追い込まれていた。
酒は飲んでも飲まれるなとは言い得て妙である。
「うっ――い、いかなきゃ」
這いずるようにルーシーの家を後にしようとするが誰かに袖を掴まれる。
「る、ルーシー?」
「聞いてはいましたわ――この後に都合がつかないことは。ですが、今日くらいは私と一緒に居てくれませんこと?」
普段の自身たっぷりの彼女とは違い、少し酒が入っているからか妙に色っぽいというか――寂しげな表情をしていた。
「ごめん、ルーシー。俺にはこの後行かなくちゃいけない所があるんだ――だから、今日ずっといることはできない――バーニスが来て少しめちゃくちゃになっちゃったけど、どこかで穴埋めするから。お願い」
「――わかりましたわ。ですけど、今日の深夜には帰ってくるのですわよね?」
そう、俺は明日の24日は早朝からシーザーと一緒にバイクをかっ飛ばすという約束がある。そのため、ライカンさんとの約束を終えた後、ブレイズウッドに帰ってくる必要があるのだ。
「その時、私の所に泊まりませんこと?」
「うえぇ!?――あっ、そっか大丈夫俺には一応ブレイズウッドでの拠点があるからね。でも、お気遣いありがと!後、異性に気軽にそういうこと言うと俺じゃなかったら勘違いしてたよ」
まあ、正直リンと一緒に住んでるお前が何を言っているんだという話ではあるのだが、それでもルーシーの発言には感化できない部分があった。
「ぶん殴ってよろしくて?まあ、いいですわ、他の女の所に泊まるわけでもないわけですし――行ってきてよろしくて!」
「何でぶん殴れるかはわからないけど、とりあえず行ってくる!」
ルーシーの手が袖から離れたのを確認して、俺はライカンさんへのプレゼントが入ったカバンを背負い扉の前につく。
だが、出る前にルーシーに呼び止められる。
「ナナシ、私は勘違いされて困る相手にそういうことは言いませんわ!」
「そっか、なら安心した――それじゃあ!」
それを最後に俺はルーシーの家を後にした。
「よぉ、ナナシ朝ぶりだな~」
「待たせちゃったかな?パイパ―」
事前に約束した時間の数分前ギリギリに俺はパイパ―の待つトラック前についていた。
「いやぁ、時間ぴったりだぜ~。それじゃ、乗りな――こいつが送ってやるよぉ」
「ありがとう、パイパ―、うっ」
どうやら、まだダメージが残っているようだ血液にはほとんどアルコールは残っていないと踏んでいたがこれでライカンさんとのバーに耐えられるのだろうか。
その場で膝をついた俺はパイパーの肩を借りながら車に乗り込んだ。
(そういえば――ルーシー勘違いされて困る相手には言わないのか。確かに、人と人の繋がりが強い郊外だからこそ勘違いされるような発言はさけるのか――。あれでも何で俺は勘違いされていいんだ?――いや、それだけ俺のことを信頼してくれてるってことか――ならよかった――)
車に乗って5分後そのまま、意識は闇に落ちた。
「――寝ちまったか、このまま誰もいない所に連れ込めたりしねぇかな~」
ナナシが寝たのを確認して、悪い想像をしながら少し進路とは違う方向にハンドルを切ろうとした時だった。
「どうしたの、パイパー?進路間違えたの?」
「おっ、こいつぁ失礼――間違っちまったみたいだぜ~」
勢いよくナナシは目覚める、その上進路が変わりかけたのも気が付いた状態で。パイパーは反射的にごまかしすぐ進路を戻す。
すると、ものの3秒で再びナナシは眠りについた。
「難しいな~」
パイパ―は一人ぼやきながら新エリー都へトラックを走らせた。
「着いたぜ~ナナシ」
「ッ――ふあぁ、ありがとうパイパー。おかげで少しアルコールが抜けたよ」
俺は、パイパーにお礼を言った後、待ち合わせ場所であるビデオ屋に戻った。
「夜分遅く、失礼します。ナナシ様、お迎えに上がりました」
「こんばんは、ライカンさん。でも、今日は友達でしょ?そんな堅苦しいのはなしでお願い」
ビデオ屋に入口から入ってすぐ198㎝と言う圧倒的長身がビデオを物色していたので探す間もなくすぐライカンさんを見つけることができた。
「そうでしたね、ですが敬語はこのままで――それにしても、どこかで飲まれてきたのでしょうか、既に顔が真っ赤ですが」
「え?ちょ、ちょっと知り合いの所でさ――そ、そんなに赤い?」
多少アルコールは抜けたと思っていたのだが、あくまで少し冷静になった程度でまだ体からアルコールは完全に抜けたわけじゃないようだ。
「ええ、ですが私の配慮が欠けていたともいえます。なぜなら、今回ナナシ様に23日を指定した結果おそらくぶつかり合う予定ができてしまった。そして、それらを全て完遂するために東奔西走している――というところでしょうか」
「は、はい全くもってその通りです。でも、ライカンさんの配慮のおかげで24日と25日は多少マシになったからさ、本当に助かってますよ!!」
これは事実である――正直今の時点でも24日と25日はつらい戦いが待っているというのに――これ以上増えられたらこっちも増えるしかない。
(どうせ俺クローンだし最悪、聖剣に作ってもらおうかな)
何て、縁起でもないことを考え始めていただろうが――ライトやパイパーなどのお助けしてくれる人は本当に助かるのだ。
「でしたらこちらも大変喜ばしいのですが――流石に、この状態でバーでお酒を飲むのは難しいでしょう――ですので、予定を変更して共に夕飯でも食べに行きませんか?」
「もちろん!ライカンさんはどこか行きたいところはありますか?」
アキラとの約束で大体、ビデオ屋で済ませることが多いためここら辺での飲食店だとチョップ大将のラーメン屋くらいしか知らないのだ。
「ふむ――近所に麵屋がございましたはずですが、そちらでよろしいでしょうか?」
「え、チョップ大将のラーメンやだよね。確かに、ラーメンは好きなんだけど――ライカンさんはいいんですか?そこで、何だかイメージがわかなくて」
ラーメンをすするライカンさん――うん、全く想像できない。と言うか執事服の人がラーメンを食べる姿すら想像できないのだ。
(あ、でもこの間カリンとは一緒に行ったか――あれはミスだけど)
「よいのですよ、ナナシ様はたらふくお酒を飲まれているご様子なので少し低血糖になっているかと思われます。ですので、炭水化物であるラーメンをお勧めいたします。ここで、倒れては明日の戦いに備えられないでしょうから」
「ら、ライカンさん!!」
その気遣い、俺が女性だったら惚れているだろう、そのくらい胸のうちにグッときた。
「それでは向かいましょう」
「うん、行こう!」
こうして、ライカンさんと共にチョップ大将のラーメン屋に足を運んだ。
「おっ、ナナシじゃねぇか。また新しい奴を連れて来たのか?」
カウンターに座って開口一番、チョップ大将がそんな爆弾を落としてくる。
「待ってください、大将。いつも言ってるじゃないですか、大将のラーメンがおいしいから来てるんですよ」
確かに、結構な頻度で一緒に来る相手は変わるが――それは俺の交友関係が広がった証でもある別に少しおちょくられた程度で気にするものでもない。
「さてと、何食べよっかな~」
「ナナシ様、悩んでいるのでしたら飲酒された後はなるべく塩辛い物や脂っこいものは控えるべきなので、こちらの『白鉢野菜ラーメン』なんていかがでしょうか」
「そうなんだ、だったらそれにしよっかな!大将!『白鉢野菜ラーメン』一つお願い!」
「では、私は『黒鉢燻製チャーシュー麺』を一つお願いいたします」
普段なら明日のことを特に考えずに黒鉢系の脂っこいラーメンを貪る俺だが今回は明日からが本番と言うことでライカンさんの助言も受けながら野菜系のラーメンを注文。
始めて食べるので、ワクワクして食べたが予想以上に野菜のうまみが強くかなりの満足感を得ることができた。
そして、食べながらちらりとライカンさんの方を見ていたのだが、やはりチャーシューを食べるときだけ尻尾が揺れている気がする。
(狼のシリオンだからかな?)
本能的なものだと解釈し、ラーメンを完食した。
完食した後時計を確認する。時刻は、夜の9時を回り普段ならベッドインの準備を始めているころだ、しかしながら俺は郊外に帰らなくてはいけない。
「今日はありがとう、ライカンさんのおかげで明日も頑張れそう」
「はい、今日の出来事が明日のナナシ様へ少しでもご助力になれたらこちらも光栄です。では、またどこかで――」
「待って、ライカンさん」
ライカンさんを呼び止め、袋からプレゼントを取り出す。
「――これはハンカチですね」
「うん、正直ライカンさんに何を渡せばいいのかわからなくてさ――アキラとかヴィクトリア家政のみんなからも意見をもらって最終的に無難なものに行きついちゃった」
「いえ、私のために選んでくださってありがとうございます。大切に使わせていただきますので」
ライカンさんは渡したハンカチを丁寧に畳むとそっと懐に入れた。
「それじゃあ、ライカンさん。今度こそ行ってきます!」
「はい、行ってらっしゃいませ――プレゼントは戦いが終わった後お渡しいたしますのでどうか幸運を祈らせていただきます」
その言葉にはあえて返事をせず、俺は踵を返して新エリー都を出る。
「さてと、今の時間は――9時半か。間に合わせるぞ」
流石にこんな時間にパイパーを呼ぶのは悪いということであえて声をかけなかった。
軽く体を伸ばし、準備体操を始める。
「さて、走りますか」
こうしてブレイズウッドへの道を進みながら23日は終わりを告げた。
さて、初めてゼンレスゾーンゼロ・聖剣を見た人もいると思うので一応説明しておくと、ナナシには一切の恋愛感情はありません。
後、思ったよりボリューミーなことに書いてて気づいたのでクリスマスが終わるまでに間に合わない気がします!!ご了承ください!!
それにしても、普段からナナシをいじめるように書いているせいかいつもより心が穏やかな気がする。
皆は閑話とか、IFの話とか読みたい?
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読みたーい!(特にヤンデレ)
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読みたーい!(ラブラブ!)
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読みたーい!(好感度測定器みたいなやつ)
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いや、読みたいのは本編だ!遅れてんぞ!
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作者さんの自由で!
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こんなアンケートする前に書け