瞼を開くと、見知らぬ天井と共に視界の端にはリンが椅子に腰かけていた。
「お兄ちゃん!ナナシが、目を覚ました!」
「本当かい、今行くよ!」
大声で奥の方にいる、アキラを呼ぶ――まだ意識がうまく覚醒していないが状態だけ起こし首を回しながら辺りを確認するも、どうやらアキラとリン以外ここにはいないらしい。
おそらく、意識を失っていたんだろうが――どのくらい経ったんだ。
「ナナシ、大丈夫かい?」
「あ、アキラ――ごめん、結局心配をかけちゃって」
アキラの顔を見て急速に意識が明瞭になってくる。それと同時に二人に心配させてしまったことへの罪悪感が胸を襲った。
「全くだよ、ナナシ。本当に僕たちは心配していたんだんだよ――だから、君が無事で戻ってきて本当によかった」
アキラの目に隈が見える、本当にずっと看病してもらったんだと痛感する。
「一体、俺が倒れてから何が――そうだ、プルクラは!猫のシリオンなんだ」
「早速、他の人の心配?――その子ならナナシを送ってどこかに行っちゃったよ――一応言っておくけど、元気そうだったよ」
スマホを渡される、そこにはプルクラの連絡先が追加されていた。そこには、一文だけ書いてあった。
『助けたからこれで貸し借り無し、これで対等な“友達”ね。』
思わず笑みをこぼしながら『ありがとう』と短く返答しスマホをしまう。
「それにしても、危険なことをするなら私達にちゃんと言って!――それとも、私達ってそんなに信用無かったの?」
「ち、違う!!二人を信頼してなかったから情報を伝えなかったわけじゃない、本当なんだ――」
「なら、何があったのか教えてくれ」
アキラの問いかけに思わず口を噤む。果たして今言うべきなのか――そうではないのか、俺だけが知ったままで事の対処に当たった方が――誰も苦しまないんじゃないか。
ぐるぐる渦巻く思考の中、それを打ち破るように家の扉が開いた。
「よお~ナナシ元気かい?」
入ってきたのは意外や意外な人物、パイパーとルーシーだった。
「――カリュドーンの子のみんな、ごめん心配かけちゃって」
「その通りですわ!これに懲りたら単独行動なんてやめてくださいまし!」
ルーシーの甲高い声が耳を通り抜けると同時に胸を震わされたような感覚に陥る。なんというか、カリュドーンの子の苦労枠である彼女をさらに心配させたことが心ぐるしいのだろうか。
「ちょうどいいところに来たね、ナナシがなかなか話さないから二人も聞いてみてくれないか」
「――ッ、た、たとえ二人からでも喋るわけには」
カリュドーンの子には一番知られてはならない。そもそも、カーサさんが本当にやったとする証拠もない――あくまで状況証拠からの推測。
それに、カーサさんの家に盗聴器が工芸品としてあっただけでトライアンフの奴らが潜り込ませた可能性も否定できない。
(いや、それだとトライアンフのメンバーがカーサさんの家に入り込んだことになる。ブレイズウッドに入るのですら難しいだろうに――い、いやまだカーサさんがやっと言うわけじゃない!)
まだ、憶測の範囲内だからこそ不確実な情報を与えみんなを混乱させるわけにはいかないのだ。
「カーサなんだろ~」
「ふゅっ!」
パイパーからの指摘に思わず変な声が漏れる。
「おっと、こいつは図星みてえだな~」
「ちょっと、パイパーどういうことですの?カーサがナナシが襲撃されたことと関係ありますの?」
ここで、俺は認識の相違に気づいた。俺は、相手をおびき寄せて橋の上で陣取り戦いを挑んだ。しかし、確かにカリュドーンの子からすれば単独で行動した俺が何者かから襲撃を受けた。状況的にこう認識していてもおかしくなない。
「ナナシ、僕は君が理由もなく隠し事をする奴じゃないってよく知ってる。だからこそ、教えてほしい――何を知ってしまったんだい?」
「―――シーザーには内緒にしてほしい。まだ知り合って日が浅い俺が言うのもなんだけどさ、なるべく聞かせたくない」
「わかった、それでいいから話してほしい。ルーシーとパイパーもそれでいいかな?」
アキラの言葉に、二人とも頷く。
「実は――」
それを確認した後、俺はカーサの家で盗聴器を見つけたこと、その盗聴器に情報を流したらトライアンフのメンバーが現れたこと、戦うことになった――等々、自白する容疑者の如く語った。
「――ナナシ、君って奴は」
全ての話を聞いた後、アキラは額に手をあて『やれやれ』とでも言いそうに首を横に振る、だがワンフレーズには確実に怒気が含まれていた。
「ほ、本当にありえないですわ!いったい何を食べたら、そんなことをしようと思いますの!?」
「ご、ごめんなさい」
ルーシーに胸倉をつかまれ揺らされる、そのたびに地味に壁に頭が当たるので痛みを覚えながらも耐える。
「そこいらにしておけよ~ルーシー。ナナシが泡立っちまうぜ、それに内通者がいることは薄々感づいていたしよ~」
「え、そうなの?」
「そうだぜ~実はさあ、あたしたちがここで野営を始めてから、な~んかおかしなことおが起きてんだよなあ――」
パイパーの目撃証言によると、町から工芸品が搬出されると、決まってその日の夜に、カーサさんが2、3時間待ちを離れる、それもバッチリ対侵蝕装備を身に着けて。
(やっぱり、取引に使われるとしたらホロウだったか)
「町に内通者がいるかもってルーシーから聞いてたからさあ、あたし、寝付けないフリをして出かけようとしてたカーサと『偶然』鉢合わせたんだ。そしたらあいつ――自分も寝付けないから気晴らしだ~とか言ってそのまま家へ戻っていったんだけど、それから1時間経って、まーた抜き足差し足で町を出ていったんだぜい」
「――怪しいね」
ついさっきまでカーサさんが犯人じゃないだろうと活路を見出そうとしてきたがここでまさかの目撃証言が出てきてしまった。
「はあ――こんなの悲報も悲報ですわ!」
カーサとカリュドーンの子は関係が深い、それも何とルーシーがメンバーになる前まで遡るレベルだ。その長い信頼関係ゆえに彼女らはここブレイズウッドを拠点としていた。
「だから、ナナシはこのことを喋らなかったんだ――一人で解決するつもりだったの?」
「い、いえ――その証拠を見つけるまでは混乱を招くだけかなと思って――はい、ごめんなさい」
リンの睨みに言い訳を述べようとするも途中で諦め素直に謝る。
「ですが、ナナシがシーザーに相談しなかったのは不幸中の幸いですわ。シーザーはカーサのことを実の姉のように慕ってますわ。本当に彼女が裏切り者だとして、そのことがあれの耳に入ったら――」
『ツール・ド・インフェルノ』が控えている今、ドンであるシーザーへショックを与えるわけにはいかない。
「内密に調査するしかありませんわ。最悪の予想が当たっていた場合、シーザーに気取られることなく解決すべきですわね。プロキシさん、数日のうちに、また街から貨物が出るそうですわ。カーサもきっと、いつも通りに行動するはず――ナナシを借りますわ」
「え、いいの!?」
てっきり、今回のことで家でじっとしてろとか言われるんじゃないかと内心ヒヤヒヤしていたが、同行を許されホッとする。だが、ルーシーの方を見れば完全にこちらを睨んでいた。
「勘違いしないでくださる!あなたの場合は、放置していた方が危険だから私達の目の届く場所に置くだけですわ!」
「す、すみません――」
深々と頭を下げ、肩をガックシ落としながら次の貨物が出る日を待った。
ほ、本当だったらこれを使って明日を誤魔化そうと思ったのに!!まさか間違えるとは――くっ。
仕方ない、こうなったら投稿だ!今日もさらに投稿してやる~!睡眠時間なんて破壊だ(ヤケクソ)!
皆は閑話とか、IFの話とか読みたい?
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読みたーい!(特にヤンデレ)
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読みたーい!(ラブラブ!)
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読みたーい!(好感度測定器みたいなやつ)
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いや、読みたいのは本編だ!遅れてんぞ!
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作者さんの自由で!
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こんなアンケートする前に書け