ゼンレスゾーンゼロ ・ 聖剣   作:うどん米

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今日は珍しく深夜投稿じゃない――だと


第55話・追跡

 

ついに、ブレイズウッドから貨物を搬出する日の夜になった――

 

「よし、ホロウに入りましたわ。」

カーサがホロウに入ったのを確認し、動き出す。

 

「バーニスとシーザーは来ないよな?パイパーは二人の見張りをしてるけど――」

「シーザーはもう寝てましたわ。あれで結構、ルーティンはがっちりしてる方ですのよ」

確かに、意外だったが――シーザーは個人的に勘が鋭い方だと思っている、この作戦について気づかれてもおかしくないと思っていたのだが、直前まで口を噤み、ライトにはギリギリになって伝えたことが功をそうしたわけだ。

 

「バーニスの方なら、俺達が手を打っておいた。丸一日スパーリングに付き合ってやったからな。もう起き上がる気力もないだろ。流石に、俺も堪えた、今日出会うエーテリアスには申し訳ないが傷みなく消し去ってやるのは無理な相談だ」

バーニスがグーたら寝てる姿が目に浮かぶ、俺も前半なまった体を動かすために付き合ったがまさか、ニトロフューエルを見つけて大覚醒するとは――長い戦いだった。

 

「コホン――では参りましょう。この件は、私達3人とプロキシさんだけで何とかしますわよ」

「うん――」

「ナナシ、もしかして気になるのかどうしてカーサがトライアンフに情報を売ったのか」

表情に出ていたのだろうか、ライトに指摘され目を見開く。

 

 

「ああ、まだ会って日数が浅い俺が言うものなんだが――俺にはどうもカーサさんが悪い奴には見えないんだ。――何か理由がある気がする、町長の彼女なら――きっと村のために動いてるんじゃないかってさ」

「そうかもしれないが、とにかく真相を知るためにも早く行くべきだ。下手に時間をかければ二人とも目を覚ましかねない」

頷き、俺たちはカーサを追跡しながらホロウの奥へ進んで行った。

 

 

 

少し進んで行くと、開けた場所に到着する、そこでカーサさんは何かを探すように辺りを見渡す。

「来たよ、言われた通りね。誰か!いないの!」

彼女が叫ぶと、空から声が響く。

 

「約束を違えたな――一人でと言った」

「何言ってるの?約束の物を渡して!」

電柱の上に乗ったモルスは勢いよく飛び降り、斧をカーサの喉元につきつける。

 

「それには相応の代償が要るな。いっそ――」

モルスはある一点に視線を向け、銃口を壁に向け発射する。

 

「イノシシどもから取り立てるか」

「なっ」

カーサが振り向く。穴が開いた先から棘のようなものが動いている。

 

 

 

「おい、今のはまぐれじゃないぞ」

壁に向かって言い放つ。

 

 

「ルーシーどうする?」

「そんなの決まってますわ!」

ルーシーは今一度改造バットを握りしめ、その場から立ち上がる。

 

 

「行きますわよ、ナナシ!撲滅ですわ!」

「やってやらあ!」

勢いよく飛び出し、まずカーサさんを抱き寄せ安全圏へ運ぶ。

 

「カーサさん、ここで待っていてください――後で、話は聞きますから。ライト、警護をお願いしてもいい?」

何が起きたかわからず辺りを見渡すカーサさんを後目にライトへ託す。

「任せとけ――その聖剣って奴にはお前の力が必要なんだろ」

「うん、行ってくる」

 

最初は、カーサさんを逃がすだけだったが相手が前に戦った狼のシリオン、モルスであるなら話は別。必殺技を連打されてもおかしくない――まだ見せていない必殺技もあるのでカーサさんに被害が及ばないとも限らない。

 

「悪い、ルーシー遅れた!」

「遅れたなら、相応に働いてくださいまし!」

 

「了解!『ムゲン・ザ・ハンド!』銃弾は俺が何とかする――突っ込め!」

「わかりましたわ!信じますわよ!」

(モルスの拳銃は斧と拳銃が一体化したタイプ――銃剣と似てる――だけど、斧のついている位置が絶妙で横方向に銃口は動かしやすいが、縦は動かしにくいと見た、しかも片手で撃つタイプだからバランスを崩せばほぼ当たらないはず――)

 

「ちっ――またお前か!」

3発、発射される。だが、ムゲン・ザ・ハンドが受け止めるのではなくいなしルーシーの横に帯同しながらルーシーを守る。

 

(別に、受け止める必要はない――ルーシーを弾から守ればいい、はじくんだ)

銃弾は前からの力には強いが横に煽られると弱い、すぐどっか行く。その上、相手はルーシーの体を狙うため必然的にどこを狙うかは銃口を見れば予測できる。

 

 

「これでも食らえですわ!!」

横にフルスイングした、ルーシーの一撃はモルスを直撃し吹き飛ばす。

 

「追撃は俺が『正義の鉄拳G3!』」

「ぐっ、タダでやられるか『ドラゴンクラッシュ!』」

土煙の中から青色の光が発された後、土煙を晴らしながら青色のドラゴンが俺の正義の鉄拳に向かってくる。

 

「人工聖剣は持ってるか――だが、打ち砕く!」

「ぐっ――がはぁ!」

ドラゴンは正義の鉄拳の前に打ち砕かれ、モルスは拳をもろに食らい吹き飛ばされる。

(かなり、いいとこ入った――これならもう戦闘不能に)

 

「くっ――撤退だ」

立ち上がったモルスは何かの缶のピンを抜くそれを地面にぶちまけるとそこから煙幕が発生する。

 

「目くらましか――『真・熱血パンチ!』」

拳を地面に打ち付けその衝撃派で辺りの煙が散っていく。

 

 

「しまっ――!逃げ切る気ですわ!」

煙幕が晴れると、そこにはバイクにまたがり腹部を抑えながら逃げようとするモルスがいた。

 

「追いますわよ!ライトもカーサを連れてきなさい!」

「ルーシー、俺が先行する!――後からついて来て!」

モルスはまだ視認できる場所にいる。ならば――ムゲン・ザ・ハンドの伸縮性を利用して2本の手をそこらの柱につける、そしてゴムパッチンの要領で引く。

 

 

以前にエレンに武器を見せてもらった時にやはり機動力が問題だということが明るみになった。それをある程度解決するために編み出した方法。

真・熱血ジャンプと併用しとんでもない跳躍力を生み出し、バイクに追いつく。

 

 

「なっ!なぜお前がここに!」

「どうも!今回は逃がすつもりはない!!」

残り二本のムゲン・ザ・ハンドがバイクの車輪に引っかかりバイクを横転させる。

モルスはバイクを見捨てさらに奥へ走る。

 

当然、俺はモルスを追うために全力疾走で追いかけたが、開けた場所につくとその足が止まる。

 

 

 

「ナナシ――って、シーザー!?」

後ろを振り向くとどうやらみんな追いついたようで、その光景に目を開く。

そこには、木箱が数個、そしてモルスが倒れていた。

 

「――シーザー落ち着いて聞いて!町長と覇者の手下が――」

「よせ、知ってる」

木箱の中身を確認しているシーザーがその蓋を勢いよく閉める。

 

 

「――これ以上、物資をホロウに置いとけねぇ。カーサ――全部もってけ」

「待ってくれ、シーザー。きっとカーサさんにも何か事情が――!」

その時だった、後ろからパチパチと拍手の音が鳴るそこには、黒いコート着た、アポロの回想で見た老人とそっくりな大男とチャラそうな金髪に片目のメカクレの男、写真で見たルシウスと言う男だ。

 

「覇者ポンペイ――!?」

(こいつが――トライアンフのボス。人工聖剣を作ってるのはまさか――グランはいないのか)

 

 

 

「久しいな。カリュドーンの子、シーザーよ。ビッグダディのそばにいたあの小娘が、部下を連れて俺の部隊に足をかけてるとはな」

「覇者ポンペイ。カリュドーンの子は、今もまだあなたを連盟の長として認めていますけれど――ここに現れたからには、納得のいく説明を聞かせてもらう必要がありますわ!」

そうだ、ここに来たということはモルスとカーサさんの一連の出来事を知ったが故、だがそれだと違和感が残る。なぜ、しらばっくれることなく現れたのかだ。

 

 

「急くな。いずれ知るであろうことよりも、今はより差し迫った問題がある――」

ポンペイの説明ではこうだ、そもそもここにある物資はトライアンフがブレイズウッドに供与したと約束したものである。

そして、実際にシーザーが確認したうえでは中に入っていたのは食料と薬、嘘はついていないのだろう。

 

 

「こいつの出所はともかく町に必要な物資なのは確かだろうな――けど、カーサオマエらが困ってんならどうしてオレらに助けを求めなかった?随分よそよそしいじゃねぇか?」

「シーザー、最初はそうしようと思っていたのさ――」

カリュドーンの子は昔からブレイズウッドを助けてきた、しかし頼ろうというタイミングでカリュドーンの子が『ツール・ド・インフェルノ』の資格を得たと飛びこみ、ブレイズウッドを拠点にさせてほしいと頼んできた。

 

「――それなのに、ここ一番で恩返しもできないどころか、心配の種を増やすようじゃ、立つ瀬がないじゃないか――?」

「それで?私達の情報をトライアンフに売ることが、あなた方の考えた恩返しだったんですの?」

「いや、それもまた違うんだろう――そうなんだろ、覇者ポンペイさん?」

懐から、電池を抜いた盗聴器を見せびらかし、説明を求める。

 

「どういうことですの?」

「もし、本当にカーサさんが情報を流しているのなら俺が足止めできていたことがおかしい――単独行動したと言えど、俺も一応カリュドーンの子陣営なのは間違いないだというのに相手は俺のことを知らず、結果的に作戦は失敗した。」

もし、カーサさん裏切っていたら別の道を使われて俺の足止めはうまくいかなかった――はず。

 

「ふっ――どうやら、優秀な仲間を抱えているみたいじゃないか。そいつの言う通り、依然としてブレイズウッドは貴様らの側だ。だが俺は覇者として、土地の民が願うなら見て見ぬふりはせん」

取引の場所を指定したのはカーサの方で、トライアンフが町に出入りしている情報がないのもそう言う理由だった。

 

 

「それで、何のつもりで来たのかな覇者ポンペイさん?冷やかしなら帰ってもらいたいんだけど――それとも、こいつの訳でも話してくれるのか?」

「元より、そのつもりだ。俺がここに来たのは『この件』を解決するためだ、今日ブレイズウッドから届けられた工芸品の中にこいつが見つかった」

懐から取り出したのはカーサの家に集約されていた工芸品のうちの一つ、その内部にはマイクロチップが確認されている。

 

(やっぱり、一つじゃなかったのか――複数の方が何回も情報を取れるしな)

「俺が持ってるのと同じタイプか――」

「そうだ――モルス、この瓶には重油が入っていたはずだ――俺達旧油田エリアの生命線、その象徴がな。なぜこんなものが入ってやがる?」

「――!」

痛いところを突かれたのか、先ほどまで腹部を抑え動けなかったモルスは目を見開く。

 

「それだけではない。このところ、ブレイズウッドに届く物資が約束の量に満たないそうだ。何か知っているだろう?」

「ポ、ポンペイの親分、お、オレは――」

 

「モルス!『ツール・ド・インフェルノ』へ貴様を辞退させたのは、断じてこのような小細工をさせるためではない!それとも、成果を上げればグランを押しのけメンバーになれると思っていたのか?」

“辞退”?つまり、最初はモルスがメンバーに入っていたということだろうか、そしてやはりというかグランがメンバーなのは確定らしい。

 

「覇者たる我々が仁義を守らぬ連盟なんぞに、誰が籍を置きたがる?我々が一つになれないのなら、誰が旧油田エリアを守るのだ?」

「ポンペイの親分、申し訳ありません。オレが間違っていました!」

その場で、頭を下げるモルス。しかし、これがどうにも一連の芝居のようにしか見えなかった。

 

「それで、どう責任を取るおつもりですの?」

「最近、旧油田エリアに隣接する複数のエリアと提携の協議をした。俺達が燃料の一部を提供することを条件に、今後は他のエリアを経由して旧油田エリアの劣化したパイプラインを再建することができる」

ブレイズウッドにとっては渡りに舟だ、これが本当ならブレイズウッドの問題は大体ナノとかなる。

 

「それだけでなく、複数のエリア間で道路を共有する協定も結んだ。これにより旧油田エリアは新たに少なくとも5本以上の輸送ルートが開拓できる。カリュドーンの子よ。これから半年間、そのうち3つのルートを貴様らに任せるつもりだ。それなら文句はあるまい」

 

ルーシーの言葉を思い出す。

『この半年間ずっーと、『トライアンフ』は私達にすべての中でも最悪のルートを割り当ててきてるんですの』

もしも、ポンペイの話が本当ならカリュドーンの子も諸々問題を何とか出来るだろう。

もちろん、この3つのルートで、困窮している地域住民を支援などの条件はあるが別に苦でもないだろう。

 

「――かなりいい条件だな」

「ええ、それに私達がルートを開拓しておけば、他の走り屋にとっても食い扶持が増えることになりますわね」

「そう言うことか――悪くない条件みてぇだな、オッサン。けど前提を履き違えてるぜ――『ツール・ド・インフェルノ』が終わった後、誰が覇者で、誰がルートを差配するのかは――まだわかんねぇだろ?オレ様が覇者になったら、ぜってぇオッサンよりフェアにやって見せるかんな!」

そう啖呵を切ったシーザーを見て思わず笑みがこぼれる、心なしかポンペイの表情も緩んでいるように見える。

 

「ハン――偉そうな口を聞く!それは肯定と捉えていいんだな」

「ああ、そう捉えてもらって構わねぇぜ!」

 

 

それを最後に今日は解散となった。

 

 




ちなみに、あのタイミングでナナシが盗聴器の存在に気が付かなかった場合、グランとモルスがそれぞれ二手に分かれて同時攻撃を仕掛けられてました。その場合、あの場でカリュドーンの子は全滅、ブレイズウッドは村ごと消滅、覇者ポンペイは死亡――なんてことになってました。セ―――――フ!!

皆は閑話とか、IFの話とか読みたい?

  • 読みたーい!(特にヤンデレ)
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  • 読みたーい!(好感度測定器みたいなやつ)
  • いや、読みたいのは本編だ!遅れてんぞ!
  • 作者さんの自由で!
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