ゼンレスゾーンゼロ ・ 聖剣   作:うどん米

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さて、始まりました。嫌な予感が10000%の章が!!


Season6 星流れ、神鳴の奔るが如く~さらば友よ、君死にたもうことなかれ~前編
プロローグ


 

 

時は耳をふさいで部屋の角でうずくまっても来てしまう、残酷だけど平等なものでもある。

 

 

『やぁ、ナナシ――ごめんな、ちょっと取り込み中なんだ』

「やぁ、じゃないよ。アルターエゴ――話って何だ?ていうか、何してるんだ?」

夜中、急に話があると意識世界に呼び出されたかと思えば何やらムゲン・ザ・ハンドのように手を合わせながら顔に筋を立てながら何かしている。

 

 

『うん?あぁ、ちょっと下準備をね。それで、本題に入ろうか』

「あぁ、昨日考えうる上で最悪の夢を見たところなんだ――手短に済ませてくれ」

アポロ――いや、影山立が誕生した。その幼少期の出来事、凄惨で無惨で回避できなくて、もはやよく闇落ちとかしなかったなとか思ってしまった。

 

(でも、そしたら俺は影山ナナシってことになるのか?いや、あいつは名前を捨ててるし――まぁいいか)

 

『あー、あの夢ね。アポロ、いや影山立の人生の始まりと終わり――そして、敗北が決まっている戦いの始まりだった。多分君が『ジ・アース』を習得した影響だろうね』

「酷かったな――普通あそこまで散々にやられたらもう何でもいいから八つ当たり――したくなるんじゃないのか?」

『それは、君がアポロじゃないからさ――もし、君がアポロの立場だったらきっと誰も恨まないだろう?』

自分も考えていなかった図星をつかれ妙に納得するナナシ。しかし、どうにもアルターエゴの瞳は冷ややかだった。

 

(あそこまでの仕打ちを受けてたらどこかのタイミングで二重人格にでもなってそうだけどな――あれ?“アルターエゴ”ってどういう意味だっけ?――ていうか、なんでこいつは最初から自分をアポロって名乗ったんだ?)

 

『どうしたんだい?』

「――!いや、何でもない少し考え事をしてたんだ、始めてくれ」

そんなわけがないと思考を切り捨て、すぐ本題に戻る。

 

 

『まずさ、体の方はどう?』

「どうって――よくはないかな。特に『ジ・アース』習得後は寝たきりの日も増えたし――まあ、幸いにもあんまり仕事がないから二人にはギリギリバレてないって感じかな」

俺が使える中で最強の必殺技『ジ・アース』その習得には――なんの苦痛も必要なかった。けれど、練習で試しに使ったのがいけなかった。

 

『気を付けてね――って、俺が言っても説得力ないよね』

「まぁ、わかってるよ。『ジ・アース』はただの攻撃技じゃない――自爆も兼ねてる、仕方のないことだけど別れの日は近いんだなってのは自覚してきた」

『うん、一応おさらいだけど万が一にも敵に聖剣を奪われそうになったら『ジ・アース』を許容限界を超えて使うんだ――そしたら、四肢が爆散して辺り一帯を吹っ飛ばせるから』

当然、そんなことをすれば100%死ぬ。そして、次の世代に後を託す――俺の魂は真っ白に洗浄されてアポロの魂と融合し、燃料となる。

 

 

「用ってそれだけ?」

『いや、サクラのことについて少しね』

「サクラ?彼女がどうかしたの?」

ナナシはサクラと呼ばれても不機嫌な顔一つせずに会話に乗る。そんな、姿を見てアルターエゴは少し悲しげな表情を見せた。

 

『うん、彼女は君にものすごい酷いことを言ったと思うんだ――けど、あまり責めないでほしい。サクラなりにちゃんと理由があるんだ――』

「そっか、大丈夫。別に恨んでもないし、責めるつもりもないよ、結局結末は変わらないわけだし、嘘をつかないで教えてくれてむしろ感謝してるよ」

『――そうだった、うん――君はアポロ(ナナシ)だもんね。そっか――そうだよな、どこまで行っても――そうなんだよね』

別にアポロもナナシも聖人君主というわけではない。仲間が傷つけられればかなり怒るし、仲間の判定はガバガバだし――

 

(辛い思いをした人ほど、多くの人に優しくなれるなんて聞くけど――はぁ、バカは死んでも治らないとは言うけど――常に作戦がガンガン行こうぜのスタイルは変わらなかったか)

なんて、冷静に分析するアルターエゴ――だが、ある意味次のアポロに繋ぐと考えたらそっちの方がいいのかと結論付けるのだった。

 

 

「そうだ、俺からも聞きたかったんだけど」

『うん?いいよ、ここに来れる回数ももうそんなに多くないだろうからね』

無量塔姫子(むらたひめこ)ってどうなったの?俺の、アポロの――その、師匠なんだろう?」

単純な疑問だった。何だかんだ、アポロの記憶をたどっていったわけだが師匠なんて言う重要人物が回想で登場したのは今回が初めてだった。

 

 

「死んじゃった」

「そっか」

淡々と告げる者同士それを最後に、ナナシは空間から消えていった。きっと、ナナシは気づいたんだろうそうやって冷めた態度をするときのアルターエゴは絶対探られたくない過去があると。

 

 

「あぁ、俺が殺したんだ――姫子先生を」

 

 

 

翌日『Random Play』の裏口にて――

 

「ふぅ――よーやく着いたわ!どうして市内ってどの車もチンタラ走ってんのかしら!郊外の半分もスピード出ないじゃない!」

「都市の制限速度は郊外のきっちり半分だからね。ニコ、まさか君――いつも違反してるとか言わないだろうな」

いぶかしげな視線をニコに向けるも寝耳に水のようでポカンという顔をしていた。

 

 

「なんですって!?うっかりしてたわ、このところ郊外との行き来ばっかりだったから――でもま、ナンバープレートは外しといたし罰金の通知が来ることはないわね!」

「――さらっとスピード違反より重罪じゃないか。交通課の人間がうちに来るようなことは勘弁してくれよ」

「安心して!後はつけられてないし、目もつけられてない。ここへ来たのは、あたし1人とこの車だけよ!そういうあんたの方は、ナナシはどこに行ったのよ?大体、こういう場ではいるじゃない」

何も安心できない口上を述べながらも話を変えるためにナナシの話題を出すニコ。確かに珍しく彼の姿はここにはない、だがニコが聞いたとたんにアキラの表情が曇る。

 

 

「ナナシ――今は――」

「いるよ、ニコ。どうやらパールマンからの聞き込みが終わったみたいだね」

裏口の扉を開け現れたのはナナシ、いつも通り元気“そうな”姿を見せていた。

 

 

「いるじゃない、ナナシ。そうよ、ヴィジョンのスキャンダルには黒幕がいるって吐いたわ、それもまさに市政選挙中の候補、治安官のブリンガーよ」

「驚けないな――それで、わざわざ俺たちを郊外に連れて行こうってわけね――わざわざご足労いただいて光栄ですよ~」

「妙に芝居がかってるのがイラつくわね。ま、わかってると思うけどパールマンをここに引っ張ってくるなんて無理だから」

現在は市政選挙中。外から出入りする保安検査はどえらいことになっている。もしも、パールマンなんていう超ド級の爆弾を持ってくれば摘発は免れない。

 

 

「こっちは敵のことがわかってるけど、向こうにはまだあたしたちのことがバレてない――経験上、こういう時は『こっそり』やるに限るわね!」

 

(でもなぁ、あいつ飛行船奪ってどっか消えたからなぁ――そもそも、居場所を把握されてないなんてあるのか?)

しかも最終的には郊外に墜落である。決定的な証拠を持っているパールマンを消したいであろうお偉いさん方がたかが郊外に消えたからと捜索を断念するのだろうかと疑念は尽きない。

 

 

「それはつまり――ホロウを使うと?」

「ふふん、大正解!幹部道路を見張ってる治安局はボンプの耳まで武装してるわ。万が一、ホロウを使う必要が出てきたら信頼できるプロキシが要る、それに頼れる戦力まで手に入る――でしょ!」

「そういう危険な時だけ、僕たちを思い出してくれるんだからな――でも、ナナシは――」

アキラの視線がこちらに向く、俺は何も言わず笑顔で返し大丈夫とアピールする。

気にしているのは俺の体調のことだろう、日に日に睡眠時間は増えてるし、特に寿命のカミングアウトから二人が少し過保護気味になっているのだ。

 

『マスター、容疑者パールマンの供述が事実なら旧工場現場のモニュメントに封じられた未確認個体についても何か知ってる可能性があります。マスターの長期な目標にとって助けとなるはずです』

(サクリファイスか――犠牲って意味だけど、アポロは寄生虫って言ってたなどういう意味なんだ?しかも、たくさんぶっ飛ばしてたって言ってたしていうか、アルターエゴから聞いとけばよかった)

いつも寝る前に聞こう聞こうとは思ってるものの、いざ意識世界に入ると忘れていたり、そもそもそんな場合じゃなかったり、サクラにボコボコにやられたりと酷かった。

 

「――それはその通りだ。ナナシ、邪兎屋に白祇重工、ヴィクトリア家政にカリュドーンの子――最近あったことは全て元を辿ればヴィジョンのスキャンダルだからな」

「ぼちぼち決着をつけないとだね――わかった。でも、行くのは私とナナシとニコね――お兄ちゃんはうちにいてくれる?H.D.Dシステムで遠隔支援をお願い!」

「わかった、けどナナシは――」

「うん、絶対に無茶しないように私が見てるから!」

「俺は、そこまでし――何でもないです」

心配しなくてもいいと言おうとしたナナシ、しかし信じられないくらい冷たい瞳がこちらを向き思わず口を閉じる。

 

 

「あ、そうそう――あんたたちの車で行ってもいいかしら?もし邪兎屋の車で捕まっちゃったら、免許の申請いよいよ突っぱねられちゃうかもなのよね」

「まさか、今まで君はずっと無免だったのか?」

 

 

 

こうして3人は郊外に向かうことになるのだった。

 

 

だが、その前にビデオ屋に戻って準備をしていると玄関の方で何やら叩く音が聞こえる。

 

「すみません、今日は休みなんです――って、ライ?」

Closeと書かれた表札が逆になってたのかなと扉の方に向かうが向こう側にいたのは行きつけのパンケーキ屋の店員、黒髪黒目の長髪で狐のシリオン、身長は耳を含んで170㎝のライだった。

 

(そういえば、ライって誰かに似てる気がするんだよなぁ――誰だっけ?)

「こんにちは、ナナシ。――なんだか、照れくさいですね呼び捨てで呼び合うのは」

「そ、そうかな――でも、なんだか新鮮かな、ライと外で会うことは中々無いし――そうだ、今日はどうしたの?」

「あ、その今日――いや、しばらくの間外出するならやめてほしいんです――」

「え?」

急なライからのお願いに思わず首を傾げる。何かあるということか――とそれとも先に予定があったのかなどなど思考を回し続けるも何も出てこない。

 

 

「そのうまく言えないんですけど嫌な予感がするんです――と、とにかく外出はやめてくださいね!言いましたよ!さようなら!!」

「え、う、うん――さようなら!!」

なんか占いでも流行ってるのかなと思いながらも頬を赤らめながら全力疾走でその場を去っていったライ、だが彼女に言われたことを守るはずはなかった。

 

 

 

この後、ナナシは後悔することになる。彼女の忠告を無視したことであんなことが起きるなんて――

 

 

 

これは、敗北が決まった戦いである。――たとえ、虚狩りがいようが、聖剣使いがいようが、邪兎屋がいようが、白祇重工がいようが、ヴィクトリア家政がいようが、カリュドーンの子がいようが関係ない。

 

 

究極の一の前には等しく無力である。

 

 

そもそも、彼らの手には全てが始まる前に未来は既に奪われているのだから―

 




え?なんか不穏じゃね?って、何言ってんですかなんやかんやこれまでの章も不穏な場面はあったけど何だかんだ乗り越えて来たじゃないですか!大丈夫ですよ!

ちなみにこれ以上語らないのでここに書いておく『ジ・アース』の継承順(全員とは言ってない)
ヴェルト・ジョイス→程 立雪→ヨアヒム・ノキアンビルタネン→フレデリカ・二コラ・テスラ→サクラ→アポロ(間借り)→死んだプロトタイプ達(間借り)→ナナシ(間借り)という順番になってたんですね。
ちなみにヨアヒムは崩壊:スターレイルのヴェルトと同一人物です。

皆は閑話とか、IFの話とか読みたい?

  • 読みたーい!(特にヤンデレ)
  • 読みたーい!(ラブラブ!)
  • 読みたーい!(好感度測定器みたいなやつ)
  • いや、読みたいのは本編だ!遅れてんぞ!
  • 作者さんの自由で!
  • こんなアンケートする前に書け
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