ゼンレスゾーンゼロ ・ 聖剣   作:うどん米

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第2話・邪兎屋

 

 

「記憶喪失なんだ、無理もないさ」

「じゃあ、説明するね・・・パエトーンって言うのはね」

二人はいわゆるプロキシ・・・。まぁ、案内屋のような立ち位置だというのはわかった。

 

そして、彼らはその業界では名の知れた伝説のプロキシ、パエトーンと名乗っている。

で、ここからもっと大切。実は、この新エリー都以外の都市はほとんど壊滅したらしい。

ここは文明の火種がのこり発展を遂げた奇跡の都市と呼ばれてるらしい。

 

 

そして、その原因が超自然災害『ホロウ』あの時ニュースで流れていたものだ。ここの人々はそのホロウからとれるエーテル資源をもとに生活しているらしい。

だが、ここから問題でその『ホロウ』と言うのはいわゆるダンジョンのように入り組んでいる。そのため『キャロット』と言われる地図のようなものが必要らしい。

 

 

だが、それを保持しているのはホロウの調査員のみ・・・のはずなのだが。それ以外にも独自にホロウを解析し案内できる者たちがいる。それが、プロキシ・・・である。

 

「・・・違法じゃん!!」

「うん、バリバリ違法。でも、もう知ったからには引き返せないし、何なら今からでも治安局の冷たい床で眠りたい?」

携帯片手にリンが脅してくる。

 

 

「働かせてください!!」

俺が使える選択肢はそれしかなかった。退路なき道に足を踏み入れてしまった気がする。

「いい返事!じゃあ、今日からよろしくね」

「――はい」

 

 

どうやら、はめられたらしい。

(まぁ、でも最低限の生活はこれで送れるようになるか)

だとしても、そんな案内屋の仕事って何を手伝うのだろうか・・・。

 

 

その時だった。あわただしく、扉を開けるものが現れる。

ピンクのツインテール“巨乳”

 

「緊急事態よ!ビリーとアンビーそれからあたしの依頼のターゲットが全部ホロウに落ちた!プロキシの助けが必要なの・・・一生のお願い!」

「えっと・・・誰?」

アキラに説明を求める。

 

「あぁ、彼女はニコ。邪兎屋の一応社長だ」

「邪?つまり・・・」

仕事の依頼と言うことだ、しかも案内屋。プロキシの。

 

「月に三回は聞くよ。ニコの一生のお願い」

どうやら、彼女の依頼は仲間がホロウに落ちたから助けてほしいというものだった。

 

「早速出番だね、えっと・・・そうだなんて呼ぼうか」

「え?俺の出番?」

「うん、パエトーンの補佐として実際にホロウに潜るのが君だからね」

びしっと、指をさされる俺、と言っても断ってもろくな目に合わない。

 

 

「そうだ、呼び名か・・・『ナナシ』でいい。名前なんて覚えてないしな」

「わかった。よろしくねナナシ」

「えっと、こいつ誰よ!!」

今度指をさしてきたのはニコだった。

「彼はナナシだ。記憶喪失でね、彼をボンプと一緒に連れってもらう」

「ふーん。こいつ、強いの?」

「強い――かもしれない」

アキラがそう一言でまとめるが、なんだかハードルが無限大に上がっている気がする。

 

 

「2人を助けて、早く依頼人から頼まれたものを取り戻さないと。本当に緊急事態なの、あたしを助けてくれる人なんて、あんたたちしかいないのよ!」

「あれ?でも、ホロウ調査協会ってのに救援を頼めばいいんじゃないの?」

「ダメに決まってるでしょ!あたし、今はまだ協会に目を付けられるわけにはいかないの。ホロウレイダーをやってたってばれたら大変なことになる。」

どうやら、まぁ。なんとなくわかっていたがここにはあまり公に助けを頼めない人が集まるらしい。

 

 

 

俺はニコとアキラ、リンの会話を聞きながしながら今の現状を考察した。

(俺が今、出来る技は『熱血パンチ』だけ・・・。聞いた限り戦う相手は人間じゃない。これだけで応戦できるのか・・・。)

この技は初めてごろつきに喧嘩を売られた時にまるでインストールしたかのように体にすっと入ってきた。戦い続ければその分使える技が増えるかもしれない――。

 

「と!に!か!く!あたしの依頼は簡単よ。うちの人間と、あたしの依頼人の物をホロウから無事に出してくれればいいの。典型的なプロキシの仕事でしょ『パエトーン』」

「うーん。でも、結構ニコのツケたまってるよね、どのくらい利子がついているのかな?」

「・・・わかったわよ!邪兎屋の収益の一部を上げるから」

それで、決定になった。

ちなみにニコは怪我をしていたのでこの場に残り、俺と・・・小さな人形と一緒にホロウに乗り込むことになった。

 

 

「なぁ、これ何?」

「ボンプだ。まぁ、詳しくはホロウに行ってみればわかるさ」

とりあえず、まぁ何が何だかわからないので、ホロウとやらに向かう。

 

 

ホロウの入り口はまるでアトラクションの入り口のように靄がかかっていた。

(この靄・・・どっかで見た気がするんだよなぁ)

「じゃあ、これを置けばいいんだな」

はたから見て人形遊びにならないか怖いがとりあえず『ボンプ』を置く。

 

「置いたぞ。」

「わかった、イアスを頼んだぞ」

イアスと言うのはこのボンプの名前らしい。それにしてもぷにぷにしている。

 

 

「う、動いたッ!!」

「じゃあ行くよ、ナナシ!」

ボンプからはリンの声がした。

 

「リン?どういうことだ」

「これはHDDシステムって言ってね・・・うーん、簡単に言えば遠隔操縦って感じかな」

遠隔操縦、今はそうなっているのか・・・。

ボンプは爆弾を構え。俺と共にホロウに入った。

 

 

「ここがホロウ」

さっきまでどこかの路地裏にいたというのに急に開けた場所に到着していた。

「ほら、私を抱えて。ボンプで走るより抱えてもらった方が早いから」

万歳のポーズのまま固まるボンプを脇に抱える。

 

「じゃあ、ナビゲートするから。頼んだよ、ナナシ」

「あぁ。・・・ちなみに、目の前にいるのは敵か?」

「え?」

そうか、ボンプを脇に抱えていたから見えないのか。両手で持ち上げ見える形にする。

そこには、頭はまるで花のように花開いた形状の頭、ところどころに黒と黄色の縞々模様。踏切の棒を想像させる怪物が立っていた。

 

 

「て、敵だ!」

「オッケー。なら、倒す」

相手は3体。3対1か。

「大丈夫?3対一だよ」

「問題ない」

 

とりあえず、ボンプを置き。

「く、来る!!」

怪物はその手に持つ標識の鈍器のようなものを振り下ろす。

「3体1なのに、一人ずつかかってくるなんて。怪物でも礼儀はあるんだな」

半身だけずれることで最小限の動きでよけた後、怪物の顔面を持ち握り、思いっきり地面に叩きつけた。

その後、持っている武器を奪い。顔を潰した。

 

「つ、強い!」

リンの驚いた声が聞こえる。どうやら、期待には応えられそうだ。

残り2体は同時に攻撃してきたが・・。

(連携が悪いな・・・。どちらが隙を作った後攻撃するべきだ。3人の場合なら手数で押せるが二人ならもう敵ではない)

持っていた、武器を投擲しその影から蹴りを加える。そして、またまた武器を奪い顔面を潰した。

 

「もう一体か」

振り向き、そのままの勢いで首を落としてやろうと思っていたが、怪物が向かっている先には俺ではなくパエトーンだった。

「わ、わわ!こっち来た!」

すぐさま、全速力で向かう。ボンプに攻撃が当たる瞬間武器を投擲する。

そして体制の崩れたこいつに向かって・・。

思いっきり首を折った。

 

「悪い、一体通してしまった」

もしかして・・・これがきっかけで解雇になるかも・・・・。そんな不安を抱えつつ。遠くに行ったボンプのもとへ向かう。

 

「すごい!!エーテリアスを素手で倒すなんて、頼りになるねナナシ、これからも戦力になってね」

どうやら、セーフらしい。

「それじゃあ、行こう。来てくれ」

そう言い、俺は再びボンプを抱え走り出した。

 

 

(なるほど、こりゃ道に迷うわけだ)

まだ数分しか経っていないというのにもうすでに景色が二転三転した。もし、パエトーンの指示なしで救助者の元までたどり着けとなったらほぼ不可能だろう。

 

「見えた」

「うん、いたね。ビリーたちが。後は任せて」

 

ボンプがどう見てもその体躯に似合わない大きさの爆弾を取り出す。

「それでどうにかなるのか?その大きさだと彼奴らを吹き飛ばすには足りないだろう」

「え?何言ってるの。これは、煙幕弾だよ。」

「・・・まさか」

嫌な予感が、脳裏をちらつく。

 

「そのすきに、敵を倒してね!」

「やっぱりか」

頭を抱えながら、再びボンプを置く。

 

 

 

 

 

「くそっ、きりがねぇ。これじゃ弾代だけで赤字だぜ」

ビリーは銃を化け物に向けて構える。

そのタイミングで、ボンプが煙幕弾を放り投げる。

 

「いや、俺じゃねぇって!」

「悪いが、少し頭借りるぞ!」

「え?」

ビリーの頭を使い跳躍し、煙幕で邪魔されない位置に移動する。

そのまま、怪物の頭上に移動し、まず一体首を折る。そして、武器を奪い、後は残りの一体に向かって振り下ろした。

 

 

「一体・・・何が?」

煙幕が晴れた後、後ろのコンテナからとことことボンプが走ってきた。

「やっほー、お疲れ様!」

「スカーフの喋るボンプ・・・」

アンビーが訝し気層に、ボンプを見つめる。だが、ビリーは見当がついたみたい。

「おおっ!もしやーパエトーン!・・・で、こっちは?」

 

ビリーが次に指をさしてきたのは俺。

「俺はナナシ、新しくパエトーンの仲間になった――うん、そんな感じ」

「そうか、じゃあ味方ってことだな・・それにしても素手で彼奴らを瞬殺ってすげぇな!」

明るくて気のいいやつ。それがビリーの第一印象だが。

(どう見ても人間じゃねぇ!?顔が腕が腹が足がどう見ても機械)

 

 

俺達は二人からとりあえずの成り行きを聞いた。

「・・・お疲れ様」

最初に出てきたのは労いの言葉だった。

 

 

「本当だぜ!あの、上級エーテリアスに追っかけられて・・・。走りすぎて足の油圧ロッドが折れるかと思ったぜ!」

「適度な休憩を取ることを提案する。いい?プロキシ先生、ナナシ」

「二人は休んでて、見張りは私達がするからさ」

「あぁ、二人は休んでおいてくれ」

 

(それにしても・・・人が怪物化・・・ここは一体)

自然災害にしては・・・。なんと言うか、人間への殺意が高すぎるような。

 

「それにしても、助かったぜ。ナナシ、店長、流石『パエトーン』頼もしいな」

「えっへへ~なんの、プロキシの役目を果たしたまでだよ。それに、道中はほぼナナシに運んでもらったしね」

その言葉に、頷く。ボンプがその体躯に対してなぜだか不思議と重かった。それをそれなりの距離運ぶのは疲れる。

 

「ニコのことだから節約のために自力で対処するようにいうかと思ったけど、それがまさかかの有名な『パエトーン』を探してくるなんて」

どうやら、『パエトーン』はかなりの有名人らしい。

 

 

「プロキシ先生とナナシが駆け付けてくれなかったら、私達はエーテリアスの領地から脱出できなかったはず。ありがとう」

「ところでさ、最初に協力したときはナナシなんていなかったよな。ボンプと感覚を同期できる上に、ホロウ内部ともリアルタイムで通信できるシステムを持っているのに今日はどうしたんだ?」

「うーん。まぁ、色々あったからかな。それに、大丈夫。ナナシ、強いから」

「あんまりハードルを上げないでくれ。胃が痛くなる。あと、奴さんが来たみたいだ。パエトーン、案内をお願い、俺は二人を護衛する」

指をさしながら促す。

 

さてと・・仕事を始めよう。

 

 

 

 

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