ゼンレスゾーンゼロ ・ 聖剣   作:うどん米

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こ・れ・は酷い!!


第73話・弱点

 

 

「なら、こうだな『偽タマシイ・ザ・ハンド!!』」

だが、そのような状況でも眉一つ動かさず冷静に心臓に気を溜めそのまま放出する。文字通り、魂の盾。手の形をしたそれは『ガンショット』を軽く受け止め消えた。

 

 

「――まだ崩れないのか。しつこい!」

煙が晴れ、ここまで読んでましたよと言わんばかりの笑顔をこちらに見せつけていた。

すぐさま、追撃に拳を振るうも軽く避けられ再び距離を取られてしまう。

 

 

「ふふっ――」

「何がおかしい?」

「あなた、かなり弱体化しているみたいね。――推定、全盛期の五十分の一ってところ、旧都陥落時のちょうど半分ってところかしら」

「お前、一体どこまで知ってるんだ――」

 

 

「ああ、私は知らないわよ。今、ちょうど連絡があっただけよ」

「なっ――そういうことか」

違和感を持ち、辺りの気配を探ると先ほどまでこちらを狙っていたスナイパーのものが消えているのだ。

(あのスナイパーがアポロのことを知ってるってことか?――どういうことだ、そもそも今の時代はアポロが死んでから何年経ったんだ?)

 

「ふふっ、計測も済んだことだしさっさと終わらせてあげるわ」

「――まるで、いつでも終わらせられるみたいな言い草だな」

アルターエゴがそう問いかけると、女はこれまで見て来たものよりも圧倒的に気味の悪い笑みを浮かべた。

 

 

「もちろんよ――あなたは強いけど、その分だけちゃんと弱点は調べられてるのよ。これを手に入れるのは苦労したけれど――」

「何を――」

何かをする前に、先に先手を打とうとしたアルターエゴ。しかし、彼女が車のトランクから取り出したある物を見た途端、足が止まる。

 

 

「―――」

いや、思考も手の動きも何もかも止まった。

 

「それが、あなたの弱点よ。アポロ、安心しなさい。ちゃんと本物よ」

「一体、それをどこで――?」

思考が停止したまま、アルターエゴはその場で膝をつく。決して自分からついたわけではない、アルターエゴが停止したタイミングで鎧装によって増幅された脚力に物を言わせ接近し透明な指輪から刃を出し突き刺したのだ。

 

 

それによって、アルターエゴから聖剣の力が奪われ猛烈な脱力感と虚脱感が彼を襲っていた。

「先生――」

「ふふっ、聖剣ジ・アース。回収完了、これであなたは完全にただの人間よ」

彼の思考を奪ったもの、それは一振りの炎のような赤い大剣。それは、アポロに戦い方を教えた先生である無量塔姫子が使用した物だった。

 

「目を離せるはずないわよね。だって、この大剣の使い手はあなたが殺したんだもの」

「ッ、お前!!」

「ふふっ――ははっ!その表情をずっと見たかったわ――そうね、せっかくならトドメも刺しておこうかしら。この剣を使って」

地面に突き刺さった大剣を引きぬき上段に持ち上げる。

 

 

「さようなら。哀れな英雄様!!」

うなだれるアルターエゴに向かって振りぬく。

 

 

 

『立、顔を上げなさい。あんたは前に進むのよ、この不完全な物語をあんたの望む姿に変えなさい!!』

振り下ろされる寸前にアルターエゴの脳裏に映っていたのはかつての記憶。

 

「大丈夫、一瞬忘れてただけだから」

アルターエゴは半身を翻し大剣の一撃を躱しその代わりと言わんばかりに思いっきり拳を握り彼女の頬に全力のパンチを打ち込んだ。

その衝撃に思わず大剣から手を話し、よろめきながら彼女はその場に倒れこんだ。

 

 

「――舐めんな。こちとら、教育だけは一流のを受けててな」

「諦めない根性論かしら?それとも、無謀な蛮勇?少なくとも、言葉の勉強はしてこなかったみたいね」

「勇敢に生きるってことさ!」

その場に横たわった大剣を再び地面に突き刺し、構える。

 

「勝てると思ってるのかしら――徒手空拳で、それも聖剣の力も失ってるのよ」

「もちろん、俺たちはいつだって負けると思って戦った日はないよ」

確かに、アルターエゴの雰囲気が変わったことを彼女は察知していた。今、彼の目にはアポロやナナシと同じ覚悟の目が宿っていた。

 

「なら、お望み通り蛮勇に沈めてあげるわ――死になさい『マシンガンビート!』」

目にもとまらぬ拳の弾丸がアルターエゴに接近する。だが、冷静に拳同士を激突させることはしなかった。

相手の拳のラッシュに対し、手首辺りを拳が加速する前に狙い撃ちすることによって一撃も通さずしのいでいた。

 

「ここっ!」

だが、アルターエゴは先ほどのマシンガンビートを見て知っていた。最後の一振りだけは威力が段違いのためこの方法で誤魔化せないこと――そして、右の腕からであること。

これだけわかれば、避けて掴むのは簡単だ。

 

 

「せいっ!」

そのまま、掴んで一本背負いで彼女を地に落とす。追撃を試みるもすぐに起き上がり眼前まで拳が迫る――どころか直撃する。

 

「倒れなさい――ッ!」

振りぬかれると見えたその拳は彼の頬に直撃した途端制止したのだ、拳の影から見えるのはアルターエゴの鋭い瞳。

 

「痛いじゃねぇか!――ほら!!」

反撃の拳は容赦なく彼女の頬に突き刺さる。だが、一つ違いがある。それは、容赦なく振りぬかれたということだ――ボォン!!とまるで爆弾でも爆発したのかと聞き間違うほどの轟音と共に彼女の体は宙に舞った。

 

 

「ッどうしてただの人間にこれだけの力が――」

先ほどまでとは違い動揺を隠せなくなっている、本来であれば聖剣を失ったアルターエゴはただの人間に戻る。

 

「さぁ?知らないなッ!!」

痛みに耐え、蹲っている彼女の顔面目掛けての蹴り。今度は止められることなく飛ばすことができた。

 

 

「――ッ」

相手の敗因はただ一つ。

そもそも、前提が違う。もちろん、必殺技の源は全て聖剣だ――しかし、あくまで技なのだ。確かに、聖剣があるときよりも二割ほど身体能力は低下している。

 

「くたばれ!!」

ガードレールに激突した彼女に思いっきり追撃に体重を乗せて蹴り飛ばす。

それでも、瞬発力だけなら鎧装状態(アームド)のサラを上回ってしまうほど元の身体能力が高いのだ。

そして、技を使いこなす過程である戦術や体の動かし方、思考力などは一切変わっていない。

 

 

それゆえに、最初から敗北する通りはない。

最後の蹴りをもろに受けたせいか鎧装(アームド)は完全に解除され、彼女も気絶した。

 

「はぁ――てこずらせやがって」

無事に倒せたとはいえ、体へのダメージもばかにならない。さっさと、聖剣の力を取り戻すかと腰を下ろしたその瞬間気づいた。

彼女がつけていた指輪の中に自身の力が入った指輪がないのだ。

 

「ッ、やられた!!」

辺りを見渡すと先ほどまでそこにあったはずの護送車もまるっきり消えている。

 

 

「ふふっ、私は時間稼ぎよ。もうすぐ、逃げたブリンガ―のもとに四本の聖剣が集まるわ」

「なっ、どこに行った――どこで物を受け渡すつもりなんだ!!」

胸倉をつかみ持ち上げる。相変わらずの不敵な笑みは崩れず、まるでアルターエゴを嘲笑うかのようだった。

 

「いいわ、教えてあげるわよ。ポート・エルビスのホロウよ」

「ポート・エルビス?――ちっ、わかった」

もとは俺の体の中にあったからか気配は追える。そして、行先さえわかれば道なりに沿ってもしかしたら車に追いつけるかもしれない。

 

「車に追いつくつもり?」

「ああ、こいつを背負っても時速110㎞は出る。高速道路の普通車よりは早いさ――今回は見逃してやる。次、会った時は顔面に風穴開けてやるから覚えておけ!!」

その言葉を最後に、本当に車のような勢いで大剣を背負いアルターエゴはその場を去っていった。

 

 

「くっ――それにしても容赦ないわ、骨は何本か逝ってるわね」

その夜は、星が瞬くように煌めいていた。

 

 

一方その頃ビデオ屋では、アルターエゴがどこを探しても見つからず朱鳶さんと共に途方に暮れていた。

「一体どこに行ったんだろう?」

「――もしかして無理やり脱出したとか」

「かもしれない――どうしよう!これ以上手がかりがないよ!」

 

 

その時だった、クレタが工房に訪れたのは――

 

「プロキシ!対ホロウ六課の柳ってねーちゃんがお前に連絡するようにって!」

「クレタ?どうしてあんたがここに?」

「ついさっき、六課の奴らが突然パールマンを連れてきやがったんだ。ブリンガーがヴィジョンの件と関わっている重要な証拠があるから、しばらくやつを預かってくれとさ」

すっかり、襲撃やらナナシの負傷やらでめちゃくちゃになっていたが、パールマンは社員食堂に追いやられながらもせっせと証拠を作っていたのだ。

 

 

そして、なんと証拠があるという話は本当で実際にヴィジョンとブリンガーの奴が繋がっている証拠が出てきたのだ。

「柳のねーちゃんは、うちらでまとめた証拠を特別なルートで治安局の監査官に送れってさ。当の六課の連中は、ブリンガーを追いかけてったみたいだぞ!連中は急いで出てって、あたしには通信用の周波数だけを指定したんだ。プロキシ、これで連絡を取ってみろ!」

クレタに言われた通りの周波数に調整して掛ける。すると、通信機の向こう側から柳さん の声が聞こえて来た。

 

「もしもし?プロキシさんですか!私たちはまだ演説会場にいます。白祇重工がブリンガーの罪状を監査官に引き渡してくれたので、彼は直ちに停職処分を受け、治安総局への出頭を命じられました」

つまり、証拠が正常に作動したのだ――これで一安心かと思った矢先。柳さんの言葉が続いた。

 

「ですが、ブリンガーはどうやらなりふり構わなくなったようで――彼の部下たちが故意に混乱を引き起こし、付近の車両を破損したうえで、そのまま現場から逃走しました」

その上、星見雅がいながらも完全に混乱に乗じ逃げ切ってしまったらしく行方不明ということになってしまった。

だが100%悪い状況になったというわけではない。

 

「ですが、ブリンガーの行方について、パールマンが重要な情報を明かしました。ブリンガーはポート・エルビスに向かった可能性があります!あそこは市街地の辺緑に位置し、ホロウに飲み込まれた貨物輸送用の古い埠頭があるんです!」

パールマンによれば、サラたちはかなり前からヴィジョン・コーポレーションの名義で、そこに多くの物資や特殊なエーテル物質を運び込んでいたそうで可能性が高いようだ。

 

 

その時、誰かからメールが送信される。そこには宛名だけ、こう書かれていた

『ポート・エルビスに向かう。アルターエゴより』

 




うーむ、これってもしかして一足早くポート・エルビスについたアルターエゴとサクリファイス・ブリンガーとの戦いが始まるのかな。
――いや、力を失ったアルターエゴが勝てるわけないじゃん!!それとも、やっちゃうのか!!アルターエゴが勝利するのか!一方的な蹂躙が始まるのか!!

次回・決戦!!ただの人間VSサクリファイス・ブリンガ―!!
待っててね!!

皆は閑話とか、IFの話とか読みたい?

  • 読みたーい!(特にヤンデレ)
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  • 読みたーい!(好感度測定器みたいなやつ)
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