アルターエゴ「これって、労災通ります?」
作者 「通りませんね、両腕がなくなろうが眼球が飛ぼうが頑張ってください」
アルターエゴ「ブラックだ!!」
一方、視点はアルターエゴへ戻る。
魔王サクリファイス・ブリンガーの降臨と同時にジェネシスによって放たれた『ノーザンインパクト』が解除されていた。
「ッ、危ない。両手を失い、お腹に穴が開いても頭突きで攻撃してくるって諦めが悪いというか――執念?狂気の類だね」
「避けるなよ――ッ、ぐあぅ。こちとら一撃一撃が命掛けなんだから」
痛みに耐えながら、とりあえず距離を取るべきかとクレーターを駆け上がる。
「それはそうだろうね――なら、もうトドメを刺してあげるよ『ソニックショット』」
「危ねぇ――二度通じるか!」
要するに超高密度な空気砲が指先から発射されるわけだが、別に視認性が悪いというわけではないし速度も別格に早いというわけではない。
(それよりも不気味なのはブリンガーだ。さっきからなぜ動かない?)
下を向いたまま制止しているのが、聖剣が抵抗しているのか、それとも――嫌な想像を膨らませるのみだった。
「どこに行くんだい?『ソニックショット』から逃げられるとでも」
「やってられねぇ!」
クレーターを開けあがる最中まるでマシンガンのように、ドンパチやってくるグランに思わず口から文句が零れる。
(ど、どうしよう――ていうか、意識が薄くなってきた。血が足りない、ていうかよく今走れてるな、火事場の馬鹿力ってやつ?効力長いな。もう切り札もないし、両腕がないのが一番きつい――)
だが、思い出してほしいグランは『ツール・ド・インフェルノ』の戦いでも動いている相手に一発も命中できていないのだ。
そんなエイムでクレーターを登っている最中とはいえ、近距離で弾丸を避けられる反射神経の持ち主に当たるはずもなくアルターエゴは脱出することができた。
「そうだった、こいつらも居るんだった――」
だが、クレーターを登ってきたアルターエゴが目にしたのは夥しい大群となった虫型のエーテリアスだった。
『%$%&#&$$#%&!』
「―――ふんっ!」
何とか一匹一匹踵落としで粉砕する。しかし、固い外骨格のような部位があるため一撃打つたびに傷口に文字通り響いてくる。
その時、クレーターの方向から声がかかる。
「うわぁ、まだ戦えるんだね。恐怖や呆れを通り越して尊敬しちゃうよ」
「嬉しくない尊敬だな――ノーコン野郎!」
何か地雷を踏んだのか青筋を立てこちらを睨むグラン。
「その軽口も変わらないみたいだ――なら、俺がさっさと引導を渡してあげるよ!」
「それは――腕輪?指輪型じゃないのか?」
視界が霞む中、やつの腕に何やら装着された。サラやモルスが使っていたものは別物であることに違和感が生まれた。
「ああ、指輪型は世代的には遅れてるんだ。時代は最適化さ」
続いて、足首にも同様の機会を取り付ける。中二病の少年がつけるような重りにそっくりだが只者ではないのは間違いないようだ。
「それが、最適化ってやつなのか?大きくなってるけど」
「なんでも小さくなればいいわけじゃないよ。――じゃあ、試そうか。なるべく、生きていると嬉しいよ」
腕輪のつけられた腕がこちらをまっすぐ向く。
それは、奴の“コマンド”と共に電子音がその後、続き放たれた。
「シュートコマンド01――『スピニングトランザム』」
「なっ――」
肉が裂けた。
鈍い衝撃の後、遅れて熱い痛みが腹部を焼く。視線を落とせば、そこにいは異様な光景が広がっていた。
開いた傷口から、クズリと何かが零れ落ちる。粘ついた臓物が、血と共に地面へ滑り落ちようとしていた。ぬるり、と温かい感触が視覚的に伝わってくる。まるで他人のもののように現実味がない。
「なんだ、この必殺技は――」
グランの手に空気の層が渦巻いたかと思えばそれが鋭利な姿でこちらに突進してきたのだ。
もちろん、普段のアルターエゴであれば回避は容易だっただろう。
しかし、現実は非常。既に振り絞った気力もクレーターを駆け上がるときに使い切ってしまったのだ。
「心臓を打ち抜いたつもりだったのに、寸前で回避されるとはね。しかも、まだ立ってる」
「はぁ――ッ、ぁぁ」
「だけど、もう限界みたいだ――今度こそ引導を渡すよ。シュートコマッ――」
「ああぁぁぁっ!」
言葉が止まる。それは、アルターエゴが最後のあがきと言わんばかりに頭突きをグランにぶつけたからだ。
(――見えた、勝利の鍵)
腸から出しちゃいけないものを出しながらも、アルターエゴは勝利への糸を手繰りよせていた。
それは、先ほどの必殺技発射のタイミング。コマンドを喋った後、数秒の溜めがあった子に気づいたのだ。
「ぐっ、シュートコマンド01――「ここだぁ!」『スピニングトランザム』」
再度、こちらに腕の先を向けるグランに対し、溜めの時間の間に突撃――発射する先を決める腕輪の向きはあらぬ方向へと行き空中で霧散した。
プチッ
(――糸が切れる音。そうか、俺は倒れてるのか)
「立つ気力も失ったみたいだ、本当に手こずらせてくれたよ」
グランが倒れたアルターエゴの頭に腕輪の先を向ける。そもそも、両手を失ったアルターエゴがうつ伏せで倒れた時点でもはや起き上がれるはずもない。
加えて、ここにはうじゃうじゃエーテリアスもいるほっといてもアルターエゴは死ぬ。そんな彼に対して自ら手を下すというグランの行為は最大限の尊敬を示す方法だった。
それが、仇となるとも知らずに――
「シュートコマンド01――『スピニングトランザム』」
手に渦巻く空気の層が、鋭い刃となって襲い掛かる。
頭に直撃し、脳をまき散らし、引導を渡すはずだったその一撃は――
「すまない、遅くなった」
現代の虚狩りによって拒否されることになった。すぐに、追撃の二連撃がグランを襲うも無理はしない主義なのかすぐにバックステップで回避する。
「いや、ナイスタイミング。流石、虚狩りだね」
「大丈夫――ではないな。安心しろ、すぐ応援が来る」
仰向けのため、声しか聞こえないが、ホッと地獄に旅立ちそうなくらい安心していたアルターエゴ。よく耳を澄ませば、聞き覚えのある声が近づいてきている。
「アルターエゴ!――だ、大丈夫、なわけないよね。ど、どうしよう――これ、どうしよう!!」
リンの声がしたので首だけ動かしてみると、慌ててオロオロしているイアスがいた。
「――ダイジョウブダヨ。ちょっと、腸が出てたり両腕がなかったりお腹に大穴開けられてるだけだよ」
「大丈夫じゃないよ!」
安心させようと思ったがどうやら失敗したらしい。だが、このまま倒れているわけにはいかない何とか足で反動をつけアルターエゴはその場で立ち上がった。
「あ、出てきた」
しかし、そのせいかお腹にぎりぎり収まっていたおそらく大腸がもろ出てきてしまっていた。いざ、体の外に出してみると重力を強く感じるようになり不快感はさらに増す。
「な、何それ!――一体どうなってるの。あ、やばい――アレどこですか、アレ――おろろろろ!」
外に出ている腸を見たからなのか、それともなくなった両腕を見たからなのか、もしやお腹に空いている穴を見たのか、それら全部なのかわからないが俺を見てすぐ吐く悠真。
「痛くないんですか?――だいぶ大惨事ですけど」
「寿命が近づいているせいか、痛みが薄くなってるんだよ」
とにかく蒼角には見せてはいけないと柳さんの後ろに隠れながら談笑する二人。
しかし、蒼角は柳さんの横を通ってアルターエゴの大惨事を目撃してしまった。
「あ、そ、蒼角――いや、その~と、特殊メイク?」
「――ねぇ、そのケガ誰にやられたの?」
「え、ブリンガーというか、あそこにいる奴というか、自分からというか――」
主にブリンガーからではなく、グランによってやられたものどころか自分で突っ込んでいったものすらあるのだが、普段の天真爛漫な蒼角とは違い真剣な眼と態度で接する彼女に思わず背筋が伸びる。
(背筋ほとんど破壊されてるけどね――)
「じゃあ、蒼角が倒してあげる!待ってね!」
素直に答えると天真爛漫な彼女に戻り、武器である鋼鉄の刃旗を担ぎグランのもとへ向かう。
「課長、ブリンガーはお願いしますね」
「ああ、承知した。アルターエゴよ。我らは今到着した故に何が起きたのか全て知っているわけではない。だが、お前が命を懸け何かをなそうとし、実際に何かをなしたことは理解した。――あとは、我らに任せろ。すぐ、運び屋がお前を助けに来るそれまで、生きるのを諦めるな」
「そうさせてもらうよ。そうだ、柳さん。グランは確認した限り空気の鋭利な層で攻撃してくる。シュートコマンド01が合図だ、だけど飛んでくるまでに約一秒くらい溜がいる。チャンスはそこかもしれない――でも、他の必殺技にも注意して」
アルターエゴは柳さんたちにグランの情報を伝え、その場を離脱しようとしたその時――眼前にあの虫型のエーテリアスが刃を向けてきていた。
「やばっ――」
だが、その危機は一瞬で払われる。
「『マジン・ザ・ハンド改』」
聞き覚えのある必殺技と共に黄金のマジンの拳がエーテリアスを粉々に粉砕する。
「諸突猛進、お届けだぜ!」
「シーザー!それに、この必殺技は――」
バイクと共に現れたシーザー。そして、彼女が届けてきた荷物は――
「よかった、間に合ったみたいで――アルターエゴ」
軽やかな着地を見せ、降り立つナナシ。すぐにアルターエゴのもとへ駆け寄るが彼の反応は予想とは異なるものだった。
「どうして来たんだ!――わかってるだろ、今は安静にしておくべきだ!」
「お前がそれを言うのか――ごめん、アルターエゴ。でも、一緒にやりたいことがたくさんあるんだ――必殺技もまだ教えてもらってないのあるし、だから生きよう?」
「――そっか、それが“ナナシ”の選択なら止めないよ」
同じ姿の者同士、頷き合う。そして、ナナシがアルターエゴの胸に手を置いた次の瞬間、彼の体は光となりナナシの体に吸収された。
『記憶共有完了』
犬死なんて物騒なワードもあったが、死に物狂いで俺のために戦ってくれたアルターエゴに感謝を伝える。
「頑張ったんだね、アルターエゴ――」
「ナナシ!よかった、意識戻ったんだね!お兄ちゃんから聞いてたけど、無理はダメだから!――アルターエゴはどうなったの?」
「リンこそ無事でよかった――イアスもね。アルターエゴは俺の体に戻ったんだ――限界みたいだからしばらく喋れないと思うけど、でもかなりブリンガーを追い詰めてくれたみたいだ」
聖剣は揃えられたとはいえ、アルターエゴの記憶によれば暴走状態。しかも、全て完全な聖剣というわけじゃない――勝ち目はある。
「お、おいナナシ。お前の兄貴は一体どうなっちまったんだ?」
「―――瞬間移動を習得してたみたいでどこかに行っちゃった。でも、大丈夫――そうだ、シーザーに『お守りありがとう』って伝言は聞いてるよ」
一瞬、何事かと思ったがそういえば双子って設定だったなと思い出し適当な嘘をついて誤魔化した。
(まあ、瞬間的に俺の中に移動した――嘘じゃないね)
「そうか、ならよかったぜ!――って、アイツは!」
急に驚くものだから何だとシーザーの見ていた先に視線を向けるとそこには棒立ちのグランがいた。
「ナナシ、オレ様はあっちに借りを返しに行ってくる。あのデケェのは任せたぜ!」
「ああ、任された。覇者!!」
そして、ブリンガーとの決着をつけるために星見雅の隣に並び立つ。
「共闘は、あの時ホロウに落ちた以来か――」
「ああ、腹の傷は大丈夫か?」
「もちろん、大丈夫――ほら」
服をかき上げ、治った刀傷の跡を見せる。
その刀傷を撫でながら星見雅は次のようにつぶやいた。
「跡が残ったな――安心しろ、責任は取る」
「せ、責任!?別にいいよ、治ったし――それに星見さんが責任を感じるような事じゃないさ、悪いのはその刀の暴走なんだから」
早速、ブリンガー討伐に向かおうとするも何故か星見さんの方が動かず顔を膨らませて睨んできている。
「待て、星見さんではなく私のことは雅と呼べ」
「え、雅さん」
そう呼ぶと今度は動き出したもののものすごく顔が近くまで接近している。ちなみに身長差は彼女の圧倒的パワーによって無理やり腰を曲げさせることによって解決している。
「雅だ、そう呼べ。星見家の人間は、同じ過ちを三度繰り返さないのだぞ」
「俺は星見家の人間じゃないんだけど――雅?」
すると、彼女は“笑顔”を見せ足早にブリンガーがいるクレーターの方まで向かう。
「では、行くぞ――!」
「うん、最期の戦いだ!!」
決戦のゴングが今、鳴り響いた。
さて、皆さんも違和感に感じてると思いますがこの章に陣営の全員集合はありません。理由もちゃんとあるのです!!
あーあ、それにしても総合評価500行ったから少しサボってもいいかなって思ったらすぐ400代に落ちちゃったよ。
書けってことですかねぇ――?
皆は閑話とか、IFの話とか読みたい?
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読みたーい!(特にヤンデレ)
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読みたーい!(ラブラブ!)
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読みたーい!(好感度測定器みたいなやつ)
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いや、読みたいのは本編だ!遅れてんぞ!
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作者さんの自由で!
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こんなアンケートする前に書け