ゼンレスゾーンゼロ ・ 聖剣   作:うどん米

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主人公がザオリクかけたくらいで蘇られる主人公だったらこんなシリアス書かずに済むのに――
殺したの俺か!!


第79話・見える光明

 

 

聖剣使いライの捜索を開始して気づけば一週間も経過していた。

「リン、シーザーからは?」

 

しかし、リンは首を横に振る。

「手がかりはまだ掴めないみたい――まるで、パールマンを探している時みたいだよ」

現在は、『ツール・ド・インフェルノ』の義理を果たすという名目でシーザーがカリュドーンの子を動かしてライが逃げたとされる郊外の捜索を行ってもらっている。

一応だが都市部の方は、雅さんのお父さんに助力を頼んで様々な伝手や朱鳶さんたちにもひそかに協力してもらいながら捜索してもらっている。

 

 

郊外に逃げたところも同じだが、消息不明になるのも同様なのはかなりマズい。

 

 

「まさか、郊外のプロのカリュドーンの子でも見つけられないなんて――」

「うん、シーザーの話によると行方不明者とかも出てないみたいで本当に尻尾が全くつかめないみたい」

焦りは焦燥へと進化し、疲れが溜まっているのも気にせず情報を収集する。

かつて、ライが務めていたパンケーキ屋にも足を運んだが手に入った情報は、彼女はナナシが来店すると真っ先に注文を取りに行くこと、彼が一人で来たときは談笑すらしている時がある――程度だった。

 

 

だが、ここまで尻尾を掴めない状況はアキラの違和感を掘り起こすには十分なものだった。

「だけど、僕はこの状況自体が引っかかるんだ」

「引っかかる、って――どこが?」

「僕が思うに――いくら郊外が広くて人もまばらとはいえ、人間がそこに住もうとしたら、他人との接触は避けられない。現状、新エリー都の捜索は雅さんのお父さん、それに朱鳶さん、青衣も力を貸してくれている。郊外は、シーザー達だ。本来なら時間が経つにつれて、色々な情報が出てくるはずだ」

だが、それ自体もおかしな話だ。それではまるでライが都市部でも郊外にもいない以外で説明がつかない。

人目につかないだけなら、雅さんクラスの能力を持っている彼女には造作もない。しかし、ゼロにはできないのだ。

 

 

「あ、もしかして!!」

「ああ、僕はライがホロウにいると思ってる」

「で、でもそんなに長くホロウにいたら浸食されてエーテリアスに――そっか!!」

普段から浸食が深刻になるほどホロウに潜らないため、ナナシを含めた聖剣使い達の特異性についてすっかり忘れていた。

聖剣使いはそもそも浸食されないのだ。雅さんにお腹に刀を差しこまれたり、聖剣を他人に奪わるなどの例外はあれど、今回は関係がない。

 

 

「聖剣使いはホロウの浸食を受けないから、長期滞在も問題ない――今日の朝、思い出したんだけどね」

「私もすっかり忘れてたよ――と、とにかくシーザーに連絡しよう!」

電話をかけ、数コールで向こうにつながる。

 

 

「――プロキシか。朝に報告はしといたはずだぜ、何かあったのか?」

「シーザー!実は、ライはホロウにいるかもしれないの――」

リンは、シーザーに伝えていなかった聖剣使い達の特性について説明した。

 

「なるほどな、わかったぜ。オレ様たちもちょうど郊外で探すとこがなくなっちまって頭抱えてたところだったんだ」

「ありがとう、シーザー。たくさん力を貸してもらって」

「――その感謝はまだ受け取れねえ、オレ様は目の前でナナシが殺されていくのをタダ見ていることしかできなかったんだ!あいつの仇を取ったら、それは受け取らせてもらうぜ」

「シーザー、あまり根を詰めすぎないように注意するんだ。――僕たちが言えることじゃないけどね」

シーザーはただでさえ『ツール・ド・インフェルノ』の決戦でグランによって左腕が吹き飛ばされたこと、その仇を討てなかったこと、目の前で殺されるのをただ見ていることしかできなかったこと――まさかの、スリーアウト状態なのだ。

 

 

「ああ、感謝するぜ――けどな、アキラそいつはオレ様には無理な話だ。それよりも、もしホロウの中を探索するって言うなら今までとは話が変わる、流石に郊外にあるホロウを全部調べんのは無理だ」

「問題はそこだね――エーテル適応体質じゃないとそもそも入れないし、キャロットがないと迷っちゃうし――待って」

そう、ただ広い郊外の荒野を走り回るだけならバイクを乗れれば最悪誰でもできる。しかし、ホロウ内はそうはいかない――星見雅ですらプロキシがいなければ座して待つのみなのだ。

そうやって、思案している時にリンはある疑問にたどり着いた。

 

 

「どうしたんだい、リン?」

「ねぇ、シーザー。郊外にたくさんあるホロウのマップってある?」

「お、おう?あるにはあるぜ、運び屋してる途中にホロウで道が塞がれてましたなんてなってたら笑えねぇからな」

送信されてきた地図を確認、すると手早く拡大印刷を開始するリン。

 

「リン、何をするつもりなんだ?」

「ナナシって、推理とか考察がものすごく得意だったでしょ――それで、一度聞いてみたんだ、どうやって考えてるのって」

 

『観察とか、わかりやすいのだったら――例えば、ありきたりだけど“全ての不可能を除外して最後に残ったものが如何に奇妙なことであってもそれが真実となる”ってのを大切にしてる。――あとは、様々な現象の因果関係とかかなぁ――』

 

リンはもらった地図にペンでホロウのある位置に印をつける。

「――リンこれになんの意味があるんだい?」

「これは、不可能を除外した地図だよ!意味があるかないかは郊外に行かないと――お兄ちゃん行くよ!あ、携帯式のデバイスも持っていこう!」

 

シーザーに向かうと連絡した後、二人とイアスで社用車に乗り込み郊外へ出発した。

 

 

しばらくして、郊外のブレイズウッドにて――

 

「よぉ、プロキシ!それで、用件はなんだ?何か調べたいことがあるって言ってたけどよ」

到着と同時に現れるシーザー。いつもの元気溌剌な彼女に変わりはないが、その目の下には黒い隈が刻み込まれていた。

「シーザー大丈夫?なんだか、すごく疲れてるように見えるんだけど」

「おう!オレ様が疲れるわけねぇだろ!――ほら、さっさと話進めようぜ」

「シーザー、休んで」

短くも、真剣な一言がシーザーに本当のことを言えと圧をかける。

 

 

「――わかった、わかった。これが終わったら、少し休むことにするぜ――だから、今は話を聞かせてくれ」

「うん、これを見て」

リンが広げた郊外の地図には、黒点――その中でも、街になるべく近く。なおかつ、食糧を販売している店の近くのホロウに振られていた。

 

「シーザー達のおかげでライが郊外にいるって可能性は完全になくなったの」

「ああ、それであいつがホロウにいるって話になったんだろ?」

シーザー達の人海ローラー戦術によって郊外の土地は文字通り草の根分けてでも探索された。

 

「うん、でも流石に全てのホロウを探索していたらその間に逃げられちゃう可能性もあるし、何よりホロウに入って犠牲者が出たら目も当てられないからね」

「ああ、そこも考えねぇとな――カリュドーンの子に所属してるやつらが全員、エーテル適応体質ってわけじゃないからな」

「だからこそ、探索するホロウは絞らなくちゃいけないと思ってるの」

すると、リンは自身が印をつけたホロウを指さしていく。

 

「ここに付けられた印のホロウは全部街の近くでアクセスも悪くない、それにこの星型のマークになってる所はホロウが連立してるの」

「それで、リンは何が言いたいんだい?」

「私が言いたいのは、ライは必ず食料を補給しに行かなくちゃいけないタイミングがあるってこと」

 

 

アキラは納得したようにうなずいた。

「――そうか、空腹だね」

「うん、聖剣使いは特にたくさん食べないとナナシみたいにすぐエネルギー切れを起こして倒れちゃうからね――必ず、食糧を求めてホロウを出てくるタイミングはあると思うしね」

そもそもナナシが初めて会った時に倒れたのも、デュラハン討伐後に力尽きた原因は栄養失調であり、その法則はライにも当てはまるだろう。

 

“不可能”を潰していく。たとえ、郊外のホロウが無数にあるとしても町の近辺にあるホロウは多くない。

「シーザー!郊外の町で大規模な食糧の窃盗事件が起きてるか調べてほしい――その近くのホロウにライは潜んでるよ!」

 

加えて、今まさにローラー作戦実行中の最中堂々と日の目に出て買い物なんてできるはずがないのだ。

ナナシとは状況が違うが、雅さんと同等の身体能力を持つ彼女ならば窃盗を行って誰にも見られずホロウに帰還するなんて朝飯前だろう。

 

だが、そこに待ったを入れるアキラ。

「待ってくれ、リン。たとえ、僕たちがたまたま彼女のいるホロウを見つけたとしよう――だとしても、彼女に動き回られたら僕たちは見つけるなんて不可能だ」

「うん、それは私も思ってたんだ。けどさ、相手はホロウの壁を壊せるんだよ?多分聖剣の能力だと思うけど、迷路の壁を壊してくるような相手が私たち相手に逃げるかな?」

「リンはオレ様たちが舐められてる――って言いたいんだな」

リンは深く頷く。悔しいが、現状で彼らがライを見つけるには相当に相手がこちらを侮っている、もしくは脅威と感じていないこのどちらかしかない。

 

 

「でも、相手もわかってると思うんだよね」

「未来予視の能力か、オレ様もあの剣戟を見るまではハッタリか何かだと思ってたぜ――だけどよあれを見ちまったら、マジに未来を見てやってんのかって思っちまった」

常人の目には剣の軌跡しか目で追えないほどの光速剣のぶつかり合い。正直、星見雅が敗北するところなんてありえないとすら思い、目を疑った。

 

 

「その未来予視の範囲がどこまでかわからない分、私たちができることは居場所を絞り込んで総力戦を仕掛けることだと思うの」

「――そうだな、よし!オレ様たちがいっちょ探してくるぜ――任せな!!」

「シーザーは休んで!」

拳を鳴らし、すぐさま準備を整えるシーザーを止める二人。

 

「僕たちも探索を手伝おう」

「うん!ホロウの案内なら十八番だよ!だから、シーザーは絶対に動いちゃダメ!わかった!」

普段とは違う語彙の強さに押されるシーザー。彼女は渋々という形であるが首を縦に振った。

 

 

と、捜索はホロウの内部に絞られ探索が始まった。

初日は何も見つからず、ホロウをぐるぐるしているだけで終わったがその翌日、エーテル適応体質ではないグループが情報を掴んできていた。

 

 

「え、ルーシーそれ本当!?お兄ちゃん、大規模な食糧の盗難が見つかったみたい」

「それだけじゃないですわ。――それ以外にも、その近辺では最近電子機器の故障が多発しているみたいですのよ」

 

エレキトラップによってイアスの視覚モジュールが故障したことを思い出していた。

「そういえば、ライの電撃でイアスの一部が故障してたんだよね――そっか、ありがとうルーシー!!そうだ、シーザーは?まだ、今日会ってないんだけど」

「―――あのバカは今頃ベッドの上ですの。昨日、過労で倒れてそのままですわ」

「シーザーが!?」

昨日も会った時、相当にやつれていたし――だからこそ、休んでほしいと何度も伝えていたはずだ。その報告は二人の目を丸くするには十分だった。

 

 

「安心してくださいまし、倒れただけですわ。あのバカのことだから、すぐ目を覚ますはずですわ」

「うん、だけどすぐ動き出さないように見張っておいて」

「ええ、言われるまでもありませんわ。私もそろそろ捜索に戻りますわ――」

そう言い残し、ルーシーは再びホロウ探索へ向かった。

 

 

(ルーシーも隈が深くなってる――たどり着きそうな気配はするけど、その前にこっちが倒れちゃうかも)

だが、今の二人にできるのは何度も何度もめぼしいホロウに入ることだけ――絞り込まれたとはいえ、仮説が間違っていれば全部終わりという状況。

 

だが、事態は好転を迎えることになる。

 

 

ライがアジトとしているホロウが発見されたのだ。

 




さて、次回ライとの戦いですね。ここで勝ってくれたら、すごく楽なんですけど――

これは、完全に余談ですが聖剣オーガが複数の形態に変化して戦うのは崩壊3rdに登場した第三の神の鍵である、裁決の鍵”浄罪七雷”という武器が、開発の段階で七つの形態が確認されたってところから取っています。

皆は閑話とか、IFの話とか読みたい?

  • 読みたーい!(特にヤンデレ)
  • 読みたーい!(ラブラブ!)
  • 読みたーい!(好感度測定器みたいなやつ)
  • いや、読みたいのは本編だ!遅れてんぞ!
  • 作者さんの自由で!
  • こんなアンケートする前に書け
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