ゼンレスゾーンゼロ ・ 聖剣   作:うどん米

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イラつくぅ!!マジで、ティーフェ博士がうざい!嫌い!大っ嫌い!!ナイス、アポロ!!
ちなみに、作者はティーフェ博士が嫌いすぎて(自分で生み出したくせに)この話のタイトルはティーフェ博士完全無視です。


第86話・女王降臨

 

 

ロングソードを振りかぶる、ティーフェ博士。その、刀身には黄金の波動が渦巻いていた。

 

「手始めはこれで、楽しませてくれよクソガキ『クロスドライブ』」

十文字に空中を切り裂いたかと思えば、その部分に先ほどまでのエネルギーの刃が真っすぐこちらに進んできていた。

 

「ッ――『デスソード!』」

それに対し、アポロは冷静に横にスライドし回避。背後の壁を傷つけるのみに終わった。

上体を動かさずそのまま短剣から『デスソード』を放つ、しかし伸びた闇のビームはかすりもせず避けられる。

 

(この距離じゃ埒が明かないか。接近するしかない)

 

「『マッハウィンド』」

疾風の如きスピードで接近するアポロ。しかし先ほどまで、警備兵をなぎ倒してきたその必殺技はティーフェ博士には既に見切られていた。

 

右手に握られたジ・アースをまるで弓のように引き必殺技を放つ体制に入る。そして、今にも攻撃を仕掛けようとしたタイミングで聖剣が光り出す。

 

「――その必殺技はもう見たよ!『パラディンストライク!』」

「なっ」

その瞬間、目にもとまらぬ刺突が炸裂しアポロの左肩を貫く。それはまるで槍のような鋭さで貫通した後、背後の壁に軽いクレーターを作るほどだった。

 

 

痛みに苦しむアポロを見てほくそ笑むティーフェ博士。更なる追撃のためにと聖剣に力を込める、すると太陽の如き輝きを放出しそのまま振り切った。

「これで済むと思ったのかい?『ガラティーン!』」

 

眼前に迫る、刃。肩を貫かれ動揺していたアポロに回避するすべはない。

「『マッ――間に合わな――」

「じょっき~ん!!」

 

何の抵抗もなく、アポロの左腕を切り裂いた。断面は、やけどの痕のように爛れ血の一滴も出なかったが神経を焼く痛みが彼を襲った。

 

「うぐぅあぁぁぁ」

「あはは!じゅ~じゅ~お肉の焼く音が聞こえるなぁ~いや、君の妹のおかげでこんないい音が聞こえるなんて――最高!!だ、け、ど――」

一人恍惚に浸る、ティーフェ博士。しかし、すぐさまその表情に陰りが見える。どうやら、聖剣に何か不満があるようで裏表、柄や刀身などを見ながら資料などと照らし合わせて何かを確認している。

 

 

「おかしい――本来であれば、君をとっくに殺せるくらいの威力はあるんだけど、これじゃ人工聖剣と変わらないな。まあ、いいや――最初はこんなものだよね」

「ッ、痛い――」

一方、片腕を失ったアポロは痛みに耐えながらなんとか突破口を探ろうとしていた。

 

(冷静になれ、まず相手の必殺技は聖剣由来、手から足から出てるわけじゃない。なら、矛先さえ見れば一度、回避――少なくとも致命傷を回避して、一撃加えることができるかもしれない)

 

だが、それにも問題がある。俺の必殺技も聖剣由来であることに変わりはない、つまり相手と同様矛先さえ見れば回避は案外容易なのだ。

 

(単純な接近戦には相手は持ち込ませてくれない――どうしても、子供と大人の相手じゃ体重差も出る。やめておいた方がいい)

 

「痛い?痛いだろ?でも、さ?こんな程度で、僕を殺すなんてよく言えたよね――それに、豚に真珠?どっちのセリフだよ――君にその聖剣はもったいないんじゃないのかい?」

「黙ってろ、そのよく回る口をさっさと塞ぎに行ってやるから」

ティーフェ博士の思惑とは異なり、アポロの目は死んでおらず瞳の奥にはギラギラと燃え滾る覚悟が見えていた。

 

 

「ちっ、本当に生意気なクソガキだな。これだから、母親に捨てられるんだ?――大体さ、どうして研究所を襲うのさ?たかが妹が連れてかれただけだろ?」

「は?」

「だってさ、君たちは社会から見ればいても居なくても変わらない存在なわけだろ?そこを、僕たちが有効的に活用してやってるわけだよ――しかもさ、わざわざプラントなんて作って養ってあげてるんだ。どうして、僕たちが悪いみたいになってるんだよ」

 

「――何を、言っているんだ?」

怒りでどうにかなりそうだった。ただ、脳みそが目の前の存在を認識することを拒んだため呆然とするだけだった。

(というか、こいつどれだけの罪のない人々を――)

 

「はぁ、これだから理解力のないゴミは。わかる?牛とか豚とかの家畜は結局は食べたりなんなり有効的に使うために育ててるんだ。それを、僕たちは人間でやっただけ――僕たちが金を出して、人を出したんだ。そうやって、育てた人間の魂を奪ったり人身売買に流したり、臓器を売ったりして何が悪い?」

「――はぁ」

ティーフェ博士のお得意の演説に対し、アポロがとった行動はため息だった。

 

「あ?」

「もういい、うるさい。俺はお前のことを理解できないってことしかわからない。さっさとぶっ殺す」

「殺すぅ?片腕がないくせに何強がってんだよ――君が、今するべきは命乞いだよ!い・の・ち・ご・い!!」

無視。もはやこの外道に付き合ってやる意味はない、無視によってティーフェ博士が耳障りな奇声を発しているがもはや、文面に出すのすら億劫だ。

先ほどまで、確かにアポロの頭に血が上っていた、しかし一周回って冷静になっていたのだ。

 

 

それによって、修行中の姫子先生とのとある会話を思い出していた。

『アポロ、相手も武器を持っていた時重要視すべきはどこかしら?』

『え?そりゃあ、武器じゃないんですか?』

例えば拳銃を持っていれば、その銃口の先。剣を持っていれば、構え方。拳や技であれば、その間合い。注目する場所は変われど、結局は武器なのではないかとアポロは考えたのだ。

 

『そうね、半分正解よ。だけど、それは相手が素人の場合よ――今、私は銃を構えてるわ。かかってきなさい』

『?それ、ゴム弾ですよね?』

首を傾げ、疑問に思いながら真っすぐ進むアポロ。目線は右手に握られた銃口の前――トリガーに注がれていた。引かれた瞬間、体をずらし接近しようと考えたのだ。

 

パンッ

 

予想通りの発射、左半身を狙ったものだったため、当然右にスライド――した瞬間、姫子先生の蹴りがアポロの頬に突き刺さり体は宙を舞った。

 

『――痛い』

軽く腫れた頬を抑えながら立ち上がるアポロ。

 

『避けられなかったわね――何でかしら?』

『銃に、集中してたから?』

『そうね、あんたは無意識に銃を持ってたら銃しか使ってこないと錯覚してる。それが、執着よ――』

『執着?』

『依存してるってことよ、無意識に自分も相手もその得物を拠り所にしているのよ』

 

 

そんな、会話。少し戦った程度だがわかった、奴は確実に聖剣ジ・アースを拠り所にしている。俺が近づいたら、剣を振る――それで、先ほどは対応できた、だからこそその執着はより強まっている。

 

(慢心、剣の振り方も素人――振るった後、剣に体重を乗せすぎて重心が前のめりになっている。研究職の人間が剣術家ってのもおかしな話か)

 

片腕は失った。しかし、それを代償に勝利への道は見えた。聖剣を手放し、代わりに煙幕弾のピンを口で引き抜く。

(本当は拳銃の方がいいけど、下手なんだよな)

「な、爆弾!?」

 

(1.2.3.――今!)

ちょうど爆発する寸前にティーフェ博士の元に行くか行かない辺りで煙を噴き出す。ここは外ではなく、密閉空間煙はそう簡単に晴れはしない。

 

(何より、あの聖剣は煙の中でもよく目立つ!)

 

「は、早く換気システムを!」

足元に落とした聖剣をさっと拾い、剣先を奴に構える。

 

「『デスソード』」

闇の軌跡は煙を突き破りながら真っすぐ聖剣の光がある方へ進んでいく。

 

「いたぁぁぁぁ!ご、ごの!!ゴミぐずぅが!!!」

『換気システム起動します』

 

(起動されたか――まあ、左肩は貫いたし十分か)

換気システム作動によって晴れていく煙幕。晴れた先には、アポロの笑顔を晴れ晴れとさせる光景が広がっていた。デスソードは、煙を突っ切った後どうなったかはよく見えなかったが、ティーフェ博士の左肩を貫き、流血させている。

 

「お相子だな――次は、その減らず口だ」

「黙れ!!お前のような、家畜とこの僕が!!同列なワケないだろ!!」

返事はなし、さっさと無視し次の工程のために今度は手榴弾を取り出し、口でピンを抜きまた爆破ギリギリまで待ってから投擲する。

 

 

「こんなもの弾いてやる!『クロスドライブ』」

十文字に空中を切り裂き、その余波が斬撃となって襲い掛かる。だが、そう思惑通りにはいかずギリギリまで引き付けた手榴弾は爆裂、その金属の破片を周囲にまき散らした。

 

「『マッハウィンド』」

アポロは爆発を知っていたので事前に、風の障壁を作ることで自身は多少かすり傷がつくくらいで済んだ。

しかし、クロスドライブしか撃たず防御姿勢も取っていなかったティーフェ博士はかすり傷どころではなく至る所から流血し、今にも倒れそうだった。

 

(――てっきりこれで終わらせられると思ったんだけど、左腕も治療したい。次で終わらせよう)

 

屋内での手榴弾活用なんて正気じゃない。聖剣がなければ、俺も使うことはない――だからこそ、もうするつもりはなかった。

煙幕弾も、換気状態のこの部屋ではほぼ効果はないだろう。

閃光弾もこちらが攻撃に移れないから意味なし。

 

「お、まえ!!もう殺す!絶対殺す!手足全部裂いて、体中の臓器を潰してからその気に入らねぇ面、何度も潰して謝らせてから殺してやるよぉ!!」

「はぁ――本当にうるさい」

アポロは肩を落としながら、二振りの聖剣を回収片方は口に咥え、もう片方を右手で握る。

 

「『マッハウィンド』」

加速、疾風の如きスピード。先ほどは、完全に見切られパラディンストライクを打ち込まれ結果的に左腕を持ってかれたものと同じ行動だ。

 

(やっぱり、ただのクソガキだ!本当に、バカだ!左腕が飛んでも学習しないなんて――これだから――)

 

と意気揚々なティーフェ博士。先ほどと同じく弓のように右腕を引く。

「『パラディンストライク!』」

槍のような矛先から放たれる目にもとまらぬ刺突、それは本来であればアポロの心臓を穿たんと放たれたものだ。

 

 

「あ――?」

しかし、それは起こらない。なぜなら、ティーフェ博士の態勢が崩れその一撃は虚空を貫く結果となったからだ。

何が起きたか、すぐに理解できた――アポロが持っていた聖剣をティーフェ博士の足目掛けて投擲したのだ。

 

執着――しすぎたな『デスソード』」

寸前に迫るアポロ。その手には、口元から取り出した黒い聖剣が握られていた。視線が交差する、ジ・アースを振るおうとするも間に合うはずはない。そのまま、黒い剣はティーフェ博士の右腕を切断した。

飛んでいく、右腕は聖剣と共に手榴弾によって生まれたクレーターにぽとっと落ちていく。

 

「痛い、痛い痛いぃぃぃ!!どうして、こんな酷いことができるんだ!!」

こいつから一番発せられてはいけない、言い訳に耳が劈くのを感じるがともかく無言で近づく、その表情は十三歳の子供がするようなものではなく一種の修羅のようであった。

「―――」

「なんだ、なんなんだよぉ!!」

 

アポロの手には先ほどまでデスソードを放っていた聖剣ではなくマッハウィンドの聖剣が握られていた。

 

「――なあ、あんた頭いいんだろ?だったら、教えてくれよ――この聖剣は風を起こせるわけだ、俺も高速移動できるくらいのね。もし、これをお前の近くで起こしたらどうなると思う?」

視界の端で聖剣をちらつかせながら、説明すると一瞬で合点がいったのかティーフェ博士は必死に命乞いを開始する。

 

「ッ!!やめろ、やめてくれ――そんなこと、しちゃいけない!お前らみたいなゴミカスは、石をひっくり返せば出てくる虫のようにたくさんいる――だが、僕は違う!!この世界を変えられる!思いのままにできる才能があるんだよ!!」

「そう、どうやら回答はなしか――その程度の才能ならここで消し去っていいかな」

アポロの問いかけには何も答えず、命乞い。その上、その命乞いすら今の状況をわきまえていないことに頭が痛くなる。

 

 

「待って、待ってぇ!!そ、そうだ何が欲しい!!僕の権限があれば、大体何でも手に入る!き、気が収まらないならここにいる警備員をみんな殺してくれたって構わない!だから、僕だけは助けてくれ!」

「――助けてくれ?何を言っているんだ」

ギロッと強く、アポロは博士を睨みつける。つらつら述べる、命乞いだけじゃなく自分だけは助けてくれという姿勢にどうにかなりそうだった。

 

だから――もう終わらせる。

 

 

「そんな、美味しい話があると思うのか?」

「ひぃっ!」

 

 

「お前のような人間にィッ!!」

 

 

「うがぁぁぁぁぁ!!」

 

叫び。それと同時に、手に持っていた聖剣に宿る必殺技『マッハウィンド』が発動する。それも、ティーフェ博士の目の前で――鋭利な風は彼の皮膚を切り刻み、さらに奥へ、奥へと残酷に傷を増やしていく。

 

「ひゅー!!」

声帯はとっくに切り裂いた、空回りする空気の音が聞こえるのみだ。まるで、シュレッターに掛けられるように切り刻まれたティーフェ博士の命はここに消えた。

 

 

全てが終わった後、アポロはその場で膝をつく。

 

「――おえぇぇ」

自分がしたことではある。だが、それでも耐えられずアポロはその場で嘔吐する。だが、一度目よりかはマシだった。いや、マシなだけだ――慣れることはない。

 

(きっと、殺すたびにこうやって吐き続けるのかもな)

 

アポロはその場で立ち上がり、サクラの元に駆けよる。相変わらずの凄惨な状態で目をそらしたくなったが、ティーフェ博士を倒したからか幾分か安らかな表情に見えた。

 

「――終わったよ」

 

(本当に、サクラを救う方法はないのかな――いや、待てよここがアイツの工房なら何か資料があるんじゃないのか?)

 

 

 

だが、お目当ての物は見つからない。あったのは、聖剣ジ・アースが何から作られてるだとか、昔に存在していた“崩壊”と呼ばれる現象など使い物にならない情報しかなく途方に暮れていた。

 

「仕方ない、姫子先生の所に行こう。こんなところさっさと脱出しないと――?」

踵を返したその時、アポロの目に映ったのはティーフェ博士が使っていたロングソード、すなわち聖剣ジ・アース。

 

(そういえば、サクラの魂がここにあるならこれも回収しないと)

 

ティーフェ博士の手を離し、剣の柄を握る。――いや、握ってしまった。

 

『許せない、許さない。憎い、私を切り刻んだ科学者も、私を連れ去った警備員も、私を守ってくれなかったお兄ちゃんも全部、全部憎い!!』

(さ、くら?)

確かに、聖剣から聞こえたその声は――

 

 

 

 

「『今こそ、終焉の時』」

アポロの意識は完全に、闇に消えた。

 




あ、不味い。非常にまずいですね。
崩壊3rdをやっている人たちならもうなんとなくこの先に何が起こるのか察してるんじゃないですかね?
アンケートのおかげでネタバレしている人たちが少なくて嬉しいです。

――最後の授業は近い

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