ゼンレスゾーンゼロ ・ 聖剣   作:うどん米

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第5話・異変

 

闇の中に落ちている。今度はもっと深く・・・深く。

『全ての――は俺の手に納める。そして、ねねねねねねね』

ノイズが混じっているようだ。うまく聞き取れない。

 

『・・・間違っている。間違っている!!』

前半がうまく聞き取れなかった。俺は彼の選択を未来永劫許さないだろう。

『来い!・・・ッ!!聖剣よ・・・・・・』

『ゴッドハンド!』

 

聞き取れた、何だろう『ゴッドハンド』それがなんだか・・・。俺は再び靄に手を伸ばそうとしたが、届かずそのまま落ちていった。

 

 

 

朝起きると、アキラがニコから渡されたUSBの修復を済ませたらしい、ニコの予想通りその中には金庫の暗証番号が記されていた。

 

「さあみんな!プロキシのおかげで準備は整った。そろそろ次の計画に移るわよ!アンビー、計画を説明して頂戴!」

「了解。コホン・・・諸君。こちらにある新エリー都の地図を見てくれたまえ」

どっかの映画を見すぎたのだろうか、どこかの口調が写ったように感じられる。

作戦と言うのは、クリティホロウに侵入し、上級エーテリアス『デュラハン』を撃破。金庫を手に入れることだ。

「・・・それでおしまい?その新エリー都の地図使わないのかよ!!」

「ニコは協力者になめられないよう、プロらしく振舞おうと言っていた」

じっと、ニコに視線を寄せる。

 

「な、なによ。ナナシ」

まぁ、大根泥棒なんて不名誉なあだ名がついた俺よりはましだが、なんというか子悪党感がより強くなっていた。

「いや、どうせなんかプロっぽくやって値切り交渉とかしようとしたのかなぁ・・・って」

「ギクッ!」

 

ニコのわかりやすい反応に思わず、吹き出しそうになる。

「ちょっとビリー何でアンビーを見張っていなかったのよ!」

「いや、俺もアンビーのプロのミーティングがこんなだって知らなかったんだよー。あっ、だからあの時探偵映画見てたのか・・・」

邪兎屋か・・・。妙なコミカルさと、抜けている部分としっかりした部分をお見ているとなんだか、憎めないやつらになってきた。

 

 

「外からじゃホロウ内の状況をリアルタイムで確認することはできないから、中での支援とガイドを任せたわ!ナナシには私達と一緒に来てもらうからね。重要な戦力よ!」

「あぁ、わかった。ビリー、アンビーよろしく」

「うん、よろしく」

「よろしくだぜ!ナナシ、あんたとならなんか行ける気がする!!」

凄い馬鹿にしか見えない。俺だけでもきっちりしなきゃいけないなと考えながら、改めて気を引き締めた。

 

 

 

そして、邪兎屋+ナナシはホロウへ乗り込んだ。

 

「それにしても、どうやって金庫の位置を割り出したんだ?」

単純な疑問だ。なんというか偏見なのだが、こいつらがしっかり下調べできるほどのつてを持っていなさそうだからこそ、謎だった。

 

「フフーン。知りたい?教えてあげよっかなぁ~」

なんだか、イラつくので少し考察してみよう。発想の転換だ、大前提を置こう、こいつらは金庫の場所を知れるような相手とのコネを持っている。

 

 

そしてなおかつ、金庫の場所を知れるような組織と言えば数はそこまで多いわけじゃない、つまり下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる戦法でやってみることにした。

そもそも、俺が昨日得た知識の中になければ意味はないが・・・

「もしかして、ホロウ調査協会につてがあるとかか?そこから、情報を流してもらったかとか?」

「あっ」

 

ニコの表情が固まる。どうやらドンピシャだったらしい。

「な、何でわかるのよー!!」

「ナナシ、こういう時のニコは繊細だからあんまりそうやって当てるのは辞めてあげて」

「ちょっと、余計なことは言わないでってば!・・・そうよ、ナナシの言うとうり調査協会につてがあるのよ、そこに絶対断れない申し出をして、ホロウ内で起こった直近2回の異変に関するデータを競合してもらったの。相違のあるポイントを羅列すれば、おおよそのその位置を特定できるでしょ?」

「え?何で、二回も言ったの?」

(うん?)

だが、結局大まかな位置しか知らないので、その後はプロキシだよりだ。

 

そして、違和感を感じながら俺たちは進んでいった。

 

だが、そううまくはいかなかった。

内部を進んでいったときだった。急にボンプが何も言わなくなったのだ。

「あれ?おーい、パエトーン。どうしたんだ?」

「どうした、ナナシ。何かあったのか?」

ビリーも駆け寄ってボンプを確認する。

 

 

「いや、急に何も言わなくなってさ・・・。もしかして通信が切れた?」

「それはねぇんじゃねぇか?普通に動いてるし、それよりもニコが値切り値切り言いすぎてちょっと意地悪されてんじゃねぇか?」

「ありえる・・・かも・・・・」

(待て・・・まさか・・・妙だ、さっきまでつながっていた通信機も向こうに通じない・・・。)

 

「待て!みんな、そのボンプについて行くな!」

「どういうこと?早くいかないと、金庫が取られちゃうわ」

俺は、事の妙さを3人に伝えた。

 

 

「つまり、何が起きていると思っているわけ?」

「・・・多分、パエトーンに何かあった。おそらく、ハッキングの類。」

「何でハッキングって思うんだ?」

俺は自分がつけている発信器を取り外す。

「この発信機はパエトーンのパソコンに繋がっている。それが、そのボンプが急にしゃべらなくなったタイミングに繋がらなくなった。だから、おそらくパエトーンに何かあったんだと思う」

「じゃあ、何でボンプは動いてるんだ?パエトーンに何かあったならこいつも動かないはずだろ?」

「多分、勝手に動かされているんだと思う・・・・ッ!!」

 

その時、俺が抱えていたボンプが持っていた煙幕弾をぶん投げた。

「ナナシ!どうやら、大当たりみたいね・・・それも悪い方の」

「悪い、ニコ。これは値切りのネタにでも使ってくれ」

 

 

煙幕弾破裂と同時に周りには小型のエーテリアスが集まってきていた。

「手伝ってもらうわよ、ナナシ!行くわよ、みんな」

「「「はい/おう/了解」」」

と言っても、ここで戦い続けるのはほぼ不可能に近い。

ここは見晴らしがいいため、ほとんど隠れ場がない。その上、ひっきりなしにエーテリアスが集まってくる。

 

 

「まずは狭いところに行って包囲されることを避けよう!」

「そうね、って。ここはホロウだからそんなところに無事に行けるかもわからないじゃない」

「俺を信じろ!!」

なんとなくの勘勝負だが・・・それでもやるしかない。

とりあえず、ボンプの爆弾を全て没収し抱えながら戦線を離脱することにした。

 

 

「あそこだ!あそこなら、撤退戦に向いてる!」

鉄パイプまみれの空間でもなく、周りが壁に囲まれた空間があった。

 

 

「そうみたいね、で、でもどう見てもあの前に強そうなのがいるのだけどあれを瞬殺できるの!?」

「やるしかない」

俺一人まず先行する、見た目は完全に牛のそれ・・・。なら、弱点も同じだと・・・希望的観測をするしかない。

拳を握りしめる。すると、赤いオーラがあふれ出す。

「『熱血パンチ!』」

牛の脳天をぶち抜く、すると赤いオーラは体を貫通した。

(よし、とりあえず。ワンパン)

 

「ニコ、アンビー。屈んで!!」

「ッ!わかったわ」

二人がかがんだのを確認して俺は牛の角をもって思いっきり後ろのエーテリアスに向かって投げた。

「今のうちだ!」

「ナイスだぜ、ナナシ!」

 

こうしてひとまず身を隠すことができた。

さてと・・・後は、パエトーンに任せますか。

 

 

一方その頃、パエトーンでは・・・。

 

「なかなかの状況判断能力じゃないか。いい社員を雇っているよだね、パエトーン」

「おかげさまでね」

今、現状パエトーンはナナシの予想通り、ハッキングを受けていた。

そのせいでHDDの回線は切れてしまっていた。

 

「まさか、あの少ない情報だけで真実にだとりつくとは、私が部下に欲しいくらいだよ」

「あいにく様、ナナシはうちの優秀な社員なもので」

(ナイス、ナナシ・・・。)

「その優秀な社員に雇い主は答えないつもりみたいだがね」

何者かのハッキング、その狙いはパエトーンが復元した、金庫の暗証番号だった。

 

 

 

「わかった、あんたの勝ちだよ。暗証番号を教えるよ。」

「え?待ってくれ、何を・・・」

「でも残念、あげたくても、あげられないんだよね。あんたが消しちゃった、システムの中にあるからさ」

「なっ!」

明らかな動揺が見られる。そして、アキラはリンの意図に大体気づいた。

 

「コホン・・・慌てなくていい。復元するために『インターノット』の演算パワーを借りたから、そこに暗証番号のバックアップが残ってるはずだよ。システムの捜査権限をこっちに返してくれたら、すぐに暗証番号を・・・」

だが、アキラの言葉は遮られる。

 

「そんなことをするはずがないだろう。プロキシと言い、ホロウレイダーと言い、狡猾な連中ばかりだ。隙あらば捜査権限を取り戻そうとたくらむ『パエトーン』とくれば、尚更な」

どうやら、相手はかなり私達を警戒しているみたい。

 

「ん、待てよ。今、インターノットにバックアップが残ってると言ったな?インターノットのアカウントをこちらに渡せ、自分でバックアップをとる」

「・・・」

「なぜ黙る、・・・あぁ、そうかインターノットはプロキシ事業の土台だったな。アカウントを奪われることは、『パエトーン』として存在したすべての痕跡を抹消されるも同然・・・。だが、ホロウにいるものを達を救いたければ早く決断するんだな。もし、時間をかけすぎれば彼奴らが化け物になってしまうからな」

「・・・インターノットのアカウントをお前に渡した後は?お前にシステムを壊されたら誰が彼女らをナナシを救うんだ?」

アキラの言葉には確かな怒気が宿っていた。

 

「・・・わかった。インターノットのアカウントを渡す。その代わり約束を破ったら絶対に許さない」

「・・・一つ聞かせて。あの金庫には何が入ってるの?」

「いいだろう、貴様らの協力的な姿勢に対して答えてやろう。知っての通りホロウは常に変化し続けている。それを示す『キャロットデータ』は膨大なホロウデータをもとに算出されている。そして、あの金庫に入っているのはホロウの有効性を維持し続けるデータ『ロゼッタデータ』だ。とにかくそれがあれば、本当の意味でホロウを自由に出入りできる」

もし、そんなものが一個人に渡れば・・・。

 

「確かに価値のあるものだね」

もし、プロキシやホロウレイダーの手に渡れば夢のような代物だ。

 

 

「そういえば、最後に一つ聞きたいことがあるんだ。どうして、お前は直接データを盗まないんだ?」

「もしかして、実力はその程度ってことかな?」

「そしてむしろ、ナナシたちを脅しの道具のように使っている・・・まぁ、実際は割とナナシがいい動きをしてくれたからあまり焦らなかったんだけどね」

 

 

その時、サイレンの音が聞こえて来る。

「耳を澄ましてみなよ、サイレンの音が聞こえて来るだろ?」

「な、何をした!?」

別に、特別なことはしていない、新エリー都の善良な一般市民として、やばい奴を通報した。

ただそれだけだ。今は市政選挙の途中の為、通報専用ホットラインまで存在するくらいだ。

 

 

「貴様ら、これをするためにパエトーンの身分を捨てたのか!!」

「ううん、外れ。パエトーンの身分じゃなくてアカウントを捨てただけ」

 

 

そして、正体不明のハッカーは捨て台詞を吐いて逃げていった。

「これでHDDの権限を取り戻した。」

「お兄ちゃん、お疲れ様!さっきの迫真の演技だったよね~」

「本当だ、反応できたからよかったものの・・・」

「ふふっ、信じてたよ。パエトーン」

そして、二人は再びHDDに接続した。

 

 

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