ゼンレスゾーンゼロ ・ 聖剣   作:うどん米

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第113話・予言って胡散臭いよね

 

 

急な市長のカミングアウトに俺も周りも意味が分からないと言わんばかりに首をかしげる。

 

「ああ、これだけだと意味が分からないね。簡単に説明すると、私は旧都陥落時に彼と出会い、話、そして救われた。開示できるのは、これだけだ」

「それが、アポロ二号の未来を見通すことと関係があるんですか?ていうか、未来を見通すなんて……」

 

すぐに思い当たったのは聖剣『オーガ』

あれには、確か未来視の能力を持っていたはずだ。

 

しかしながら、俺たちアポロは全員が聖剣『ジ・アース』の使い手として生まれてくる。

 

だとすれば――

 

「君の察し通り。アポロ達に本来はそのような力はない。だが、彼は特別だった。一号の後継機として作られた彼には特別な改造が加えられていたんだ」

「特別な改造?あまり良い雰囲気ではなさそうですね」

「ああ、アキラ君の言う通りそれによって彼は……いや、何でもない。とにかく、その改造によってアポロ二号は聖剣『オーガ』の能力を100%引き出せるようになっていた」

「ッ!?」

 

つまり、アポロ二号はジ・アースとオーガの二つの所有者だったことになる。

だが、それ以上にアポロ二号は旧都陥落時に死亡しているということは、ジ・アースは三号へ――

 

そしてオーガは初代虚狩りのクローンとして作られた『ライ』さんに渡った。

 

「それじゃあ、アポロ二号は市長さんに未来で見た何かを教えたって言う事なんですか!?」

「リン君の言う通り。その中には、私の命を救う予言もいくつもあってね。彼が言ったことはほぼ間違いなく起こると思っていいだろう」

 

自分を予言者だと言って信じてもらうためには実際に当てて見せた方がいい。

アポロ二号はちゃんとそこを理解していたかつ、彼が権力を握ると知っていたからこそ市長に予言を託したんだろう。

 

「教えてください。市長さん、アポロから何を聞いたんですか?」

「……それを、私の口から直接話すことはできない。だから、だ。ナナシ君、君さえよければH.D.Dシステムの前に立ってくれないかな?」

「そうすれば、アポロの予言を聞けるってことですよね?」

「ああ、アキラ君とリン君のH.D.Dシステムのアップグレードも同時進行でやってしまおうと思うのだけど。いいかな?」

 

俺からすれば、これから起こる”何か”を知れるこのチャンスは願ったり叶ったりだ。

後ろを振り向き、二人の顔を見渡すと二人とも力強く頷いてくれた。

 

「やらせてください」

「わかった。ライカン君、始めてくれ。アップグレードの全行程は君達にも見てもらう。危険はないと保証しよう……おそらく」

「その、おそらくって何ですか!?」

「彼は、その……もう、なんというか形容しがたい存在だからな。何が起こるか私も全て把握しきれているわけではないんだ」

 

市長の思わせぶりな発言の間、ライカンさんが黙々とアップグレードの準備を始める。

その瞬間――

 

 

H.D.Dシステムからの青い光が俺の目を釘付けにした。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

何もない暗闇の部屋。

正直、何だか親近感というか居心地の良さすら感じる。

 

そう、ちょうど俺が初めてアポロから分離した人格である『アルターエゴ』と出会った場所と似ていた。

 

「ハロー弟よ」

 

聞きなれた声、いや自分の声だ。

聞こえた方に振り向くと――

 

「……」

 

言葉を失った。

そこに、いたのは間違いなくアポロ二号なんだろう。

 

だが、俺は彼を”見下げていた”のだ。

 

「ああ、この体かな?時間遡行の代償でゲル状になっちゃってね。眼球しかなくて口もないから、君とは思念で話している話している……みたいな感じになってるんだ」

「ゲル、ゲル状」

 

市長さんの形容しがたい存在が、文字通りのスライムとは思わなかった。

 

「いや、待って。それより、時間遡行ってどういう事?未来視じゃないの?」

「違う違う。これ、市長くんには内緒でね。彼には未来視”だけ”ってことにしてるから。僕の正確な能力は時間と空間の操作。未来も見えるし、遡れる、こんな風に空間を作り上げることも出来る」

「うん?じゃあ、アポロ二号はまだ生きてて、オーガを持ってるってこと?」

「いいや。僕はもう死んでる。ここにいるのは市長くんに持たせた”とある物”にしがみついた残留思念のような物さ。この空間も事前に作り上げた物だからね」

 

つまり、こいつは俺がここに来るいつかその日を待ち続けていたという事なんだろう。

というか、死んでもなお居続けるなんてしぶといにも程がある。

 

「まあ、これも長くは続かない。手短に三つ君に伝えないといけないことがある」

「三つも……それが、予言って事か」

 

それが、こいつの能力で俺が来ることも事前に知っていた。

だが、うん?と脳内で違和感が弾ける。

 

「待って、じゃあ何で二号は時間遡行なんてしたんだ?未来を知れるなら戻る必要なんてないじゃないか」

「……勘が鋭いね。本来の歴史で起動したアポロは一号だけだった。でも、ダメだった。それが理由だよ」

「一号だけだった?」

「ああ、本来の歴史では君たちの言う旧都陥落はアポロ一号によって防がれ、新エリー都は生まれない。すると、どうなったと思う?」

 

どうなるも何も、不幸になる人が減ってハッピーエンドの未来しか浮かばない。

それに、アポロ一号って要するに完全な状態のアポロと言う事だからよっぽどが無い限り敗北は、敗北は――

 

「敗北した?」

「そう、敗北したことでエリー都は滅び……色々あって、僕が起動。仕方ないから時間遡行に踏み切ったというわけさ」

 

その結果、歴史が変わりアポロ一号がアインシュタインに敗北。

後のアポロ達が起動するようになり、最終的に俺、つまりアポロ十一号が誕生した。

 

「でも、それならどうしてアインシュタインにアポロ一号を倒させる必要が?」

「言えない。だけど、一号にはどうしてもあそこで消えてもらう必要があった。君を誕生させ、本来の歴史で一号を倒した巨悪を倒すために!!」

 

そう熱弁するが今の俺と、アポロ一号では明らかに後者が強い。

なので正直半信半疑で聞いていた。

 

「それは一体どこのどいつなの?」

「勇気の律者だ」

 

聞いたことが無いはずがない。

エリシアが何回も見せて来た、力と救済に取り憑かれた男。

 

「そんな、馬鹿な……」

 

だが、そんな人物が人類を滅ぼそうだなんて到底考えられなかった。

 

「まあ、僕も話したことはないから動機まではわからない。そして、これが伝えたい事の一つ目だよ」

「ふ、二つ目は?」

「直近の敵について、君に人生最大の危機が訪れていると言っても過言じゃない」

「……そうなんだ」

 

確かに、今は聖剣が碌に仕えないほど弱体化している。

ただ、これまでの人生で逆に危機じゃなかった方が少ないので、どうにも危機感が湧いてこない。

 

「ちなみに、どんな敵なの?」

「下手に話せば、未来が変わるかもしれないから特徴だけ……まず、人型」

「エーテリアスかな」

「頭と心臓を潰しても死なない」

「エーテリアス?なのかな、いたっけ」

「実力は圧倒的、100%勝てない。だから、10分……くらい。必死に逃げるんだ。勝たなくていい」

「虚狩りクラスのエーテリアスってことか……?」

 

だが、正直言って今の俺は弱体化しているとはいえ強い。

二号が言うほどの危険があるようにも思えない。

 

「いや、虚狩りなんてもんじゃない。奴は……今の奴は数百の改造手術で弱体化しているもののそれでも鬼神の如き強さだ。君も知ってる」

「えぇ、そんなのいるんだったら旧都陥落だって防げ……防げた?」

 

人型で、頭と心臓を潰しても死ななくて、俺じゃ絶対に勝てない実力者。

そして、俺も知っている――

 

「まさか……」

 

一人だけ浮かぶ顔がある。

確かに、こいつ相手なら誰も勝てない。

 

「よし、じゃあ覚悟を決めた所で三つ目ね」

「頭が追いついて来ないんだけど……」

「アキラやリン。みんなを救いたいなら意地でも何でも頑張るんだね。それで、三つ目だけど……君、何か最近変な夢を見るようになってない?」

「変な夢?」

 

思い返してみると確かに、青溟が何とかかんとかみたいな夢を最近見るようになった気がする。

 

「その夢に関してだよ。おそらく、今の事件が一段落した後……君たちを新エリー都衛非地区に導く者が現れるでしょう」

「何だか、やっと予言っぽくなってきた」

「その者と共に衛非地区に向かいなさい。そして、衛非地区の”守護者”と出会えば運命という名のレールに君は乗ることになる」

 

雰囲気が変わる。

特に、二号が”守護者”と言った時、何か思うことがあるのか声のトーンが一つ下がった。

 

「そのレールの行き先はハッピーエンドなの?」

「……さあ?ただ、限りなくハッピーになりそうな未来に繋がると言っておこう。だけれど、結局選択するのは君だ。君が選んで君が責任を取るんだ」

「覚悟を決めろってことね」

「ああ、腹をくくれ。僕は、地獄で君のことを応援しているよ。ナナシ」

 

その瞬間、体が浮遊感に包まれる。

きっと、この空間の終わりが近づいてきているんだろう。

 

(……あれ?)

 

一段落ついたおかげか、頭が冷静になっていくのがわかる。

それと同時に二号の言動の違和感にも気づいた。

 

「ねえ、二号」

「ん?何かな?」

「二号の時間遡行ってタイムリープなの?それとも、肉体事時間を越えて……ッ!?」

 

もし、前者であればいい――だが、後者だった場合はこの世界に二人のアポロ二号と二つずつジ・アースとオーガが存在しているのではないか。

それを聞こうしたその瞬間

 

「”この時間”の俺に会えたらよろしくね」

 

そう二号が言ったと同時に、俺の意識は完全に消えた。

 

 




どー見ても嫌な予感がぷんぷんするぜ!

皆は閑話とか、IFの話とか読みたい?

  • 読みたーい!(特にヤンデレ)
  • 読みたーい!(ラブラブ!)
  • 読みたーい!(好感度測定器みたいなやつ)
  • いや、読みたいのは本編だ!遅れてんぞ!
  • 作者さんの自由で!
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