ゼンレスゾーンゼロ ・ 聖剣   作:うどん米

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第7話・新たな騒動

 

 

あるホロウ内部の朝。

 

 

 

妙に奥の方から気色悪い気配を感じながら・・・。

「ぱっと開かずぐっと握ってギュン・・・ダンシュンドカーン!!」

手から飛び出た拳型のオーラ。しかし、すぐ霧散し軽くエーテリアスを吹っ飛ばすのみにとどまる。

「・・・・違うかぁ」

 

アキラとリンに相談しながら必殺技を完成させようとしているが、どうにもうまくいかない。俺の擬音解読だが、ぱっと開かず。と言うのはゴッドハンドをぐっと拳にしたということだろう。

 

 

ダンと言うのは踏み込みのことだろう。シュンは拳を引く。そして、ドカーンは拳を放つということなんだろうが。

「ギュンってなんだ?」

どうやらヒントは供給されないらしく、あの日以来過去の夢は見ていない。

(まるで仕組まれたかのように夢が供給されている・・・だが、今までと違うのは直感的に使い方がわかるわけじゃない)

 

 

今までの夢では見た後すぐ必殺技を使えるようになっていた。しかし、今回は意味が分からない擬音とある程度靄かかった記憶のみ。

(考えられるとすれば二つ。一つは、今まで覚えてきた技が直感的に覚えられる技だった。二つ目は、レベルのようなものが存在し、上がらなければ直感的に覚えられない)

だが、前者はともかく、後者の場合どこで経験値を稼いでいるなんてわからない。あってもごろつきとの戦闘くらいだった。

 

『おーい、そろそろ帰ってきなよ。ナナシ、朝ごはんだよ』

どうやら気づいたらそんな時間になっていたようだ。

 

 

 

「フェアリー・・・やっぱりそうなのか?」

『肯定・・・・でしょう』

 

 

 

ある確認をした後、俺はフェアリーの力を借りてホロウを脱出した。

 

「ただいま」

「おかえり、ナナシ。必殺技の特訓もいいけど、あんまり危険な真似はしないでくれよ。」

『同意、マスターナナシのエーテル適応体質は完璧ですが、何が起こるかわかりません。不用意にホロウを活用するのは推奨できません』

と、華麗にフェアリーにもおしかりを受けてしまった。

 

 

並べられた朝ごはんを食べながらテレビに写されているニュースを見る。

「・・・・へぇ、地下鉄かぁ」

「成功すればすごいんだけど・・・。ホロウ内を通って爆薬を運ぶってところが気になるかな。それに、異様なコストカットもだ・・・後々何か問題にならないといいが・・」

確かにどうにもこのおっさん胡散臭い。

 

(白紙重工って・・・熊なのか?)

テレビにちょくちょく出てきた熊が気になりながらもそれ以上に、気になる気配を感知する。

「なぁ、フェアリー・・・ここら辺に向かってきている奴がいないか?」

「どうしたんだ?」

「いや、何だか妙な気配と、嫌な予感がする」

だいたいの俺の勘は当たる。

 

 

『?検知します。・・・街頭カメラにて何者かが本店へ急速に接近しているのを確認。推測・・トイレを借りたい、レンタルしたビデオの期限が迫っている・本店に対し悪さを企んでいる』

「いや、俺の嫌な予感によれば第4の選択し、面倒ごとが迫っているだ」

『否定、マスターの勘と言うのは論理性に欠けています』

「二人とも、お客さんが来ただけだろ、僕が出よう」

ちょっと言い合いになりかけた俺とフェアリーを仲裁しながらアキラが扉に向かう。

 

 

「ふみゃー!」

アキラが扉を開けると、猫耳に尻尾。まさに猫又と言う妖怪の名がぴったりな少女が現れた。

「いたたた・・は、鼻が。」

鼻を抑えながら悶絶している。だが、すぐに起き上がると、テレビを指さし始めた。

 

「はっ!このだるまみたいなおっさんを信じちゃダメだ!こいつは嘘をついてる!」

「ほらな?」

俺はニヤニヤとフェアリーを覗き込んだ。直後『ちっ』と聞こえたのは聞かなかったことにしておこう。

 

「あ、あんたたち、ドアを開けるならちゃんとにゃーって声をかけて!すっ転んじゃったぞ・・・」

「今からにゃーって言ったらいいんじゃないか?アキラ」

「今更言っても遅いと思うよ。六分街で一番のビデオ屋へようこそ。」

 

だが、俺の予想なら彼女の目的は残念ながらビデオじゃない。

「いや、多分。ビデオ屋の仕事目的じゃないだろ?」

「ど、どうしてわかった!?」

その発言に、アキラとリンも意図が分かったらしい。つまり『プロキシ』その上『パエトーン』としての仕事であるということだ。

 

「君にかまをかけただけだ・・・まぁ、少しは自信があったけどな。それに、そこのボンプはニコが持っていたやつだ・・・アキラ、どうやらニコが大事を凶事に変えてきたらしい」

「・・・いや、まさか・・・いや・・・でも・・・」

「お兄ちゃん!ちょっとはニコ達・・・信じられないかなぁ」

なんというかニコからはとてつもなくやらかすオーラを感じる。

 

「そうだ、あたしは猫又、ニコに言われてあんたたちを探しに来た!」

「本当に、ニコが君にここへ来るように頼んだの?彼女たちは今、どこにいるんだ?」

「さっきのニュースでも言ってたとこ、ヴィジョンの爆破エリアにいる!あのおっさんは全員を避難させたって言ったけど本当はそうじゃないんだ!」

アキラ、リン、俺全員がやれやれと言う表情になる。まぁ、なんとなくわかっていたがいざ知らされるとなんだかため息も出てこない。

 

 

「ナナシの予想通りだよー。本当に面倒ごとに巻き込まれるなんて」

「俺の危機感知能力はほぼ未来予知レベルだからなぁ・・」

再び、フェアリーの方をちらっと見る。『ちっ。私にだってそれくらいできますよ・・』と何だか聞こえた気がするが、勝利の味をかみしめながら話を戻す。

 

「それで、撚りにもよってこんな時に、ヴィジョンの工事現場でいったい何をしてたんだ?」

何かあるのか少し、猫又はもじもじしながら。

「探し物だ!・・・えっと、依頼したのはあたし!それに赤牙組がケチをつけてきて、もみくちゃになって・・とにかく人がぎゅうぎゅうで魚の缶詰みたいだった!」

「まぁ要するに喧嘩になったと」

「そうだ!」

なんとなく、ニコ達が何かやらかすのはわかっていたが、見事に的中させてしまうとは。

 

「そ、そうだ!ニコのボンプの中に、ここ数日の視覚データが保存されているはずだ!それを見ればきっとわかる!」

確かにボンプは、はたから見てもオーバースペック、監視カメラくらいはついていてもおかしくない。

「だけどさ、そう言うのって勝手に見れるのか?所有者でもないのに?」

もし、それが可能ならボンプ泥棒は後を絶たなくなるだろう。

 

「いや、残念だけど、ボンプ内部の視覚データをエクスポートするには所有者であるニコ自身がやるか、メーカーのマルセルグループに問い合わせるしかないんだ」

「流石に無理か」

もしそれができるなら、やたらめったらボンプを捕まえて記憶を探るところだった。

 

すると、リンが小声で話してくる。

「待って二人とももしかして、フェアリーなら何か方法を知っているかも?」

「何か言ったか?フェアリー?」

フェアリーの力は超常的と言っても過不足ない。そのため、量産型のプロテクトぐらいなら敗れるのではないだろうか。

 

「コホンッ・・・フェアリー、ボンプの内部にあるデータを強制的に取り出す方法はない?」

『確認。指示の内容ですが、「ボンプ内部の視覚記録を出力する」ことで間違いありませんか?』

「にゃ?今、誰か喋ったような・・・ほかにも誰かいるのか?」

「最近インストールしたPCアシスタントらしいよ。別に気にするようなことでもない。それで、フェアリー、取り出せるの?」

すると、フェアリーから『はっ』と鼻で笑ったような機械音声が聞こえた後。

 

『ボンプ内部で直近数日間の視覚データを探索中。『自分たちがバカだった、もっと早くフェアリーを頼るべきだった。また、マスターナナシはフェアリーの方が優秀です』とおっしゃってください』

「ああ、僕がバカだった。もっと早くフェアリーをシャットダウンするべきだった」

「やはり、俺の方が優秀だったみたい」

今度はくっきりと『ちっ』と聞こえたフェアリーに睨みを聞かせながら、フェアリーの前にボンプを座らせる。

 

 

「じゃあ、後はフェアリー!任せたよ」

『ボンプと接続中、視覚データを取得します』

数秒後、ボンプがへたりと座り込み。画面に映像が写りだされる。

 

「あっ・・・どれどれ・・うん!ニコと出会った日のだ!」

 

 

映像に映し出されているのは相変わらず、追われているニコと猫又との出会いが写っていた。どうやら、組長である『シルバーヘッド』かつてのデュラハンの件で因縁を思いっきりつけられているらしい。

 

 

猫又がニコ達に依頼したのは。数年前、赤牙組のボス、『シルバーヘッド』ミゲルに奪われた家族の形見を取り返してほしいというものだった。

『つまり、あんたの家族の形見を取り戻してほしいってことね?』

 

しかし、ニコはそれに芳しくなさそうな、返答を返す。前述のとおり、思いっきり因縁を吹っ掛けられているからだ。だからしばらくは大人しくしておこうと思っていたらしい。

 

だが・・・。

 

『あの形見、すっごく価値があるものなんだけどなぁ~!そのうち30%を報酬にしてあげる!場合によっては、70%にしたっていいぞ!』

『価値があるって詳しく!!』

 

この時点ですでに頭を抱え始めていたが。

『ニコ、一言いい?』

邪兎屋唯一と言っていい真面目枠である。アンビーが待ったをかける。

『この依頼は危険だと思う。報酬の金額よりも、依頼人の誠意を確認する方が大事。それに、映画だと、こういうタイミングで仲間になる人はには裏があるって相場が決まってるの。後になって恐ろしい幽霊になったり、体の中からモンスターが出てきたりする。』

その発言にアキラもリンも俺もうんうんとうなずいている。どうにも映画知識に偏りがあるのが気になるのだが、ゾンビ映画が好きなのだろうか。それかホラー。

 

だが・・・。

 

猫又が赤牙組のアジトを知っているなどまさに絶好のチャンスだと思ったのだろう、ニコは依頼を受けてしまった。

そのうちに、猫又の案内を受け、次々とアジトを転々としていくニコ達。道中、邪兎屋がものすごい評価の悪いホロウレイダーだとわかってしまったが、まぁ予想通りだった。

そして、最後赤牙組のアジトの場所は『デッドエンドホロウ』だった。

『知ってるのか!?ニコの親分!』

『もう、ニュースで見たことくらいあるでしょ?ここ最近、ヴィジョンは地下鉄改修プロジェクトのために爆薬を起爆エリアに運んでる・・・それがデッドエンドホロウを経由してるのよ!』

しかし、そこは要警戒エーテリアスが跋扈しているため、爆薬運びは暗礁に乗り上げているらしい。

『『デッドエンドブッチャー』って言うエーテリアスを殲滅してホロウを縮めること、爆破エリアへの安全なルートを確保する・・それがヴィジョンの目算だったわ。でも予想以上にそいつ強かったから、仕方なくホロウ経由で爆薬を運ぶことにしたみたい』

そこで、ニコは依頼の話合いについて提案する。流石、邪兎屋のリーダーと今回ばかりは感心した。

 

 

『持ち前の知恵と勇気で赤牙組を壊滅に追い込んだ。あの仁義を重んじる邪兎屋なら・・たとえ虎の穴、いや竜の巣でも、きっと臆せず立ち向かってくれると思ったのに・・・』

『待ちなさいよ!べ、別に依頼を途中で投げるなんて、一言も言ってないでしょう!』

そう、あくまでニコが提案したのは依頼のための話合い。ここでちょっと揺らいだように見えたが、流石ニコ、ちゃんとリスク管理もしっかりしているなぁ。と思っていた。

 

だが・・・。

 

『ああ、追加料金が欲しいってこと?それを早く言ってよ。依頼料の2割・・いや、3割増しでどうだ?』

『オッケー、取引成立よ!』

その時、ニコへの信頼が崩れ落ちる音がした。

『ニコの親分!そんな軽いノリで大丈夫かよ!?』

 

そうだ、ビリー言ってやれ!と思ったが結局ニコの暴走は止まらなかった。

『なーにがデッドエンドホロウよ!クライアント御所望なのよ、明日にでも乗り込んでやろうじゃないの!』

『ホント?やった~!それじゃ、あたしの家族の形見は任せたにゃ~』

もう、頭を抱えすぎてむしろ頭が痛くなってきた。正直言ってただのバカをこれから助けに行くのかぁと思いながら。

 

「うぅ・・猫をかぶってる自分を見るのが、こんなに恥ずかしいなんて・・!」

「え?にゃってキャラ付けだったの?」

「え!?い、いやいや!猫のシリオンはみんなこんな感じだ・・にゃあ~」

じとっとした目で見ながらとりあえず、状況を整理しよう。

 

「つまり、デッドエンドホロウに行ったニコ達は今色々あった結果、爆破エリアにいると・・・」

「そう!」

『マスター、ただいまニュースチャンネルにて、今回の依頼に関連している見られる情報が放送されています。お見逃しなく』

フェアリーがそう言うと、テレビをつける。そこには、速報と書かれていつつ。

『生中継でお送りいたします。間もなく、ヴィジョンの最後の輸送列車が出発し、デッドエンドホロウへと入ります』

最後の輸送列車と言うことは、それが言ったら見事爆裂と言うわけ。

 

「やばくね?ニコ達」

「やばい!早く助けに行かないと、ニコが埋立地の灰になっちゃう!」

「どうやって?みんなの前で列車を止めちゃったりなんかしたら、その場で治安局に捕まるがおちだよ。ナナシが」

そうだ、実行犯俺だった。懸命に何か案を出さなければニコを助けられても俺が独房行きである。

 

 

「待って、この列車は自動操縦だ。なら、ホロウ内部で止めてしまえば周りから見られることはないんじゃないか?」

「そっか!外から直接ホロウの中の様子は探知できないんだから、捕まる心配もないぞ!ナナシ」

そう実行犯は俺なのだ。

(もし、中で何か起きてもばれない。殺人だろうが、窃盗だろうがそれは変わらない・・。裏切りだってね)

既にある程度、仮説は立ててある。後は、それが当たらないように祈るだけだ。

 

「うん、今からデッドエンドホロウに潜入して、列車が必ず通る道を阻むことができれば確かに理論上は可能だ」

「フェアリー、列車の位置をリアルタイムで把握できる?」

『可能。目標車両までの安全なルートを計算しています』

 

そして、俺達はデッドエンドホロウへ向かった。

 

 

 

 

の前に、俺はフェアリーに誰にも聞こえない位置で話しかける。

「フェアリー。もしかしたら、『デッドエンドブッチャー』を倒すことになるかもしれない。以前からの調査でその可能性が高い。」

『・・・なるほど。承知しました。もし、何かあればなんなりと申し付けください』

 

 

皆は閑話とか、IFの話とか読みたい?

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