俺の考えが当たっていれば一刻も早く住民を避難させる必要がある。
「き、きっと道中お役に立ちますので、どうか私をホロウから連れ出してください!お、お願いします!」
「どう思う?ナナシ、パエトーン」
俺と猫又、ボンプは移動し少し話す。
「そうだな・・・彼女の指先を見るに本当に戦闘経験があるんだろう・・・。まぁ、足手まといには少なくてもならないだろうな」
「・・・そんなところまで見てるんだな」
何だか、猫又に引かれた気がするが。特に気にする必要もない。
「うん・・まあ、無理なお願いでもないしね。一緒に行こうか」
「ああ、僕も妹の意見に賛成だ。彼女を出口に連れていくのはかまわないけど、一応見ず知らずの人だからね。お互い、隠したい事情もあるだろう」
「じゃあ、利害の一致と言うことで連れていくか」
「そうだな!カリンちゃん、あたしたちについて来てもいいぞ!その代わり、余計なお喋りはナシ。それでいい?」
「はっ、はい!」
カリンの反応を確認した後、俺達はさらに先へ進んだ。
道中、エーテリアスと何度か戦闘になったが、予想以上のカリンの活躍によってたやすく敵は切り刻まれた。
そして、俺はと言うと向かってきた敵の首を折るくらいだけどでそこまで積極的に戦闘にはいかなかった。
(俺の場合、そこまでいい燃費と言うわけじゃないしな)
ただでさえ、先ほど『ゴッドハンド』を使ったのだ、前回よりもたくさんカロリーを蓄えられているとはいえどこまで連発できるかはわからない。
それにしても、カリンがやすやすと大きな岩を素手で運んでいたのを見て人は見かけによらないんだなとつぶやいたら。
「ナナシが言うな!」
とリンに華麗に突っ込まれた。
そうこう進んでいるうちにフェアリーのホロウの解析が完了する。
『注意。半径百メートル以内にホロウの出口を確認。旅のお供、家事代行会社の従業員:カリンの依頼を達成可能』
「ん?『パエトーン』、何か言ったか?」
「ううん、お客さんの目的地に着いたよって」
「ほ、本当ですか?出口が見つかったんですね?よ、よかった・・・。あの、本当に、ありがとうございました!調査員様のお力がなければ、カリンはきっとこのホロウを永遠にさまよっていました!」
「お互い様だ。君の力を貸してもらったおかげで俺達はここまでかなり楽に進めた。こちらこそありがとう。」
本当にこれはそう、カリンなしでここまで来ていたら下手したらもうばてていたかもしれない。
「その・・・ボ、ボンプのホロウ調査員様には初めてお会いしました。それに、素手で電車を持ち上げる人も・・。よ、よろしければ三人方のお名前を教えていただけませんか?今度、従業員一同でお礼に伺いたいんです!」
「ははは」
電車を持ち上げたことに関してはちょっと乾いた笑いしか出なかった。
「気にしないで!ホロウでは持ちつ持たれつ、でしょ?機会があったらまた会おう。元気でね、カリン!」
「ばいばい、カリンちゃん」
「さようなら、またどこかで」
カリンが深くお辞儀をしたのを見届けて俺達はさらに奥へ向かった。
(待て、何で人の気配がする?しかも電車から・・・)
ニュースでは無人列車と言っていたような気がしたが。気のせいだろうか。
『マスター、間もなく列車が予定地点を通過します。依頼人ともども、行動できるよう準備してください』
だが、とりあえずもう時間がないので俺はボンプを抱え、電車と並走しながら上に飛び乗った。
「じゃあ、後は任せたぞ。『パエトーン』」
「うん、任せて」
ハッチを開けてその中に、ボンプを押し込む。
「ちょ、ちょっと!もっと優しく入れてよ」
「無理。頑張れ」
『この列車のハッチは液体のような猫又でさえ通れないほど小さいですが・・・。今や、熟練の忍者がスイカを割るくらい簡単なはずです。あなた様は世界の王ですから』
その割には腹のあたりがつっかえている気がするが、まぁ気にせず押し込む。
「ふぅ・・・。さっさと緊急停止ボタンを押せば任務は完了と・・・」
イアスを押し込み切ろうとした時、誰かの話し声が聞こえる。
「ちっ、めんどくせぇな。任務とはいえ、こんな格好しなきゃならんとは・・・」
「少しは我慢しろよ、俺だって靴が合わなくてつらいんだ」
「おい、列車がルートを外れてると隊長が言ってるぞ!どういうことだ?」
(・・・ここにつんでいるのは爆薬だけじゃない!?ならイアスを早く逃がさないと)
「あっ」
イアスは俺の手を離れするすると列車内に落ちていった。
(やっべ・・・手が滑った)
「ん?」
全員の視線がイアスに集中する。
(やっちまった・・・・)
俺は天を仰ぎ、今度は手袋でもつけようと誓った。
「この列車につまれているのは、爆薬だけじゃない・・ニュースではそんなこと言ってなかったのに!」
「あー、隊長。上からしゃべるボンプが落ちてきたのですが、パールマン長官に引き渡しますか?・・・はっ!今すぐ処理します」
「やらせるか!『熱血パンチ』」
「せやっ!」
引き金が引かれるその瞬間、猫又は窓から、俺は電車のハッチに向かって『熱血パンチ』を放ち電車内に侵入する。
「猫又!イアスを!」
「合点承知!ここはあたしたちに任せて、先に戻って・・キャロットがあるから大丈夫、あとでナナシと一緒にお店に行くから!」
そう言い、イアスを割れた窓から放り投げる。
(よし、これでひとまずは安心か・・・)
「やるよ、猫又。手を貸してくれ」
「わかった!背中は任せたよ、ナナシ!」
むしろ、猫又背中から切り裂かれるのを心配していたが、この調子なら大丈夫だろう。
「敵襲だ!処理しろ!」
(このままだと普通に後ろに弾丸が行くな・・。ここはトンネル内・・・目標は脱出のみ、そして電車の到達を遅らせる。少しくらい電車を破壊してから行くか。
「つぶれろ『ゴッドハンド』」
狭い電車内でゴッドハンドを展開すればどうなるか、当然盾になる。そして、そのまま前進すれば。
敵兵を吹き飛ばし今度は熱血パンチで近くの扉を破壊する。
「行くぞ、猫又!」
「えぇ!?もう開いたのか!」
そして、トンネルを抜けたタイミングで電車から脱出した。
猫又の案内で帰っていく道中。俺は聞きたかったことを聞くことにした。
「猫又。一つ聞きたいことがあるんだ」
「なんだ?わかる事なら答えるぞ」
聞きたいことと言うのはずばり・・・。
「・・・爆薬が運び込まれる先にある街の住民は避難していなんじゃないのか?」
「ッ!?な、何でそのことを知ってるんだ?」
かなり確信を付いたらしい、とても目を見開いて驚いている。
「なに、またカマをかけただけだ。でも・・・それを聞くにあたりみたいだね。それに、電車内に兵士がいるのをちっとも驚いていなかった。おそらく、最初から知ってたんだろう?それに、あの兵士たちはどうやら本物の治安局でもないようだし」
奴らは「任務とはいえこんな格好を」、「靴が合わない」とか言ってたし、おそらくヴィジョンの爆破工事には何かどす黒すぎる裏があるのではないかと確信を持てた。
「そ、そうなんだけど・・・」
「別に、怒っているわけじゃない。君が何かを隠していることははじめ一目見て大体わかっていた。そんな状態の君から色々情報を聞いたところで俺も『パエトーン』も信じなかっただろう。」
「そうだよな・・・」
シュンと耳が垂れた猫又。その頭に手を乗せてなでる。
「だけど、今なら信じられる。俺も『パエトーン』を説得するから、一緒に解決しよう」
「い、いいのか?あたしは、みんなに隠し事してたんだぞ・・・」
「なら、なおさらだ。大丈夫、二人なら訳を話せば絶対手を貸してくれる」
真剣なまなざしで猫又を見つめながら、そう言い返す。
「・・・そうだな!くよくよしてるなんてあたしらしくもないし、絶対に住民は助けて見せる!!」
「ああ・・その生きだ。だから・・・なるべく早く助けに来てくれよ」
その場に立ち止まりながら俺は、ある場所に視線を向ける。
「ど、どういうことだ?早くいかないと・・・ッ!?」
猫又も気づいたらしい。この強烈な気配を醸し出している先に。
「ちょ、ちょっと待ってくれ!ナナシは、あれと戦うつもりなのか?」
「うん、数分前から気づいてたけど・・・やっぱり無理みたいだし、流石にまだ出口にはつかない。彼奴をよけながら二人が逃げ切るのは現実的じゃないってこと。だから、俺が足止めする、だから君のその足でビデオ屋に向かうんだ。」
「で、でも・・・」
何か猫又が言う前に瓦礫の向こう側から影が飛んでくる。
それは、電車だった。
「・・・やっば」
わかっていたことだが、あんな怪物と力比べなんておこがましいということだ。
「く、来る!!」
「奴さんは待ってくれないみたいだ。早く、逃げろ!猫又!」
「い、嫌だ!あたし、ナナシと一緒に戦う!」
手をつかんで離さない猫又を振りほどく。
彼女の視線まで腰を落として目を見て話す。
「・・・わかって」
「・・・ずるいぞ・・。ッ!絶対、ぜぇったいに!助けに来るから、絶対死なないでね!」
猫又の背中を見送りながら、振り返る。
「はぁ・・・やっぱり『デッドエンドブッチャー』じゃなくて『キングコング』とかに改名したほうがわかりやすい気がするんだよなぁ」
首がなく巨大に発達した腕。文字通り巨大化したゴリラという風貌。
「さてと・・・ここが最後の砦だ・・・。抜かせねぇぞ!」
俺と『デッドエンドブッチャー』との闘いが始まった。
皆は閑話とか、IFの話とか読みたい?
-
読みたーい!(特にヤンデレ)
-
読みたーい!(ラブラブ!)
-
読みたーい!(好感度測定器みたいなやつ)
-
いや、読みたいのは本編だ!遅れてんぞ!
-
作者さんの自由で!
-
こんなアンケートする前に書け