ゼンレスゾーンゼロ ・ 聖剣   作:うどん米

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第11話・正義の鉄拳

 

「さてと・・・どうしよっかなぁ」

 

現在、俺はデッドエンドブッチャーから隠れながら、転機を探っていた。

数分戦っただけでよくわかったが、デュラハンよりも圧倒的に強い。力比べでも数秒しかもたないだろう。熱血パンチで拳がぶつかったが相手は少しひるんだ程度なのに俺はかなり後方まで飛ばされた。正面戦闘は不可能だ。

 

 

その上、首がないからいつもの首折り戦法も使えないし、体がでかすぎて技も入りにくい。

単純に力が強い敵なのだ。

 

(本当にゴリラだな・・・)

 

 

だが、ここにずっといてもらちが明かない。相手はかなりしつこい性格らしくずっと俺を探し回っている。

(下手すれば・・・ここに居るニコ達とブッキングもあり得る・・・か)

 

 

ぱきっ

 

 

自分の足元から何かが折れるような音が聞こえる。

「あっ」

つい口に出してしまった。

 

(やっちまった・・・)

 

 

視線を向ければデッドエンドブッチャーがこちらまで快足を飛ばしている。幸いにも音に反応しただけなのか近辺を探索しているだけのようだ。

「ちっ・・・逃げ‥れないか」

 

ヨーいドンなら確実に俺が負ける。そのまま体力がなくなったところをズドンだろう。

(どうにかして、彼奴から距離を離せる手段があれば・・・)

 

 

その時、近くで鉄骨を持ったまま放置されている機械に目が向く。

(彼奴・・・やたら音の反応が早かった・・・。もしかすれば・・・意識をあっちに向けられるかもしれない)

 

俺はそこらへんに落ちていた。手ごろな岩を『ゴッドハンド』で持ち上げる。

 

 

そして、デッドエンドブッチャーが背中を向けたタイミングで・・・。

(せやっ!)

 

心の中でそうつぶやきながらぶんなげた。

(あれ?)

ゴッドハンドもついでにぶっ飛んでったけど・・・。これって、どこかで見たことがあるような・・・。

考える間もなく、岩は鉄骨に激突しガコンッと音を立てて崩れ落ちた。

 

 

予想通り、その音に目を付けた・・・顔ないけど。デッドエンドブッチャーはそちらへ向かって行った。

「さてと、これでまだ時間を稼げる・・・なっ・・・ッ!?」

 

思わず目を見開いていた。俺の目線の先にあったのは、まさしくどこかへ続くホロウの出口。これは行幸、これに入れば少なくともホロウ内部でしか生きられないこのエーテリアスどもから逃げ切ることができる・・・。

 

 

「・・・・できるんだけどなぁ・・・。」

ナナシの胸の中には確かに、燃えるものがった。散々、追いかけまわされたこいつに結局一泡吹かせることもできる尻尾を振って逃げる。

 

 

(わかってる、ものすごい。バカだってわかってる。こんなゴリラにいちいちかまってたらお前は死ぬ。かもしれない・・・かもしれないのに!そっちに向かう足が止められない)

 

 

普段なら勝てる算段を建ててから挑む。しかし、今の俺にはそんなものなし・・。とにかく、何でもいいから一泡吹かせてやる。それしかなかった。

 

 

(やってやる・・・。やってやる…ぞ)

だが、こういう時頭が興奮しているだけなので実際向き合ってみるとふっと冷静になったりするのだ。

 

 

それは、俺も例外ではなかった。もう数歩で戦闘に突入できるというタイミングでやっと俺の頭は冷静になった。

冷汗だらだら。治安局に追いかけられた時よりも底冷えしていた。体は熱いはずなのに、なぜか中は冷たく感じる。とにかく、冷静になった。

 

 

「・・・・ふぅ」

そんな中俺が最初に取ったのは息を吐くことだった。

(さてと、じゃあ考えよう。まず、もうかなり近づいたから見つかるのも時間の問題。前も考えた通り俺の攻撃技はほとんど通じない。逆にゴッドハンドやらが破られることはないだろう。・・・ただ、ゴッドハンドでずっと耐え続けたとしても、エネルギー不足で絶えるのがおちになるだろう。・・・やはりあれしかない。『正義の鉄拳』)

だがいまだにあの技は完成していない。

 

 

しかし、山をえぐるほどの奥義ならばこいつをぶっ飛ばすことなんてわけないだろう。

(あの時の俺はどうやって、やっていたんだ?)

 

『ぱっと開かず。ぐっと握ってギュンっとダンシュン・・・・ドカン!!』

(ゴッドハンドを開かず。握る、ギュン・・はおいておくとして、ダンは踏み込みシュンで拳を引き、ドカン)

この動作をこの前『デッドエンドホロウ』で何度か試したが、すぐ気が霧散してしまった。

「ギュン・・・」

 

 

そういえば、先ほど岩をぶん投げた時・・・。あの時俺は思いっきり足を上げて、踏み込んで・・・。

この時気づいた。正義の鉄拳とはゴッドハンドを放つ技…と言うよりは、投げる技だということに。

(じゃあ、ギュンって)

 

 

思い立ったが吉日、それ以外は凶日と言うことでもういい加減覚悟を決める。

どうやら、相手も鉄骨周辺に俺がいないことに気づいたらしい。こちらを向き咆哮をあげた。

 

「ふぅ・・・」

息を吐く。こちらに、走ってくる『デッドエンドブッチャー』には目もくれない。

「行くぞ!!」

 

思いっきり足を振り上げる。それはまさしく、I字バランスのごとく、そしてその勢いのまま

ダンッ!と音がするほど踏み込む。

シュンっと拳を引く。そして・・・。

「ドカン!だ。『正義の鉄拳!』」

 

固められたゴッドハンドは『デッドエンドブッチャー』の剛腕ですら受け止めきれず奴の体ごと浮き上がり吹き飛ばした。

 

「・・・貫通しなかったな・・・。まぁ、いいや。とにかく、退避だ。退避」

放った、『正義の鉄拳』の威力に違和感を抱きながらも、開いていたホロウの出口が閉まる前に、そこへ飛び込んだ。

 

『そして・・・kkkk奥義・・完せsssss・・・無し』

こういう時に、なぜか夢で見たワンフレーズが想起した。

 

 

ザザッ。

 

砂嵐のような雑音がなった後・・・。

『そして、究極奥義に完成無し』

 

 

そのフレーズが頭をよぎった後、俺はホロウを後にした。

 

 

 




切りが良かった・・・。

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