ゼンレスゾーンゼロ ・ 聖剣   作:うどん米

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第12話・救出作戦

 

「それじゃあ、早速救助計画を考えよう。」

そう言い、アキラが出したのは大まかな地図だった。

 

まず、邪兎屋と住民たちは現在、カンバス通り駅に閉じ込められている。

だが、ここはパールマンのいる監視拠点から数キロ離れている。

そして、ナナシはその間のどこかにいる可能性が高い。

 

 

「だけど、パールマンは住民たちを閉じ込めるために、治安局の武装部隊に偽装した連中を列車で送り込んだ。」

列車が遅れたと言え限度がある。

 

 

「だから、私達の力じゃ、正面突破は無理。ましてや、猫又だけでナナシを救出なんてできるはずがない。」

「うん・・・わかってるぞ」

そう、もし救出するとなれば『デッドエンドブッチャー』の縄張りを歩くことになる。ただでさえ入り組んでいるホロウ内部だ。下手すれば、『デッドエンドブッチャー』との正面戦闘になりかねない。

 

 

「でも、防御の穴を突くことはできる」

「え?それってどういう意味?」

 

再び視線をマップに戻す。

「ほら、閉じ込められた住民たちはエーテル適応体質じゃないんでしょ?だから武装部隊は、正面だけを警戒すると思うんだよね。監視拠点の兵士も無限じゃないでしょ。大勢が正面の警備にかかりきりなら・・・」

「なるほど、ホロウを通って背後に回れば、彼らの不意を突くことができる」

「それに、そこでニコ達を回収すれば『デッドエンドブッチャー』に対抗する戦力も手に入る」

 

 

そして、最後に急いで監視拠点の列車を奪ったら、ホロウ内にある線路を使って、カンバス通りまで移動、住民たちを新エリー都まで運び出そうという作戦だ。

「あったまいい!きっと、列車自体にも侵蝕耐性があるはず。なる早でホロウを出られれば、住民たちも浸食にさらされずすむぞ!」

 

 

それに、列車の運転もフェアリーがいれば朝飯前。まさに完璧な作戦。

「よし、準備が整ったら、すぐに行動を開始しよう。」

「猫又、ボンプを連れてって。まずはニコと合流して計画を説明して・・。ナナシのこと、頼んだよ」

 

 

ボンプを抱えながら真剣なまなざしでパエトーンに向き直る、猫又。

「うん、任せて・・・決着をつけて来る」

 

 

猫又は再び『デッドエンドホロウ』へ向かった。

 

 

 

 

一方、ニコ達は住民たちに訴訟の委任状を書いてもらっていた。

「ほれ、アンビーちゃんや、これで委任状は全部だよ」

「ありがとう」

 

 

委任状を書いてもらっている間、猫又にはその足を生かしてパエトーンへ助けを呼んでもらっていったがなかなか帰ってきていなかった。

 

「はぁ、確かに妙だわ・・・また想定外のことに巻き込まれたんじゃないでしょうね?」

ニコがそう物思いにふけっていると。

 

 

 

「そんなに心配してくれたの?うれしい・・けど、当たっちゃったんだよね・・・」

「みんなお待たせ!」

イアスに接続した、リンと猫又が現れたのだ。

 

 

「この声は・・プロキシ!あれ?だけど、ナナシが・・・」

「そのことなんだけどね・・・」

猫又と一緒に事の経緯を説明した。

 

 

「なるほど。列車を止めて爆破自体を辞めさせようとしたけど、車両はヴィジョンの武装した増援で一杯だった・・・。それに、ナナシが『デッドエンドブッチャー』と・・・。」

ギリッ。と歯ぎしりの音が聞こえる。

 

「ならよ。早く助けに行かねえとやばいんじゃねぇのか?」

「そうね・・・早くしないと・・・」

そう言った瞬間だった。何の因果かビリーの真上にホロウの出口が現れる。

 

 

 

「おわーーっ!!」

そこから一人。誰かが落ち、そのままビリーの上に着地した。

 

 

「ぐえぇ」

カエルがつぶれたような音を出しながらビリーが倒れる。

 

 

(あれ?俺、デッドエンドホロウからぬけだせた・・・のか。)

「あっ!ニコに、猫又。イアスもいる!よっしゃー!デッドエンドホロウから抜け出せたのか!」

喜びのあまり、その場でガッツポーズをしているとしたからうめき声が聞こえてきた。

 

 

何事かと下を向くと、そこには俺の尻に敷かれているビリーがあおむけになっていた。

「早く・・・どいてくれ・・・」

「ああ、ごめんごめん・・・。それで、今・・・どういう状況?」

すぐその場から立ち上がり、ほこりを払う。

 

周りを見渡す。

 

 

拳を握りしめたまま動かないニコ。ため息を出す、アンビー。知らないおばさん。つぶれたビリー。ぷくれ顔のイアス。・・・そして。

「ナナシ!!」

俺に飛び込んできた猫又。

 

「よかった、猫又・・・。無事にビデオ屋まで帰れたんだな」

「うん、うん!ナナシも無事でよかった」

俺の表情はいま笑顔でいられているだろうか、猫又に抱き着かれたまではいいのだが、締め付けが強すぎないだろうか・・。

 

 

「それで、ニコはどうしてそんな顔が赤いんだ?それに、プロキシはなんだか怒ってるし・・・」

そのままの体制で首だけ動かし、ニコとイアスの方向へ向く。

 

 

『どうしたもこうしたもないよ!』「どうしたもこうしたもないわよ!!」

二人の声が重なる。とにかく、悟ったのは怒らせてしまっているということだ。

 

「そうだぞ!どうしたもこうしたもないぞ!」

猫又にも・・・。

「今回ばかりはナナシが悪いと思うぜ。背中が痛いぜ・・・」

ビリーにも。

「同感。大人しく怒られて」

アンビーにも。

 

「なんだかわからないけど。悪いことはしちゃいけないよ」

本当に心あたりのないおばさんにも怒られた。おそらく、ここの住人だろう。;

辺りを見渡してもざっと百人以上はいる。予想通り、住民の避難は完了していないんだろう。

 

 

「悪いとは思ってる。だけど、俺の説教は後にしてくれ・・・プロキシ、もう計画はできてるんだろう?早く、住民を逃がさなければ」

『そうだね・・・・。ニコ達もそれでいい?後に説教で』

ニコ達はうなずいた。まぁ、少し不満そうだったが。

 

 

『僕も今回は怒っている・・・覚悟しておくことだ』

普段は怒らないはずのアキラがこんなにも怒っていることに背筋から冷汗をだらだらと滴らせながら

 

「はぁ・・・そうだ。話は変わるんだけど、この近くのホロウに赤牙組の古い拠点があるって聞いたんだけど何か知らない?」

 

 

ニコの質問の意図が数秒わからなかったが、そういえばもともと邪兎屋がここにいる理由は猫又からの依頼を受けて、彼女の形見を探しに来ているのであった。それも、赤牙組のアジトに乗り込み続けてその結果ここまで来ているのであった。

「‥‥だけど、まさか猫又の依頼料をまだ気にしてるんだな・・・」

 

 

ヴィジョンを訴訟してガッポガッポて言うところだというのに猫又の依頼にも・・・と言う抜け目なさに驚く。

「そ、そんなわけないじゃない!家族の形見がまだ見つかってないのよ。ここの住民なら、何か知ってるかと思って」

「そのあたりのことから、知ってるよ。と言うより・・・ここに住んでる人で、赤牙組のことを知らない人はいないだろうね」

「どういうことだ?」

もしかして、ここを仕切っていたとか・・・。

ご老人から話を聞くにここらへんでちょうど赤牙組は生まれたらしい。そして、ここに住む人々は、何かしら彼らと関わりを持っているらしい。

 

「もっとも、赤牙組も昔はずいぶん違ったんだよ。当時は孤児たちを引き取って、戦い方のほかに読み書きも教えていたんだ。弱気を助けるために立ち上がったのも、一度や二度じゃなかった」

 

(ご老人の話し方の端々に敬意のような尊敬の念を感じる。・・・孤児・・・、シルバーヘッド・・・いやデュラハン討伐からそれほど時間が経っていない。・・・猫又はやたら詳しく赤牙組について知っていた・・・。孤児・・・戦い方。・・・・尊敬・・・。仇討ち・・・。)

流石に考えすぎ、だと首を振る。これまでの仮設にはある程度根拠をもって立てていた。だが、今回ばかりは根拠も何もない、ただの妄想だ。

 

しかし・・・。俺がゴッドハンドで列車を退けたタイミング・・・。その時、確かに猫又から『敵意』のようなものを感じた。その時は『嫌な予感』と形容したが、時間が経てば前者のニュアンスがぴったりだ。

 

「ずっとこの場所を・・・故郷を守ると言ってたのに、あのシルバーヘッドって若造、数年経ってめっきり人が変わってね。貧民街を見下すようになってからは、組員を率いて、人様に言えないようなことにも手を出し始めた。」

目を細める。他人事じゃない、最初は俺も大根泥棒から始まったが度が過ぎればあっさりそっち側に堕ちていただろう。

まぁ、プロキシやってる時点で堕ちている気がしなくもないが。

 

 

 

そして、そんな姿に見ていられなくなったメンバーは組を抜け、赤牙組もここを離れた。

 

 

「あたしらは今の赤牙組と関わりないし、関わりたくもない。『シルバーヘッド』が治安局に追われてホロウに堕ちたのだって、ただの自業自得だとしか思えないね・・・」

その後の末路はよく知っている。エーテリアスになって、俺達に討伐された。

 

 

だが、この時素っ頓狂な声を上げたのは猫又だった。

「えっ、今、なんて?」

何か気に障ったのかご老人が聞くもどうやら違うらしい。

 

 

「そ、そこじゃなくて・・・!『シルバーヘッド』は、治安局にやられてホロウに落ちたの?邪兎屋とナナシにやられたんじゃなくて?」

(・・・そこが重要になる・・・。理由なんて・・・一つしかない。)

 

 

「ぎくっ・・!そ、それは・・・」

痛いところを突かれたようにニコが声を上げる。

「・・・ニコ、言ってなかったんだな。意地っ張りもここまで来るとは・・・」

「違うんだぜ!誤解を解こうと思ったんだが・・・。そのキラキラした目で見つめられると、何も言えなくなっちまって‥!」

「はぁ、つまり。言い出すタイミングがなかったと」

ニコ達が頷く。とっくに言い出しているもんかと思ったが・・・。

 

ジーっとニコを睨む。

「そ、そうね。これに関してはあたしたちにもほんの少し責任もあるわ。だから、形見探しの依頼料は、ちょっぴりおまけしてあげる!」

「はぁ・・・。がめついなぁ、ニコは」

「う、うるさいわね!さっさと出発するわよ!」

 

 

俺達は列車奪取に向かうのだった。

 

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