ゼンレスゾーンゼロ ・ 聖剣   作:うどん米

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第13話・列車奪取作戦

 

 

プロキシの誘導に従いながらホロウを駆け抜ける。

『この先を行けば、抜け道になってる。先回りができるはずだ』

「了解」

 

走っている途中にも気配察知を忘れない、道中現れたエーテリアスは俺がイアスを荷物のように抱えながらもう片腕で、膝を支点にしててこの原理を使って首を引き裂いたりしながらなるべく交戦しないように動いていた。

 

 

数メートル走った時点で駅のようなものが確認できた。

「さあみんな、そろそろ列車に着くわよ!作戦内容は簡単、守衛を倒す、列車を奪う、そのままずらかる以上よ!」

「簡単で助かる!」

 

「プロキシ、運転はあんたに任せたからね。そっちの準備はどう?」

『ふっふっふ~。腕がなるね~』

興奮する気持ちはわかる列車の運転なんて夢だ、しかしこの時くらい抑えてほしいものだ。

 

 

「俺と猫又が先行する。ニコ達は後ろについてきて」

「了解、ナナシと猫又の方が小回り効くものね」

(それに、万が一背中が狙われないようにと言うのもある。もちろんアンビーも小回りは聞く方だが、どちらかと言えば猫又の方が柔軟な動きができる分狭い駅内部では効果的だろう)

 

そう、だからちょっと頬を膨らませているアンビーは見なかったことにしよう。

「デンデンデンデンデンデンデン」

「アンビーが壊れちゃったぞ!!」

(気にするな・・・気にするな・・・)

 

「来るわよ!」

ニコの宣言と同時に守衛と目が合う。

 

 

ゼロ距離で。

「な、何者だ!?しまった、敵襲だ」

こいつらの攻撃手段は遠距離主体、近づいてしまえばどうということもない。

然も、抜け道のおかげで背後を取れた。俺と猫又は内部に侵入したので囲まれる形になる。

 

 

 

「ニコ!背中は頼んだ!」

「頼まれたわ!」

それよりも前の敵、こちらに向けられた銃口をつかみ上に持ち上げる。

 

当然、守衛は抵抗して下に下げようとする。だから、次は力を抜いて下に銃口を向けさせる。そして、足で抑え込む。そのまま、顎に向かってアッパーカットを放ち気絶させる。

「ふんっ!」

 

 

「貴様!よくも!」

「お前の相手はあたしだぞ!」

猫又の見事な蹴りが命中し守衛は倒れる。

(さてと、駅内部に数人まだいる。おそらく一人があのだるま・・・)

 

 

「猫又、ここ任せる!」

「わかった!」

 

 

狭いところならば

「つぶれろ!『ゴッドハンド!』」

ゴッドハンドを展開し、銃弾をはじきながら、守衛とだるまを奥に誘導する。

 

(一番奥にいるのがパールマンになったこのタイミング)

ゴッドハンドをグーに硬めギュン、ダン。

「ドカン!『正義の鉄拳』」

狭いところなら『正義の鉄拳』をよけるすべはない。そのまま守衛を吹き飛ばし、パールマンに当たる寸前で解除する。

 

 

そして、正義の鉄拳が霧散した後、俺の背後から猫又が現れ、パールマンを拘束した。

「グハァ!」

なんてありふれた声出しながら倒れ込むパールマン。

 

「だるまのオッサン!命をなんとも思わない大悪党め、大人しく降参しろ!」

「猫又、こいつも連れてって!アンビーとビリーが運転室に向かってる。プロキシ、ホームで乗車を待つように住民たちに知らせて!」

そう言うとわかりやすくパールマンは動揺した。

 

「お、お前たち・・あのスラムの連中を列車で連れ出すつもりか?させん!させんぞ!連中が外に出て何か言おうものなら、私とヴィジョンは終わりだ!」

「お前らの利益のために住民たちが死ぬのに比べたらどうでもいいわ!」

 

すると、パールマンは泣きながら。

「誰でも構わん、どんな手を使ってでも、こいつらを阻止しろ---」

だが、こいつの体にマイクのようなものはないことは確認済み・・。

 

 

『警告!予定ルート上路線の予期せぬ破断。小規模な爆発による線路の損壊を検出。計画は失敗です』

そうフェアリーから通信が入る。

(もしかして、誰かに伝わる何かがあった?違う、マイクはない。もしかして、こいつは捨て石・・・。あやつっている奴が別にいる可能性が・・・)

いや、と視線を向ける。ちょうどニコが踏んでいる守衛には何かのスイッチが握られていた。

 

「パ、パールマン長官、ご安心を!新エリー都に続く唯一の線路を爆破しました。これで奴らはもう出られません」

「ていうか、なんで線路を爆破する用意があるんだよ!」

(まさかこいつ、すべてが終わったら住民の退路ぶち壊そうとしてたなぁ・・・ッ!)

 

もうすでに青筋全快で今にも手も足も出そうだがぐっと抑える。

「ひぃっ!」

辞めよう。下手にこれ以上こいつらに動き回られたら何が起きるかわかったもんじゃない。

 

「ぐえっ」

ボタンを押しやがった守衛にかかと落としを食らわせ気絶させる。

どうしようか考えていると外で戦っていた。ビリーとアンビーが内部に入ってくる。

 

「ニコ、四方から敵の増援が来てる!どうする?」

確かに、気配を探るとここに居る守衛の二倍ほどの数が四方を取り囲み始めている。

(長居はやばいな)

 

「ああもう・・・だるまのオッサンを連れて、列車の中に隠れるわよ!」

だるまのオッサンを列車の中に放り込み、ニコ達は続々と列車に入っていく。

「は、早く。ナナシも入りなさい!」

「いや、ちょっと待って」

 

 

付近にあった無線機をもって中に入る。

 

 

 

「パールマン長官。列車付近で身元不明の侵入者による襲撃を受けました」

 

守衛にパールマンから無線が入る。守衛が無線機に話しかける。

「負傷者も出ておりますが、人数や物資の面では我々が優勢と思われます。侵入者は今、列車の運転室に立てこもっています。火力を頼んで突入いたしますか?ご指示願います」

 

だが、返答はなかなか返ってこない。しかし数秒後返ってきた返事は・・・。

「と、突入はするな!私は今その運転室だ!邪兎屋の侵・・・くっ紳士淑女に捕まっている!!」

 

なんとも情けない長官殿に守衛たちの苦労が目に浮かぶが、それよりも重要なのはどう考えても価値が低そうなこの小物がヴィジョンにとって交渉に使えるものなのかと言うことだ。

 

 

それよりも、絶対に動くなと念押ししているパールマンにむしろ不安が高まる。だが、責任問題について話してもいるため問題はないだろう。

 

「・・・情けないなぁ」

「でもよ、あのおっさん意外と役に立つと思わねぇか?」

「そう言うことじゃない、問題は奴らにとってこんな情けない奴が重要なのかどうかだ」

なるほどと言いながら納得するもしヴィジョンがこいつの価値を低く見積もれば、突入されたちまち囲まれてしまう。

 

 

 

「しばらくは攻撃されないと信じたい。でも、私達の計画も失敗に終わった」

(どうやって・・・住民を・・・)

そういえば、俺出発前にフェアリーに何か頼んでいたような・・・。

 

 

そんなことを考えていると突如猫又が薄ら笑いをし始めた。

「ど、どうした?猫又。ついに狂ったか?」

「ううん、別に狂ったわけじゃないよ。・・・これ。あたしの家族の形見。」

そう言い彼女は持っていた装飾品に入っている写真をこちらに見せて来る。

その写真に写っていた猫又と、もう一人・・。

 

 

 

「ッ!?」

近くにいたビリーとアンビーの裾をつかんで後ろに跳ぶ。

「ど、どうたんだナナシ?急に距離を取って」

ビリーの困惑の声に指さしで対応する。

 

「あれを見ろ。」

「あれって・・猫又と・・・『シルバーヘッド』じゃねぇか!!」

これが何を意味するか、そしてなぜこのタイミングで伝えてきたのかわからないこともあるが、ともかく猫又の最初の目的ははっきりした。

 

 

 

「猫又、正直に答えてほしい。君が邪兎屋に依頼した理由は『シルバーヘッドの仇討ち』じゃないかな?」

「うん・・・。実は、あんた達を騙してたんだ。赤牙組に形見を奪われたってのも、嘘。私は昔カンバス通りの近くに住んでて、組に引き取られた孤児の一人なの」

脈拍も正常。顔をぺたぺた触るなどの行為も無し。平坦なしゃべり具合。

真実の可能性の方が高い。

 

 

赤牙組には昔理想があった。故郷を守ろうという誓いも立てていたらしい。

しかし、ご老人が言っていたように、組はだんだん非道な道に進んでいった。そして、猫又は組を抜けた一人だったらしい。

「でも、どんなに組に失望しても・・それでも『シルバーヘッド』が引き取ってくれたことは事実だし、あそこはあたしにとって、一番『家』に近い場所だったんだ」

(居場所か・・・)

 

 

そして、後は俺の予想通り、『シルバーヘッド』がホロウにおびき寄せられて死んだと聞いた猫又はその復讐のために邪兎屋をデッドエンドホロウに連れ出し、そこからもう一人の構成員つまり、俺ナナシのことも一網打尽にしてやろうと画策していたらしい。

(あの時の、敵意はそう言うことだったのか・・・)

 

 

「だけどあんたたちは、あたしが想像したのとずいぶん違って・・・。子供を助けるためにホロウを駆け回ってくれたり、ヴィジョンの陰謀を知った後も、ためらわず残ることを選んでくれた。ナナシはあたしのことに怪しんでたのに、デッドエンドブッチャーからあたしを逃がすために戦ってくれた。結局、『シルバーヘッド』が死んだのもあんたたちのせいじゃなかったし・・・あたしにはもう、あんたたちに復讐する理由がない。」

静かにみんな、猫又の言葉に耳を傾けていた。

 

「赤牙組は誓いを破って、守るべき人たちを見捨てちゃった・・・かつて一員だったものとして、組が同じ過ちを繰り返すことを、黙ってみてるわけにはいかないんだ」

そう言うとパールマンの襟をつかむ。

 

「覚悟はできてる---あたしがヴィジョンと交渉してくる。安心して。パールマンって切札もあるし、あたしの出身が赤牙組だって知ったら、きっと交渉に応じてくれる・・・」

「待て!」

猫又が列車の扉を開けるタイミングで彼女の腕をつかむ。

 

 

「わかって」

だが、こちらに目線を向け。真剣なまなざしで言われた一言に・・・俺は手を離した。

 

 

 

「---依頼人さん!猫又!・・・オイ、戻って来い!!!」

ビリーの言葉むなしく、扉が閉まることをまじまじと見つめることしかできなかった。

そして、そのまま扉は開くことはなかった。

 

 

「くっ」

因果応報とはこういうことなのだろうか・・。意趣返しにもほどがある・・・。しかし、俺にできることは唇をただかみしめることだけだった。

 

 

 

皆は閑話とか、IFの話とか読みたい?

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