ゼンレスゾーンゼロ ・ 聖剣   作:うどん米

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第14話・第2作戦開始

 

 

「猫又!猫又ってば!アンビー、ビリー、ナナシ、早くドアを開けて!」

ニコの言葉でやっと正気に戻る。

「・・・・あぁ!『熱血パンチ!』

 

 

この前の列車を止めた時なら、これで破れるはず・・・!だが、むなしく多少傷をつける程度ではじかれてしまった。

「ナナシ、任せて!」

 

それに続きアンビーもビリーも攻撃するが扉はびくともしなかった。

「だめだ!ニコの親分!この車両、窓もドアも信じられねぇほど頑丈だ。あのパールマンって奴が、わざわざ補強させたに違いねぇ!」

「その可能性が高いだろう。前の列車は猫又と俺があっさりぶち破れるほどの強度だった」

 

列車の前で地団太を踏むニコ。流石にこの狭さでは正義の鉄拳は使えない。ゴッドハンドも列車をゆがめるくらいが精いっぱいだろう。

 

 

同時刻。

猫又は治安局に化けた。偽物と交渉を行っていた。

 

「今からあたしは、あんたたちのボスを連れて徒歩でホロウを抜ける。目的は、新エリー都の爆破解体本部での交渉だ」

そう言い、あらかたほかにも条件を提示しつつ、猫又は交渉場所である爆破解体本部へ向かって行った。

 

 

「・・・ナナシ、みんなのこと頼んだ。」

 

 

その後、列車を抜け出せたのはその出来事から数分後のことだった。

「やった!ようやく出られたぞ!」

俺の熱血パンチとビリーの弾丸を使いまくり、車両のドアに少し穴をあけた後、アンビーの剣を使い無理やりこじ開けたのだ。

 

 

「大丈夫なの?そんなに技を使って、あの時みたいに倒れられたら困るんだけど!」

ニコの口調は強いが節々から心配の念が伝わってくる。

「大丈夫!あの時は違って、ちゃんと固形物食べてきたから、それにカンバス通りでご老人から色々もらったから」

そう言いもらったお菓子を見せる。

 

「・・・餌付けされてるわね」

ニコが小声でつぶやいたそれは聞こえることはなかった。

 

 

「でも結局かなり時間がかかってしまった・・・。」

「そうね、おそらく猫又とパールマンたちは、もうホロウに入っちゃってるはずよ」

 

リンがフェアリーに現在の猫又の位置を確認する。

『依頼人の現在地を特定。進路によると、依頼人はおよそ30分後にホロウの出口に到着すると推測されます』

「30分か・・・間に合わない。だからと言って、住民の救出があの小物一人を交渉材料にしたところで成功するとも思えない。どうにかして、俺達の方で住民の避難を完了させないと・・・」

 

 

だが、住民にエーテル適正はない。その上、彼奴らのせいで列車の線路は爆破済み。

別プランを考える必要がある。

「ああもう!一瞬で全員にエーテル適正を上げる方法があればいいのに!」

『そんなの不可能だよ・・・。見方を変える必要があるかもね。『山もしわれに来たらずば、われ山へ行くべし』って言うでしょ?』

『その通りです。マスターナナシ、もしかしてお忘れですか?』

リンの言葉に続いて、そう言ったフェアリーに思わず首をかしげる。

 

 

すると『はっ』と鼻で笑ったような声が聞こえ、ちょっと青筋がたった。

『マスターナナシは、以前よりデッドエンドホロウを調査し住民の避難が終わっていないことに気づいていました。そのため、何個か住民を避難させるプランを考えておいてほしいと私に言っておりました』

『‥‥ナナシ』

アキラの短い言葉、それだけで呆れが伝わってくる。

 

 

『説教追加・・だよ!』

「そういえば、頼んでいたような。いなかったような・・・」

正直ここに来るまで色々ありすぎて記憶が飛んでいた。

 

 

『・・なるほど、流石は僕の妹と従業員だ。危険は伴うけど、僕たちに残された唯一の方法かもしれない。』

「きっと、アキラが今考えているのと同じ作戦だと思うよ」

当初、列車なんて知らなかったので、どうにかしてデッドエンドブッチャーを打倒もしくはちまちまそこら辺のエーテリアスを殲滅してやろうという大雑把な作戦だった。

こんな作戦が可能な理由は、まず別にカンバス通りと新エリー都、この二つはそう離れているわけじゃない。

あくまで、デッドエンドホロウの拡張によって道が塞がれたのでわざわざ列車を使わなければいけなかっただけなのだ。

 

 

「そうか!その手があったか!エーテリアスをたたけばいいだけだろ?俺たちに取っちゃ楽勝だな」

「あぁ、時間があればな」

確かに、ビリーの言う通りエーテリアスをちまちま倒していくだけでもデッドエンドホロウは収縮していく、しかし雑魚をいくら倒しても3000体は倒さなければいけないという計算だったのだ。

 

「うん、でも特定状況下において、一部の巨大な個体のエーテリ活性は、標準的なエーテリアスの数千倍、あるいはこれ以上に達する・・・例えば、ナナシが戦った『デッドエンドブッチャー』とか」

「あのデデデ・・・デカブツのことか?」

ビリーが頭を抱えながら驚く。

 

 

「デッドエンドブッチャーか・・・。確かに彼奴を倒せれば・・・と思ったんだけど『正義の鉄拳』で動きは止められてもあれを倒す攻撃手段がない」

「逆に動きは止められるのかよ!!」

そういえば、俺は自分がどうやってデッドエンドブッチャーから逃げ切ったのか説明してなかった。

 

 

あの時会ったことをかいつまんで説明した。

『なるほど、それにしてもおめでとう。『正義の鉄拳』は完成したんだね』

「・・・あぁ」

浮かない顔をしていたことに気づかれたのだろう。

 

「どうしたんだ?せっかく、新技が完成したっていうのに・・・」

「うーん。なんだか、違和感があるんだ・・・。本当にこんなもんなのかなって・・」

あの時、夢で見た『正義の鉄拳』は一撃で山をえぐっていた。しかし、俺の正義の鉄拳にはなんというか迫力と言うか何か足りない気がする。

それに・・・。

『そして、究極奥義に完成無し』

 

 

(完成がない・・・。完成しないってどういうことだ?)

ぐるぐると頭の中で回り続けるフレーズ。だが、すぐ話を戻す。

 

「だけど、正義の鉄拳でもデッドエンドブッチャーを吹き飛ばせる程度だった」

『十分だよ。僕たちだけでは、デッドエンドブッチャーにかなわないだろう。でも・・・ここにはヴィジョンが送り込んでくれた武器がたくさん積まれている』

「そうか!エーテル爆薬がたくさん積まれてるから!」

 

 

『そう!それでデッドエンドブッチャーを吹き飛ばしてやろう!』

得意げな、リンの声。確かに、危険が伴うことに間違いはない。しかし、猫又を助けて住民も救う、どっちもやるのだから危険くらいわけない。

 

「覚悟は決めたようね。迷ってる時間はないわ、すぐ作戦開始よ!」

「「「『『了解!!』』」」」

 

 

まず、ヴィジョンからエーテル爆薬を列車につむことになった。

その時、フェアリーから通信が入った。

『注意、猫宮又奈の生体信号を検出。間もなくホロウ出口に到着します』

「時間がないな・・・大部分は俺の『ゴッドハンド』で運ぶ!」

爆薬を慎重につかみ、列車にダッシュで戻る。

 

 

 

一方その頃、猫又は・・・。

パールマンを連れ、ホロウの出口にまで到着していた。そこにあった演説台のような場所に乗る。

 

「どういうことだ、小娘ごときにパールマン長官をさらわれただと?」

「詳しいことは知らないが・・パールマン長官が人質に取れれた以上、爆破エリアの兄弟たちも、小娘の要求通り撤退するしかなかったそうだ」

「小娘はさらに、ここの責任者を出せと言ったらしい。それに応じたサラ長官が、直々に交渉に出向いているとのことだ・・・」

ざわざわと、小娘・・猫又を囲んだ。兵士たちは、この状況を確認しあっていた。

 

 

女が一人、兵士の中から現れる。彼女がサラ長官だろう。

「あんたが今の責任者?あたしの要求は簡単---爆破を中止して、閉じ込められた住民たちの救出を約束すれば、こいつを返す」

「はっ、簡単に言ってくれるわね。あなたの言う通りにしたとして我々ヴィジョンはこの件をどう世間に申し開きすれば?」

 

ヴィジョンからすれば、もしこの事実を公表したり、されたりすればとんでもないことになる。間違いなく、スキャンダル確定。

ましてや、『費用削減のために住民ごと爆破します』なんて公表すれば一生、仕事が来ない可能性すらある。責任問題にも発展するだろう。

 

 

「それ以前にあなたは誰?一人で交渉の場に来た度胸は買うけど・・・狩る側がかられる可能性だってあるのよ?」

相手の軽い挑発交じりの質問。それに対し・・。

 

 

「おっと、自己紹介を忘れてた。あたしは猫宮又奈、猫又って呼んでもいいぞ。何を隠そうあたし赤牙組の元組員なんだ」

赤牙組の元とは言え組員のこの行動、相手も戯言と無視することは難しい。

 

 

猫又の切り札と言うのは、亜牙組の残党、今は亡き『シルバーヘッド』のミゲルの爪旧都の住民を人質にして、工事を妨害した張本人を猫又にして、ヴィジョンにとらえさせるというものだった。

 

「自分を犠牲に幕を引くの?なかなか殊勝なことするのね。」

「殊勝?ははっ・・・あたしは帰る場所をなくした、ただの野良猫。どこにも属さないあたしにはこれくらいがお似合いなんだ」

自虐的に言う、猫又。もちろん、この交渉にヴィジョンが乗れば・・・。特に犠牲なくパールマン長官を取り戻すことができる。ただ、逃げられた住人からの訴訟の嵐となるだろう。

 

 

だが、ひとつ決定的なミスを猫又はしていた。

バンッ!

 

 

 

 

サラ長官が引き金を引く、それはパールマンの額に命中し入れていた箱ごと後ろに倒れる。

「---?」

「安心して、中身は実験中の麻酔薬よ。死にはしないわ」

 

 

「親切で教えてあげる。次は交渉する前に、切り札の価値を確認しておくことね。残念ながらパールマンさんは・・・あなたが思うほど役に立たないの。」

淡々と、平坦な声でサラ長官はそう告げる。

 

 

 

『そう言うことじゃない、問題は奴らにとってこんな情けない奴が重要なのかどうかだ』

 

この時猫又はナナシが言っていたあの言葉が鮮明によみがえっていた。

 

 

 

 

皆は閑話とか、IFの話とか読みたい?

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