ヴィジョンの事件から数日たった。あの後、飲食店でどんちゃん騒ぎを起こし店主に怒られたり、色々あったがともかく全員無事に生きて帰ることができた。
結局俺は、その次の日こっぴどくアキラとリンに叱られることになった。どうやらごまかしは効かなかったらしい。無念・・・。
しかし、ひとつ気がかりな部分があった。それは、サラ長官だ。
後から聞いたのだが、あの場からサラ長官は逃げ出すことに成功しており、いまだに足取りが終えていないらしい。その上、猫又によれば彼女が全ての主犯のようだ。
(操り人形のパールマン・・・。ヴィジョンからすぐ姿を消せる手腕・・・。どこかのエージェント・・・。)
もしくはどこかの企業から送られた企業スパイとか。
嫌な想像は一度考えると止まらないと言われるが・・・。俺はこの負のスパイラルを断ち切るために縮小された『デッドエンドホロウ』へ向かった。
「・・・デッドエンドブッチャーが撃破され、住民は避難に成功した。ヴィジョンは今や炎上中か・・・。」
つまり、次に工事を請け負う会社が現れるということになる。予想ではおそらく白祇重工の可能性が高い。
だが、あそこはあくまで新参企業の部類と言っていいだろう。他の、企業からの圧力もすごいことになってるだろうなぁ・・・。
それよりも気がかりなのは、デッドエンドブッチャーを倒したというのに、奥から感じる気色悪い気配が消えないことだ。
(まぁ・・・いいか)
「だから何だ・・・って話だな」
それが、俺達に関係があるかと言われればない。あちらは建設企業、こちらはプロキシ。本来なら交わることはないのだから。
片手間でエーテリアスを殲滅しながら、散歩をする。
正義の鉄拳の夢以降、俺は過去の記憶を見ていない。
理由はわからないが、まぁ別に困っているわけじゃない・・・。あの時、正義の鉄拳が進化した理由はわからない。全く、わからないこと尽くしである。
「結局、聖剣の手がかりを見つけることもできないし」
聖剣の話が出てもう結構話数たったのに、全く何も出てこない。
(あれ?話数?何言ってんだ俺?)
急に降ってきた何かを首を振り掻き消す。
それでも、なんだか気持ち悪さが消えなかったので俺はビデオ屋に帰った。
「おかえり、ナナシ。また、ホロウのパトロールかい?」
片手にフライパンを持った、アキラが奥から現れる。
今は開店前の為、客はいないがわざわざ奥から出て来るなんて・・・・。
「ただいま、アキラ。別にパトロールってわけじゃないが、少し考え事をしていたんだ」
「考え事か・・もう朝食を食べ始めるからよければその時教えてくれないか?」
「わかった」
『私にも教えてー!』
奥からリンの声も聞こえてきた、どうやら腹を空かしているらしい。これは、早くいかねばと手を洗ってから奥へ向かう。
「・・・聖剣の話か。そういえば、今日ニコ達が調査に進展があるから来ると言っていた。もしかしたら何か情報があるかもしれないな」
「聖剣かー。私が、持ってたら絶対ビーム出したいな」
「あはは、絶対リンには持たせないほうがいいな」
多分、持たせたら近い将来ここら辺が更地になりそう。
話しているとあっと言う間にニコ達が来る時間になった。
「久しぶりね、プロキシ。ナナシ」
「久しぶり、ニコ。」
来て早速と言うことで、調査の話と近況を聞く。
「まずは・・猫又と赤牙組の間柄のおかげで、もう赤牙組がちょっかいを出してくることはないわ。それと、調査の件だけど・・・組員から聞いた話だと、彼らは金庫争奪の件に関わったとはいえ、その出所については誰も知らないそうよ」
「それってつまり、赤牙組もあくまで中継地点だったってこと?」
ニコはうなずく。てっきり赤牙組がエーテル物質目的に欲していたのかと思ったが違うようだ。
「シルバーヘッドは、研究所で金庫を手に入れる依頼を謎の依頼人から受けただけらしいの。」
わかったのはそれだけ、謎の依頼人の正体も、どう処理するのか誰に受け渡すのかも謎。
一番怪しいのはあの日、ハッキングをしてきたあのハッカーだ。そんな報告に待ったをかけたのはアキラだった。
「待ってくれ。僕の聞き間違いかな?『出所については誰も知らない』『謎の依頼人』『みんなわからない』・・・」
「これが進展・・・」
「そもそもあの金庫は手がかりがなさ過ぎて、調査が難航してるの!それに、折角助かった住民たちのために、慰謝料を勝ち取ってあげたい気持ちもあるし・・・あの人達を救ったのは、他でもないあたしたちでしょ?」
どうやら、ニコは道徳を盾にすることを覚えたようだ。
そう言われるとこれ以上責められない、悲しい限りだ。
「それと、ナナシの調査の件だけど。ナナシが、記憶喪失から初めて目覚めた場所を中心に聞き込みをしてみたけど・・・・何も出なかったわ」
「え?」
「本当に、何も出なかったの。例えるなら、そこに急に人が現れたみたいに空白になってたの」
ニコがそう念押ししてくる。
「そんなことありえないだろう?現れる前の目撃者がいないとおかしいじゃないか」
「そうよ、だけれど。ナナシの場合そこに現れた後の目撃者しかいないの」
(なんだそれ?)
思わず心の中で突っ込んでしまったが、つまり突然現れた人間と言うことになる。
それが、様々な技を使える人間だった・・。きな臭い、自分がとてつもなく疑わしく思えるのはとても悲しい。
「まぁ・・・いいや。これ以上聞いても何も出てこなさそうだし・・。それよりもさ・・・」
俺は視線を自分の膝に向ける。
「にゃにゃ~ん・・・居心地がいいにゃーん。ほらほら~みんなの集合写真をプリントしたんだにゃ~!ん~よく撮れてる!こっちがアキラの分で、こっちらリンちゃんの・・。これが、ナナシの!」
「・・・ありがとう」
みんなが揃った集合写真を渡される、うんみんな笑顔だ。
しかし・・・。
もう突っ込んだら負けだと思ってこれまで全スルーでいたが、猫又は堂々と俺の膝を枕にしてソファで寝ていた。
しかも、頭をすりすりしてくるので地味に痛い。
わざとらしい語尾を付けながら話す姿に一周回って感心してしまう。
「あー、その。猫又がね、どうしても来たいって聞かなくて、それにナナシのことが気に入ったみたいで」
気まずそうに、ニコが答える。
「ん、三人ともどうかした?突然現れたあたしにびっくりしたのか?」
「ああ、びっくりしたよ。扉開けたら一直線に俺のところに来て躊躇なく俺の膝、枕にしたからね・・うん。びっくりした」
なぜか、満面の笑みになる猫又。だが、ニコに促され立ち上がる。
「コホン、改めて紹介するわ。邪兎屋の新しい従業員---」
「猫宮又奈、猫又って呼んでいいぞ!今は邪兎屋で働いてるんだ。三人とも、これからもよろしくだにゃ~!」
これからまた一波乱ありそうだなぁ・・・。爆弾が増えただけではと少し頭が痛くなったがひとまずは今を楽しもう。
そう思ったのだ。
(だけど、何で猫又は俺の膝にまっすぐ突っ込んできたんだ?)
考えてみたが思い当たる節もない。まぁ、別に気にするようなことでもない、嫌われているわけじゃないみたいだし。
「あたしの物にはマーキングしないとな!」
この言葉が、ナナシに届くことはなかった。
Season2 完
皆は閑話とか、IFの話とか読みたい?
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読みたーい!(特にヤンデレ)
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読みたーい!(ラブラブ!)
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読みたーい!(好感度測定器みたいなやつ)
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いや、読みたいのは本編だ!遅れてんぞ!
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作者さんの自由で!
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こんなアンケートする前に書け