ゼンレスゾーンゼロ ・ 聖剣   作:うどん米

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第17話・依頼

 

 

 

テレビをつけてみると。

『どんなギモンも~?』

『ボンプは知っている~~!』

と言うゆるい始まりの元番組が始まった。どうやら、子供の教育番組と言う感じなのだろう。

 

 

然も、番組の司会もボンプが務めているという・・。と言うより気になったのは本当に子供番組に存在していいのかと疑わしいほどぐたっとした姿のライオンの着ぐるみだった。

 

『ぐぅ・・・ぐー』

このライオン寝ていやがる。しかもかなりでかいいびきをかいて。ボンプに耳をつかまれ起きるライオン。

(こいつ、首にした方がいいんじゃないかな?と言うか、何でこんな奴が出演しているんだ?)

その疑問の答えはすぐにわかった。

 

 

『あー・・・別に呼ばなくていいぞ。もうここに居るしな』

気まずそうに答える、まさに体育会系と言う感じの男。

見たことがある、確か白祇重工の人でヴィジョンの騒動の時にも手を貸してくれた・・・名前は確かアンビー・・・は違くて。

 

『白なんとか重工のアンド―お兄さんだよ!どうぞ~!』

『もういるっつってんだろ!それと、『ぎ』だよ『ぎ』、『白祇重工』!』

そうだ、アンド―って名前だった。と言うか、まぁ祇と言う感じが読めないのはわからなくもないが。

なんというか気が抜ける番組だ。

 

 

そして、今回の番組んメインテーマと言うのが、『白祇重工VSヴィジョン。地下鉄改修プラン比べ!!』と言うもので、本当に子供番組か少し疑いたくなった。

『はぁ?おい、なんかの手違いか?こんな難しい話、子供にわかるわけねぇだろ?』

 

どうやら、俺とアンド―さんの意見は一致したらしい。

だが、一人子供が現れ白祇重工の凄さを全くの無知の俺が理解できるぐらいわかりやすく説明してくれた。

(最近の子供って進んでるんだな・・・)

 

白祇重工の素晴らしいところは『ホロウ用知能重工業機械』と言うエーテル浸食に耐えうる性能を持つ機械での作業ができるということだ。

確かに、安心安全のプラン。知能を持った機械がいれば人間がわざわざ危険を冒す必要もないのだ。

 

 

だが 、それに突っかかってきたのは先ほどまで寝ていやがったライオンだった。

『白祇重工の方が優れている?くくっ、それはどうガォ?』

地味に語尾がしっかりしているのがまたイラつくが、子供の夢を守ろうとしているんだと解釈し青筋を抑える。

 

 

こいつの言い分はこうだ。

利用者的には、安全リニューアルされた安心安全な地下鉄システムだという意見だ。

確かに、一理はあるが、安心など安全などヴィジョンに何を言っているんだという話だ。

 

『口約束の『安全』を信じろと?ヴィジョンはコスト削減の為なら、一般市民を犠牲にすることもいとわない、最低な会社ですよ!』

少年の勇気ある反論に思わず、腕を組んで頷いてしまう。

 

『くっくっくっ、最低な会社・・・?じゃ逆に聞くけど、白祇重工が良い会社だって根拠はどこ?』

ライオンの反論には思わず舌打ちが出る。

 

 

 

『白祇重工だって数年前、お騒がせな不祥事を起こしたことがあるガオー』

ここで、少し興味深い話が聞けた。不祥事・・・か。少し気になるからあとでフェアリーに調べてもらおう。

 

すると、アンド―がライオンの胸倉をつかみ持ち上げた。

『おい、どういう魂胆で言ってやがる!』

『どーどー、アンド―君、子供たちが怖がっちゃうがガオよー』

 

 

それに激高したアンド―が着ぐるみをはぎ取る。

『くっくっくっ。僕に裏の顔なんてないよ。アンド―君。裏の顔があるのはさあ、建設会社の経営を隠れ蓑に、大金を持ち逃げした、どっかの社長の方じゃないかい!?』

 

 

そう言い残し、放送は終わった。

「やれやれ、スタジオは大荒れだ。こんな番組がお茶の間に流れるなんてね。けど、意外だな。白祇重工は世間からの評判もいいのに、いまだに黒歴史を掘り起こされるなんて・・」

「もしかすれば、白祇重工はあくまで新興企業の部類だから、旧都の地下改修プロジェクトをヴィジョンがやらかした後落札したんだ、それをよく思わないやつらからの嫌がらせかもな・・・」

もしかすれば、もっと闇は深いかもしれない。

 

「・・・その可能性もあるね。それにこのプロジェクトを軸にあと一、二悶着はありそうだ」

 

その時ピロンと通知音が鳴る。

『マスター、指名のあった依頼人からDMが届きました』

「向こうから連絡が来たの?」

確か詳細はDMで伝えると言っていたような・・・。

 

 

『肯定。DMの一部に、「生きるか死ぬか」を迫られる内容を検出。ただいま読み上げます---』

「え?どっちが?」

俺達が生きるか死ぬかなのかそれともあちら側なのか。

 

 

『『パエトーン』。オレらに力を貸してくれ!恥を忍んで言うが・・・オレたちは今、生きるか死ぬかの瀬戸際だ。力を貸してくれ---頼れる相手は、お前しかいねぇんだ!事情が事情何でな。依頼内容をここに書けば一発でこっちの正体がバレちまう。つうことで、ここはひとつサシで会おうや。明日の朝5時に、六分街の交差点に来てくれ。頼む!』

文面からでも伝わる暑苦しさをほぼ棒読みと言っていいフェアリーが言うととても違和感がある。

それよりも、まず問題は相手が俺たちを『パエトーン』だと知っているということだ。

 

 

 

「はぁ・・・十中八九白祇重工からの依頼だな。ホロウがらみと見て間違いない」

「そうだね、DMを見る限り相当切羽詰まっているらしい。けど、面会を要求してくるとは怪しいな」

確かに、直接犯罪者に会うようなものだどちらにもリスクがある。それに朝5時ではピンチになっても周りの助けは得られない。

 

 

「どうする?相手はこっちをパエトーンだとわかっているみたいだし、交渉に行くなら俺が行くよ。」

「待ってくれ・・・。少し、考えよう」

 

またピロンと音が鳴る。どうやら、通知がまた来たらしい。

『マスター依頼人からもう一通DMが届きました---『報酬の20%を前金として振り込んだ。こいつは心ばかりの誠意って奴だ。マジで頼んだからな!』インターノットのアカウントに振り込みを確認』

やっぱり相当暑苦しい奴が相手らしい。

 

 

「・・・ナナシ、面会と言うのは罠かもしれない。この依頼は断っておかないか?罠であれば実際に出向くナナシが危ない。『お金か命か』なんて二択を、天秤にかけるのは辞めよう」

「アキラ!」

 

 

 

「そうだね、私も同感。たとえいくら積まれたってナナシの命には代えられないよ!」

「リン!」

 

アキラ、リンのその言葉に思わず目頭が熱くなるのを感じる。・・これが感動か!

 

 

 

「やっぱり、前金を依頼人を返すよう、フェアリーに言ってくれないか」

『かしこまりました、マスター。振り込まれた金額は、先月のインターノットにおける総収入の1.1倍に相当します。本当に返金しますか?』

あれ、なんだか急に空気が変わったのを感じる。

(いや、気にすることはない。あの二人がたとえどれだけお金を積まれてもコロッと落ちるわけがない)

 

 

「・・・待ってくれ、いくらだって?」

「アキラ・・?」

再度説明を求めるアキラ。再び同じ説明がフェアリーからされる。

 

「仕方ない!ナナシ、出撃!」

「うっそでしょ、リン!?」

音速の手のひら返しに思わず、再び目頭が熱くなるのを感じる。

 

 

「まぁ、俺も一応言っておくけど。正直それだけの収入をただ見逃すのはもったいないと思う。それに、たとえ何が来ようともぼこぼこにできる自信がある!!」

「こらこら。ナナシが強いのはわかってる。けれど、『お金か命か』の二択は辞めようって言ったばかりだろう?それに、あまり無茶をしてほしくないんだ。・・・けど、君がどうしてもと言うなら、明日の早朝パトロールに行く不利でもして、こっそり様子を見に来たらどうかな。」

 

 

 

 

もちろん、わざわざやばそうなことに首を突っ込みに行くのは理由がある。もしかしたら、乗り越えるのが難しい困難が現れ俺をさらに成長させてくれるかもしれない。

 

その好奇心が半分。

 

 

そして、もう半分は。なんだか、この依頼とんでもないことが起きる予感がするからだ。

 

 

 

(こういう時の勘は大体当たるんだよなぁ・・・)

 

俺は今日は明日の早朝を待つことにした。

 

 

 

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