整備された道。
まさに、俺達は工事現場に到着していた。まだ、重機の一つも見ていないのに、ドンドンと稼働する音が聞こえる。こんな早くに働き始めているのは本当らしい。
(ここの社長は確か・・・クレ・・・クレ・・・忘れたけど、赤髪の少女がやっていたはずだ、ホームページで確認した。社長にしては若いという印象を抱いた。)
「もうつくぜ、社長はすぐそこだ。まだ若えが百獣の王って感じだかんな存分に緊張しな!」
(百獣の王?そんな風には見えなかったが)
「『しなくていい』じゃないんだ・・・それにしても、何で何もしゃべらないのナナシ?」
「・・・ん?ああ、ごめん。考え事をしてたんだ」
全く。毎回、邪推するのはまだしも考えすぎて周りの声が聞こえなくなったり自分の世界に集中しすぎるのは悪い癖だな・・。
(・・・でも、違和感だな。まだ、工事現場ではないはず、ここはあくまで入口。だというのに、何で重機の音がすぐ近くで聞こえるんだ?)
その違和感の答えはすぐに現れた。
「え?」
リンの声と同時に目の前の壁を突き破って重機が現れた。四本脚、しかも上には女性が乗っている。
「どいてー!」
上の女性が叫び名がらも重機はこちらに向かってくる。
あんな脚でつぶされればひとたまりもない。
「どうなってんだ!?・・・でも、新技を試すにはちょうどいいか。アンド―さん、あれは俺が止めてもいいか?」
「あ・・おう、別にいいが。ケガには気を付けろよ!」
新技。それは、デッドエンドブッチャーとの戦いを経て、考え付いたものだった。
「リン、早く逃げ・・・「頑張って!」」
少し横目で見ると既にリンは四隅に逃げている。アンド―さんの心配がなんだか心にしみるが、まぁ信頼されていると受け取ることにする。
「来い!『ゴッドハンド』」
現れた黄金の輝きを放つ、光の手。
「な、なんだ!?あのでかい手は・・・。あん?でも意外とちいせぇな。あれじゃあ、重機を抑え込めねぇぞ!」
もちろん、ゴッドハンド“一つ”だけなら抑え込めるわけがない。
「だからもう一つだ!『ゴッドハンドW!』」
考えてみればとても単純、右手でデッドエンドブッチャーの攻撃を防ぐとき。よくよく、考えたら両手で二つゴッドハンドを出したほうがいいのではないかと言う考えに行きついたのだ。
「ありがとう!修行のために犠牲になったエーテリアス達!」
何回もこのゴッドハンドを習得するためにでかいエーテリアスと戦っていたのだ。パトロールと称して。
慣性の法則に従って、女性がコックピットのような部分から飛び出しそうになるがすぐ体制を整え、持っていた端末を操作しだす。
「で!?これは何!?」
「あれ?君は誰だい?アンド―!君もいるじゃないか、絶賛点検中だよ。そうだ、君そのまま抑え込んでくれ!」
簡単に言ってくれる。もし、この重機が一方だけに動くのであればそこまで気を使わずとも抑えられるが、何だかこいつまるで生き物みたいに小刻みと言うか・・とにかく、不規則に移動しているのだ。
柔道の技。あれも、相手が抵抗してきたほうに対抗するように力を出さないといけない。それがフェイントであればもしかしたら技を解除されるかもしれない。
なので、この不規則な動きは確実に俺の力を消費させるだろう。
「怖がらないで、ただのファイアウォールだよー・・・。ぜーぜん痛くない」
そう言い、彼女が重機に備え付けられたスイッチに手を伸ばそうとする。
「ッ!?」
この時、異変が起きたのだ。重機は俺が抑えている前腕を動かさず、人間でいうところの腰を後ろにそらして前に戻すことによってコックピットにいた女性がこちらに吹っ飛んできた。
「あっ」
本来なら、アンド―さんにキャッチを任せればいいのだろう。しかし、助けようとしてうっかり。
『ゴッドハンドW』を解除してしまった。
「ちょ、ナナシ!何やってんの!」
「失敗した―!」
それよりもと、意識を切り替え、跳躍し先ほどまで宙を待っていた女性をキャッチする。
「ナイスキャッチ!男にこうやって抱かれるのは久しぶりだねー・・・」
「紛らわしい言い方しないで!」
今、しているキャッチと言うのはいわゆるお姫様抱っこと言う形だ、仕方ない。だって頭から落ちてきたんだもの。
「ともかく、アンド―さん!行きましょう」
「おう!ナイス、キャッチだったぜ!」
アンド―さんに茶化され赤面しながら。ともかく、さっさと女性を下ろし。止めるために向かった。
(やばい、あの重機柱にぶつかるかも)
あの巨体でぶつかれば当然崩壊は必然。正義の鉄拳を出そうとしたその時だった。
「もう、大丈夫だな」
アンド―さんが空を見上げる。俺も見上げると空から、ロケットが放たれたような音がすると思えば・・・。
「熊!?」
ロケットだと見えたものは構造的に小さいパイルバンカーだ。そのまま、それを空中でキャッチし一回転した後、見事な一撃が重機へと突き刺さる。
「悪い、遅くなった」
何事もなかったようにこちらに歩み寄る熊のシリオン。そういえば、ヴィジョンの事件の時でも見たことがある。すごいチャラチャラしたネックレス、片目には傷があり、もはや歴戦の戦士ともとれるその風貌。
思わずその気配に、一歩後ずさりしたほどだ。然も、俺とリン合わせて同じくらいの身長。
「これが百獣の王---白祇重工のボス?」
「違うよ。リン」
リンの勘違いに突っ込みながら。社長を待つ。足音はこの熊のシリオン以外にもまだいた。
「は・・初めまして!」
そう言い、握手の手を出す、リン。自分より大きい者には恐れてしまうのが人間の性。思わず、その勇気には感嘆を漏らした。
「ああ、これはこれはプロキシさん!ついて早々申し訳ない。社長と待っていたところだ」
そう言い、リンの手を取る。予想以上の物腰の柔らかさ、それに相手の目線まで下がるとは、流石・・。社会人ってすごい!!
「何すんだグレース!降ろせ!」
彼の行動に感動していると、後ろから少女の声が聞こえる。彼がそこをどいた後、手で導かれた先にいたのは。
まさに、ホームページで見た子と同じ姿。
「降ろせつってんだろ!」
グレースと呼ばれた、先ほど俺がキャッチした女性に捕まれながら足をバタバタ動かす少女。そして、そう言い終える前に、こちらに存在に気づいたのか。なんだか大人ぶった態度になる。
「白祇重工社長のクレタ・ベロボーグだ!」
そう名乗った。
だが、まさに第一印象。クレタ社長は社員に愛されているのがよくわかる。
(この子の父親が本当に、会社の金を横領して逃げたのか・・・?)
事前にフェアリーに調べてもらった白祇重工の黒歴史。
(てっきり、横領なんて話が在ったからその娘は・・・。なんて思ったが、想像・・・人物像が一致しない。何か裏があるのか・・・いや、親=子と言うわけじゃないな)
下手に邪推するのが悪い癖。頭を振りながらリンと共に話を聞くのだった。
次回からテンポよくいきたいな~。
皆は閑話とか、IFの話とか読みたい?
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読みたーい!(特にヤンデレ)
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読みたーい!(ラブラブ!)
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読みたーい!(好感度測定器みたいなやつ)
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いや、読みたいのは本編だ!遅れてんぞ!
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作者さんの自由で!
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こんなアンケートする前に書け