ゼンレスゾーンゼロ ・ 聖剣   作:うどん米

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第20話・白祇重工

 

まず、自己紹介からした。幸いにも相手はニコからへの情報が伝わっていたため、必要はなかった。

まず、アンド―さん、まさに熱血。俺達を兄弟と呼んだり、熱い。とにかく、熱い。

 

そして、機械に乗っていたグレースさん。なんだか、マッドサイエンティストの匂いがする。

 

そして、熊のシリオンであるベンさん。ちょっと怖いと思っていたが物腰柔らかく礼儀正しい人だった。

 

 

そして・・。

「よう、『パエトーン』。みっともねえとこを見せちまったな。うちへの信頼が揺らいでねといいが。アンド―から連絡は来てる。お前ほどできるプロキシが力を貸してくれると聞いて、みんな内心ほっとしてたとこだ。」

まさに状況を説明してくれているのが社長のクレタさん。

 

「一つ聞きたいんだけど、それって白祇重工が現在行っている、地下鉄工事に何か関係が合ったりする?」

タイミング的にそれで確定だ。だけど、白祇重工とはいえば、ホロウでの建設ならば安全性はトップクラスと言っていい。それが、プロキシの力を借りるほどの事態なのだ。

 

 

「なんだ、アンド―から聞いてたのか。なら、話は早ぇな。うちは、最近、地下鉄工事の請負を勝ち取ったんだが・・・」

話を諸々聞くに、今現在『敵』(白祇重工のことをよく思わない人たち)などからの妨害工作によって銀行からの融資などを止められたり、嫌がらせを受けまくっている。

 

 

 

 

「そいつらの目的は、ヴィジョンみたいに白祇重工にも是非とも失速してほしいってこと・・・か。あわよくば、プロジェクトの請負をかすめ取ったやろうと思ってるのか・・・。」

建設会社は一つじゃない。当然、白祇重工よりも財力のある会社はある。そいつらにとって、ベンさんの言葉を借りるなら『目の上のたんこぶ』状態。目障りにもほどがあるだろう。

 

「それに加え、最近は出演されたテレビ番組にも小細工をされた」

確かに、あのライオンは明らかに白祇重工を貶めてやろうという考えが見え透いていた。それにしても、テレビ番組で放送事故になるレベルで干渉できるなんて・・・。

(相当のバックがいる。それこそ、住民の避難をしていないことを隠せるくらいのバックが・・・)

 

 

 

「そうだ!あのくそ野郎どもはこれまでも散々汚ねえマネをしてきた。依頼を受けた瞬間から、プロキシたちはオレらの兄弟になったんだ。兄弟に隠し事はしねえもんだ!なんでも聞いてくれ!」

「そうだね、これから依頼を組むんだからナナシとお兄ちゃんのことは兄弟で・・・私は姉妹だと思って!!」

なんか勝手に兄弟判定されたが、どうにも熱い奴とは合わない。俺は戦略的な方なんだ。

断じて!  熱い人じゃない!

 

「おお!いいこと言ってくれんじゃねぇか!プロキシ!」

 

このままだと、話が進まない気がするので早速本題に入る。

 

「じゃあ、早速質問させてもらうけど。依頼って言うのはなんだ?まさか、さっき聞いた他企業の嫌がらせをどうにかしてほしいって言うならお門違いだよ?」

「ああ、安心してくれ。そう言うわけじゃない・・・。そうだな、この先は社長に説明してもらおう」

 

コホンと、意識を向けさせてからクレタさんが話始める。と思いきや。

 

「先週、子供たちが3台も・・・ホロウの中で行方不明になったんだ!!」

割り行ってくる、グレースさん。百歩譲って、割り行ってくるのはいいが。

「子供たち!?ホロウに子供が入っちゃったんですか!?」

 

確かに、とんでもないことだ。子供が入って事故りましたー!なんて、ヴィジョンと同じ末路をたどりかねない。

「待てグレース、その言い方だとお客さんに誤解されるぞ!」

待ったをかける、ベンさん。

 

「ゴホン・・・プロキシさんたち、うちの会社が独自開発した『ホロウ用知能重工業機械』は知ってるよな?」

「『ホロウ用知能重工業機械?』」

「リン、知らないのか!?白祇重工が安全に作業できる根幹をなしているともいえる、簡単に言えば、自分で考えて動ける重機だ」

へー。と言う、リンを後目にベンさんの方を向く。

 

「簡単に言えばそうだな。それで問題はその3台がホロウの中で行方不明になってしまったんだ」

なるほど、子供たち。と言うのはそう言うことか・・・・。確かに誤解だ。

 

 

グレースさんの必死さから、その重機が行方不明になったのは同時期だと仮説が立てられる。もし、時期に開きがあれば1台目の時点で呼ばれていたはずだ。

 

「そう。ホロウの中でも長時間安全に作業のできる知能ある重機---あの子たちこそが、白祇重工のコア・コンピタンスなのさ。エーテル浸食に耐えうる性能はもちろん、あの子たちはその知能も特別だ・・・。」

 

 

グレースさんの話を聞き流しながら、思考する。

(だけど、そんな知能ある重機たちがいっぺんに3台も消えた。何か裏がある可能性があるな・・・。知能があるということは何かに騙される可能性もあるということだ・・・。第三者の干渉も視野に入れないと)

 

 

例えば、妨害している『敵』さんたちとか・・・。

 

「・・・音声対話も何のそのって・・・ナナシ、聞いているかい?」

「・・・ッ!うん、もちろん。もちろん。餅の話でしょ?」

肩をビクッと上げて、驚く。つい突拍子もないことを言ってしまったことを自覚し頭を痛める。

 

「はぁ・・・とにかく。あの子達はずっと私が世話してきた。メンテナンスやアップグレード・・・そもそも『プロトタイプ』の技術を土台に、各職種の需要に応じた改良をしてあの子を作り出したのも私さ。わたしに とっては、我が子も同然なんだ!」

「な、なるほど~」

とにかく、グレースさんの熱意はよぉくわかった。

 

 

「そ、それで、何かいなくなる予兆みたいなのはなかったのか?」

「そうだね、実は数日前、論理コアを行進してあげた直後のことさ・・・ホロウの中で作業をしていた3台の子供たちが指令を無視して、自分の意志でホロウの深部に入っていってしまった。以来、戻ってこないんだ・・・」

「まさか・・・論理コアが故障したとか?」

リンの発言が一番可能性が高いだろう。論理コアの更新の直後となれば特に可能性が高い。

 

それに“自分の意志”と言うのも少し気になる。

 

 

「原因はわからない・・・実際、ホロウ内作業に携わる企業にとって、チップの故障やエーテルの浸食なんて日常茶飯事なのさ」

「問題は、今の白祇重工でそれが起こったこと。『敵』さんにとっては絶好のチャンスってわけか・・・」

グレースが頷く。だからって、安全性が高い白祇重工が降ろされれば、またなんか第二のヴィジョンが現れないとも限らない。

 

 

「つまり、俺達の依頼内容は・・『ホロウに迷い込んでしまった。3台の『ホロウ用知能重工業機械』の回収』てわけか」

「そうだ・・だけどよ、知能重機の性能は十分だったと思うけどな。わざわざ更新する必要あったのかよ?彼奴の残したコードを論理コアに組み込みさえしなきゃ、今頃こんなことには・・・」

 

(アイツ?候補はいくつか上がる、その一つは技術者として優れた人物だと言われているクレタさんの父の可能性が高いな。それに“残したコード”論理コアに埋め込めるほどの物を残せる人物・・・。)

だが、クレタさんの言動から考えるに、その“あいつ”との関係はそこまで良好ではなかったようだ。

 

「待って、おチビちゃん。まだチップの不具合だと決まったわけじゃないよ。それに、美しくたくましい機械には、そのボディに相応しい魂が必要なんだ!知能機械の開発に携わる会社の社長としてそうは思わない?」

同意を求めるグレースさん。しかし・・・。

 

「魂がどうのなんつーのは、あたしの知ったことか---社長だからこそ、機械をただの資産として見なきゃいけねえんだろうが。あのバカ高え知能機械をなくしたら大損だ。『敵』の問題がなかろうが、見つけるに越したことはねえんだよ」

たいして冷静なクレタさん。でも、それが彼女の本質ではない気がする。

 

 

「つうわけで、ホロウの奥までのガイドが要る---これがうちらの依頼だ。うち2台の位置は、ざっくりだがあたりはついてる。他に知りたいことがあればグレースやアンド―に聞いてくれ」

 

 

クレタの握手の手がこちらに伸びる。

「よろしくな」

 

それに対し、リンはその手をがっちりつかんだ。

「よろしく!」

 

 

かくして、俺達の任務は始まるのであった。

 

 

 

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