グレースさんが発信元を探り、俺はイアスを抱えながらそれについて行った。
何か見つけたようで、グレースさんが立ち止まる。
「見つかった?」
「ああ、『Ⅲ型ホロウ用デモリッシャー』グレーテルの信号は、この近くから来ている」
「プロキシに先導してもらう必要があるな。グレース、デモリッシャーの特徴を教えてやれ」
この先は、ホロウをリアルタイムで観測できるイアスを俺の肩に乗せて進む。
こちらの方が武器を使わない俺の場合緊急時イアスを助けるのが早いという利点がある。
ただ、たまに動きが早すぎてプロキシたちが目を回してしまうのが玉にきずだ。
「あの子は真面目な頑張り屋さんだ!小さい頃のおチビちゃんも、同じくらい可愛かったなあ」
「いや・・・その、身体的特徴を教えてくれると助かるんだけど」
(身体的特徴?)
グレースさんの熱意に引っ張られているのかもしれない・・・。それに、小さい頃。と言うことは、意外とグレースさんって年言ってるのか?
(クレタさんの年齢が推定10代なのはほぼ確定・・・なはず。そこから逆算しても最低で30代の可能性がある・・・)
あまり、一般常識に富んでいるわけではないのだがグレースさんは30代と言う仮説を立ててなお違和感がある。
具体的に言うと20代くらいに見える。これが美魔女と言うやつなのだろうか。30代を魔女と形容するのはどうかと思うが。
「そうだね、普通の人にわかるように言うとだね---って、何をよそ見しているんだ、ナナシ!」
「いや、グレースさんってきれいだなぁって・・・」
(自分が普通じゃない自覚あるんですね・・・あれ??)
「ふえっ!?」
数秒の沈黙。
(・・・)
やっと冷静になり始めた俺、事の重大さが自身の体を芯から凍えさせる。
「誠に申し訳ございませんでした!!」
瞬時に出された一手は土下座だった。その速度、正義の鉄拳おも超えるほどだった。
頭が激突した場所にはクレーターができ、その威力を物語っていた。
「い、いやいいんだよ。別に、そ、それよりもだね。本題に戻ろう---」
この後の話を俺はこれ以上何も言わないために沈黙とうなずきで回答していた。それにしても、俺のやらかしを華麗に受け流してくれたグレースさんに涙を禁じ得ない。
(これが、大人!!)
そして、今度からはしっかり人の話は聞こう!そう誓った。
ちなみに、クレタさんからは睨みと沈黙攻撃をくらい。
リンからは。
『へー、グレースさんがいいんだ~。猫又に言っちゃおっかなぁ?』
なぜ、猫又にチクられようとしているのか、わからないが。とにかく、ニコ達に知らされるのはやばい、次会った時確実に話のネタにされるし・・・いじられるだろう。
想像するだけでもニコの高笑いが脳裏に写る。
「頼む、ガシャポン、一緒に行くから。邪兎屋には言わないでくれ」
『奢りね!』
と言うことで、リンを買収することによって事なきを得た。
幸いにもベンさんは遠くにいたため聞こえていなかったようだ。
ともかく、俺達が探している重機の一つの特徴は・・・。
「あの子は地下道を掘るための機械さ。他の仕事にも対応できるよう、建築物の解体ができるチェーンソーも完備しているんだ!論理コアを更新すれば、もっとできる子になってくれると信じてたのに・・・それがまさか、家出してしまうなんて・・・!」
「お前がしつこく更新しようとしたからだろ。パソコンの自動更新ばりにウゼえからな、それ」
確かに、自動更新はうざい。こないだアキラが間違って押してしまい、いいところで画面が暗転して頭を抱えている姿を見た。
「君も変わったね、そんなことを言うようになって。あ~あ、小さい頃はあんなにかわいかったのに・・・」
「うーん、子供が大きくなる過程で、急に反抗的になるのはよくあることだろ?デモリッシャーにも、ついにその時が来たというだけじゃ・・・」
ベンさんがそう言うと、まるで思春期の子供を見る母親とわがままな子の中間のような口調になったグレースさんがまくしたてる。
「そんなのダメだ---!深夜に暴走族の集会に行ったり、わざと機体にキズを作ったり、剥がせない巨大ステッカーを張ったり、違法混合エーテル燃料に手を出したり、旧文明のアニメをマネして他の機会と合体なんてしようものなら・・・」
「し、しようものなら・・?」
がっ、と目を見開くグレースさん。思わずその迫力に押されてしまう。
『わぁ・・・解像度の高い妄想だね。ちょっと見たくなってきた・・・』
「プロキシ、それ以上あいつの神経を刺激するのはやめろ」
そして、そのまま俺達はホロウの奥へ進んでいった。
数分後、イアスの指示の元ホロウ内を進んでいく。すると、開けた場所に到着する。
『それ以上来ないで!』
何処からともなく、聞こえる女の子声。
『ここはあたしたちの秘密の花園!』
(あたし“たち”?)
もしや、複数なのかとあたりを見渡すがそれらしいものは見つからない。だが、ドンと鈍い音が聞こえたのでそちらを向くと・・・。
「あのさ・・・もしかして、あれがデモリッシャー?」
指さした先に視線が行く。
白い壊れかけのビルの屋上からこちらを覗き込んでくる黄色の影。
『わかってるわよ!真白クンとの仲を引き裂く気でしょ?』
何だろう、ものすごい嫌な予感がする。子は親に似るというが・・・。横目でグレースさんを確認する。口元を手で押さえ何かに感激しているようだ。
「デモリッシャー会わないうちにいっぱしの乙女になって・・・!」
「お、とめ?」
声が女の子なら乙女なのだろうか。それにしても、重機に恋とかあるんだ。と言うか相手の真白くんとは誰だ。
(真白・・・真っ白・・・白い・・・)
目の前の白い建物に目が行く。そう、それはデモリッシャーが現れたビルだ。
もし、重機の恋愛と言うのが人間のものとは違うものであれば・・・。
「まさか、真白クンって!目の前のあの作りかけの白いビルのことか!?」
『そうよ!それ以外誰がいるのかしら!それに、作りかけですって・・・!』
そう言うと、勢いよくこちらに落ちて来るデモリッシャー。
『あたしね、真白クンと一生添い遂げるの!』
体?機体をくねくねさせながらまるで人間の少女のように恋愛に心?を震わせているように見えるデモリッシャー。
「え?大丈夫、それ。主に耐用年数とか、作りかけだけど・・・」
建物はいずれ壊れる。それは仕方がないこと、それに耐用年数がいいところまで行ったら売却とかぶち壊すなどあるだろう。
『うるさいわね!それに、今作りかけってまた行ったわね・・・。その言葉、取り消させてあげるわ!』
グレースさんの言葉が蘇る、そういえばチェーンソーを完備しているとかどうとか・・・。
そして、本来ならば建物に使われるべきその凶器は・・・こちらに向けられるのだった。
「あのチェーンソーは流石に食らったらまずいな・・・」
と言うか、チェーンソーよりも掘削機に似ている気がする。ゴッドハンドで止められはするだろうが、振動は伝わるしそのうちに何されるかわかったもんじゃない。
(それに、今回の任務は3体の重機の回収。下手にキズを付けたら損害賠償だ!)
幸いにもチェーンソーがついているのは前方のみ後方には何もない。
数分戦っていくつかの行動パターンは把握した。
そして、ひとつの作戦を立てた。
まず、ベンさんに俺を投げてもらう。
「ベンさん!俺をデモリッシャーの真上に投げてくれ!」
そして、俺の予想が正しければ・・・。
「おう!」
ベンさんは武器を置き、俺をデモリッシャーの真上に投げる。
(こいつは、真上にチェーンソーを出せない)
だが、当然こいつは知能ある機械。ならば、よけて来るだろう。自由落下していく俺の体は空中で進路を変えることなど“ほぼ”ないからだ。
「そこが穴になる!『真・熱血パンチ!』」
空中に向かって放った熱血パンチそれは空を切ることしかできなかったが。その衝撃で俺の体の進路が変わる。
そして、真上なら攻撃されないことを生かして背中に回ってゴッドハンドで動きを止めて。そのすきに、グレースさんとクレタさんに無力化してもらう。
はずだった。
「え?」
デモリッシャーの真上に安全に着地できるそう思ったのもつかの間なんと、デモリッシャーは逆馬乗りの体制で無理やりこちらにチェーンソーを向けてきた。
「うそだろ!!」
『愛の力は無限なんだから!!』
熱血パンチも少し進路を変えるだけ、このままだとチェーンソーへと真っ逆さまだ。
「させねぇよ!」
「クレタさん!」
空中で俺をキャッチしたクレタさん。笑いながら「クレタでいいぞ。ナナシ!」そう言うと、ベンさんの元まで着地する。
「すみません。作戦失敗しました」
「気にすんな。あたしたちも、デモリッシャーがあそこまでやるとは思わなかった」
「そうそう、流石私の子供たち!!」
アンタはどっちの味方なんだ。と思いながら、思案する。唯一の抜け穴だと思った真上も愛の力で防がれた。やはり、どうにか後ろに回るしか・・・。
いや、それも堂々巡りだろう。
(もういっそのこと正義の鉄拳で・・・いや、威力が高すぎる)
「まずいな、戦いの音を聞きつけてエーテリアスが集まってきたぞ!」
辺りを見渡すと、そこら中にエーテリアスが集結していた。
(どうする・・・どうすれば・・・・)
皆は閑話とか、IFの話とか読みたい?
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読みたーい!(特にヤンデレ)
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読みたーい!(ラブラブ!)
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読みたーい!(好感度測定器みたいなやつ)
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いや、読みたいのは本編だ!遅れてんぞ!
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作者さんの自由で!
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こんなアンケートする前に書け