ゼンレスゾーンゼロ ・ 聖剣   作:うどん米

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第29話・発見

 

 

「エーテリアスは全部やったぞ!」

赤いデュラハンを倒した後、増援として駆けつけてくれたアンド―達のおかげでここら一帯のエーテリアスは全滅していた。

 

「グレース、ナナシ。そっちは大丈夫か!?」

 

「安心して、プロトタイプとの通信はまだ続いて・・・」

「あぁ、途中にイレギュラーはあったものの無事守り抜いたぞ!」

にかッと笑顔でグーサインを出しながらクレタを迎える。

 

 

だが、そのグーサインは手で払われた。

「誰が通信のことなんか聞いてんだ!あたしは、お前らが無事かどうかって聞いてんだよ!」

 

「あー・・はい、無事です」

ずんずんと詰め寄ってくるクレタ。その勢いに思わず、後ずさりするが、壁と言う名のベンさんにぶつかり下がれなくなってしまった。

 

 

そして、俺達は仲良くクレタからのジャンピングスマッシュを受けることになったのだった。

「痛い・・・」

「全くだよ、急にジャンピングスマッシュなんて・・・」

お互いに頭を抱えながらうずくまる。

あの体躯から放たれたとは思えないほど高威力だったのは驚きだ。

 

 

「ぶたれて当然だろ!何で、社長の命令を無視して突っ走った!?おまけにこっちとの通話は一方的に切りやがって!」

グレースはクレタにつめられ。

 

 

『本当に心配したんだから!お兄ちゃんから、かなり強い個体が出たって聞いた時は胆が冷えたんだからね!おまけに、私達との通信も切って!』

『そうだよ、ナナシ。今回は無事だったからよかったものの、もし何があったらどうするつもりだったんだい・・・』

リンに普通に怒られ、アキラからは猫又を逃がすためにデッドエンドブッチャーを足止めするために残ったときのように静かに、淡々と怒られた。

「・・・い、いや~で、でも・・・」

『でも・・・なんだい?』

 

口から、思わず息が漏れる。どうにかして、言い訳を並び連ねようと思ったが通信機越しに伝わるアキラの怒気のこもった声に頭が真っ白になった。

 

 

 

『グレースさんも、グレースさんだよ!どんな理由があったって、命より大事なものなんてないんだから!・・・ね、ナナシ?』

グレースに一回火種が飛んだと思ったらしっかりこちらに帰ってきた。

 

 

『二人とも、クレタのこと、それに白祇重工のことを思っての行動だって、みんなわかってるけど・・・グレースさんに何かあったら、クレタはこの先のことに、どう立ち向かったらいいの?』

 

 

その後、グレースも非を認め、謝罪した。

「ごめん、君たちとの通信を切ったことは、謝るよ。エーテリアスを相手しつつ通信を継続させることで頭がいっぱいだったんだ・・・。それに、あの場にはナナシもいた、だから君たちが来るまで耐える自信はあった・・・けれど、言葉足らずだったばかりに不安にさせてしまったね」

 

 

「俺もごめん、二人がギスギスしていたのをわかっていたからこそ・・・最初から頼るという選択肢を取らなかった・・・。今度は、しっかり言おうと思います・・・」

小声でこっそり『多分』と言いながら俺もしっかり謝罪の意を示した。

 

 

「・・・フン、もう終わったことだからな。お前らが無事だったなら、それで充分だ」

『お互いこんなに大事に思ってるんだから、普段だって素直になれたらいいのにね。』

 

 

ゴホンと咳払いをした後クレタが仕切り直しと言うことで作戦を進める。

 

 

俺達が全力で守り切った、通信・・・。それのために全力でプロトタイプを探すのだった。

 

 

 

数十分後、フェアリーがプロトタイプからの通信を解析、そこから割り出した場所の写真を現像しこちらに送ってくる。

「おっ、早速届いたよ!どれどれ・・・」

 

フェアリーから送られてきたのは解像度の低い写真だった。かろうじてわかるのは何か、電波塔のようなタワーが見える。

「・・・電波塔か?」

『その可能性は低いだろうね。電波塔にしては不可解な形をしているし』

 

グレースからベンに渡される。

「なっ、これは--」

すると、何か感づいたようでその写真を凝視する。

 

「どうした、ベン?プロトタイプの位置になんか問題でもあんのか?」

「社長。当時・・・」

ベンはその場所に心当たりがあった。それは先代が失踪する前、つまりホルス社長失踪以前、請け負っていた新しい地区開発プロジェクトの『バイオニア記念広場』の施工場所だった。

 

 

「この見取り図にある建造物はタワーなんかじゃない・・・まさに、あの記念広場の中央にあったモニュメントなんだ!」

「プロトタイプは・・・アイツが途中で工事を投げた広場にいるだと!?一体どういうことだ?」

 

「そ、それは・・・俺にもわからない。今これを見て・・・・急に鳥肌が立ったんだ。プロトタイプがそこにいるのは、先代が何か伝えようとしてるからだと思えて・・・」

妙になってきた。先代の失踪、途中の工事、そこから発見されたプロトタイプ。

 

 

(待てよ・・・プロトタイプって人が乗れるはずだよな・・・自立型を開発してのはグレースなわけなんだから・・・)

もしかして・・・。そこで・・・何かホルス社長の身に何かあった?そうすれば、フライデーが言っていた『わが師、ホルスの声が聞こえた』と言うのもあながち間違いでもなかったのかもしれない。

 

 

 

もしかすれば『封印を固める』って言うのも本当に何かあったとか・・・。実際にモニュメントのある場所に何か封じ込められているなんてことがあるのかもしれない。

 

「まあ、何だってプロトタイプがそんなところにいるのかは、気になるな。とりあえず現場に行ってみようぜ」

そうして、モニュメントがある場所に向かうことになったのだった。

 

 

 

 

道中のエーテリアスを軽くあしらないながら・・・道中を進んで行く。ちなみに、イアスは俺の肩に乗っている。

 

 

すると、そこそこ大きいモニュメントとやらはすぐに見えてきた。

「あれが・・・モニュメント・・・って、グレースどうしたんだ、大丈夫か?」

「私?ううん、考え事をしてただけだよ」

何だか心ここにあらずと言う感じで上の空だったので気にして話しかけたのだが大丈夫なら問題ない。

 

 

「本当に大丈夫なのか、もしケガしてたのを黙ってたりしたら、タダじゃおかねえぞ。ナナシもな」

「・・・あはは・・・」

笑ってごまかす。

(・・ぐっ)

だが、拳の痛みはごまかせない。指は出ているグローブを付けているから表面上はわかりにくいが『正義の鉄拳G3』を放った後、拳は痛みを訴え続けていた。

正直、これ以上『正義の鉄拳G3』は使えないし『真・熱血パンチ』を右腕で放つことはできないだろう。

 

 

(・・・ま、やるときはやるけれどね・・・)

きっと、必要な時が来たら俺は使うだろうし。痛いだろうが、そんなことを言ってもられないときは来る。

 

 

「頼むぞ・・・。お前らのとこ、厄介なエーテリアスが迫ってると聞いた時あたしは一瞬頭が真っ白になって、一つのことしか考えられなくなった。---これ以上、家族を・・仲間を失ってたまるかって。お前らは、白祇重工の将来のために危険に立ち向かった。それなのに、社長のあたしは何もできなくて・・・やっぱり、あたしは社長失格だ」

そんなことない!と言いそうになったがその前にグレースがクレタに反論する。

 

「次にそんなこと言ったら、怒るよ、おチビちゃん。君はこれまで必死に頑張ってきた。私はそれを誰よりも知ってる。大体、君はまだ育ちざかりだってのに、朝から晩まで働ぎすぎなのさ!人間の体は機械じゃないんだよ。この私が言うんだから、よっぽどのことだと思ってほしいな!・・・」

自虐を混ぜ込みながら必死にクレタに諭すグレース。

 

 

(これは、いわゆる野暮って奴だな。ナナシはクールに去るぜ)

 

 

その後も、グレースがクレタへ溜まっていた言いたいことをきっちり言い切った。だが、別に悪口と言うわけじゃない。グレースの言葉は、どれほどクレタがみんなに愛され、心配されているかを証明する物だった。

 

 

 

その後、グレースとクレタの話を盗み聞きする中興味深い話が聞こえた。

クレタはホルス社長のことについて隠していることがあるということだ。

 

 

「・・・実は親父が飛んだ夜、アイツが家を出てくのをこの目で見たんだ・・・」

その日の夜、リビングから電話の音がしたクレタは目覚め、部屋から出ると、ホルス社長が現金でパンパンのカバンを手に、何も言わず家を出ようとしてたところだった。

 

 

その日こそ白祇重工の帳簿から金が消えた日だった。

その一部始終に治安局の報告まで聞けば父親を信じられなくなるのもうなずける。そして、それをホルス社長のことを信じている社員たちに伝えるなんてできなかったのだ。

 

 

最後に一つ、グレースはクレタと約束をした。

「おチビちゃん、一つだけ約束してくれない?これからは何があっても、みんなと一緒に乗り越えるって。白祇重工は君の家なんだ。ホルスさんがいなくなっても、君には私や、アンド―にベン・・・家族がいるんだ。それに『事実は時として、真実を曇らせる』・・ホルスさんには、そうせざるを得ない理由があったのかもしれない・・・」

その言葉に、クレタは何も言わず、頷いた。

 

 

 

 

 

 

皆は閑話とか、IFの話とか読みたい?

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