ゼンレスゾーンゼロ ・ 聖剣   作:うどん米

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第30話・記憶と魔神と融合と・・・

 

「ついたぞ。白祇重工が工事を請け負っていたかつての記念広場だ」

遠目に見えていたモニュメントのてっぺんは少しずつその全容を見せ、こちらに現れた。

広場と聞いていた通りここら辺は開けていて、そこら中にその痕跡がみてとれる。

 

 

モニュメントと聞いてはいたが、何か像がたっているわけでもなく、ただ周りに大きな棘が突き出しているという…なんというか独創的な塔だった。

(・・・この棘、子供が上りそうで・・・危ないなぁ)

遠目からでも鋭いのがわかる、何か突き刺せそうなくらいだ。それに、なぜだからわからないがあのモニュメントから異様な気配がする。

 

 

そして、そのモニュメントを支えるように動きを止めていたのは・・・・。名前を言われなくてもわかった。

 

「あの、白くてでかいのは、まさか!?」

「慎ましやかな配色、端整なシルエット・・・間違いない、あれがプロトタイプだよ!」

色こそ、俺達がとっ捕まえた。重機たちとは違うが、あの下半身は間違いなく、知能重機たちの物だった。

 

「だけど・・・この奇妙な状態は一体?」

「ああ、何かをまるで支えているような・・・」

その風袋を見ても、こいつが何をしているか、何があったかなんてわからない。

 

 

「ベン、アンドー、ナナシはモニュメントの付近を調べろ、あたしはプロキシと姉貴で操縦席を見て来る」

了解を出し、ひとまず3人分かれて探索をすることにした。

 

 

 

ひとまず、ということでなぜだか一番気配がする場所に近づく。

「・・・これが、モニュメント。だけど、気配はするけど別に特別おかしなところは・・・ないように見えるけれど・・・ッ!!」

モニュメントに触れた瞬間、頭に靄がかかる。

 

 

間違いなくいつも通り夢を見た時と同じ靄だった。

 

 

 

焔が燃えていた。あたりを、焦がし尽くすその時までその中を俺と誰かもう一人は走っていた。

だけれど、少し違和感があった。その光景はいつもと違い3人称だったのだ。それに、とても鮮明だった。

 

 

 

『どうなってるんだ!?あそこまでやりたい放題なのか!』

後ろを確認しながら俺は走っていた。もう一人は、正義の鉄拳の時見た金髪黒ラインの男だった。

『グダグダ言ってたら死にますよ!!----さんはあれはどうにかできないんですか!?』

相変わらず、すべてを語らない夢だ。

 

 

『バカ言え!!ここであれを倒してみろ、ここら一帯が吹っ飛ぶぞ!!』

よく見れば、確かにこの二人は街とは反対の林の方へ逃げている。

 

 

では、一体何から逃げているのか・・・。

(ッ!?)

思わず息をのんだ。

 

 

牛?馬?猫?犬?狼?ライオン?像?ワニ?カバ?チーター?人間?いろいろな動物の顔がついた“何か”が全力で追っていた。

それどころか、動物どころの話ではない。冷蔵庫、電子レンジなどの電化製品をはじめとして、よく見たエーテリアスの顔。

(ミ、ミサイルまで・・・!?)

確かに、あれに刺激を加えたら大分やばそうだ。

 

 

『くっそ、どこの国か知らないが、誰だミサイルやらなんやらを打ち込んだ奴は!!』

『よく言いますよねぇ!!無知は罪って!!ていうか援軍は来ないんですか!?』

軽口を言いあいながら、全速力で林をかけていく、たいしてその“何か”はその林すら体に加え進んで行く。

『半分に分けた後、さらに半分って人数を分け続けたのがここで裏目に出るなんて・・・!』

『でも、---さんと一緒でよかったですよ!----なんて一人じゃないですか』

『仕方ないだろ!くじ引きなんだから!!』

 

 

 

『どこまで行くんですか!!』

『あの先に谷がある!あの大きさならまだギリギリ落ちるはずだ!』

3人称だからわかるがその谷とやらはまだかなり遠くにある、しかも山道。つまりあそこに落として安全に倒そうというわけなのだ。

 

 

『くっそ!『サクリファイス!』あの寄生虫め!!奴の居場所の補足だけのつもりだったのにここまででかくなってるとはな!!』

『と言うか、あの村の人間があれをかくまってたんでしょ!だったら、あの村で倒せばよかったじゃないですか~!!』

 

 

 

泣き言を漏らしながら彼らは全力でその林の中をかけぬけていった。

 

 

 

数分後猛烈な爆発と共に俺の意識は浮上していった。

 

 

 

「・・・お・・・・・い・・・ナ・・・」

何か、聞こえる。朦朧とする意識の中、何が起こったのか記憶を手繰り寄せようとする。

(確か・・クレタに探索するようにいわれて・・・それでモニュメントに触れて・・・意識が・・・)

 

 

点と点がひとつに繋がり起き上がろうとした時にはもう遅かった。

「おい!ナナシ、起きろ!!」

ペシンと甲高い音が鳴り響く、その痛みで思わず跳ね起きるが、その勢いでモニュメントに激突する。

 

 

「いっつたぁぁぁぁ!!」

声が漏れ出てくる、そこでやっと意識が完璧に目覚め見渡すと、全員が集合していた。

 

「・・・えっと?」

状況が飲み込めない中、クレタが説明してくれる。

「あたしたちが、プロトタイプの中を見て出てきた後、おめえが倒れてるってアンド―から報告が来てな・・飛んでいったんだが・・・」

どうやら、モニュメントに触れた後意識が消えたらしい。

 

 

「ごめん、モニュメントに触れた瞬間・・・意識が消えたんだ」

『それって大丈夫なの?ナナシ』

「・・・あぁ、大丈夫。少し、記憶を見ただけだから」

まだ整理したい出来事はたくさんある。

 

 

しかしひとまず、俺の話はおしまいとし、クレタ達の戦果を聞くことにした。

「これを見てくれ」

クレタが見せてきたのはプロトタイプの引き渡し指示書だった。それも、ホルス社長のサインに金額、日付付きの・・・。

(確か、中核の部品以外は外注って言ってたな・・・。)

 

「会社の帳簿から消えた金額とも一致してる!日付も、ホルスさんが失踪した日だよ!つまり、ホルスさんがお金を持ち出したのは、プロトタイプの費用の支払いのため・・・!」

「ハン!ホルスさんみてえに正義を重んじる漢が、持ち逃げなんてこすいマネするはずねえと思ってたぜ!この引き渡し指示書があれば、やっと先代の汚名を晴らせるってもんだ!」

「・・・ま、待ってくれ!と言うことは、先代がプロトタイプをここまで操縦してきたのか?」

 

 

そうだ、それだと支払いのためにプロトタイプをここまで走らせてきたことになる。それも、話を聞くとプロトタイプの座席には争ったような形跡と弾痕が確認されたらしい。

(おそらく、ホルス社長は・・・すでに・・・)

 

「確かに疑問だが、今はまだ結論を出せそうにねえな・・・くそっ!今になって思えば、アイツが家を出る前の電話だって・・・『見て見ぬふりをしてろとでも』だとか、『あの中にはいったい何が』だとか・・・」

プロトタイプを殴りつけながら後悔の念を積もらせる、クレタ。

 

「プロトタイプを確認したけど、論理コアの外部記憶素子は無事だった。その中に、当時の映像記録があるかもしれない!プロトタイプを持ち帰ったらすぐデータの分析にかかるよ。必ずや、ホルスさん失踪の真相を見つけよう!」

だが、クレタは一人じゃない。一緒に乗り越える仲間がいる。

 

「そっすよ社長、何とかなりますって!」

『クレタ、『パエトーン』はいつだってあんたの力になるよ!』

「当然、俺もクレタの力になるさ!」

 

「みんな・・・」

そんな思いを抱きながら、クレタは空を見上げた。

 

 

「・・ああ、そうだな!社長がこんなんでどうするんだ・・・おし!ひとまずプロトタイプを会社まで引っ張ってくぞ!」

 

 

 

広場に、デモリッシャー、ハンス、フライデーを呼び、プロトタイプを括り付けて引っ張らせる。

その間にも俺の思考は回っていた。

 

全てのピースはそろっている。だが、なかなかハメきれない。

(あの中?封印?・・・突然消えたホルス社長。弾痕の残ったプロトタイプ・・・途中の工事・・・。そして、タイミングが良すぎる謎の夢・・・『サクリファイス』・・・)

 

『待たれよ、我は重大なことを忘れてはおらぬか・・?そう「封印」!わが師ホルスは我に封印を固めよと・・・』

 

 

全ての点と点が結び付けられそうなその時、デモリッシャーによってプロトタイプが引っ張られて行き、支えられていたモニュメントが崩れた。

その瞬間何かの気配が強くなった。

 

「ッ!?」

瞬時に、クレタとグレースの前に出る。そこが、一番危険だと判断したんだ。

モニュメントの外壁を破り現れた“何か”紫の目を光らせ、あたりを見渡す。

「おい、どうしたんだナナシ?」

クレタのその疑問にまともに返すことはしなかった。ただ一言・・・。

 

「逃げろ!!」

完全に全身が這い出来てたやつは、俺を認識する。

「『サクリファイス・・・』」

『え?ナナシ、今なんて?』

間違いなくそれだった、あの夢で見た姿。

 

 

その一瞬の動揺がすべてを遅らせた。サクリファイスは俺にめがけて一直線に飛んでくる。

「『ゴッドハ・・・』早い!?」

 

 

そのスピードの前に技の出は間に合わず、俺は奴に抱き着かれる。これが、女の子相手ならウキウキなのだろうが、そんな状況ではない。

 

 

抱き着かれた瞬間猛烈な不快感が俺を襲う。

「うぐぅぁぁっぁあぅぅぅあぁぅぅぁうぁぁあ!!」

「お、おい!ナナシ!!」

 

 

のたうち回りながら、感じる。俺の何かが書き換わろうとしている。

(違う、こいつ俺と融合しようとしているのか!?)

 

必死に引きはがそうとするもとんでもない力で締め付けられて離れない。

「おい!グレース、引きはがすぞ!!」

「待て!クレタ、こいつ・・は・・多分・・・融合しよう・・して・・・ぐっ!」

 

まともに言葉すら話せない。

 

 

だが、その時だった。

 

『触らないで』

 

体の中、その奥底からそんな声が聞こえたんだ。

その瞬間、サクリファイスの拘束が弱まる。俺の体は自然とある動きをした。腰の動きはまるでゴッドハンドのよう、しかしそれは今までの技とはスケールが違かった。

 

 

“左手”からオーラがあふれ出す。無意識に放った必殺技。

そのオーラは魔神の姿に変わり、サクリファイスたやすく引きはがし、モニュメントに思いっきりぶつけた。

 

「はぁ・・・はぁ・・・なんだ・・・今のは・・・」

「大丈夫かナナシ!!」

思わず膝をついてしまう、駆け寄ってくるクレタ達。

 

「おチビちゃん。あっちも来るみたいだよ!」

「あぁ?ちっ、ナナシ。そこで休んでおいてくれ」

俺の時と同じように全力でその推進力を見せつけて来るサクリファイスしかし、たやすくクレタは直線的な動きに合わせハンマーを振りかざす。

 

 

そのままの勢いで吹っ飛んでいったサクリファイスはアンド―とつばぜり合いを瞬間的にした後、あっけなく。デュアルショベルの、ハンスに・・・

『逃がすかい!』

潰されてしまった。

 

 

 

「ふぅ・・・危なかった」

体に異常はないようなので、デュアルショベルの前に駆け寄る。

 

来て早速、リンに心配される。

『大丈夫なの?ナナシ』

「あぁ、今は元気だ。それよりも気を付けてくれ、そいつは融合する能力を持ってる」

びしっと指をさす、そいつはデュアルショベルにとらえられながら、バタバタと無駄な抵抗を続けている。

 

「それはよかった。だけど、それについては問題ないさ。この子たちはエーテルに対して高い耐性をもっている、確かにこの化け物はとても高いエーテル反応だけど、子供たちが浸食される心配はないさ!」

そう、常識に則れば。そうなのだ、俺も一瞬そう思ってしまった、自分の体のことを忘れて。

 

 

初めに気づいたのはアキラだった。

『待ってくれ、ナナシはエーテル浸食に対して完全な耐性を持っている。それなのに、浸食された。』

「それって・・・つまりッ!」

気づいた時にはもう遅かった。

 

 

急に虹色に発光したかと思えば、サクリファイスを中心にエーテルの塊が発生する。当然、その近くにいた重機は・・・。

 

「マジか---ハンス、フライデー!応えろ!」

しかし、アンド―の叫びむなしく、グレースからシグナルがロストしたことを告げられる。それと同時に、感じる嫌な予感の増大。

 

 

 

そうして、数秒後エーテルの塊から姿を現したのは・・・。

「マジかよ・・・」

あの夢でも、同様なことが起こっていた。だが、再び目の前にするとは。

そこには重機が融合しそのコアがあった部分にサクリファイス、片手にデモリッシャーのチェーンソー、背中にデュアルショベルのアーム。片手にパイルドライバーの掘削機と言うてんこ盛りセットの重機が完成していた。

 

 

「あの野郎、重機を取り込んだ!」

「俺も一歩間違えればあんな風になっていたのか!!」

そうして、サクリファイスは雄たけびを上げた。

 

 

 

 

 

 

 

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