事件発生から数時間後、治安局ルミナ分署前――
俺達を助けてくれた治安官の名前は黒髪ロングに赤毛のメッシュが朱鳶さんと予想通り知能機械人(アンドロイド)の青衣さん
「朱鳶さん、青衣――さっきは本当にありがとう。もし二人があの場に居なければ、ナナシは今頃どうなっていたことか――」
まぁ、あのまま俺が車に激突していればヤバかったのはおそらく車と俺の身柄だろう。普通に考えてあの速度の車にぶつかられてケロッと起き上がってきたら恐怖だ。
「気にしないでください。市民を守るのが治安官の責務ですから。それにこちらこそ、調書の作成で時間を取らせてしまいました。ご協力ありがとうございます」
「そういえば、事故を起こした運転手はどうなったの?」
エアバッグが開いていたとはいえ結構な勢いで突っ込んでなおかつ、無理やり止められていたため無事なのか、最悪頭をぶつけて重体の可能性もある。
「お気遣い痛み入る。運転手は軽い怪我で済んだが、ことのほかショックが大きかったようでな。事件前後のことを全く覚えておらぬそうだ」
「そっか――」
車が激突する寸前の焦った表情をすぐに思い出せる。本当に気が動転していただけの可能性もあるが――どうにも、その割にはブレーキをしようとする意志が見られない爆走っぷりだった。確実に轢き殺す愉快犯のスピードだった。
(てっきり、無差別殺人の類かと思ったがそれも違うみたいだ)
だとすれば、どうしてあんなことをしたのかと言う疑問が残る。まあ、全部気が動転してたからブレーキを押さなかったで全て片付けられるがどうにもそれだけではないような気がした。
「もうこんな時間ですか。三人とも、今日はもう帰って大丈夫ですよ。もし事故のことで何か気が付いたら些細な事でもいいので連絡をください。」
「朱鳶さん、青衣さんありがとうございました」
「二人がもし六分街に来ることがあれば、ぜひ僕たちのビデオ屋に寄ってくれ。歓迎させてもらうよ」
だが、最後青衣さんが不穏な一言を残していった。
「ぬしらは六分街に住んでおるのか。ならそう遠くないうちに再び見えるであろう」
「え、一応言っておくけどうちはまっとうなビデオ屋だから!!」
「ち、違いますから。先輩!そう言う曖昧な言い方をしないでください、家に治安官が押しかけて来るのかと思うでしょう!!」
朱鳶さんの言葉に、表面には出ないようにそっと胸をなでおろす。だが、一体どういう意味なのか、その真相は朱鳶さんから渡されたチラシによって明かされる。
渡されたのは、この新エリー都の新市長へ立候補をしていた、確かブリンガーだったかな?の写真がデカデカと印刷されていたチラシだった。
どうやら、治安官が間もなく行う市民向けイベントの調査アンケートのようだが。
(どう考えても、選挙前の票集めだろうなぁ)
「私と青衣先輩は、このイベントの準備のため長官命令により、このルミナ分署に臨時で派遣されてきたのです」
(だから、大根泥棒してた時に見かけなかったのか――)
俺を追ってきた治安官は毎回なかなかの手練れたちであったが、壁を素手で登り、建物の屋上を数度乗り継ぎ、そこから適当な路地裏に身を隠せば大体撒けていた。
「もう少ししたら、ここで市民向けの大規模な安全講習会が開催される予定なんですよ。より多くの市民に参加してもらいたいので、私と先輩は付近の各街区でアンケートを配って回ります」
「そう言うことなら、大歓迎だよ!」
リンは元気にそう返事するが、アキラと俺は互いに目線を合わせながら、リンがまた何かやらかすんじゃないかと気が気じゃなかった。
「ありがとうございます。このアンケ―トは先に渡しておきますね。もしイベントに参加するつもりであれば、記入したものを私達が六分街へ行った際に渡してください」
「それでは店長のご両人にナナシよ、また会おうぞ」
それを最後に、朱鳶さんと青衣さんは、治安局のビルへ戻っていった。
「――こういうことって結構あるの?」
こういうことと言うのは、実際に治安官たちが訪ねて来るこのアンケートのことである。
「いや、僕たちも六分街に住んで長いけど、初めてかな」
なら、市政選挙と関係がありそうだ。
(うーん、テレビを見てる限りブリンガーってあんまりいい印象がないんだよなぁ)
だからこそ、こんなことをしているのかもしれないが――こういうのに限って裏で何か暗躍してるんだと思いながら話しを変える。
「そっか――そうだ、あの治安官たちだけど――」
「うん、やっぱりそうだよね――でも、その話はここではやめた方がいいかな」
「ああ、まずは家に帰ろう」
そして、車に乗り込みルミナススクエアを後にした。
ビデオ屋に帰ってきた3人はある話題を話していた。
それは、さっき会った治安官たち――この二人は『初めまして』じゃない。
「怪物と戦ったあの日、白祇重工から通報を受けて、ホロウの現場に駆けつけてくれた治安官がいただろう。あの二人だ」
「うん、まさにここで見たからね」
モニュメントから現れた謎の怪物、夢の中で過去の俺は『サクリファイス』と呼んでいた。まぁ、と言ってもリンはイアスの中でボンプの振りをしていたため、流石に気づかれてはいない――はず。
「それにしてもさっきはビビったよ。リンが、口を滑らしてさ」
「あはは、本当に危なかったね――咄嗟に、お兄ちゃんがフォローしてくれたから、よかったけど――」
あの時のことを思い出す――実は朱鳶さんたちの他にもブリンガーが大量の部下を連れて現れたのだ。
(ま、あの時も目的は票集めぽかったけどなぁ)
相手が、正体不明のエーテリアスを知るや否や態度を180度変えて、公表を止めて来た。
その後、朱鳶さんたちがH.A.N.Dへ証拠となる怪物を引き渡してくれたのは不幸中の幸いと言えるだろう。
「そういえば、あの日ブリンガーが朱鳶さんたちに『重要な任務』を任せたいと言っていたね」
「それが、あの例のアンケートってわけか」
「そうだろうね、フェアリー。何か情報はない?」
リンがフェアリーに呼びかけ『ルミナススクエア』『治安パトロール強化月間』で検索してもらう。
『複数のメディアでの言及を見つけました。読み上げます』
『今月に入ってから市内で重大事件が頻発していることを受け、ヤヌス区治安局は地ア虹と市民の防犯意識向上のため、『治安パトロール強化月間』イベントの展開を決定。同イベントには、一線で活躍する捜査課治安官が数名特別に派遣され、企画に協力するとのことです』
「それって、ブリンガー主催だよね?――ただの選挙前の票集めにしか聞こえないなぁ」
『はい、ルミナ分署での講習に自ら出席する模様。その際、長官は今回のイベントを担当する治安官とメディアの取材に応じ、市民が最近関心を持っている質問に答える予定――』
(メディアまでか――うーん、これがブリンガーじゃなかったら市内への立派な警ら活動に見えるのに――いざ、ブリンガーと考えると急に怪しくなるのは何でだろう)
「さて、じゃあリン、ナナシこの安全講習についてどう思う?」
「そうだね、もしかしたらあの怪物について何か聞けるかもしれないし、応援しに行くのはどうかな?」
「同じく、二人には二度も助けてもらったわけだし――それに、その重大事件って――俺が関わってたりするかもしれないし――」
大根泥棒は重大事件とは言えないかもしれないが、問題はその主犯を捕らえられていないこと――治安局の面子を考えれば重大事件と言えるだろう。
「わかった、朱鳶さんたちがもうすぐ六分街に来る。その時に僕たちも、イベントに参加したいと言いに行こう」
こうして、俺達は朱鳶さんたちが六分街に来るのを待つのだった。
さてと、すり抜けの傷がやっと回復しましてねまた書いてくぞ~!
皆は閑話とか、IFの話とか読みたい?
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読みたーい!(特にヤンデレ)
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読みたーい!(ラブラブ!)
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読みたーい!(好感度測定器みたいなやつ)
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いや、読みたいのは本編だ!遅れてんぞ!
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作者さんの自由で!
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こんなアンケートする前に書け