ゼンレスゾーンゼロ ・ 聖剣   作:うどん米

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閑話・ナナシとリナを先に呼んだ方がいいです。


ドキドキデート大作戦!!(中編・4)

 

 

首筋を抑えて、手のひらを確認してみる。

「血ついてるなぁ――」

いつぞやと同じようにガブリと行かれてしまったらしい、まさか最後の最後で狙ってくるとは思わず油断してしまっていたナナシ、左手を見れば薬指にもまだ歯形はついてるし、しばらくは直らなそうだ。

 

(直らないし、このまま帰ろうっかな~)

 

 

「――行くかぁ」

脳内で、現実逃避を一回挟みつつ重い足を引きずりながら運んだ。

 

「こんばんは、リナさん」

待ち合わせ場所につくと、目立つメイド姿に護送用の車の隣にスラっとした美人のリナさんが立っていた。

「こんばんは、ナナシ様――それでは、こちらに」

車のドアがスライドし開く、何も言わず乗り込んだ。

 

(まずいな、なんか急に眠気が――)

案の定、警戒している時以外は全く起きれない車と言う場所に入り3秒後、ナナシは眠りについた。

 

「このお薬は不要でしたか」

そっと、白い粉を車のグローブボックスにそっと入れる。もちろん、睡眠薬だ。ナナシに隠れ家の生き方を記憶させないためと言うのもあるが、リナは慣れた手つきで車のボタンを操作すると隠しカメラが起動、そしてあらゆる電波を遮断する。

 

 

それにより――ビデオ屋では

 

「まずいよ、ナナシの発信器と盗聴器の反応が無くなった、ナナシの身に何かあったのかも!?」

「リン、落ち着くんだ。この前もあったじゃないか、それに今ならナナシはリナさんと一緒にいるはずだろう?」

この前、ナナシがストロング缶を片手に隠れ家に行った際も同様に反応が途絶え一時騒然となったがリナさんに電話して隠れ家を秘匿するためだと説明を受けたのだ。隠れ家も当然だが、周囲に妨害電波が巡っているため発信器の類は無効かされることも。

 

「そ、そうだけど――り、リナさんがナナシに何かするかもしれないじゃん!!」

「まさか、リナさんに限ってナナシに対してそういう感情を抱いているはずがないだろう――彼女の行動はメイドだからこそだ」

なぜかって、リナさんがナナシを愛すはずがない――まず、大前提としてエレンやライカンさんがナナシとかなり深い関係なのは、共に死線を切り抜けたのもあるがナナシが、アフロディとの戦いで『ゴッドノウズ』から二人をかばったのも大きいとアキラは推測していた。

 

「なるほど、流石お兄ちゃん!確かに、リナさんがナナシを愛するような大きなきっかけはないってことだもんね」

「ああ、だから僕たちがするべきなのはここで明日を待つことだけだ」

そう、明日の夜やっとナナシは彼らの元に戻ってくるのだ――そのことを今は貧乏ゆすりをしながら待ち続けるのだった。

 

 

場面は戻り、車内――

 

「うふふ、いつ見ても綺麗な寝顔ですわ」

カメラのレンズの位置を遠隔で操作し、眠ったナナシの写真を撮る。

信号待ちしながら、開いたのは『ナナシ様観察アルバム』と書かれた物。

 

「流石に、お疲れのようですね。この間よりも顔色が悪く見えます」

以前と今のナナシの顔を見比べながらその感想をつぶやく。

 

『まだまだ甘ぇな!!』

『甘いな!甘いな!』

リナの前に金髪ぱっつんボブでお喋りな『ドリシラ』と、茶髪おさげで幼げな『アナステラ』が現れる。

 

 

「気づかれませんでしたか、ナナシ様もそれだけ集中していたのですね」

実は、ナナシがやっていたドキドキデート大作戦!!の一部始終をリナはドリシラとアナステラ越しに写真を撮っていたのだ。

 

 

さて、なぜアキラたちの予想がここまで綺麗に外れたのか――

きっかけは、ナナシが初対面の時リナの居場所を胡椒と塩による罠で見つけたこと――ここから、リナはナナシに興味を持った。

その後、盗聴器からナナシがアポロのクローンであることを知りそこから独自で調査を進めた。

 

 

「ふふっ、またコレクションが――あら、お酒にあまり強くないのにこんなにお飲みになるなって、私の前でしたら丁寧に介抱いたしますのに――」

バーニスとの飲み対決で勝利したナナシが体をふらつかせながらパイパーの車に乗り込んでいく写真。

そのうちに、もっと知りたくなって、もっと写真で納めたくなって――その思いは、ナナシを始めて隠れ家に招待した際に爆発した。

 

『おかーさん、離れないで』

最初はクローンに母親は存在するのか疑問だったが――自身の胸の中で涙を流すナナシを見て、まだ知らないナナシが居ることがわかった。そして、自身と誰かを重ねていることも――

 

『きっと、私に泣き言は言わないのでしょうね』

バレエツインズで自身がどれだけ傷ついても、他人を優先して泣き言一つ言わない理想の英雄――その弱い部分を見たリナはナナシを守りたいと感じるようになっていた。

 

 

 

「この子たちは存じてないのでしょうね、ナナシ様が酔っぱらってしまうと精神年齢が幼児並みに低下してしまうことも――知っているのはライカンさんと、私だけ――」

その時の写真も持っている、ナナシがストロング缶を開けて作った料理をつまみに楽しんでいたころ――急にガクッとと首が下を向いた後『えへへ、リナさん!リナさん!』とまぶしい笑顔で手を広げていたのはまだ記憶に強く残っている。

 

「この子たちは存じてないのでしょうね、ナナシ様が実は巨乳好きだということを――」

写真に収められていたのはほんのコンマ数秒をリナが狙って撮った写真。

シーザーを寝起きで視界に納めた一瞬、目線が胸の方に行き、ちょっと顔が赤くなっている写真。バーニスとエレンも、もちろんリナの時も同様の視線の動きをしていた。

 

 

自分だけしか知らない、見れないこと――己の独占欲が疼くのを感じる。

そっとハンドルを切って別の所に行こうと思ったが、寸前でやめる。

 

(ナナシ様は、危機察知能力がずば抜けていますから、きっとハンドルを切った瞬間目覚めてしまうでしょうね)

起きれば、今独占できている物もできなくなってしまうだから――

 

 

「ナナシ様到着いたしましたわ」

「んぅ――はい、おはようございます――おやすみなさい」

ばたっと一回上がった上半身は重力に敗北し再び横わたる。無理もない、ナナシは今日早朝3時に起きて車で寝た以外でずっと起きて動き続けているのだ。

こうなればゆすっては起きないだろう――ならばとリナは車の椅子で寝ているナナシの首から手を回し、顔を自身の胸に抱き寄せながらそのままナナシを車から出した。

 

「ふぇ!?り、り、リィナさん!?」

車から出ると同時に起きたナナシは自分の目を疑いながら状況を把握する。

(な、なんで視界が真っ黒なんだ?――それに、何だかふわっ?ぷにっ?としたものに顔が当たっているような――)

首を動かし上を向くと、笑顔のリナさんの顔があった。

 

「うわっ!?ここって――」

バッと跳ね起き、リナさんから数歩分距離を取る。

 

 

「うふふ、ナナシ様の赤面は珍しいですわ」

パシャっとリナは持っていたカメラでナナシの写真を撮る、しかし確認すると連射で数枚撮ったはずなのだが一番最速の1枚目以外顔の前に手が出て防がれている。

 

「しゃ、写真なら言ってくれればいつでも撮ってもらっていいんですけど――」

「でしたら、入浴中の時はよろしいでしょうか?」

ナナシの言い草につい欲望を出したくなったリナはついそのようなお願いをする。

 

ナナシは数秒考えた後、口を開いた。

「――減るもんじゃないからいいですけど、俺がお風呂に入っている時なんて一体どこに需要があるんですかね」

 

数秒時が止まったようにリナの動きが止まる。大きく目を見開いたまま、ゆっくりと俺に近づき――ガバッと肩を掴む。

「り、リナさん?目が怖いよ?」

「ナナシ様は以下のようなことをいつもおっしゃられているのですか?」

掴む手が強くなり、肩からミシミシと骨が悲鳴を上げる。

 

 

「っと、言ったのはリナさんが初めてですよ」

「そうですか、でしたら――その言葉は私以外には使わないでくださいまし」

唾を飲みこみながら発言した一言で満足したのか、リナさんはそっと手を離し先にそそくさと隠れ家に入っていった。

「り、リナさん!?」

それに続いて、ナナシも隠れ家に入っていった。

 

 

 

「さ、早速ケーキを作っていきましょう!」

「えぇ、材料の方はこちらでご用意させていただきましたのでこちらをお使いください」

冷蔵庫を開けると、イチゴやホイップクリームなど一通りの材料はしっかりそろっている。

 

「これなら――あれ?」

もちろん、そろってはいたのだが――ある一点に目が留まる。

 

「あの、リナさん――これって」

「はい、この後ナナシ様に味見をしていただこうかと」

冷蔵庫にこちらを向きながらパクパクと口を動かしている魚。

(間違いない、これはリナさんが作った料理!?あ、味見じゃなくて毒見が始まっちゃう!!)

若干嫌な予感は最初から漂っていたが――脳内でリンとアキラにスケジュール通りに行かないかもと謝りつつ、どうにか食べるのを回避する方法を考える。

 

(後の自分に託すか――)

とりあえず、ケーキ作りを進行しなければ――

 

「では、やっていきましょう」

リナさんから今日作るケーキのレシピを渡される。

材料は、薄力粉、卵、グラニュー糖、はちみつ、無塩バター、生クリーム、粉砂糖、イチゴだ。

 

「18㎝でよかったんですよね?」

「はい、あくまで初めてですからそこまでの大きさは必要ございません」

18㎝だと大体8カット分くらい、ほとんどがエレンの腹に入りそうだが――そこは、ライカンさんやリナさんが何とかするだろうと納得し準備を始める。

 

(だが、問題はどうやってリナさんの呪物錬成を防ぐかだ)

この間、僅か1手順目でリナさんは魚の内臓などを出さず直で焼き始めた前科がある。目を離せば、何が起こるかわかったもんじゃない。

 

「それじゃあ、リナさんは薄力粉を振るっておいてください」

「お任せください」

リナさんに細かいざると薄力粉を渡す。これによって薄力粉のダマをなくせるのだ。

 

(さてと、こっちも――)

オーブンを170℃に予熱、60℃のお湯を用意してバターとはちみつを湯煎して溶かしておく。

その時、頬に何か当たったような感覚がして指をなぞる。

「薄力粉?――って、リナさん!ザルは横です、縦に振ってたらダメです!」

「あ、あらら――失礼しました、それはそうですわね」

リナさんにも縦に振ったせいで薄力粉がかかってしまっている。

 

(あれ、これチャンスじゃね?)

 

「リナさん!先にお風呂に入ってきてください、ここは俺がやっておきます」

ここで、リナさんをお風呂に封印しておけば呪物の完成は防げる。何なら、後は仕上げと言う場面まで持っていければ大勝利だ。

 

「確かに、これではお料理どころではございませんわね」

リナさんのメイド服どころか顔まで白く染まっているため、少し動くだけでも粉が落ちてきてしまっている。

 

「その通りだと思います!!何なら、長く風呂に入って待っていてもいいんですよ(ケーキの完成を)」

「ッ――よろしいのですか、お風呂で待っていても(あなたを)」

ニュアンスの違いがあるのだが、それを感じ取れる第三者はこの場にはおらずリナは笑顔のままキッチンを去った。

 

 

「――よし、行ったな『ムゲン・ザ・ハンド』」

胸の前で手の平を合わせムゲン・ザ・ハンドを発動させる。これらは、2本でペアを組みそれぞれ、薄力粉を振るう役、スポンジを作る役に分担する。

そして、本体の俺が生クリームを泡立て始める。

 

(やっば、集中力を消費がとんでもないことに――だが、死ぬよりはマシだ)

卵を割り、グラニュー糖を入れ、湯煎にかけ混ぜながら40℃程度まで温める。

 

「は、ハンドミキサーあった――早く、しないと――ぐっリナさんが帰ってくる――はぁはぁ」

こんな精密に普段は使わないかからか、意識がもうろうとしていたのを何とか持たせる。

 

 

数十分後――

 

「よし、これで後は――粗熱が取れるのを待つだけか――」

生クリームは完成し冷蔵庫中に入っている、今は完成した生地を焼いた後ケーキクーラの上に移し、粗熱が取れるのを待っている。

(“別の仕込み”も終わったし、ヴィクトリア家政のみんな気が付いてくれるかな――ハッピークリスマス、ライカンさん、リナさん、エレン、カリン)

 

「それにしても、リナさん遅いなぁ――もともと長風呂派なのかなぁ」

待ちぼうけていると、角から顔を真っ赤にしたリナさんが現れた。

 

 

「り、リナさん!?完全にのぼせてるじゃないですか――ごめんなさい、俺が待っていてくださいなんて言ったばかりに」

「い、いえ――私の勘違いだったようですのでお気になさらず。それどころか、ナナシ様にほとんどの工程を任せてしまうとは申し訳ございません」

(――勘違い?やっぱり俺が何か圧をかけていたのかな)

 

 

のぼせたリナさんを介抱するために寝かせ休ませる。

「大丈夫ですか?後は、仕上げだけなのでつらいなら俺がやりますけど」

「ご心配なさらないでくださいある程度落ち着きましたので、最後の仕上げは共に行いましょう」

「わかりました、でも無理はしないでくださいね」

手を伸ばしリナさんの手を取り引き寄せる。

 

「うふふっ、ちょうど目線が合いましたわ」

「そういえば、俺とリナさんってあんまり身長変わらないですもんね」

確か、俺が176㎝でシーザーと同じ、リナさんが173㎝くらいと聞いたことがある、だから目線がそう変わらないのだ。

 

 

そのまま手をつないだままリナさんを引きキッチンまで誘導する。

ケーキの生地を確認してみると粗熱も十分に取れたみたいだ。

 

「じゃあ、組み上げていきましょうか――あ、包丁はリナさんはまだ危ないと思うので俺がやりますね」

ケーキナイフで横からスポンジを大体1.3㎝くらいの厚さにスライスする。

その後、回転台の中央にスポンジを一枚の乗せる。

 

「それじゃあ、リナさんやってみましょうか」

「はい、まずは生クリームを乗せて――回転させて、パレットナイフを――」

準備ができたのでパレットナイフと生クリームを託しリナさんに任せる。

 

「リナさん、パレットナイフが90°に立ててたらクリームが塗れないですよ――ちょっと失礼して」

だが、いくら回転させても一向に生クリームが伸びないので手元を見てみるとパレットナイフがきっちり90°立っていた。だが、首をかしげるリナさんに対して背中から手を回し、彼女の両の手を持つ。

 

「あら、ありがとうございます――何だか夫婦みたいですわね」

「この間も言ってましたね、もしもリナさんが奥さんだったらかぁ」

完璧に家事をこなすリナさん、しかし彼女が気まぐれに作った料理で死ぬ気がする。

 

 

「その時は、俺が料理を作りますよ」

 

その後は、イチゴを敷き詰めてもう一度同じ工程を経た後上にイチゴを乗せケーキは完成した。冷蔵庫に入れ、このケーキは明日を待つ。

(そういえば、カリンはこのケーキを食べるのかな――明日の夜に来るって言ってたけど)

 

「リナさん、このケーキっていつ食べる予定なんですか?明日の夜にカリンが来るって聞いているんですけど」

「―――お、お昼にいただく予定でございます」

目に見えて動揺したリナさんに違和感を覚えながらも、俺が詮索するようなことではないと思考を止める。

 

 

「ナナシ様はこの後ご予定はございますか?」

「あるよ、ちょっと用事があってね」

今日は12月24日夜にはサンタさんがやってくる時間だ、それに乗じて用事をこなさなくてはいけないのだ。

 

「左様でございますか、でしたら私がそこまでお送りいたします」

「ありがとうございます!だったら、ビデオ屋の前まで送ってくれせんか」

リナさんにお願いして車に乗せてもらい、俺達はビデオ屋の前まで戻ることになった。

 

 

「そういえば、リナさん――どうして『ドリシラ』と『アナステラ』に俺を監視させてたんですか?」

珍しく車で起きているナナシはリナさんに対して問いかける。わざわざ、逃げ場のないタイミングでナナシはリナさんに聞いたのだ。

「申し訳ございません。私の出来心で――」

「いやいや、別に咎めたいわけじゃないんですよ――ただ、何で飛んでるのか単純に気になっちゃって――出来心ならよかったです」

ナナシは23日からずっとどこからか視線があるのを感じていた、途中でリナさんの人形と気づいたため警戒を解いたが、実はそのせいでエレンのことに気づかなかったのだ。

 

 

 

だが、実際に聞くまではどういう意図だったのかわからなかったため、最初重い足取りで向かうことになっていたのだ。

「お気づきになられていたのでしたら、どうしてそのままにしておられましたのですか?」

「うーん、悪い気はしなかったからかな――悪意も感じなかったし、撮られても減るものじゃないしね。はい、この話は終わりにしましょう!これ、プレゼントです」

鞄から取り出したのは、電動みじん切り機だった。

 

「リナさんが料理をするとき切るのに手間取ってるなーって思ってさよければこれを使って見てください」

「ありがとうございます。これを使ってこれからも料理を作っていきますので、また味見をお願いできますか?」

「――ハイ」

何だか、自分で自分の首を絞めるどころか折った気がするが、それよりも笑顔のリナさんを見れてよかったと自己暗示しておくことにした。

 

 

 

車がビデオ屋の前に到着し、リナさんに別れを告げる。別れ際に渡されたクッキーが入った袋を投げ捨てたくなったがぐっとこらえる。

(クッキーに魚って使うんだね――小魚クッキーは聞いたことがあるけどさ――うん、どう見ても、ししゃもくらいのサイズはあるんだよな)

 

 

現在の時刻は22時ちょうど――そろそろ寝る準備をしたいところだが、まだ俺の仕事は終わらない。

この時間だと、リンとアキラはまだ起きているので踵を返しある場所に向かう。

 

数十分後――

「はぁ、はぁ――ついた」

そこは白祇重工の営業所――もちろん、今の時間は誰もおらず辺りは暗闇に染まっている。

当然、俺は合鍵を持っているので開けて中に入る。

 

「ハッピークリスマス、クレタ、アンド―、ベンさん、グレース」

12月24日はサンタさんがクリスマスを置いてくる日、今の時間本来のスケジュールなら寝ている時間だがそれを逸脱し、こうやっていつもお世話になっているところにプレゼントを届けているのだ。

 

(まあ、流石にお菓子の詰め合わせとかなんだけどね――本筋のプレゼントは普通に渡すし)

 

1時間後――

「っ――はぁ、きついなぁ」

次は邪兎屋のアジトに向かった、フラフラな体に鞭を打ちながら事前にビリーと話しておいて開けてもらった窓から侵入する。

 

「ハッピークリスマス、ニコ、アンビ―、ビリー、猫又――そういえば、明日は邪兎屋のうち3人と過ごすのか」

 

 

邪兎屋のアジトを出て、明後日の方向を向き準備運動を始める。

 

「――さて、走るか。フェアリー頼むよ」

『はい、ホロウ内をナビゲートいたします。最終確認です。マスターどのように計算してもマスターの睡眠時間が1時間しか確保できなくなりますがそれでも、ナビゲートを始めますか?』

「もちろん」

本来走れば片道二時間かかる道もホロウを無理やり経由すればもっと時間は縮まる。

 

 

「突破する!!『真・熱血パンチ!』」

道中のエーテリアスは進行方向にいる奴をしばき、やっとの思いでブレイズウッドへ到着した。

事前にシーザーの養父のビッグダディと交渉し、プレゼントを置く場所を決めていた。

 

「ハッピークリスマス、シーザー、ルーシー、バーニス、パイパー、ライト」

プレゼントを置いた後、足早に踵を返してビデオ屋に戻るのだった。

 

 

 

だが、道中のホロウ事件は起こった。

「ちっ、デュラハンか――まずいな、流石にこんな大型エーテリアスとやりあえるくらいのエネルギーはないぞ」

『でしたら、その懐にあるクッキーを食べればいいのでは?』

懐を少しだけ覗く、当然そこには先ほどリナさんからもらったクッキーが入っている。

 

(これを食べればおそらく『マジン・ザ・ハンド』は発動できる――だが、食べたら死ぬかもしれない)

目線の先にはゆっくりこちらに向かうデュラハン。

 

「――虎穴に入らずんば虎子を得ずだな」

クッキーを袋から出し、一口また一口と食べ進める。

 

(―――――――――――)

頭が真っ白になっていくのを感じながら、ぎりぎりで踏みとどまる。

『美味しいのですか?』

「この世界の悪意と言う悪意が助走を付けて殴ってくる味がするよ」

この間、試食でたくさん食べたおかげか耐性がついていたようだ。

 

「覚悟しろよデュラハン!!『マジン・ザ・ハンド!!』」

その後、マジンの拳は一撃でデュラハンを粉砕し、足早にホロウを抜けた。

 

 

 

「はぁ、もうこんな時間かぁ――」

ビデオ屋に戻って現在の時刻は朝の4時、流石にこの時間なら二人も寝ているだろう。

音を立てないように忍び足で中に入る。

 

「んぅ、すぅ」

「すー、すー」

(二人とも、自分の部屋で寝ていないのか?)

ソファがある部屋でリンはHDDシステムの前で、アキラはソファをベット代わりにしていた。

「ハッピークリスマス、リン、アキラ」

プレゼントを置いて、二人の部屋から毛布をもってきてかぶせる。

 

 

そして、俺はその後軽くシャワーを浴びた後、1時間の睡眠に入った。

これで俺の24日?の終わりと25日が始まった。

 




やっと中編が終わったぁぁぁ!!長い!多分後編は短くなる――はず、これ今年中に終わるのかな
伏線を考えなきゃいけない本編と、自分で一から考える番外編ってどっちが難しいのかな。

そういえば、ナナシってデュラハンをワンパン出来るくらい強くなったんですね、Season1だと勝てなくて邪兎屋と一緒に倒してましたし、成長を感じますね~

皆は閑話とか、IFの話とか読みたい?

  • 読みたーい!(特にヤンデレ)
  • 読みたーい!(ラブラブ!)
  • 読みたーい!(好感度測定器みたいなやつ)
  • いや、読みたいのは本編だ!遅れてんぞ!
  • 作者さんの自由で!
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