ゼンレスゾーンゼロ ・ 聖剣   作:うどん米

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気づいたら一週間経ってただと――


危険な襲撃

 

 

早速ホロウに突入した俺達は少し目標の証拠品について話し合っていた。

 

「朱鳶、ナナシよ。我らの推測に照らせば、犯人は既に証拠品を持ち出しておるはず。いかにして奪還すべきか、良い考えはあるか?」

「あー、うーん。そうだなぁ、相手はホロウ内を動き回ってるわけだからやみくもに探すのは現実的じゃない。だから、すでにわかってる強盗団のアジトをしらみつぶしに探しに行くってのはどう?」

「いいえ、ナナシくん。もっといい方法があります。もし、犯人が治安局に異変を悟らせないよう、輸送車の電気系を破壊していないとしたら――ドライブレコーダーも生きている可能性が。車両が停車していた、具体的な場所を割り出せるはずです」

確かに、あの残骸の大きさは並ではない。輸送するにもかなりの大型の車を活用している可能性が高い、その分痕跡も残りやすいしこれらを追跡していけばたどり着けるというわけだ。

 

「うむ、今回は朱鳶のほうが上手であるな。まずは輸送車を見つけ、我らの推測が正しかったかどうかを確かめねばな」

「え、でもそういう機器を探るのって専用の機械が必要なんじゃ?」

「心配するな。我は輸送車の信号をモニタリングできる。いざ、ゆかん」

(スーパー機械人すげー!!)

ということで、青衣さんの先導の元、輸送車を追うことになった。もちろん、移動中にナナシはつけていた盗聴器からアキラたちに今の会話を伝えていた。

 

 

だが、3人は追っている途中電気柵のようなものに阻まれていた。

「この先、行けないな」

「えぇ、ですがこのタイプであればどこかに制御できる端末があるはずです、探しましょう」

この緊急時であれば本来『真・熱血パンチ』などで速攻壁を粉砕しに行くところだが――流石にするわけにはいかない。

歯がゆいながらもイアスが端末を操作し解除してくれるのを待つしかできなかった。

 

一方そのころ、ビデオ屋では――

 

「リン、3人は先に自動輸送車を探しに行くみたいだ」

「フェアリー、輸送車の位置はわかる?」

二人は、ナナシを送り込みサポートする準備を始めていた。

 

『肯定。治安局自動輸送車の正確な位置を測定中――』

「フェアリー、3人が最速で車両の近くまで行けるよう、僕たちでサポートする。ルート設計は任せた!」

リンがHDDでイアス越しに、障害となっている電気柵を解除しに向かう。

端末に向かえば、あとは簡単イアスがちょちょいのちょいで解除し道が開く。

 

 

「あれ?どうして急に開いたのでしょうか?」

「――端末の誤作動かな?」

真相を知っている身にとっては首をかしげる朱鳶さんに対して曖昧な返事を返すのが精いっぱいだった。

結局、そのあともイアスの助けを借りつつ、誤魔化しながら自動輸送車をついに見つけることができた。

 

「ようやく見つけました、これが自動輸送車です!すぐに車両の状況を確認しましょう!」

「外観は異常なし、何かが破壊された痕跡も、ドアを開けた形跡も全くない。中を調べねばならぬようだ」

「EMP発生装置なら関係ないからね」

そう、EMP発生装置で電磁パルスを発生させてしまえばあたり一帯の電子機器は不具合を起こす。そのため、外観が整っていても盗まれている場合があるのだ。

(あれ?なんか、気配を感じる――誰だ?エーテリアスか?)

 

「ナナシくん、これは一応証拠品なので触らないようにお願いします」

「は、はい」

(気のせいか――?)

 

 

そして、意を決して青衣さんが暗号化キーを解除し扉を開けると――

「あれ、証拠品の入ってる箱、ちゃんとありますね――シールで封もしてありますし――」

「本当?それなら、単なる杞憂だけど――でも、そしたらどうしてここに停車を?」

(でも、あの時融合されかけた俺はわかる。明らかにあの袋にあるやつは偽物だ。だけど、それを言ったらやばいしなぁ)

 

「いや、朱鳶、ナナシよ。ファイルにあった証拠品の写真と比較を行った。シールの角度が3度ずれている。箱の中にあるエーテル物質の気配も広場で感じたものとは異質であるぞ」

内心、ナイス!と思いながらも結局二人の考えは当たっていたことに複雑な気持ちになったがともかく、次は強盗団を探さなければいけない。

 

 

「つまり、偽物まで置いておいたってわけか。用意周到だな――やっぱり、何かしらバックがいるんだろうな」

「うむ、あの怪物にはどうやら人に知られてはならぬ秘密があるようだ――」

青衣さんが言いかける前に、再び自動輸送車を見つけた時に感じた気配を感じ取る。

流石におかしいなと背を向けたまま手鏡で後ろを確認すると、少しだが何かの影らしきものが見えた。

 

 

「危ない!!」

二人の体をつかみ自動輸送車の裏に隠れる。だが、それと同時に近くにある低い壁の後ろから、矢の雨がはなたれ、証拠となる輸送車に降りかかった――

 

「ちっ、避けられたっ!」

「バカ言ってんじゃねぇ!相手は捜査課の連中だぞ、そう簡単にやれるか!」

「半日もここで辛抱してたってのに、もうちょい慎重にやれただろうが!」

男たちがだべっている中、一方で輸送車の裏に隠れた3人は――

 

 

「アッぶなぁ!!」

車の影、見事に体操選手のような着地のポーズで叫んでいるナナシ。

 

 

「す、すみません――その、つい」

二人を抱え、輸送車の後ろに隠れたは、いいもののそのあと朱鳶さんにぶん投げられてしまったのでぎりぎりで着地し回避したのだ。

 

「ナナシよ、気を付けるのだぞ。朱鳶はこうやって不用意に体を触れられると、反射的に背負い投げをやってしまうのだ」

「うん、身に染みた。でも、もっと早く言ってほしかったかなぁ!!」

めちゃくちゃびっくりしたのだ。よし、矢をよけたぞと少しほっとしたかと思えば景色が反転して、気づけば俺は地面に叩きつけられる寸前だった。

 

 

一旦落ち着いた俺たちは、車の影から襲撃犯を確認する。

「こやつら、思ったより難敵だぞ。先ほどの言い方からすると、我らが来ると知っていて車両の近くで待ち伏せておったようだ」

「幸いにも、ナナシくんの機転で回避しましたが――どうやら私たちが証拠品を探しに来るという情報まで漏れていたようですね」

「密告者がいるのは確定みたいだね。って、そろそろここに長居もできなさそうだ」

手鏡を使って向こうの景色を覗いていたが襲撃者の一人がこちらに向かってきている。

相手からすれば既に居場所はわかっているのだ、こちらが出た瞬間を狙って襲いに行けばいい。

 

(だけど、相手もあまり時間がないみたいだ――あぶりだそうとしてる)

半日前からホロウ内にいるということは、多少なりとも浸食は進んでいるはずだ。

 

 

「一回ここに隠れたけど、完全に八方塞がりだ。どうすれば――」

「ふむ、あそこを見よ――幾分か開けおるようだ。加えて、こやつらはどうやら半日もの間ホロウ内に居座り続けておる、そして奇襲に我らを殺すことができなかった分かなりイラついておるようだな」

「その心の隙をついて全力ダッシュってわけね」

「左様、こやつらがその気であれば我らは既に爆発物で炙り出されておる。それがない、もしくは頭に血が上りすぎている可能性がある。」

確かに、言われたように短時間といえど俺たちを車の影から出したいのであればさっさとガスなり、爆弾なりやられていてもおかしくない。

 

「――敵の武器はボウガンだから初撃さえよけてしまえば」

「はい、リロードまでの時間で十分逃げられると思います。ですが、それでも当たらないとは限りません――ですが、私たちなら切り抜けられるはずです――ですよね、ナナシくん」

「うん、行こう」

「では、我が煙幕弾を投げた後タイミングを計るゆえ、合図をしたら振り向かず全力で走るのだぞ」

無言で、朱鳶とナナシはうなずき戦闘態勢に入る。

最初は、内心『必殺技』が使えずもどかしいと感じていたナナシも吹っ切れ、いつぞやでの治安官との鬼ごっこを思い出しながら準備する。

 

「あ――これでも、食らえ!」

襲撃犯の仲間の一人が車を回りこちらにボウガンを向け放つ。

 

 

「来やがったな!着払いで即時返却だ!!」

「ひっ!」

放たれた矢をつかみ、そのまま返却する。返っていったボウガンはヘルメットを掠め傷つけた。

「今だぞ!!」

青衣さんの合図と同時に後ろで何か煙が噴き出る音が鳴る。煙幕弾が放たれたのだ、言われた通り背を向けず全力で逃走するのだった。

 

 

 

一方、ビデオ屋では――

 

『警告。治安官とマスターナナシの付近に複数の生体反応。急速に接近中、マスターナナシに直ちに向きを変えるように勧告してください。このままでは、武装した大勢と鉢合わせることになります』

「リン、聞こえたかい?ナナシ達の進行方向には、敵が大勢待ち構えている」

案の定というか、敵もバカではない。わかりやすい開けた場所に大勢が待ち伏せていてもおかしくはない。見事に引っかかってしまったのだ。

 

「フェアリー、どうにかして敵を遠ざけらんない?」

『マスター、残念なお知らせです。該当エリアには、アクセス可能な電子機器、及び操作可能な装置がありません。加えて警告です。もしマスターナナシに治安官二名に対して進路を変えるように伝えれば彼への不信感は上昇し疑われる可能性があります』

「それはなるべく避けたい――どうすれば」

ナナシとプロキシの繋がりが明らかになれば当然疑われるのは、勤務地であるこのビデオ屋だ。芋ずる式に二人が捕まってもおかしくないのだ。

 

『マスター悪いニュースです。治安官二名と、マスターナナシが建物の中に閉じ込められました』

「くっ、悩んでいるうちにドンドン状況が悪化してる」

今取れる選択肢はあまり多くない。建物の中に閉じ込められたということはいずれ包囲され数で押しつぶされるかもしれない。

最悪の場合は、ナナシがいるため回避はできるだろうが、それをすればどこかのプロキシとの繋がりが明らかになる。

 

 

『マスター、3人の所在エリアから、不安定な空間の裂け目が複数検出されました。一般的なキャロットのデータには標記すらされないものです。この裂け目を利用できれば、3人を現在地から離脱させられます』

「ほんと!だったら、すぐにナナシに裂け目の位置を伝えないと!」

「ダメだ、リン。ナナシが裂け目の位置を伝えるのは不自然すぎる」

だが、ここでのピンチに助け舟を出してくれたのはフェアリーだった。

 

『助手二号、ホロウ環境であれば、私は青衣治安官の持つ無線へ安全にアクセス可能です』

「待ってくれ。直接青衣の無線にかけたりしたら、僕たちの存在が露見して――いや、ナナシを守るならそのほうが――」

もしも、直接青衣の無線につなげば少なくともナナシが疑われる可能性は低くなる。

 

「お兄ちゃん『なんかプロキシがいる』ってバレるだけなら、リスクは許容範囲内だよ。ここはとにかく人命優先ってことで!」

『確認。マスターの当面の目標は、3名を『現在のエリアから離脱させる』ことですか?それとも『この苦境から救出する』ことですか?』

二人はフェアリーからの二つの提案にどちらも同じことではないかと首をかしげる。

 

 

『現在、遠隔通信状況下において、3名を現在のエリアから離脱させられる確率は87.1%です。ですが、彼我の戦力差が極めて大きいため、目標の周辺環境をリアルタイムに把握できない遠隔通信では、失敗のリスクが急激に高まることがあり得ます』

「つまり――3人の安全を確保したいなら、リンがプロキシとして同行するしかない、と?」

音声だけならナナシがこっそりつけている盗聴器から拾えるものの、映像はそうはいかない。イアスとして近づくことによってリアルタイム通信を可能にしなければいけないのだ。

 

『肯定。ですが、マスターを治安官の面前に立たせることは、比較的大きな安全上のリスクをはらんでいます。ですが、マスターナナシに治安官2名を守りながらの撤退戦を行うよう指示すればその必要はなくなります』

そう、ナナシがその気になれば彼が持つ完璧な浸食体制をもってして相手が浸食されるまで逃げ回ればいいのだ。たとえ、包囲されていようとも『必殺技』を使えば一時の突破口は作れる。

 

 

「ダメだ、ナナシを守れない。――けど、頭が痛いな朱鳶さんと青衣が治安官でなければ、こんな風に悩む必要もないのに」

「朱鳶さんと青衣はいい人だもん。私たちが将来背負うかもしれないリスクなんかより――今なにもしなかったせいで、これから一生後悔することの方が私はずっと怖いよ。それにさ、このピンチを乗り越えられたら証拠品も取り戻せるし、何よりお兄ちゃんもナナシもフェアリーもいるんだからリスクも軽く乗り越えられるよ!!」

リンの言葉にアキラは強くうなずいた。

 

 

「わかった。そうと決まれば――3人を助けに行こう!」

 

 

 




必殺技なし縛りだと、ナナシはかなり不利な戦いになっちゃいますね。

皆は閑話とか、IFの話とか読みたい?

  • 読みたーい!(特にヤンデレ)
  • 読みたーい!(ラブラブ!)
  • 読みたーい!(好感度測定器みたいなやつ)
  • いや、読みたいのは本編だ!遅れてんぞ!
  • 作者さんの自由で!
  • こんなアンケートする前に書け
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