ゼンレスゾーンゼロ ・ 聖剣   作:うどん米

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ちょっと短め


探索の終わり

 

 

「うおぉぉぉぉッ!?」

真っ逆さまに落ちてきたはずが、裂け目を通り抜けてみれば地面が目の前にあった。これぞ、ホロウの特異性といわれんばかりの光景に思わず大声を出してしまうが、すぐ立ち上がる。

 

「ナナシくん、大丈夫ですか!!」

「無事でおったのだな、中々来ないから何があったか心配しておったぞ」

心配してくれたのか、駆け寄る二人。その隙間から見える、見覚えのある一体のボンプ。何なら、二人が見てないことをいいことに手を振っている始末。

 

 

「ナナシくん、冷静に聞いてください。先ほど、ここで通信の主と出会いました」

『やぁ、ナナシ!』

「――ぼ、ボンプ!?」

まぁ、さすがに治安官の前なのではじめましての振りをしながら驚く。

 

「えぇ、聞いてことがありませんか?インターノット上にかつていたという、伝説的なプロキシ――自らホロウに入って先導するのではなく、ホロウ内外をリアルタイム通信で結ぶことによって、それを可能にしたという――」

『そう、私が『パエトーン』だよっ!!』

キリっ、と効果音が付きそうなくらい胸を張るイアス。もしかして、俺が初対面の時にパエトーンっと言って首を傾げたのを根に持っていたのだろうか。

 

「それでな、ナナシよ。パエトーンの目的と我らの利害が一致してな一時協力関係を結ぶことになった」

『よろしくね、ナナシ』

「わかった、つまり証拠品を取り戻すのを手伝ってくれるってことだよね?」

既に聞いていた話のため、なるべく初対面感を出そうと工夫して話すナナシに対して、最初から距離が近いリンに少し冷汗が垂れるのを感じながら頷いた。

 

 

「では、改めて『パエトーン』、正式に私たちへの協力をお願いします。でもあなたも見た通り、敵は明らかに万全の態勢で襲ってきています。今の戦力で、彼らと正面からぶつかるのは無謀です」

『心配ご無用、私に任せて!戦力で負けてるなら、ホロウの特性を活かして張り合うんだよ!私、得意なんだよね』

数分後――リン(イアス)が先導して探索が始まった。

 

 

もちろん、さっき“お話”をして手に入れたキャロットをこっそりイアスに渡してフェアリーに解析してもらった通りの道を進んでいった。

そのおかげもあってか先ほどまでの騒乱が嘘かのように静かに事は運んで行った。というのも、リンの先導によって何個かの裂け目を経由して証拠品があるであろうアジトの一つにたどり着いていた。

 

(やっぱり、二人がいると楽だな。地道に手探りなんてもうできないや)

 

『それじゃ、あとはあそこにいる奴らをみんな倒しちゃって!!』

「はい、わかりました。行きましょう、先輩、ナナシくん!!」

「うむ、任せよ」

「了解――行こう」

奇襲の祝砲を鳴らしたのは主鳶さんの多機能銃だった。完全に油断したところに放り込まれた弾丸が敵を襲う。

「治安局です!全員、手を上にあげなさい!」

 

 

「青衣さん右はお願い。左は俺が行くよ」

「承知――背中は主鳶に任せるとしよう」

後ろから飛んでくる弾丸の嵐に安心感を覚えながらも戦闘は始まった。

 

「おらっ!」

「遅いんだよ、振り上げすぎ」

掌底で相手の顎を打ち抜きながら武器を奪う。

(必殺技使えないしこれ使わせてもらうか)

奪った武器は簡易的な棒――本当に棒だ。

 

 

だが、案外オーソドックスな武器というものは人を選ばず使いやすい。

 

例えば――

「うぐぁ――」

「リーチの差を活用してよし」

 

「どわぁ」

「投げてよし」

 

「ぐえっ」

「頭をぶっ叩いてよし――素晴らしい3拍子がそろった武器だな」

などと、相手の方が数は多かったものの、朱鳶さんの奇襲が利いたのか制圧は簡単に進んでいった。

 

そして、俺たちはやっとお目当ての品と対面することができた。

「先輩、敵が持っていたこの箱ですが、中は全てエーテル物質です。本物の証拠品かどうか、見てもらいますか?」

「うむ、間違いない――この気配、たとえ密封されたかけらであろうと、全身が総毛立つようであるぞ」

「―――」

(2度目対面だけど――相変わらずの嫌な気配は顕在か、だけど前ほどではない気がする。でも、どうして俺と融合を試みようとしてきたんだ?)

この怪物との初対面時、俺を確認するや否や一直線で俺に向かって飛び込んできた。一体何の狙いがあったのかは不明だが、少なくとも俺の失われた記憶と関わっている可能性は高い。

 

 

「よかったですね!ようやく取り戻せました」

「包囲していた連中も、思いもよらなかったであろ。我らに逃げられたばかりか、証拠品まで奪い返されるとは。あとはホロウを離れさえすれば安全だ――ナナシよ、どうした?どうにも、ぼーっとしている様子であるが」

「え、――あぁ、少し考え事をね――一体、なんでこんなものを持ち出そうとしたんだろうって」

つまり、こいつらを売れるような相手がいるというわけで、その上欲しているやつがいるというわけだ。この新エリー都にはもしかしたら、ヴィジョンなんて霞むほどの悪が潜んでいるのではないかと思わず身震いした。

 

「そうですね、犯人たちの目的がすべてわかったわけではありませんし、とにかくこの後はH.A.N.Dに任せるしかありませんから」

「そうだね、今はとりあえず目標を達成したことを祝うべきか」

『そうだね!それじゃあ、三人とも今ちょうどホロウの出口が近いの、みんなを連れて行ってあげるよ!』

そして、最後はリンの先導によって無事にホロウを出るのだった。

 

 

 

数分後――

 

「お、出口見えた――あと少しでおさらばできるね!」

「はい、私たちもナナシくんを無事に返せて何よりです」

そう、すっかり馴染んでいたがあくまでナナシは民間人?なので、怪我でもされたら治安官として――なんて思っていた朱鳶にとってはずっと気が気じゃなかったのだ。

 

『三人とも、今日のところは見逃してくれるって感じなら――お先に失礼するね?』

「安心せい。恩を仇で返せば、雷に打たれるというからな。それにプロキシを問答無用でひっとらえいというのお、かねてより公平さに欠けると思っておった」

「コホンッ――先輩?治安官がそういうこと言っちゃいけないと思いますけど――とにかく『パエトーン』。本日はご協力に感謝します」

「ありがとう、パエトーン」

少し、青衣さんの爆弾は爆弾発言はあったもののどうやら、二人の正体もバレず円満エンドでホッと胸を撫でおろそうとしたその時だった。

 

『お礼を言うのはこっちもだよ。自動輸送車が危ないって、小さな手がかりから気づいてくれて――証拠品を守るためだからって、ホロウまで入ってくれたんだから。じゃあね、治安官さんたち!次に会うときは、お互いに一触即発の状況じゃないといいね』

と、見事な爆弾発言を成し遂げたリンは通信を切ってイアスもその場を離れていった。

 

 

(――大丈夫かなぁ)

「先輩、『パエトーン』は行ってしまいましたね。私たちも早いところ、証拠品を持ち出しましょう」

「うむ、行くとするか――はて?――『パエトーン』はこう言っておったな『自動輸送車の危機に手がかりから気づいた』、『証拠品を守るためとはいえ、ホロウにまで入ってくれた』――朱鳶よ、今の言葉――怪しいところがあったとは思わぬか?」

残念ながら心配は杞憂に終わらず、青衣さんはさっきのリンの会話から見事におかしな点を見抜いていた。

 

「ああっ――そうですよ!『パエトーン』が証拠品のすり替えに気づいたのは、てっきりホロウで輸送車を監視してからだと思ってました。でもその場合、そこに治安官が来たら――命令か何かだと思いますもんね、普通」

「それってつまりパエトーンがホロウの外でのやり取りを俺みたいにこっそり聞いてたってことになるんじゃない?」

「その可能性は高いな。ナナシよ、それらしき人物は見かけたか?」

「それらしい人?いや、正直二人の話に夢中であんまり周りは見てなかったからわからないや」

ここで、あえてナナシは『見てなかった』とはぐらかした。なぜなら、もし監視カメラの類があれば人の影などで人物が“いた”というところまで特定される。

その場合、いなかった、いた。なんて言えば、確実にボロがどこか出てると考えたのだ。

 

 

と、リンの爆弾発言を何とか被害を最小限に抑えるために奔走しながら無事にホロウを脱出しビデオ屋に帰ることができたのだった。

 

 

 




さて、次はついにエピローグですね

皆は閑話とか、IFの話とか読みたい?

  • 読みたーい!(特にヤンデレ)
  • 読みたーい!(ラブラブ!)
  • 読みたーい!(好感度測定器みたいなやつ)
  • いや、読みたいのは本編だ!遅れてんぞ!
  • 作者さんの自由で!
  • こんなアンケートする前に書け
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