ゼンレスゾーンゼロ ・ 聖剣   作:うどん米

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もう投稿がないって油断してました?


エピローグ:大根の清算

 

数日後――

 

「来たね、リン、ナナシ。今日は暇かい?一緒にルミナススクエアの治安局まで行かないか?」

「そうだね、今日で朱鳶さんたちともお別れだもんね――でも、リン注意してね」

「任せて!さすがにこれ以上は大丈夫だから!――それに、私たちの情報を少しバラしちゃったならこっちは、二人の連絡先くらいはゲットしとかなきゃ」

一体どこに根拠があって自信満々なのかもわからないが、ともかくボロを出す心配を抱えながらも3人で向かう準備を始めた。

 

 

「それに僕が考えていたのは、二人に贈り物をすべきことだってことさ。例えばこの治安官が題材の映画――『非常なる使命』のコレクターズエディションなんてどうだろう?」

「へぇ、見たことないや。どんな映画なんだ?」

「確か、ラストで主人公が上官に逆らって住民を守りに行くやつだよ、ナナシ――あ、ネタバレしちゃった!!」

「リン――ビデオ屋でネタバレはご法度だよ」

そして、準備を終えた三人はルミナススクエアのルミナ分署に来ていた。

ちょうど、二人も引っ越しの準備を進めているのか段ボールが少しちらっとだが見える。

 

「先輩、荷物の梱包が終わりました。車に積み始めますよ」

「やあ二人とも、何とか間に合ったみたいだ」

どうやら、ちょうど梱包が終わったようで手を放してこちらに駆け寄ってくれる。

 

「店長のご両人にナナシではないか。どうしてここへ?」

「もちろん、二人へお別れを言いに来たんだ――ほら、短時間とはいえ結構濃厚な時間を過ごしたでしょ!」

「うむ、特にナナシには世話になった――改めて礼を言おう、ありがとう」

「私からも改めてありがとうございました」

互いに礼を尽くし、頭を軽く下げる。その間には確かに親愛の情が感じられた。

 

 

「そうだ、アキラくんとリンちゃんも当日はごめんなさい――ナナシくんを連れて行ってしまって」

既にナナシを介して、二人に『六分街EMP事件』は解決したことを伝えてはいるのだ。

 

「気にしないでください朱鳶さん。うちの従業員がそっちの捜査に協力したことで事件が解決したのならよかったよ」

「うん、うん!!」

潜り込ませたのは二人だというのに、自然な演技に内心度肝を抜かれるナナシ。だが、プロキシと治安官、うまく付き合っていくためにはこれくらいがちょうどいい関係性なのかと考えるナナシなのだった。

 

 

「そうそう、二人にプレゼントを持ってきたんだ。治安官が主役の映画だよ!」

話題を変え、リンが取り出したのは『非常なる使命』のコレクターズエディション、だが朱鳶さんたちの反応はあまり芳しいものではない。

 

「気持ちはとても嬉しいです。ただ――治安局の規定で、こうしたものを市民から受け取ることができなくて――ですが――『Random Play』の顧客として、買い取らせてもらっていいでしょうか?」

「もちろんだよ!毎度あり!」

「これは大型顧客ゲットだね!」

まぁ、治安官常駐とかになったら別の意味で問題が起きそうだが――

 

「朱鳶さん――また来てね!!――あっ」

朱鳶さんの手をつい“握り”、“まっすぐ目を見て”、思うことを伝える。だが、事の重大さに気づくスピードも速かった。

ついには3回目となる背負い投げを決められるかに思えたが朱鳶さんの顔が真っ赤になっただけで何も起きなかった。

 

 

「し、朱鳶さん?」

「ほう、ぬし意外とやるな!」

「せ、先輩!茶化さないでください!」

ちなみにこの後、なんでそんなに頬を赤らめているのか聞いたらしっかり背負い投げで成敗されたナナシがいたことは想像に難くはないだろう――無念。

 

「リン、ナナシ。朱鳶さんたちは出発の準備があるみたいだ、この辺で失礼しようか。次いでに、近くをぶらついて――この前果たせなかった、おいしいご飯にリベンジするのもいい」

「うん、食べたい食べたい!!」

こうして、この治安官を巻き込んだ一難はこうして過ぎ去っていくのかと思っていた――しかし、一難が去ればさらに一難がやってくるのは常なのだ。

 

 

「少し待たれよ、ナナシ」

青衣さんに呼び止められた。しかし、今までとは違う――何か、背筋が凍るような嫌な予感が走った。

 

「な、何かな青衣さん?」

「悪いが少し時間をもらうぞ――なに、“大根の件”といえばわかるであろう」

「ッ!」

どうやら朱鳶さんには聞こえていないようで少し離れた場所で首を傾げている。

 

「――行きます」

覚悟を決め、言葉をそっと漏らす。

 

「待ってくれ、青衣。その件は――」「そうなの!ナナシは悪い人じゃないから!」

「安心せい、悪いようにはせぬ」

「いいんだ、アキラ、リン。いつか、こんな日が来ると思ってたから――」

そして、そのまま青衣さんに連れられとある露店で八百屋をやっている店の前まで連れていかれる。

 

「おやおや、青衣さんじゃないかい――もしかして、お茶を飲みに来てくれたのかい?」

見覚えしかない、おばあちゃん。おっとりしていて、常に人を観察して狙いを定める俺にとっては盗みやすいったらありゃしない相手だった。

 

 

「いや、今日はそのつもりでは来てはいないのだ」

「そうかい、もしかして隣の子は彼氏さんなのかい?ずっと下を見ているけど」

「否、それは違う――」

二人がのんびりと話している間、合わせる顔というものが存在しない俺にとっては下げるしかなかった。だが、少しずつ視線を上げていく中であることに気づいた。

 

「あ、あの!ど、どうして店先に大根がおいてあるんですか?」

もちろん八百屋なんだから大根は売っていても不思議じゃない、けど大根のコーナーからは離れた場所――それも、本当に盗りやすい位置に大根が一本ぽつんと置かれていたのだ。

 

 

「うふふ、こうしていればまた大根の神様が来てくれると思ってねぇ――」

「だ、大根の神様!?」

「えぇ、こうやって大根を置いておくと誰かが瞬く間に大根をとってその後、辺りの悪党がみんな倒されちゃうから、大根の神様って呼んでるんだよ」

そういえば、と過去を振り返ってみると盗んだ後、流石に悪いと思って周りの犯罪者を手当たり次第にボコボコにしていたような――。

(だけど、そのせいで街を離れられなくなって――結果的に同じところにとどまっていたせいで食料が尽きて倒れてたところをアキラとリンたちに発見されたんだった)

 

「うむ、実は今日はそのことで来たのだ――前置きはせぬ、こやつ――ナナシこそ、おばあ様の言う大根の神様なのだ」

「まぁ!そう――お顔をよく見せて頂戴?」

露店の裏から現れたおばあちゃんは下を向いていた俺の顔を掴み上げる。

すると、目が合った瞬間――おばあちゃんは口角を大きく上げ、満面の笑みになった。

 

「許せ、ナナシよ。実は、おばあ様からぬしのことは少し聞いてなそれで、我がルミナ分署にいる間にぬしを見つけると約束しておったのだ」

「そっか――あの、ごめんなさい。いっぱい大根を盗んでしまって」

「いいのよ、あなたのおかげで私は何度も助けられてるんだから――それよりも、安心したわ――あの時に見たあなたの顔はとても苦しそうだったから」

おばあ様の視線の中で重なっていたのは大根を盗み出して逃げようとしたナナシの誰も信じることができず、一人で世界に絶望でもしているような悲痛な顔。

けど、今のナナシからはあの時の表情が嘘みたいに晴れやかだったから。

 

 

「大丈夫、お腹空いていないかしら?いつも大根しか持って行かないから栄養は大丈夫?」

「うん、おばあちゃんのおかげで今も生きれてるよ今、ビデオ屋で働いてるんだ。絶対来てほしい――何か、おごるから」

気遣いが心にしみるのを感じる。暖かい何かが胸を支配していく感覚――とっても心地いものだった。

その時だったグーという音が俺の腹から鳴る。

 

「ふふっ、空いてるみたいね。なら、家に上がって頂戴――いっぱい食べさせてあげるから」

「え、でも悪いですよ「いいのよ、年長者の気遣いは大人しく受け取りなさい」――はい!!」

スマホでアキラとリンに合流できない旨を伝えナナシはおばあちゃんの家に入っていった。

こうして、ナナシの心の蟠りの一つであった大根泥棒の事件はこれにて解決した。

だが、その結果圧倒的おばあちゃん力から繰り出される秘儀『無限ご飯』の刑に処されるナナシ。

だが、ナナシの胃袋は実質無限なのでお腹がバランスボールくらいに膨らむくらいで済んだのはまた別のお話。

 

 

 

一方その頃――

 

「どうしよう、お兄ちゃん!!ナナシが、ナナシがぁ!!」

慌てるリン、しかし対称的にアキラはとても冷静だった。

 

「大丈夫だ、リン。ナナシなら鉄格子くらい破壊できるからね」

「捕まる前提じゃん!!ダメだよ――そんなことしたらナナシがもう外に出られなくなっちゃうよ!」

そもそも、見捨てる前提がないことに違和感を覚えながらも――リンはもしナナシが外に出られなくなった時のことを妄想する。

 

 

『ふぅ――ビデオ屋の営業もこれで終わりだね』

そうやって、扉を開けるとナナシがちょこんと小さく座っていて。

『お帰り~今日もお疲れ様!』

『ただいま、ナナシ!!』

こうやって、ずっと家にいることでおはようからお休みまでずっと一緒ということになるわけだ。

 

 

「――アリだね」

「リン、ナナシを使って一体何を妄想しているんだい?」

「な、何でもないよ!そ、それよりもお兄ちゃんはナナシが心配じゃないの!」

リンはやけに冷静すぎる自身の兄に疑問を撫でかけると、アキラは髪を少し上げ耳に入っているイヤホンを指さす。

 

「あ、それって今回の作戦で使った盗聴器だよね。まだ、ナナシについてたの」

そう、治安官と一緒に動くうえで情報を盗れないかとあらかじめナナシに盗聴器を持たせていたのだ。

 

「これで、リアルタイムで聞いてたからね。どうやら、青衣にナナシを捕まえる気はないみたいだ」

差し出されたイヤホンをつけてみるリン。

 

『ふふっ、空いてるみたいね。なら、家に上がって頂戴――』

 

「聞こえた!!誰かの家に上がっていくみたいだね」

「うん、ほらちょうどナナシからメッセージも来た」

兄から見せられたトーク画面では『今から、おばあちゃんの家でご飯食べるから合流できない。二人で食べておいて。ごめんなさい』

と書かれていた。どうやら、和解は成功したようだ。

 

「そういえばお兄ちゃん。この盗聴器だけだとナナシの位置はわからないの?」

「どうしたんだい?――わからないけど、あくまでホロウ内外をつなぐためのものだからね」

HDDシステムの応用でリアルタイムでつないでいるもののため発信機的なものは必要ないと考えつけなかったのだ。

 

 

「――ナナシが厄介事に巻き込まれてるんじゃないかって心配なの」

「確かに、今――ナナシに何が起きてるか僕たちが知る方法はない――助けにも行けないだろうね」

不思議なものかな、不安というものは一度口に出すと心の中で無限に広がっていくものなのだ。それは、二人にも例外ではなかった。

 

「ねえ、あのさ――提案なんだけど」

「どうしたんだい?リン」

恐る恐る口を開くリン。しかしながら、不思議と言葉には強い意志が宿っていた。

 

「ナナシに発信機を付けない?」

「僕もちょうど同じこと考えていたところだよ――そうだ、その盗聴器の音質も悪いだろう?だから、もっとたくさんつけようと思ってるんだ」

「お兄ちゃん!賛成だよ!!」

 

 

ナナシはまだ知らない、自分がいないときにこんな会話があったことも、そしてこの先でアホみたいな量の盗聴器と発信機を付けられることを――

 




こうして、外に自由に出歩けるようになったナナシ。ここから、他のエージェントとの交流が始まるのだった。

皆は閑話とか、IFの話とか読みたい?

  • 読みたーい!(特にヤンデレ)
  • 読みたーい!(ラブラブ!)
  • 読みたーい!(好感度測定器みたいなやつ)
  • いや、読みたいのは本編だ!遅れてんぞ!
  • 作者さんの自由で!
  • こんなアンケートする前に書け
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