ゼンレスゾーンゼロ ・ 聖剣   作:うどん米

60 / 186
閑話・ナナシと猫又

 

 

 

白祇重工での早朝の仕事を終えた後。

 

 

猫の集会所。それは、普段人目がない場所にのみ存在する。その場所は、簡単に人が見つけられるわけもない。しかし、俺は猫又の助力を得てその猫の集会所に来ていた。

 

「ナナシ、もうすぐだぞ!」

手を引かれついた場所。路地裏を抜けた先にそれはあった。だが・・・。

 

「あれ?猫の集会所・・・なのに一匹もいない」

開けた場所があったのだが、そこには人っこどころか野良猫一匹もいなかった。

(いや、気配を探るといるけど・・・出てきてないって感じか。なるほど、新参者は信頼されていないと)

 

「仕方ないぞ。まだ、ナナシは新入りだからな。警戒されているんだ」

「うーむ・・・。猫と友達になるためにはどうすればいいんだ・・?」

右手を顎に携え考える。言葉が通じない分、かなり高難易度のミッションだ。

 

「友達・・・。そうだな、友達にならないとな!」

なぜだか、急にテンションが上がる猫又をしり目に、考える。すると、考えている途中一匹の白猫が現れた。

 

「おっ!ナナシ、もしかしたら友達になりたいと思ってるのかもしれないぞ!」

「そ、そうかもな。よしっ・・・いっちょ、挑戦してみますか・・・」

白猫から目線を離さず、手を差し出す。

 

 

「ほらほら---。怪しいものじゃありませんよ~」

満面の笑みを作り、怪しいものじゃないことをアピールする・・・・が。

 

 

にゃっ!!

 

 

手は無慈悲に、猫パンチにはじかれた。

(・・・無念)

「---おかしいな~。確かに怪しかったけれど、そこまで手厚い歓迎を受けるほどじゃなかったんだけどな~。・・・・あれ?ナナシって今日どこかに行ってた?」

疑問を抱く猫又。何かに気づいたように、俺の近くに来てスンスンと鼻を鳴らしながら匂いを嗅ぐ。

 

 

「う、うん。今日は早朝から仕事があってさ、そのまま来たから・・・もしかして汗臭かった?」

「・・・そうみたい。猫ちゃんに接したいならまず体を洗うべき!----その雌猫の匂いも」

「うん?なんて言ったんだ?」

最後の方は聞き取れなかったが、ともかくこの汗のにおいがだめらしい。

 

(拭いたと思ったんだけどなぁ・・・・。まぁ、確かに人間同士でも匂いが強い人は嫌われるし、汗臭い人も良くは思われない。)

「・・・悔しいけど、出直したほうがよさそうだな」

「そうだな!それじゃあ、この後一緒にご飯でも行かないか?」

時刻はちょうど昼を回っているため時間的にもちょうどいいだろう。

 

「あぁ、もちろん。どこで食べよっか?」

「うーん・・。それじゃあ、ビデオ屋に行って、そこで何か見ながら食べるってのはどうだ?ついでに、シャワーも浴びてさ!」

(・・・うーむ。猫又も言わないだけでやっぱり汗臭いのかな・・・。加齢臭って奴?そんなに歳行ってるのかなぁ)

そういえば、自分の正確な年齢もわかっていないなあ・・・。なんて思いながら、やはり自分は臭いんだとショックを受けながらも了承し、ビデオ屋に向かった。

 

 

 

 

シャワーから出ると買ってきたお昼がそのままテーブルに置かれたままだった。

「でたよー、ごめん。猫又、シャワー出るまで待ってもらっちゃって」

「大丈夫だ!それよりも、これ面白いな!」

 

テレビの方に視線を向ける。どこかで、見覚えがあるシーンだなと思ったら、アンビーと一緒に見た映画。『愛とラブは劇場で』だった。

(うわー・・・。めちゃくちゃ、気まずくなった奴じゃん!?でも、猫又なら大丈夫か)

 

 

確かに、あの映画は途中で気まずくならなかったらとても面白い映画だった。ギリギリで、劇場で見られたのはむしろラッキーと言えるだろう。まぁ、リバイバル上映だったらしいのでビデオ屋でも見れたのだが。

俺も見ようと、猫又が座っているソファに腰を下ろす。

 

「おっ、ナナシも興味あるんだな!---雌猫の匂いは消えたな」

「?あぁ。前にアンビーと一緒に見たんだ」

(うん?)

その瞬間、空気が凍ったような感覚に襲われる。

 

「へぇ~アンビーとデートしてたんだ・・・。」

「デート・・・かぁ。確かにそうかもしれない。あぁ、でもアンビーからしたら迷惑かもしれないなぁ・・。それってつまり、俺と彼氏彼女だと思われてたってことじゃないか・・・」

もしかして、最初の方全く表情が動かなかったのってそう言うこと・・・。

(でも、最近はよく表情の変化も見るようになってきたし・・・ふふん。どうやら、トークスキルが上がっているみたい~。)

 

 

 

「ふーん---。」

ため息をついた後、いつぞやと同じように俺の膝を枕にして、昼を食べながらビデオを見る。

(普段なら行儀が悪いと言いたいところだけど、一説によれば猫がお腹を出すのは信頼の証と聞いたことがある。・・・・いや~なんだかおもちゃな気がするけどなぁ・・・)

 

少し試してみようと、猫又の頭をなでる。

「んにゃ!急にどうしたんだナナシ、頭なんてなでで」

普段はなかなか聞こえない。にゃを聞きながら、無言であえて猫又の方を見ずに撫で続ける。

 

 

(それにしても、猫のシリオンの耳って結構暖かいんだなぁ・・・実際の猫もこんな感じなのかな・・・)

「くすぐったいぞ・・・」

 

 

左手で自分の耳を触るってみる。感じる顕著な違い。

だが、すぐさま他の感覚がしたため手を離す。

「ふふん!驚いた?」

「う、うん。驚いた・・・。いったい何を・・・」

 

感覚がした手を見てみると・・・。

「な、なめ痕?なんだ、猫又が俺の手をなめただけか・・・」

「そうだぞ。あっ!忘れてた、早くごはん、ごはん~」

テーブルの上にある昼食を手に取る。

 

 

「よいっしょっと」

そのまま、なぜだか、俺の隣に座り体を密着させてくる。そのまま、寄り添いご飯を食べながら、ビデオを見た。

 

(どうしたんだ?寒いのかな・・・。まぁ、いいや!)

その行動に対してこいつが深く考えるはずもなくこの日は終わりを告げた。

 

 

 

 

後日、再び猫ちゃんに会いに行く。

 

「怪しくないですよ~」

今日は、ちゃんと体も洗ってきたし、なんと手にキャットフードも装備して現れた。

にゃ~。白猫が現れキャットフードを食べる。

 

(よーし)

 

 

その後、猫又がいない日も暇があれば集会場に遊びに行っていた。

 

 

・・・すると。

 

 

「ど、どうなってるんだ・・?」

猫又が思わず目を丸くする。今日、ナナシと一緒に猫の集会場に久しぶりに行くと約束してきてみたら先にナナシがいる上に。

 

 

「ふふん!ここら辺の猫はみんな友達になってくれたんだ!」

 

にゃ~!にゃ!にゃっ!・・・・。

いっぱいいるので、全員が鳴くともう大合唱だ。

 

「いつの間に、ここのボスみたいに・・・って。その子、ここら辺のボス猫じゃないか!」

俺の膝に乗っている雌猫・・・。通称、にゃんちゃんは俺の膝でゴロンと腹を差し出し、撫でられている。その隣には撫でられる待機列のようなものが出来上がっている。

 

 

 

「いや~この子・・にゃんちゃんは、難しかったよ。何度も、何度も来てやっとみとめられたんだよ。・・・ね~」

にゃ~!

「威風堂々としたボス猫が・・・。」

猫ちゃんから視線を外す、するとさっきまで目を丸くしていた。猫又の目線がなんだか鋭い。

 

 

「いや~。最初はさ、なんだか気難しい子達だと思ってたんだけどね・・・やっぱり、回数って大事だね・・・」

猫又から視線を外し、再びにゃんちゃんを撫でまわす。

 

「・・・っ」

瞬きの一瞬。膝元からにゃんちゃんがいなくなる。驚き、すぐ目を開いた。

そこには、にゃんちゃんをどかして、俺の膝に頭を置いていた猫又がいた。

 

 

 

「っ・・・どうしたの、猫又?」

突然のことで驚き、その上何故こんな行動をしたのかも検討がつかない。

 

 

「猫ちゃんは。自分の縄張りを荒らされるのを嫌うんだぞ・・・」

「・・・あぁ、なるほどね」

(そういえば、ヴィジョンの件が終わった後俺の膝に潜り込んできたっけ・・・。)

 

 

「俺の膝は猫又の縄張りなわけか・・・。そんな居心地いいかな・・。筋肉質で固いと思うんだけど・・・」

膝の横側を触ってみるも相変わらずの低反発ぶり、筋肉で埋まってるのかなってくらいには固い。

 

「そういうことじゃない!・・・でも、ナナシの膝はあたしの縄張りなんだから、他の雌猫を座らせないで!」

「えー。膝上でなでなでするのが一番楽なのに・・・」

エアーなでなでをしながら、答える。すると、猫又が俺の手を取り自身の頭の上に乗せる。

 

「そ、そんなに撫でたいんなら、あたしをなでて!」

恥ずかしそうに顔を赤らめる猫又。

 

 

 

「確かに!猫又なら逃げないしね」

少し考え、あたりを見渡しながら。猫たちに暗にお前だぞ。と言いながら答える。

 

 

「そうだぞ!あたしならいつでも撫で放題なんだからな!」

「うれしいよ。でも、他の猫たちも撫ででほしいって子はいるし、少しだけなら許してくれない?」

 

 

その後、他の猫をなでる許可をもらうために交渉し、結果。猫又同伴なら、撫でてもいいことになった。

 

 

 

 

なお、その日の帰りは毎回シャワーを浴びさせられるもよう・・・。

(・・・まぁ、いっか!!)

 

 

 

ちなみにその後・・・。

 

 

アンビーと、カフェで映画の感想を語っている最中、俺のスマホが震える。

チェックすると相手は猫又だった。

 

「だれ、ナナシ?」

「猫又からみたい、また猫の集会場に行こうって話」

スマホを見せながらアンビーにそう答える。

 

「そう・・・ッ!」

見せた瞬間、アンビーにスマホがひったくられる。

 

「ちょ、アンビー何するんだ」

「・・・多いね。女の子の連絡先」

どうやら、連絡先をチェックされただけらしくすぐスマホは俺の手に戻る。

 

「多いと言っても、邪兎屋を除いてたら2,3人だよ。そこまでじゃない?」

「・・・そうかもしれないけど。場合によるから---」

その場合とは?と聞こうと思ったがなんだか怖くて聞けなかった。

 

 

 

『ナナシ!明日の朝、空いてないか?一緒に、猫ちゃんに会いに行こう!』

(明日・・の朝か)

 

スケジュール帳を確認すると、その日は白祇重工の仕事が入っていた。

『ごめん、明日はアルバイトが入ってるんだ。またどこか空いたが日があれば誘ってくれると嬉しい』

すぐさま既読が付き返信が来る。

 

『わかったぞ!また誘うぞ!』

 

 

(そういえば、猫又と一緒に猫の集会場に行って猫ちゃんたちと戯れてると、すぐ猫又が割り込んでくるんだよなぁ・・・。流石猫、縄張り意識が高いのかな・・・)

 

 

 

 

 

 

 

あの日、初めて猫の集会に行った日。なぜかはわからないけど、雌の匂いがした。

「・・・雌猫。もっとしっかり、マーキングしないとな!」

 

 

 

 

 

 

皆は閑話とか、IFの話とか読みたい?

  • 読みたーい!(特にヤンデレ)
  • 読みたーい!(ラブラブ!)
  • 読みたーい!(好感度測定器みたいなやつ)
  • いや、読みたいのは本編だ!遅れてんぞ!
  • 作者さんの自由で!
  • こんなアンケートする前に書け
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。