ゼンレスゾーンゼロ ・ 聖剣   作:うどん米

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閑話・ナナシとクレタ

 

 

 

 

 

ピピピッ!けたたましい音が部屋に鳴り響く。

 

 

その音の根源を止めようと、俺の『ゴッドハンド』は消しに向かうが、あと一歩と言うところで時計は地面に落ちる。

 

「・・・はぁ」

立ち上がり、音を消す。

朝でいまだ、もやもやが晴れない意識を浮上させながら。寝ている二人を起こさないためにそっと顔を洗うために部屋から出た。

 

 

 

時刻は午前三時を回っており、少し早く起きすぎな気がするが、ビデオ屋から工事現場まで走っていくことを考えれば妥当な時間だろう。

 

 

顔を洗い、準備を整えた後行こうと思ったが、ふとテーブルの方に目が行く。

「おにぎり?」

 

『朝から仕事ご苦労様、ナナシ。よければ、朝ごはんはこれを食べて行ってほしい。体を大切にね。アキラより・・・』

手紙と置かれたおにぎりをバッグに入れ「ありがとう」と小声で起こさないようにつぶやきながらビデオ屋を出た。

 

 

(そういえば、最近料理の本増えたたなぁ・・・。と言うか、最初からキッチンなんてあったっけ・・?)

目をつぶり、拾われた直後の記憶を掘り起こす。だが、キッチンらしいものは見当たらなかった気がする。

「まぁ・・いいか」

 

 

数キロはある工事現場までの道を全力で走って向かった。

 

 

 

 

建設現場に到着し早速クレタに会う。

「よう、ナナシ。まさか、来てくれるとは思いもしなかったぜ」

(まぁ、あんなに押されればなぁ・・・)

 

 

ここに最初に来た時とは違い、彼女の表情からは自信を感じる。当初は社長としては未熟だったが、先の一件でかなり精神的成長を遂げたのがよくわかる。

 

 

「まぁ、まずは仕事を覚えねぇとな。」

「あぁ、お手柔らかに頼むよ。それで、誰が教えてくれるんだ、ベンさん?それともグレース?アンド―は・・・嫌かな」

あの熱血ぶりで鍛えられては覚えられる仕事も覚えられない自信がある。それにグレースさんは肉体派ではない可能性は薄いだろう。個人的に一番信頼しているベンさんにやってほしいが、あの人は経理の方なのでアンドーが一番可能性が高いのだ。

 

 

 

『ナナシ!全力で行くぞ!』

燃える眼。背景が炎に包まれたそんな情景が容易に想像できる。

 

「はあ?何で姉貴の名前が挙がってあたしの名前があがらねぇんだよ!」

「うん?」

なぜここで、クレタの名前が挙がるのかが逆に謎だ。なぜなら、クレタは社長で在り、ここら辺の現場を総括すべき立場なのだ。それが、たかが一アルバイトに肩入れしていいはずがないのだ。

 

 

「だ・か・ら!あたしが直々にナナシに仕事を教えてやろうってことだ!」

「えっ・・・えぇぇぇぇぇ!!」

その叫びは、事務所にこだました。

 

 

 

その時だった。

『緊急事態発生、施工現場にこうエーテル活性反応。現場対応班は至急集合されたし・・・繰り返します・・・』

「こ、これって・・・」

警報が鳴り響く中、事務所の扉が開く。

 

「ボス、現場にエーテリアスだ・・・ってナナシじゃないか。そうか、今日からだったな」

現れたのは白祇重工の熊のシリオン、ベンさんだった。

「久しぶりだな。ベンさん、今の警報はやっぱりエーテリアスの反応だったわけか」

「そうだ、ちょうどいいな。ナナシも連れて行こう、さっさとエーテリアスをぶっ飛ばすぞ!」

そのまま、襟をつかまれ引きずられていった。

 

「いやいや、自分で歩くから!」

だが、なかなか手を離してはもらえなかった。

 

 

 

 

「『正義の鉄拳G3!』」

エーテリアスをなぎ倒す『正義の鉄拳』。あの事件から数日たち手の治療も終わった後初めて撃ったがかなり安定している。視線を外すとあちらも終わったようで、エーテルも薄くなった。

「相変わらず、つえぇな。ナナシ、助かった」

「仕事だからな。当たり前のことをしたまでだ。」

(そういえば・・・ここら辺、エーテルの石?だっけか鉱石だっけか。忘れたが、無いな・・)

 

 

 

その数分後。

 

『緊急事態発生、施工現場にこうエーテル活性反応。現場対応班は至急集合されたし・・・繰り返します・・・』

「行くぞ、ナナシ!」

「あぁ!」

現場に再び向かい、エーテリアスを粉砕する。

 

 

そのまた数分後。

『緊急事態発生、施工現場にこうエーテル活性反応。現場対応班は至急集合されたし・・・繰り返します・・・』

「--行くぞ、ナナシ!」

「--あぁ!」

現場に向かい、エーテリアスを粉砕する。

 

 

そして数分後。

『緊急事態発生、施工現場にこうエーテル活性反応。現場対応班は至急集合されたし・・・繰り返します・・・』

「---ナナシ、行くぞ」

「---あぁ!」

現場に向かい、エーテリアスを粉砕する。

 

 

さらに数分後。

『緊急事態発生、施工現場にこうエーテル活性反応。現場対応班は至急集合されたし・・・繰り返します・・・』

「-----ナナシ、行くぞ」

「-----うん・・・」

現場に向かい、エーテリアスを粉砕する。

 

 

 

さらにまた数分後。

『緊急事態発生、施工現場にこうエーテル活性反応。現場対応班は至急集合されたし・・・繰り返します・・・』

「・・・」

「・・・まさか一時間でこうも連続して現れるとは・・・工事現場ってみんなこうなのか?」

こうも、何回も連発して中規模のエーテリアスが現れ続けると、おかしいと感じて来る。

 

 

「いや、普通はこうじゃねぇ。出て来るは出て来るが、こんな短い間に出てくるほどじゃねぇはずだ。なんだか、きなくせねぇな」

「・・・ああ、何かあると考えるべきか」

(そういえば、当たり前に思っていたがエーテリアスがいる場所と言うのはエーテル濃度が必然的に高くなる。なら、もし人為的にエーテル濃度を濃くしたら・・・集まってくるんじゃないのか・・・。と言うか、今まさに行われてるんじゃないのか?)

 

 

 

違和感をつなぎ合わせる。そうすればきっと答えは出て来る。

「・・・そう言うことね」

「ナナシ、わかったのか?」

頷く。俺の予想が正しければ・・・。

 

「クレタ。ここら辺のキャロットをくれ、それにエーテル石・・・鉱石?があるところを教えてくれ」

「なるほど・・・そう言うことか。じゃあ、早速その『敵』に”挨拶”してやれねぇとな!」

 

 

 

 

 

 

「おい、ここらへんでいいのか?」

この建設現場では似つかわしくない恰好をしたごろつきらしき集団がつるはしのようなものをもって何かを砕いている。

「こんなに短い、間にやってて彼奴らに気づかれねぇのか?」

「へっ!問題ないだろうぜ、バレたところでどうだ?あそこの”チビ”社長が来たってぼこぼこにしてやりゃいいしな」

「そうだな、何なら。こんなちまちましたことするより、先にあの“チビ”社長の方をやっちまった方が工事の邪魔できんじゃねぇのか!!」

 

カシャッ。カメラのシャッター音が響く。

「ああ?どこのどいつだ!」

シャッター音がした方に男は思いっきりつるはしを投げる。

 

 

だが、それはたやすくはじかれ、二人が影から現れる。

ごろつきの一人は、現れた二人のうち片方に目線を向ける。

「これは、これは!白祇重工社長の、クレタ・ベロボーグじゃないですか~!・・・そっちから、来てくれるとはな!!」

 

 

いつもの俺ならもう、隠れている時に不意打ちで『正義の鉄拳』をぶち込んでいるところだったが、今回ばかりはごろつきに同情してしまう。

「・・・はあ、お前らよくクレタの顔見てそんな余裕そうにいられるな」

 

まぁ、おそらく数秒後には泣きべそかいているだろうが。右下に目だけ動かすと、怒髪天。その言葉がぴったりはまる。そんな表情になっていた。

 

「あぁ!たった二人で俺たちに勝とうってのかぁ!野郎ども、やるぞ!」

ぞろぞろと似た風袋の男たちが現れる。

 

 

「・・クレタ。わかってると思うけど・・「わかってるよ・・・」・・ならいいが」

こいつらが一体どこから依頼を受けたのか。それを明らかにしない限り対策も打てない。

 

「殺さねぇ程度に殺すぞ!ナナシ!」

「・・・大丈夫かな?」

そこからは、まさにクレタ無双。先ほど、チビと呼ばれたのがかなり堪えたのか。大暴れしていた。と言うか、途中から俺必要?と思い始めるくらいには10人以上はクレタの前に沈んでいた。

 

 

 

 

 

 

「おかえり、ボス、ナナシ。どうやら、隠密作戦はうまくいったみたいだな」

拠点の方に少し戻ると、台車をもってベンさんが迎え入れてくれた。どうやら、俺達がぼこぼこにしたごろつきどもを回収するために居てくれたらしい。人数が人数なのでかなり助かる。

「ああ・・・まぁ、少しばかりやりすぎな気がするが・・。なぁ、クレタ」

「・・・わりぃな。あそこで、ナナシが止めなかったら殺しちまったかもしれねぇ」

 

 

(・・・生きてるのかこれ?)

顔面が陥没したごろつきに視線を向けながら、そう思ったが。今、一瞬指が動いたので大丈夫。・・なはず。

 

「・・・まぁ、これでとりあえず、連続していた。エーテリアス発生事件は解決だな」

「ナナシのおかけだ。もしいなかったら、犠牲者も出してたかもしれねぇからな」

確かに、今回の事件はかなり悪質だ。写真で証拠は一応とったが、もし隠密行動をとるとなったら体のでかいベンさん、うるさいアンド―。グレースは・・・どっかで暴走するため不可能。最悪クレタ一人の戦いになっていた。

 

 

(大丈夫だったと思うが)

「そうだ、こいつらは先に俺が届けておく。二人は疲れてるだろうからゆっくり帰ってきてくれ」

気を聞かせてくれたベンさんが台車を引いてその場を後にする。

 

 

 

 

 

「なっ、なぁ・・・ナナシ」

「どうした、クレタ?」

珍しく、顔をなんだか赤らめながらその場にクレタが立ち止まる。

 

 

「・・幻滅したか?その・・・今回の一件でよ」

「・・・あぁ、なるほどね。」

そういえば、今日はクレタが仕事を教えてくれるっていう話だったが結局、クレタの暴走を止めたのは俺と言う結果になってしまった。

 

「するわけないじゃないか」

よどみなく、正直な気持ちで言った。

「むしろ、クレタが今日仕事を教えてくれてよかったよ。まぁ、もちろんイレギュラーが多かったけど、クレタがさ。仕事に一生懸命で社員思いの社長でさ。ここなら、安心して働けるって心から思えたんだ。流石、クレタ社長!」

何回もなる警報に、毎回向かったクレタ。犠牲者が出ることを危惧し、心配もしていた。

 

「そ、そうか?・・ならよかったよ。そ、そうだ。ナナシは・・・その、チビは・・・好きか?」

「うん?」

なんだか、彼女らしくない質問が来て、考えてしまった。おそらく、先ほどごろつきどもにチビと言われたのを気にしているんだろう。

 

「好きだよ。クレタはもしかしたら気にしてるのかもしれないけど、人にはそれぞれ違うところがある。秀でている部分もあれば劣っている部分もある、だけれどさ、それを恥じる必要もないと思うんだ。・・・だってさ、自分で自分を愛してあげることが一番大切だからさ。」

「べ、別にチビって言われたことは気にしてねぇからな!・・・好きなのか・・・」

最後の方は、よく聞こえなかったがどうやら、吹っ切れたようで表情はいつものに戻っていた。

そのまま、俺達は岐路に着いた。

 

 

 

 

 

あぁ、だけれど。その時のクレタの顔は夕焼けのせいか朱色に染まっていた。

 

 

 

 

ちなみにその後・・・。

 

 

 

『緊急事態発生、施工現場にこうエーテル活性反応。現場対応班は至急集合されたし・・・繰り返します・・・』

「おい!ナナシ、行くぞ!」

「あぁ、また。エーテリアスどもか!」

あの後、結局ごろつきどもはインターノットで雇われたいわゆる超末端。らしく、誰が依頼したのかは結局わからなかった。

 

 

目算では、おそらく『敵』の方々からの嫌がらせだろうが。

(絶対にここを守り切って見せる)

 

 

そういえば、最近よくクレタと一緒に昼を食べることが多くなった。基本的にエーテリアス討伐の時も一緒になった。なぜかと聞いたら。

『そ、そりゃぁ。ナナシとあたしの方が身軽だろうが!』

とのことだ、確かに俺とアンド―を比べたら俺の方が早い。確かに、早急にエーテリアスを殲滅するというところに重きを置くならば俺が行くべきなんだろう。

 

 

 

昼ご飯は最初の方はグレースと食べていたのだが。グレースが、重機の修理に最近忙しくなるとクレタとよく食べるようになった。

だが、その時になると結構な頻度で聞いてくるのが。

『なぁ、姉貴とはどんな話してたんだ?』

 

 

だ、まぁ最近仲を修復した姉貴と男が一緒に飯を食ってたら嫉妬もするかと思い。はぐらかしながら、もりもり食べている。

 

(・・・そういえば、明日は。アンド―と特訓だっけ・・)

スケジュール帳を開きながら思い出す。

 

 

「クレタ。明日は一緒に昼飯食べれないんだ。ちょっと用事が有って、そっちで食べるから」

「そ、そうか・・・。ところで誰と食べるんだ?」

「うん?アンド―だけど。ほら、特訓に付き合ってもらうって話だったろ?」

『マジン・ザ・ハンド』の完成の為にも、さらなる進化が必要になるだろう。赤いデュラハンを作ったやつとの戦いに向けて俺自身も強くならなくては。

 

 

「そ、そうか・・。頑張れよ!ナナシ!」

 

 

 

 

 

 

 

「・・・特訓か。また今度、昼飯は誘うか・・。そうだ、次はなんか作ってきてやろうかな!」

 

 

 

 

 

 

 




なんか・・・長い。

皆は閑話とか、IFの話とか読みたい?

  • 読みたーい!(特にヤンデレ)
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  • いや、読みたいのは本編だ!遅れてんぞ!
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