夕焼け、ゆっくり日が沈む中。多くの従業員は岐路についていた。
そんな中男が二人。工事現場の広場に残り何かをやっていた。
それは、俺が白祇重工のバイトとしている間頼んだことだ。クレタにも許可を取っている。
(まぁ、ちょっとぼかしたけど・・・)
マジン・ザ・ハンドの完成の為。仕方ないのだ。
「さてと・・。じゃあ、頼む、アンド―」
「おう、わかったぜ兄弟・・・。けどよ、大丈夫のなのか・・・本当に?」
アンド―が見上げる先にあったのは、建物を解体するときに使われるようなクレーンに大きな鉄球を付けたもの。
当然、こんなものが飛んでくればただでは済まない。
「あぁ、これくらいじゃないと張り合いがない!」
「ああ、そうか!行くぜ、兄弟!!」
アンド―がクレーンを操作する、それと同時に遠心力を利用してこちらに来る鉄球。
俺は左手を大きく振り上げる。それと同時に体の気が上に立ち昇る。
「『マジン・ザ・ハンド!!』」
鉄球と左手は激突する。しかし、数秒拮抗した程度で俺は後ろに吹き飛ばされた。
「ぐっ・・はっ!」
背中からの衝撃と同時に肺にたまっていた空気が漏れる。ギリギリで頭を打つことは回避したため、体の痛みに耐えながら立ち上がる。
「おい、大丈夫か。ナナシ!!」
アンド―が重機から降りて駆け寄ってくる。どうやら、相当心配をかけてしまったらしい。
「あぁ、大丈夫だ。背中を打っただけ・・・それよりも、続けよう。」
「お・・おう。わかったぜ!」
再度アンド―が重機に乗り込み操縦する。
「今度こそ!『マジン・ザ・ハンドォ!!』」
1時間後・・・。
「いっつぁ!!」
「ほら、動くじゃねぇよ。ナナシ」
今は、アンド―に治療をしてもらっている。と言うのも、あの後マジン・ザ・ハンドの特訓をしていたのだが、何回目かは記憶にないが。とにかく、吹き飛ばされたと同時に頭を打ったのだ。
『だ、ダイジョブ・・・。大丈夫だ!』
『んなわけあるか!頭から血出てんだぞ!』
と見事に出血したため、アンド―に連行され無事お縄と言うわけだ。
「なぁ、ナナシ。なんで、マジン・ザ・ハンドの特訓なんかしてんだ?あんな鉄球『ゴッドハンド』で止められるだろ」
そう、確かにあの程度の鉄球攻撃如きでは、ゴッドハンド。正義の鉄拳で十分迎撃可能だ。
「だけど・・。俺、守りたいんだ。きっと、この先守るものは増えていく、だけれどそれで俺が弱いままだったらきっと、いつか取りこぼす日が来る・・・。そう思わずにはいられないんだ。」
拳を握りながら思い返す。あの、赤いデュラハンの後ろにいつ奴ら。ヴィジョンの裏にいる黒い奴ら。今の俺ではきっと太刀打ちできない敵もいるだろう。
それに、赤いデュラハンなんて、もし正義の鉄拳が進化しなければグレース事、殺されていただろう。
アンド―は笑わず、真剣な目で俺の話を聞いてくれた。
「そうか・・。なら、付き合ってやる・・・けどな、この俺がナナシをアブねぇ目には合わせねぇ。第一、全然ナナシはマジン・ザ・ハンドを出せちゃいねぇ。だから、まずこいつで特訓しようぜ」
そう言い指さした先にあったのはタイヤだった。
「タ、タイヤ?」
一般的なタイヤとは異なり重機用のスペアの為かなり巨大だ。
こいつで、どうやら特訓をするらしいがともかく明日からとなった。
ちなみに、けがの件は後でリンとアキラに怒られた。懲りてはない。
後日、また従業員が帰路に立つ頃。俺はまたクレーンの前に来ていた。前と違うのはつるされているのは鉄球ではなくタイヤと言うことだ。
「行くぞ、ナナシ!」
だが、もう一つだけ違うところがある。鉄球の時はクレーンを操作し遠心力を加えていたが今度はアンド―がタイヤを思いっきり投げて、それを俺は受け止めるという特訓だ。
(確かに、ちょうどいい塩梅かもしれない)
「『マジン・ザ・ハンド!!』」
左手を振り上げる。気が上に立ち昇る。そのまま、タイヤと左手は数秒拮抗するが前回のように押し負け吹き飛ばされるも。背中を打ちつけることはなくそのまま着地した。
「そうだな・・・なんつーか。基本ができてねぇきがすんな」
「基本?」
思わず、聞き返す。はたから見たら、何かわかることがあるのだろうか。
「別に、へっぴり腰ってわけじゃねぇんだけどよ。そうだな、俺が受け止めるときはとにかく“足を踏ん張って、へその下に力入れる”それさえすりゃあ、何でも止められる!」
「ッ!?」
なんだか、腑に落ちたような気がする。
(足を踏ん張って、へその下に力を入れる。)
「あぁ、やってみる!」
「そうか、行くぜ。兄弟、見せてくれ、マジン・ザ・ハンドをよ!」
こちらに、来る。タイヤ。
「はぁぁ!『マジン・ザ・ハンド!』」
左手を大きく上げ、突き出す。
(踏ん張れ!踏ん張れ!)
すると数秒拮抗した後、俺はふきとばされた。
「兄弟!さっきより、耐えれた時間が増えてるじゃねぇか!」
「あぁ!この調子で今度こそ止めて見せる!」
数時間後。
俺は、地面に背中を付けていた。
「はぁ・・・はぁ・・」
「今日はこんなもんだな。兄弟」
その言葉にうなずく、悔しいがあの後マジン・ザ・ハンドが成功することもなく拮抗する時間も伸び悩み始めていた。
「気にすんな、兄弟。すぐに結果が出るなんて、そんな都合のいい話が在るわけねぇ。だからこそ、努力すんだ。今日は無理でも、明日はできるかもしれねぇ。明日が出来ねぇなら明後日ならできるかもしれねぇんだ。大切なのは、その瞬間を逃さねぇことじゃねぇか?」
「・・ああ。そうだな、なら明日も特訓付き合ってくれよ。兄弟」
「おう!」
そうして、再び帰路についた。
数日後、アンド―の言葉を受け止め特訓をし続けたある日、結果はすぐ訪れた。
「『マジン・ザ・ハンド!』」
それは・・・。マジンはまだ現れないにせよ。タイヤを動かず受け止めることに成功したのだ。
「と、止めれた・・」
全然、未完成だが完成に近づいていっている。それを実感させてくれるような一瞬だった。
きっと忘れない。
「よし!よくやったな兄弟!・・・じゃあ、次はこいつだ!」
駆け寄りながら何かを担いでいる、アンド―。
それは・・・まさに背負えるようになった二つ目のタイヤだった。
「体に負荷を与えて特訓だ!」
「お、おう!」
大丈夫かなとちょっと頭をよぎったがまぁ、いい特訓になるかとすぐ思考を切り替えた。
いつか、特訓が実る日を願って。
ちなみに、その後・・・。
「おい、兄弟!こいつを見てくれ」
「こ、これは!」
俺達が特訓をはじめ数日後俺は来る日も来る日もタイヤと格闘していた。
そのせいか・・・。
「こいつは、トラクターのタイヤだ!」
「で、でかすぎる!?」
トンでもねぇデカさのタイヤを見ると思わず興奮してしまう体質になっていたのだ。
もし、こいつを背負えばさらなる特訓の見込みがある。そう、つい思ってしまうのだ。
「おいおい、ナナシ。あんまりアブねぇことはすんじゃねぇぞ?」
「大丈夫っすよ社長!俺がきっちり見てるんで」
そうして、タイヤで興奮しているとクレタに心配されることも増えた。
「・・・はぁ、つっても。なんだか、タイヤが多くねぇか?」
(まぁ、タイヤは三つ背負ってるからなぁ・・)
その分だけ、置いてあるタイヤは多くなる。まぁ、昼飯食べるときに椅子として活用されているので邪魔にはなっていないと思うのだが。
「大丈夫だ、クレタ。あっ、そうだ明日も昼飯一緒に食べれないんだ。ごめん!」
「そ、そうか・・。そうなのか・・だったら明日、弁当作ってやるよ!どうせ、特訓しまくってんなら体力要るだろ?」
そう、俺ナナシ。が技を使うために必要なのはとにかく体力と気力。それを作るための食事はい必要不可欠なのだ。
「え!?本当に、助かるよ、クレタ。だったら、なにか・・・お返しとか・・」
「いいんだ、ナナシ。あたしがやりたくてやるんだからよ」
ならば、好意に甘えるべきかと了承し、その日から俺の仕事中はクレタとアキラの昼飯を食べ、たまに連絡があった次の日にもらえる、ニコからの昼飯を食べる生活になっていた。(・・太らないように注意しないとな。と言うか、こんなに食べれるんだったらニコからもらうのやめようかな。あっちも大変だろうし・・・。)
「そういえば、明日ベンさんのとこに行かなくちゃいけないのか・・・」
いっそう、特訓に身が入るのだった。
「兄弟。お前はずっと諦めねぇんだな・・・。俺も、白祇重工を守れるくれぇのすげぇ漢になってやるぜ!」
感想が無いとどこ直したらいいかわからないね
皆は閑話とか、IFの話とか読みたい?
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読みたーい!(特にヤンデレ)
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読みたーい!(ラブラブ!)
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読みたーい!(好感度測定器みたいなやつ)
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いや、読みたいのは本編だ!遅れてんぞ!
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作者さんの自由で!
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こんなアンケートする前に書け