ゼンレスゾーンゼロ ・ 聖剣   作:うどん米

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Season4 危うし、高桜の夜
プロローグ


 

 

今日は夢を見なかった、白祇重工の一件からそこそこ経ち嫌な予感が強まっていた時期そろそろ新技の夢でも見るかなぁと思っていたがそんなことはなく、快適に目覚めた。

 

着替えて部屋を出ると、テレビの音がしたため俺は誘われるようにそちらに向かった。

 

「おはよう、ナナシ。ちょうどよかった、今エリーが特番をやっているんだ」

「ふぁぁ。おはよう、特番ってあのヴィジョンの件ね」

ソファに座る。ヴィジョンの件から結構経ったが、やっと裁判が開かれるらしい。

確か、ニコが重要参考人として出廷するとかなんとか――。

 

 

『『ヴィジョン爆破事件』公判直前特別番組です!ヤヌス区の治安局の屋上にあるヘリポートからお送りしております』

リポーターが声高らかに、番組を盛り上げる。

(ニコのことだろうからめちゃくちゃ張り切ってるだろうなぁ。それこそ――『邪兎屋の名を知らしめるチャンスなんだから!!』なんて――)

 

 

 

一方その頃、邪兎屋では。

 

『まもなく、被告人のチャールズ・パールマン、被害者らの代理人を務める『邪兎屋』等が、条例に則り、司法府の専用飛行船で、予め新エリー都最高裁判所に前乗りする模様です―――』

番組が放送した通り、ニコは飛行船に前乗りする手はずだった。

 

「ニコ、もうすぐ搭乗時刻だけど――。まだ荷造りをしてるの?」

アンビーの目線の先には今から裁判に出る人間とは思えないほどの荷物が積み上げられていた。

 

 

「わかってないわね!都市中を震撼させた大事件なのよ。邪兎屋の名を広めるチャンスじゃない!」

眼鏡をかけ、注目を浴びるためきちっと決めた服を選んでいたのだ。

その上、手には邪兎屋を宣伝するために大量に刷られたパンフレットを片手に持っていた。

 

 

その時、ニコのスマホがなる。

「ニコ、スマホが鳴ってるぞ!ノックノックの通知じゃない?」

「あら。ありがと」

ニコが猫又からスマホを受け取る。そして、画面を見た瞬間彼女は顔をしかめた。

 

「ん?ニコ、どうしたの?」

「な、何でもないわ」

明らかにそんなわけがない。メールの画面を見てニコは動揺している。

その姿を見た猫又は一つの答えにたどり着いた。

 

「あっ!わかったぞ――借金の催促だったんだ!?」

「違うわよ、もう!人聞きの悪いことは言わないで!借金なんかしてないわ――。『パエトーン』と『ナナシ』――と信頼できる知り合い5人以外には――」

「前の月より増えてるぞ!?ていうか、ナナシからも借りたの!?」

 

最近?出会ったばかりナナシが信頼できる人になっていることにも驚きだが。そんな奴から、お金を借りるニコも貸す側のナナシもたいがいである。

 

「ニコ、何があったの?誰からのメッセージ?」

アンビーが気になって聞いた隙に猫又が画面を確認する。

 

「あれ?おっかしいぞ、ホントに誰なんだ?」

そこには大量の空メールが何回も届いていたのだ。そうこうしているうちにも通知はなり空のメールは増えていった。

 

 

「あーーーー!もー我慢できないわ!!」

そこで、ニコの我慢の限界がやってきた。頭を抱えながら叫びだしたのだ。

 

 

 

(へぇ、ニコ。ナナシとよく話してるんだな)

その隙に猫又は、ニコのメール相手を見て気になる相手がいたのでついでに確認していた。

 

 

 

 

場面はビデオ屋に戻る。

 

 

 

 

『――などが、公判の争点となるでしょう。続いては、スペシャルゲストをお迎えして――』

「パールマンはどう見ても黒なんだから審理はスムーズに進むつもりでいたけど――。法廷ではどんな些細な事でも議題に上がるらしい。油断できない展開になりそうだね」

「はぁ、どうりで昨日から公判についてのメールが多かったわけか」

もう、頭を抱えて叫んでいるニコが想像に難くない。

ニコと俺のメッセージ欄には昨日だけでたくさんの愚痴と相談のメールで埋め尽くされいる。

(うん?)

その時、どたどたとあわただしい足音が近づいてきているのを感じた。

 

「『パエトーン!』『ナナシ!!』」

「こんにちは、プロキシ先生、ナナシ」

扉を勢いよく開け現れたのはニコとアンビーだった。

そう、初めて出会った時のように。

 

 

「ニコ、アンビー、どう言う風の吹き回しだい?」

「と言うか、今ここに居ていいのか?邪兎屋は飛行船に前乗りするって放送やってたけど」

今の時刻を確認しても相当ギリギリなのがわかる。こんなところで油を売っていてはいけないだろう。

 

 

「ええ、本当だったらね――でも、あんたたちにどうしても相談しときたいことがあるの。でなきゃ、おちおち法廷にも出らんないわ」

「相談って――。何かあったの、ニコ?」

自身と自身の仲間以外と借金の心配事なんかほぼなさそうなニコ、そんな彼女が助けを求めてきた。と言う時点で驚きだ。

 

「この前、白祇重工の記憶素子を解読するために、あたしに頼んできたわよね。ハッカーの『レイン』につなげてほしいって」

「ニコ、まさか意地を張って本当は知り合いじゃなかったけど、裁判の前の禊のためにわざわざ白状しに来たのか?」

「違うわよ、ナナシ!寄りによってあたしのコネを疑うわけ!」

白祇重工にあっさり情報を漏らしたニコに対して疑いつつも、確かにニコのコネはすさまじいため納得した。

 

「いくらレインが今インターノットで話題の売れっ子ハッカーだからって、このあたしのオファーを断るはずないわ!」

「――ニコ、弱みを握るとかやめておいた方がいいと思うよ」

「握ってないわよ!――ただ、なんだかあっちの方で、妙な事に巻き込まれてるみたいなの」

妙な事?話を聞くに最近レインと連絡を交換している大勢に対してちょくちょく空のメッセージを受信するようになった。

それが二週間続いて、おまけに当のレイン本人は消息不明。然も今朝になると5,6回は送られてきているらしい。

 

(空のメールの連続送信。それが、今日まで続いている。何の意味が――。)

 

「空のメールが何度も――。怪しいな、もしかして誘拐でもされたとか?」

「誘拐!?」

「ああ、空のメールを送り続ける理由がそのくらいしか思いつかない。今のレインはSOSとして送り続けてるんじゃないのか?まぁ、発信地がどこか、わかればいたずらかの区別はできるだろ」

もし、いたずらじゃなければ2週間という時間の経過。増加した空メールの数。もしかしたらレインは相当マズイ状態にあるのかもしれない。

 

 

「そうだね、フェアリー。レインが送ってきた内容を見てくれない?」

『マスター。分析の結果、これらのメッセージには確実にいかなる内容も含まれていません。ですが、位置情報でしたら割り出すことができました。送信場所は――新エリー都内の『バレエツインズ』と言う建築物付近です』

「ちょっとタンマーーば、ばば、バレエツインズですって!?」

バレエツインズ、俺も聞いたことがある。都市伝説でとても有名な場所で、まあありきたりだが。とにかく、双子のお化けが出るとかなんとか――。

 

 

 

「バレエツインズと言うのは、とあるツインタワーの名前なの。最近、そこで心霊現象が起こると話題になってて、噂によると――」

「ストップ!アンビー、そこまでよ!とにかく、事実として言えるのは――、あの二棟はもう何年も前から、ホロウに飲み込まれてるってことだけ。」

「へ~じゃあ、正体はエーテリアスなんじゃないのか?と言うか、ホロウ内部から通信って送れるのか?」

ホロウに飲み込まれてるということはエーテリアスも出て来るだろうそいつらがやったことが心霊現象として取り上げられた程度だろう。

それに『パエトーン』たちが特別で忘れているだろうが、普通はホロウの中と外部では一切通信できないはずなのだ。

 

 

「不可能だけど。あのハイスペックなフェアリーが言うからには、間違いないはずだ。リンとナナシはどう思う、ニコは随分参っているみたいだし、僕たちだってレインの助けを必要としている。いっそのこと、直接バレエツインズを調査しに行ってもいい」

「俺は行くべきだと思う。予想が合っていれば、レインはものすごいピンチかもしれないし」

「私も賛成!幽霊とか信じないタチなんだよね」

(幽霊か――。一説によれば塩が効くらしいが)

 

 

塩を拳に纏わせてみるか。それとも直接ぶっかけるか。胡椒も一応持っていくか、似たようなもんだろ。

 

「わかった。じゃあ二人とも賛成と言うことで。ニコ、僕たちがレインの行方を調べてこよう。ナナシ、ホロウに入る可能性が高いから、準備してきて」

「了解」

「待って。ナナシだけに行かせるの?」

「ああ、もし本当に誘拐されているならこっそり戦闘できるナナシ一人の方がいい。大丈夫、僕たち『パエトーン』がしっかりサポートするから」

一人での戦いと言うのはデッドエンドブッチャー以来、きっと勘は鈍っていない。

 

「わかったわ――。でも、ナナシに何かある前に絶対、連絡頂戴ね!」

「もちろんさ、その時は遠慮なく頼らせてもらうよ」

(――信頼されてないのかな?)

でも、なんやかんや心配されているうちが花な気がするし、自分の中で納得した。

 

「あ、そうそう。顔がわかってた方が何かといいでしょ。これを持ってって」

ニコから渡された写真にはどこかで見たことがあるピンク髪の少女が風船ガムを加えて車に入る姿が写っていた。

 

「ん?――ニコ、この写真の通学リュックを背負った女の子がレインなんだね?」

「そうよ、それがどうかした?」

「この子、うちの常連さんなんだ。へぇ~人は見かけによらず、だね」

確かに言われてみれば、どこかで見たことがあると思ったのだ。

 

「ふふっ。ビデオ屋とプロキシ業を両立してる『パエトーン』も同じくらい、見かけによらず――。じゃない?」

「とにかく、レインのことは任せたわよ。あたしはこれから治安局に行って専用機に乗るから、お先に失礼するわ」

そうして、ニコ達はビデオ屋を去っていった。

 

 

 

「それじゃあ、行こうか。ナナシ」

「ああ、仕事の始まりだね」

いつも通り、イアスをリュックに詰めバレエツインズに向かって歩を進めた。

 

 

 

 

この一件から全てが始まることもまだ知らずに――。

 




始まりました!ここからやっと聖剣の話が動いてきます。一体聖剣とは何なのか。現れる聖剣使い。然も、ナナシ一人でバレエツインズへGo!と言う早速原作とは違う展開。いったいどうなるのか!!
実は序章を1から数えているので本来なら3章になるはずが4になったんですよね~。

皆は閑話とか、IFの話とか読みたい?

  • 読みたーい!(特にヤンデレ)
  • 読みたーい!(ラブラブ!)
  • 読みたーい!(好感度測定器みたいなやつ)
  • いや、読みたいのは本編だ!遅れてんぞ!
  • 作者さんの自由で!
  • こんなアンケートする前に書け
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