ゼンレスゾーンゼロ ・ 聖剣   作:うどん米

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第34話・閉まるシャッター

 

 

俺たちは、準備を整え再びバレエツインズへ戻ってきた。

「プロキシ様、ナナシ様。ご友人が、B棟の屋上にとどまっていた可能性があるのなら、まずはそこを目指すのはいかがでしょうか?」

「ああ、その方針でかまわない。頼りにさせてもらう」

 

 

俺はイアスを手招きして肩に座らせる。

『私も賛成!面倒をかけちゃうかもだけど、よろしくね。ライカンさん』

「とんでもございません、大切なお客様方なのですから。あなた様方の願いが、私共の使命です。一刻も早くレイン様の足取りを掴み、あなた様方とご友人方の痛心を取り除いて差し上げましょう」

 

 

(や、やべぇ。一挙手一投足が、プロだ。何もかもに無駄がないし、喋り方も――正直邪兎屋になれてしまったせいで落ち着かねぇ!!)

リナさんから渡されたバレエツインズの見取り図を渡される。

 

『どれどれ――』

ビルの大まかな構造とB棟屋上までのルートがわかりやすく書かれていた。

これはおそらく、ライカンさんが書いたものだろう。

(それにしても、B棟に行くにはA棟の上の連絡通路を使わなきゃいけないのか――)

 

 

もし、俺が足止めしたのであればこの連絡通路を破壊するか封鎖なりするだろう。

(ここに来てから、誰かの気配を感じる。第3陣営――。そいつらがレインをさらった可能性が高い。――何のために?ハッカーとしての実力を欲したか――バレエツインズの屋上でわざわざやる理由は?)

謎が多いが、今からでも何だか真実に近づけるくらいのピースはそろってきた。

と言ってもまだ確証がない。この場で言うのはナンセンスと言うやつだ。

 

 

「俺達がいるのはまだA棟の一階か――先は長いな」

「左様でございます。ですが、これが一番近いルートでございますので、この通り参りましょう」

『肯定。エージェントが指示した情報は確かなものです。そこを目標地点とすることをお勧めします』

我が家のフェアリーにもお墨付きをいただいたんだ。

 

 

『案内は私に任せて!それじゃあ、出発!ほら、前進してナナシ!』

「はっ、御意に」

「わかってるから、頭をぺちぺち叩かないで」

そうして、俺達はバレエツインズの連絡橋へ足を進めた。

 

 

道中エーテリアスがちらほら現れる。

ジジッ

先ほどからずっと明かりが点滅している。マジで心霊現象かとも思ったが、人の気配が多少する以上誰かが何かを仕掛けていると考えていいだろう。

 

 

そして、少し探索するとある程度開けた場所に出た。だが、妙にこのフロアエーテリアスが他の階より少ない。

(まるで、誰かが倒していったみたいだ)

 

「とりあえず、こいつで最後か――」

最後の一体のエーテリアスの首を折り、あたりを確認する。

(そういえば、ヴィクトリア家政のご主人様は高くなると思ってここを買ったらしいけど心霊現象が起こる、物件なんて売れるのか?事故物件の類じゃないのか?)

 

 

 

『ナナシもリンもお疲れ様。僕が進路を測定するから、君たちはしばらく休んでいてくれ』

「了解――また点滅か」

天井を見上げると、点滅が先ほどよりも激しくなっている。

 

『そうだね、ここに来るまでも何度か同じことがあったけれど――』

「ふぇっ?そ、そうでしたか――?あ、あはは――」

あからさまな動揺、何かを隠しているとみて間違いないだろう。

 

「・・・カリン、俺の目をよーく見て、何か知ってる?」

「し、知りません!何も知りません!!」

ジーっとカリンの目を見続ける。やっぱり、瞳孔が震えてるし、ちょっと必死すぎな気がする。

(まあ、友好的な関係を築いてるし、ここで崩す必要もないか――)

それに、ある程度検討はついてる。

 

 

「そのくらいにしてあげなよ。ナナシ、多分あの噂の件だと思うから」

「――あの噂?」

ここバレエツインズの噂なんてほぼ9割心霊の類だろうが。その中で、このような現象でもあったのだろうか。

 

「コホン!エ、エレンさんっ!」

「あ、これ言っちゃダメだった?ボスがブリーフィングでよこしたやつ長すぎて読んでないから。でもリナがいるんだし、よくない?もしプロキシたちが知りすぎちゃってもさ、パパっと片してくれるって」

 

聞いた瞬間、イアスを掴んで後ろに跳ぶ。

(すぐ、マジン・ザ・ハンドでこの階ごと破壊するか――)

 

「ふふっ、エレン?カリンちゃん?お客さまに、ヴィクトリア家政のお仕事を誤解させてしまうでしょう?ガイド様、ナナシ様、私から改めて説明させていただけませんか――?」

冷静に分析する敵意はない、今の俺ならほぼノーモーションでこの階くらいは破壊できるだろう。

(大人しく聞いておくべきか)

 

 

「聞かせてほしい」『私も!』

「ありがとうございます。それでは――」

リナさんの話からするに、実は、バレエツインズがホロウに飲み込まれた時、有名な舞踏家の姉妹が、この場所で命を落としてしまったらしい。

そのことがきっかけで、不届き者が足を踏み入れた時明かりを点滅させて警告する――なんて都市伝説が生まれたらしい。

 

 

「それって――警告を無視したらどうなるの?」

「――噂ですが、停電を起こし闇を作り出し、その魂を刈り取るため、暗がりから姿を現すのだと」

なるほど、つまり狩るタイミングで実体化すると考えていいだろう。そのすきを使って殴り飛ばす、幽霊への対策方法は決まったな。

 

 

「でも、バレエツインズが飲み込まれたのって相当前だろ?そんな都市伝説、形骸化していてもおかしくないくらいの時間は立ってる」

「えぇ、その通りでございます。しかし、最近になって、ここで噂と同じ境遇に遭われたという方が現れるまでは」

 

(最近?レインの誘拐も推定2週間前。時期的にはほぼ一致するな。もしかして、レインを誘拐した奴らがその都市伝説にあやかって人を払ってる?)

 

 

「なるほどね、ヴィクトリア家政の目的は表向きはメンテナンス――だけど、本来はその事件の真実を探しに来たってわけか――」

「はい、ご主人様はバレエツインズが事故物件と言う名の不良債権となる事を危惧されましたのです。」

確かに、折角買った物件が事故物件だったら、価値は下がる。つまり、それは損をすることに繋がる。

 

 

「プロキシ様、当初は私共としてもこの噂を与太話の類だと思っておりました――ですが、先ほどの状況を鑑みるに、停電に関しては本当なのかもしれません」

 

「待って、もし停電が起こったら扉って勝手にしまったり――する?」

「はい、ちょうど我々が向かっているアトリウムの入口には、防火シャッターが設けられており停電によって自動で閉じる仕組みになっているのです」

 

 

 

マズイ、マズすぎる。停電になれば勝手に閉まるシャッターなんて、いくら急いでももし、電気室で制御している奴らがいればすぐ電源を切ればいい。

 

 

(詰みか――。いや、行くだけ行って見るか。それに、防火シャッターなんて普通にぶち破れそうだし)

考えている途中、点滅がより頻繁に発生するようになっていた。

 

「これは、時間が無いな。パエトーン!俺の肩に乗って!」

『うん!』

全速力で5人全員が、アトリウムに向かう。

(やばい、なんか監視カメラみたいなのがどこかにあるな、明らかに俺達が走り出したタイミングで点滅が多くなった)

 

 

だが、道中にも容赦なくエーテリアスは現れる。

「行くよ!ライカンさん」

「仰せのままに」

俺とライカンさんはちょうど進路をふさぐように立っていたエーテリアス二体に向けて、拳と足それぞれぶつけ吹っ飛ばす。

 

 

「邪魔だ!エーテリアスども!『真・熱血パンチ』」

そろそろなりふり構えなくなってきたので、足と腕に『熱血パンチ』をそれぞれ発動させ先を急ぐ。

 

『あっ!ナナシ!!』

リンの声が聞こえる。右肩を見るとそこからイアスはいなくなっていた。

(やばい、勢いよく行き過ぎた。イアスが手を放しちゃったんだ)

 

イアスが吹っ飛ばされた方向を見ると、もうすぐそこまでエーテリアスが攻撃を仕掛けようと接近していた。

 

『うわっ!』

キィン!

だが、想定していた事態は起こらず、エーテリアスはサメの装飾が施された薙刀のような武器で貫かれた。

 

「ほら、ナナシ大切なら離さないようにしてよね」

言いながら、イアスを拾いあげ、俺に渡す。その時、思わず尻尾に少し視線がいく。

(そういえば、エレンは鮫のシリオンなのか――)

 

 

「ありがとう。助かったよ、エレン」

『本当にありがとう、エレン』

一応、イアスにけがはないか確認して今度こそ離さないように右わきに抱えた。

 

 

パエトーンの指示の下、アトリウムまで全力で向かう。

『アトリウムはすぐそこだよ!』

その時、完全に停電し、イアスが指す指の先では防火シャッターが今にも閉じそうになっていた。

 

「――しまった!」

「くっ!」

ほぼ、同時に俺とライカンさんがスタートを切る。どちらも、最速の状態。

(俺とライカンさんのスピードは足の長さから僅差でライカンさんの方が早い。これなら、間に合う!)

 

 

だが、一歩先にいるライカンさんに向かって闇にまぎれたエーテリアスが現れる。

その初撃、ライカンさんは籠手ですんでのところで防ぐ。

(この、隙に!)

だけど、エーテリアスを引き付けてきてくれたおかげで、俺が間に合う!

ちらっと横目でライカンさんの位置を確認する。

 

 

その時、写ってしまった。赤く、燃えるような闇を切り裂く斬撃がライカンさんに迫っているところを。

「ライカンさん!!」

当たる寸前、方向を変え思いっきりライカンさんの襟をつかみ後方に跳躍する。

すると同時に背を向けた後方から爆弾が近くで爆発したような音が鳴った後、そこにはちょうど人一人が入れそうなくらい大きなクレーターができていた。

 

 

「誰だ!!」

まぁ、なんとなくわかっている。この斬撃を放つ奴を俺は知っている。

 

【$%&’(‘&%$#%&’)】

「なんて言ってるかわからないよ!デュラハン!!」

 

現れたのは、白祇重工でも戦ったあの赤いデュラハンだった。だが、前回と違うのは力を制御しているという点だ。あの時のように体から熱はこぼれず、自壊している様子もない。

 

 

「大丈夫ですか、ライカンさん?申し訳ない、緊急だったので思いっきり襟を引っ張ってしまった」

「いえ、こちらこそ感謝いたします。正式な謝罪はまた改めて――それよりも、あちらの方はお知合いですか?」

どうやら、幸いにもけがはないらしい。襟を直しながらすぐ立ち上がる。すでに、シャッターは閉まってしまったが目下の問題はこいつだ、さっさとどこかに行ってくれたり、自壊してくれれば楽なのだがどう見てもそんな雰囲気でもない。

 

 

(さっき、イアスを助けてくれた恩を返すか)

恩を受けっぱなしって言うのも良くない。それが例え、彼らにとって当たり前のことだろうとだ。今日はあくまでパートナー、なるべく対等でいたい。

 

「いや、あんな顔が真っ赤な知り合いはいないかな。悪いね、デュラハン。戦ってやりたいのも山々なんだけど、あんまり時間が無いんだ。――ライカンさん、ここは俺に任せて、さっきイアスを助けてくれたお礼がしたい。」

「それでよろしいのであれば仰せのままに」

 

 

許可はもらった。俺は左手を天に掲げ、心臓から気を送りだす。

 

「『マジン・ザ・ハンド』」

 

現れる、黄色と青色のマジン、そのまま左手を振りかぶり跳躍する。

 

【$%&’(‘&%$#%&’)!!!!】

デュラハンの叫びと共に放たれる斬撃。それは、正義の鉄拳G3で打ち破ったものと全く同じ、と言うかそれ以上のものだった。

 

 

 

「こっちも、進化してるもんでね」

だが、斬撃はマジンの手で容易く受け止められ。そのまま、拳を握ったマジンの手がデュラハンに直撃し、声にもならない断末魔を上げ壁に激突し、後はエーテルの量子に返っていった。

 

『これが――『マジン・ザ・ハンド』』

リンのつぶやきは誰も反応することなく、消えていった。

 

 

 

 

一方。

 

「やっぱり、この程度だと意味はないか――。予想通り強くなったね『マジン・ザ・ハンド』か――。それなら、きっと――神である僕に一矢報いることができるだろうね!!」

彼?彼女?は楽しそうに、その場を去った。彼らの足止めをする、目的は達成した。これで、彼らは停電させたやつらを捕まえに行くだろう。

 

 

「――戦いの時は近いね」

 




書くの疲れてきた~!!モチベ上がるのでコメント待ってます。

皆は閑話とか、IFの話とか読みたい?

  • 読みたーい!(特にヤンデレ)
  • 読みたーい!(ラブラブ!)
  • 読みたーい!(好感度測定器みたいなやつ)
  • いや、読みたいのは本編だ!遅れてんぞ!
  • 作者さんの自由で!
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