ゼンレスゾーンゼロ ・ 聖剣   作:うどん米

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第36話・メガトンヘッド

 

 

アトリウムへ向かうと、電力がちょうど回りだしたのか防火シャッターが開き始める。

 

「開きました!よかった!」

「ガイド様なしでは成しえなかったことですわね」

早速アトリウムに入ると、A棟とB棟を繋ぐ橋と言うことで、何もないと思っていたのだが予想以上にごちゃごちゃしている。特に、シャッターが開くと同時に目に飛び込んできたのはそこでダンスでもできそうな踊り場だった。

 

『ナナシ!だっこ!』

「――あえて何も言わないでおくよ」

万歳ポーズで抱き寄せて来るのを待つイアスを持ちあげ肩に乗せる。

 

 

それに、人の気配を多数感じる。おそらく、踊り場の後ろだろう。

少し歩き、階段を上るとイアスが何かを発見したようで俺の頭をぺちぺち叩く。

 

『見てナナシ、何かあるよ!』

道の真ん中にあるものはいかにも怪しそうだったが、ともかく拾い上げる。

 

「えぇ?これって――」

「プロキシ様、心あたりが?」

確かに、俺もどこかで見たことがある黄色のリュックだ。ちょうど、女子高生が使うくらいの大きさ――。

 

「うん――。間違いないレインのリュックだよ!ここに居たんだ!」

「そうか、早速中身を見てみよう。何か手がかりがあるかもしれない」

リュックのファスナーを開け、中に何があるかと手を入れる。そして、一つ大きなものがあったため取り出すと――。

 

ピッ

「これって――」

 

ピッ

一瞬、思考が止まる。おそらく、ラジカセかなんかだろうがそこには00:02と表示されている。

 

ピッ

「ッ!?」

00:01秒になった瞬間。前方に放り投げる。そして、爆発物の可能性があるため近くにカリンの襟をつかみながら後ろに跳び防御の姿勢を取る。

 

 

だが、流れてきたのは音楽だった。

 

「―――なんだ、音楽か。ごめんよ、カリン。」

「い、いえこちらこそ守ろうとしてくれてありがとうございます」

でも、この音楽違和感がある。まず、なんでレインのリュックからこんなものが出てきたのか、それにタイミング計ってセットしたとしか思えない時間。

 

 

(そして、もう一つ)

「カリン、ちょっとイアスを持ってて」

「は、はい。わかりました」

『どうしたの?ナナシ』

防御の姿勢から立ち上がり、テープを確認する。やはり、これは録音だ。爆発物の類ではない。だけど、問題は――。

 

 

「『真・熱血パンチ!!』」

キンキン、金属音を鳴らしながら近づいてくるこいつだ!!音楽が流れたとたんに現れた気配、それは徐々に近づいてきていた。そいつに向かって出会いがしら『真・熱血パンチ』を放つ。

 

 

しかし、まるで体操選手と見紛うほどの体幹から跳躍しよけられた。

「――まるで、バレリーナだな」

細身のウエストに、つま先立ちを思わせる足、そして腰部分にはスカートのように広がった刃がついたチェーンソ―。

 

『こいつどっから出てきたの――!?』

結構、手ごわそうな敵に思わず、吐いたつばを飲み込む。

 

 

「ダンスのお誘いとお見受けしました――お相手を務めさせていただきます」

だが、動揺している俺とは違いライカンさんは非常に冷静にそう言い放った。

(俺が、女性だったら惚れてたなあの言い方)

 

 

まあ、俺に野郎趣味はない。それでもクラってくるようなライカンさんの言葉の言い回しに俺も、動揺が消えていた。

「ふぅ――やりますか」

 

 

(相手はどう見ても近接型、いつぞやみたいにミサイルがわんさか飛んでくる相手ではない。すぐ距離を詰める――ッ!)

バレリーナの動きが異常に早く、考え事をしている間にもう目の前にチェーンソーが迫っていた。

間一髪で右に体を翻し回避する。

 

「はぁっ!」

その間に、ライカンさんの強烈な蹴りがぶつかり―――と思ったが人間ではありえない腰の動きで蹴りをかわす。

 

 

「あらあら、まるで踊っているようですわね」

リナさんが電撃を浴びせると動きが一瞬止まる。

(踊り――?音楽が始まってから現れたのはもしかして――)

 

 

「オラッ!」

明らかに細い足を払ってやろうと右足を延ばすも、エーテリアスは跳躍し躱される。

だが、かわされた後その勢いのまま、左足のかかとを相手の足に引っ掛け転ばせれると思ったが転ぶ瞬間、腕で跳躍し体制を立て直す。

 

 

「やりたい放題かよ」

「気難しいお客様のようですね」

相変わらず、鋭いチェーンソーを回転させながらこちらに向かってくる。

(でも、攻撃パターンは一辺倒だ。然も横中心。狙うなら上か)

 

 

「エレン!俺を上に上げて!」

「え――。仕方ないか――早く来て!」

めんどくさそうに了解する彼女のもとへ向かい、エレンが構えた鮫型のハサミの上に乗りエレンの腕力と俺の脚力を合わせて高いアトリウムの天井にまで跳躍する。

 

 

(正義の鉄拳は放っている間俺が身動きが難しくなる。その隙をカバーするために生まれた必殺技!)

ゴッドハンドWを展開する、だが二つではなく両手で一つの巨大なゴッドハンドを作った。そして、拳を固めた後、それを頭のところまで持ってきてそのまま、天井を蹴り自分事突撃する必殺技。

 

 

「『メガトンヘッド!!』」

(当たる!)

この技の欠点は、俺ごと激突しに行くため“途中で方向転換ができない”ということだ。

だが、そこはリナさんが電撃を継続的に浴びせカリンとエレンとライカンさんが動きを限定してくれているこれなら流石に当たる。

 

 

 

 

だが、新たな気配を感知しそちらに視線が動く。思わず、二度見してしまう。そこには、今俺が戦っているエーテリアスと瓜二つの二体目のエーテリアスが俺の首を狙いもうすぐそこまで来ていた。

 

 

(あっ、死んだ)

この技は“途中で方向転換ができない”つまり、隙ができやすい技でもある。だから、もうすぐそこまで来ている二体目を俺は止めることができない。

 

 

血の気が引いて行くのを感じる。鋭い、棘が俺の首を貫こうとする瞬間、俺の視界がぶれる。

 

「大事はありませんか?」

「ありがとう、ライカンさん。おかげで助かったよ」

俺は、ライカンさんにお姫様抱っこをされていた。手を借り立ち上がる。

 

 

 

「なるほどね、有名な舞踏家の姉妹が死んだと聞いていたけどまさかエーテリアスも二体とは――。それにこれじゃあ、舞踏家じゃなくて武闘家だな」

二人になって、単純に手数が二倍。それに、元が姉妹だというなら連携は圧倒的なものだろう。

(さっきみたいに、空中から攻撃する作戦も防がれるし、地道に戦うしかないか)

「ご安心を、私共がおりますので」

ライカンさんの動きがいちいちカッコ良すぎて、ちょっと興奮しかけたが抑える。

 

 

 

『おーい怪物こっちだよ!』

イアスの方へ視線を向けると、音楽を流している録音テープを片手にエーテリアスを誘導しようとしていた。

カチッとループ再生にした後、穴に向かって投げ込んだ。

 

 

 

すると、二体のエーテリアスはそのテープめがけて穴に落ちると。裂け目が現れ、二体のエーテリアスは姿を消した。

 

「おーシンクロ率100%だな」

まるでシンクロのスイミングのような美しいダイビング姿勢だったとほめておこう。

 

 

『ふぅ、ホロウの裂け目があってよかった。音楽に引き寄せられてた』

「やっぱり、あの二人はバレエ姉妹なのかもな――」

亡くなった後も音楽が鳴るとつい踊り出してしまうのだろうか。死んでなお、踊り続けるなんてバレリーナの鏡。見事だというほかない。

 

(でも、なぜレインのカバンから出てきたんだ――)

違和感。違和感を感じる。思わず顔を上げ、あたりを見渡す。

 

「何か、何か違和感が――。ライカンさん?」

何かに包まれたような感覚がした後あたりを見渡す。

 

「エレン!カリン!リナさん!リン!」

そう、俺以外誰も動いていなかったのだ。

 

 

 

 

「『ヘブンズタイム』だよ。ナナシ君」

 

「ッ!?誰だ!」

声がした方へ向く。ちょうど、アトリウムの向こう側。B棟から現れた男か女かもわからない。中性的な見た目をした者。まるで、神が利き手で書いたようなその姿に、一瞬見惚れてしまう。

 

 

「やあ、僕の名前はアフロディ。君と同じ聖剣使いの一人さ」

 

最大の敵はすぐそこにまで迫ってきていた。

 




ライカンさんってめちゃくちゃかっこよくない?セリフの言い回し一つ一つがイケメンすぎる。

皆は閑話とか、IFの話とか読みたい?

  • 読みたーい!(特にヤンデレ)
  • 読みたーい!(ラブラブ!)
  • 読みたーい!(好感度測定器みたいなやつ)
  • いや、読みたいのは本編だ!遅れてんぞ!
  • 作者さんの自由で!
  • こんなアンケートする前に書け
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