(ぐっ、こいつに時間をかけすぎている――あれを使うチャンスを作れれば)
アフロディとの攻防は続いていた。ゴッドノウズを放てるような時間を与えないようにかつ、アイツの手刀を避けながら戦っているのだがどうにもチャンスが作れない。
原因として、戦い方の変化だ前回では常にヘブンズタイムを発動していたが、今は攻撃が当たる瞬間発動しよける。など、時間停止をうまく使いこなしているのだ。
『飛行船到着まで3分を切りました』
フェアリーからの通信が入る。3分は思ったよりも短い、何より省エネで戦っているアフロディの体力は3分持つだろうし、じり貧だ。
ならばこいつを置いて、裂け目に突入しようと思えば彼奴が弓矢で邪魔してくる。
マジン・ザ・ハンドも発動不可。正義の鉄拳はよけられる、真・熱血パンチは右手だけじゃ手数が足りない――右手だけじゃ?
(そうだ!)
「カリン、ライカンさん。俺が例のあれで動きを止めるのでその瞬間にアフロディの体を浮かせてください。そのまま、裂け目に突っ込みます」
「承知しました。タイミングは、いかようにも――私共が合わせますので」
「お任せください!」
これ以上に頼れる仲間がいただろうか、ヴィクトリア家政となら自称神なんて下せるだろう。
(少し、邪兎屋が寂しいけど――)
「エレン!変わる!」
「了解」
アフロディとせっているエレンがバックステップで後退し、俺の『真・熱血パンチ』とアフロディの手刀がぶつかる。
「僕には片腕の君なんて――怖くないね!」
「それはどうかな?」
互いにはじかれる手刀と拳。再び俺は『真・熱血パンチ』――右手の。たいして、アフロディは左手の手刀、この場合本来なら左で防御すべきだがそれはかなわない。
クロスするように俺の拳とアフロディの手刀がぶつかり合う。だが、ぶつかり合った時の衝撃を利用し、一瞬アフロディに背を向ける形で回転する。
「『真・熱血パンチ!!』」
そのまま、裏拳の要領で“左手”の熱血パンチがアフロディの左頬を襲う。
何が起こったかわからないのか、左頬を抑えるアフロディ。
「壊れた左腕で!――ッ」
「ははっ!ご名答、これでもくらえ!」
ライカンさんからもらったもの、GSⅡ型高ルーメン軍用閃光弾、爆発時の非常に強い明るさが特徴。
そのピンを思いっきり引き抜くと同時に後退する。
光が漏れ出る。アフロディが、寸前に最後に見たのは笑う、狂人の姿だった。その姿に気を取られ釘付けになり、アフロディは回避できず、光が世界を包んだ。
「はぁっ!」「やっ!」
その時、アフロディが感じる浮遊感。
「『メガトンヘッド!!』」
とんでもない激痛が走るのも気にせずアフロディごとメガトンヘッドで裂け目に突入する。
ナナシが裂け目に突入したのを確認する。
「任務続行!上へ!」
エレンが前に出て、カリンを武器に乗せ飛ばす。それに他の仲間も続き、屋上へ到着した。
屋上に着くと、もう飛行船が目視できるほど近くに見えた。それと、天に飛び立ち羽を震わせるアフロディも。
「う、嘘だろ!チャージ速度が速すぎる!」
「当然さ、外は光が多いんだ。溜める速度も速くなる――おかしな話じゃない『ゴッドノウズ!』」
だが、一撃目ははずれ見当違いの場所を破壊する。だが、その威力はアクアリウムの時と比較にもならないほど高威力だった。
「どうやらまだ閃光弾の影響が抜けていないみたいだ。だけど、次はない――!」
溜める速度もそうだが、威力も上がっている、どうすればいいんだ――。
その上、飛行船ももう近づいている。
「――店長、ナナシ!!俺はここだぁ!!」
『ビリー!!』
飛行船から身を乗り出しながら、手を振るビリー。
(ビリーが視認できるくらい近づかれている。まずいな――)
『飛行船の目標位置到着まで60秒』
20秒で、飛行船まで到着して、操作しなければいけない。だが、屋上にある制御盤が壊せていない、これではついても操作できない。
しかも、よりにもよって制御盤はアフロディの真下。
「ナナシ様!」
ライカンさんが一言、俺の名前を叫んでそのまま飛行船に走って向かう。
それはつまり、制御盤の破壊を俺に任せたということだ、信頼が俺に乗っている。
ライカンさんがこちらを見ない、100%信じているのだ。俺ならこのゴッドノウズを止めて制御盤を破壊してくれると。
「ははっ!聞いたかい?後60秒――。待つのも惜しい、これで終わりにしよう!」
「どうすれば――」
最悪の展開だ。俺が、こいつ事屋上に行くなんて言わなければ。いや、結局ついてきただろう。残り60秒以内にこいつが守る制御盤を破壊できなければこちらの敗北。飛行船はホロウに突入する。
(『ゴッドハンド?』絶対無理だ。『正義の鉄拳G3?』ダメだ『マジン・ザ・ハンド』最悪、これで一瞬止めてそのうちにエレンたちに破壊してもらえばマンに一つはあるかもしれない。)
左腕を見る。さっきの『真・熱血パンチ』の発動でもう感覚がない。流石にこれ以上はそもそも発動すらできない。
「右腕――そうだ、右腕でマジン・ザ・ハンドを!」
だが、出来なかった。できなかったのだ――。いくらやっても、気は霧散し100%右手に届かないのだ。
「ぐっ」
心が、体が冷たくなり始める。
『ナナシ、君は私達の誇りだ。私達の仲間だ。胸を張って進むんだ。君ならできる』
「ああ、そうだよね」
グレースにかけてもらった言葉が再び胸の内からあふれ出す。
「俺ならできる――俺は覚悟で道を切り開き勇気と根性でその道を歩く!」
自分の中の言葉が固まる。
右手に100%。気が霧散。胸を張って、左手、力の放出、へその下、全力で踏ん張る、腰の体重移動。
全ての点と点がつながった。
「過去を今超える!!」
俺はアフロディに背を向けるように時計回りに腰をひねる。
「諦めたか、だが今更遅い!」
今まさに、己を滅ぼさんとする攻撃が来ようとしているその時背を向けるナナシに対して、残念なものを見るようにアフロディはそう言い放つ。
だが、その意識はすぐに間違いだったと気づかされる。ナナシの心臓あたりが輝きだし、オーラが立ち昇ったのだ。
ナナシは腰をひねると同時に右手を心臓の前に置いていた。
(過去の俺がマジン・ザ・ハンドを左手で出していたのは体の左側にある心臓に気を溜めるため。それを、左手じゃなくて右手に100%伝えるにはこうすればよかったんだ)
「神の本気を知るがいい!!『
聖剣に集まった光が一点に凝縮され放たれる。その破壊の光はナナシに向かって進む。
「はぁぁぁっ!!『マジン・ザ・ハンド!』」
右手の天に振り上げる。そこから現れたのは、左手のマジン・ザ・ハンドとは異なり、黄金の筋骨隆々のマジンだった。
「これが、俺のマジン・ザ・ハンドだ!!」
マジン・ザ・ハンドとゴッドノウズの激突、しかし世界は白い光に包まれることはなかった。破滅の光はマジンの手に収まり、完全にその勢いをなくした。
「――ナイス。ナナシ」
その隙を使い、裏から回り込んでいたエレンが制御盤を破壊する。同時にライカンさんが飛行船に到着した。
制御盤の破壊、ライカンさんの飛行船の到着それが一体何を意味するのか。
「お前の負けだ、アフロディ」
翼は、消え地面につき膝をつくアフロディにそう言い放つ。
(気絶させておくか――聞きたいこともあるし)
こいつから、聖剣云々の話は聞けるはずだ、と手を振り上げたその瞬間。
「僕は、神の力を得たはずなんだ!」
再び翼が再展開して空に飛び立つ。そして、聖剣へ力が再び凝縮される。
「―――」
「僕はまだ負けてない!ここからでも、あの飛行船を落とせば!『ゴッドノウズ!』」
放たれる破滅の光。だが、もはやそれは俺達にとって脅威ではない。
「『マジン・ザ・ハンド』」
先ほどより威力を失ったゴッドノウズはマジン・ザ・ハンドによってたやすく止められた。飛行船への実害無し。
「終わりだ、アフロディ」
「くっ――『ダッシュストーム!!』」
風が吹き荒れ、飛ばされる。
そして、止んだころにはアフロディの姿はどこにもなかった。
「逃げられたか――」
不思議と何も感じなかった。もう、脅威じゃないと思ったからだろか、ともかくそんなことより飛行船である。いくら『ゴッドノウズ』を止めようが、あちらが成功しなければどうにも――。
「気にする必要なかったか――」
飛行船はホロウに入ることなく、旋回しゴッドノウズで少し穴が多くなったバレエツインズの屋上に近づいていた。
それは、ライカンさんがやり遂げたということだ。
『お疲れ!ナナシ、すごかったよ、あの『マジン・ザ・ハンド!』』
「だろ!」
正直、少し調子に乗っている面もあるが、それでも自信満々に自慢したくなるほどの技の出来栄えだった。
「お疲れ様でございますナナシ様」
「お疲れ様です!」
「こちらこそ、ありがとう。リナさん、カリン!」
聖剣使いに強いエーテリアス、謎の組織の影。色々あったけど今日も誰も欠けずに終わった。ちょうど、夕焼けを見ながらしみじみ感じるのだった。
「あっ、そうだ。エレン、ありがとう制御盤を破壊してくれて」
「そっちの方が大変でしょ――。――――ッ!守ってくれて、ありがと」
突然、エレンからそう言い放たれた。どうやら、絞り出しているのか最後の方はかすれていた。
「え?ああ、今の?」
「違う――違くないけど――ボスが言ってたじゃん、ナナシが私達をかばったって――」
そういえば、ライカンさんがそんなことを言っていたような。俺としては、なぜわかった!?と言う面が強かったからあんまり気にしていなかったが、一応エレンを守ったことになるのだろう。
「こちらこそ、俺を助けてくれてありがとう。エレン、君がいなかったら俺は死んでたよ。こっちが、何かお礼をしたいくらいだ」
ホントにこれは冗談じゃない。エレンがいなければアフロディにアトリウムの時点で殺されていた。
「――ふーん。じゃあ、今度ナナシが言ってたパンケーキの店に一緒に行こう」
「パンケーキ――わかった。どこか空いた日があったら教えて、なるべく合わせるか――」
パンケーキと聞いた時再び悪寒を感じたが、恩を返すため平静を装う。
だが、俺の体は意に反して前のめりに倒れる。
(あー悪寒ってそっか――アドレナリン切れちゃったか)
悪寒は、俺の体が冷たくなり始めたからだった。
と言うことで、次回はエピローグ!! え?違う、違うの!?もう終わったじゃん!エピローグじゃないの!?次回もお楽しみに~!
皆は閑話とか、IFの話とか読みたい?
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読みたーい!(特にヤンデレ)
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読みたーい!(ラブラブ!)
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読みたーい!(好感度測定器みたいなやつ)
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いや、読みたいのは本編だ!遅れてんぞ!
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作者さんの自由で!
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こんなアンケートする前に書け