「ナニコレ?」
物語の都合上、今日も一人のんびり画面を眺めていたナナシ。特に予定があるわけでもなく時間を浪費するだけの日だったのだが、そんな平和な日常をぶち壊しに来たのか、気づけば目の前の机に謎の球体が現れていた。
(好感度測定器よ!!)
「捨てよう」
(待って!ちょっと待ってちょうだい、あたしの話を聞いて?)
内なるエリシアから『好感度測定器』と言われたときから嫌な予感が高まったナナシはすぐさま立ち上がりその球体をゴミ箱に持っていこうとする。
「――まあ、いいけど好感度測定器って言ってけどどう見てもエデンの星だよね」
(ええ、外側はいいものがなかったから使わせてもらったのよ)
「さらっと、理の律者の力をエリシアに使われてる――それで、好感度測定器って何なの?」
見た目は赤黒い星、特徴的な金属模様を備えている、見間違うはずがない。確かに、理の律者の力で作られているようで力を感じられる。本来であれば、重力を操る能力を持つ神の鍵だが、今は好感度を測定するわけのわからんものへと改造されているなんて――
(読んで字のごとく好感度を計れる装置よ。試しに私に向かって使ってちょうだい)
「使うってどうやって?」
(近づいて念じれば使えるわ。あたしはあなたの胸の中にいるからいつでも大丈夫だから)
エリシアの好感度:∞
「――やっぱりゴミか」
(待って、待って壊れていないわ。正常よ!)
「正常って――好感度∞って最初から信用ならないんだけど――」
(本当よ!あたしの好感度は∞だもの!!)
「―――そう」
もちろん、信じてはいない怪しいし――でも、これが本当に好感度を測定できるというなら気にならないというのはウソになる。
(あ!今、思ったでしょ!好感度見たいって、そうよね!やっぱり、みんな見たいわよ!)
「ッ、数値で出るなら何か目安みたいなのはないの?」
(もちろんあるわよ!)
好感度測定器
100~91・・監禁ルート一歩手前
90~81・・もう離さないから
80~71・・嫉妬し始める
70~61・・異性として好きかも?
60~51・・好き、親友
50~41・・友達!
40~31・・ちょっと苦手かな――
30~21・・苦手
20~11・・嫌い!
10~1・・目の前に現れたら舌打ちするレベル
0・・目と目が合ったら殺す
「――これ、40以下だったらショック死するんだけど、ていうかエリシアの∞ってどのくらい?」
(∞は∞よ!!――だって、あたしとあなたは同じところにいるんだもの)
「何か言った?」
(何も言ってないわ――それに、大丈夫よナナシ。あんなに頑張ってるあなたが嫌われてるはずないわ)
∞のことを言った後が小声で全く聞こえなかったが、エリシアの慰めでさらに不安は高まっていくばかりだ。
「ただいま」
「あ、お帰り二人とも――」
独り言をぶつくさ言っているとちょうどアキラとリンが帰ってきてふと思いついた。
(二人は俺のことどう思ってるんだろう?)
無論、この測定器が確実なものだとは微塵も考えていない。しかし、人間というのは愚かなものかな、一度興味を持ったらどうにも試してみずにはいられないのだ。
「どうしたの、ナナシ何か考え事?」
「え、いやこの番組面白いなぁって」
「嘘だね、ナナシが嘘をつくとき微妙にだが左目が下がる癖がある――わざわざ詮索する気はないけど、もし新しい人と仲良くなったら教えてくれると調べる手間が省けるんだけど」
「いや、そういうわけじゃないんだ」
「嘘はついてないみたいだね、お兄ちゃん」
俺がライの裏切りで殺された後、アキラたちはフェアリーや朱鳶さん、雅の力を借りて気づかぬ間に俺の人間関係は調べられていた。
まあ、調べられて困るようなことはないので別にいいのだが誰かに危害を加えるのだけはやめてほしいと言っている。
(流石に、アキラとリンの好感度が低いわけはないか――いや、もしかしたらって可能性も――調べるか)
アキラの好感度:84
リンの好感度:90
(セーフ!!よかった~二人に嫌われてたらショックすぎて二、三日は夜しか眠れなくなってたよ!)
「なんだか、嬉しそうだね!何かあったの?」
「え、リン聞いちゃう?――実はね」
ナナシは嬉しかったテンションのままエリシアのこと以外洗いざらい全部話してしまった。
「――へぇ、好感度測定器。それじゃあ、ナナシは私たちからの好感度もわかってるってこと?」
「うん、うん――ちなみにアキラが84で、リンが90だったよ!」
「えへへっ!私の方が高いみたいだね~お兄ちゃん!」
「その機械故障しているんじゃないのかな?――そういえば、それは僕たちも使えるのかい?」
「多分、使えると思うけど――使う?」
「ああ、使ってみたい」
そう言う、アキラに俺はエデンの星の姿をした好感度測定器を渡した。使い方はさっき説明しているので問題ないだろう。
ナナシの好感度:60
「――なんだって!?」
「60なんてまだまだだね、お兄ちゃん!次は私に貸して!!」
ガックシと肩と膝を落とすアキラをよそに好感度測定器をふんだくっていくリン。
ナナシの好感度:55
「う、うそでしょ――ナナシ、どうして?」
「――アキラはご飯くれるし」
「どうやら、僕の勝ちみたいだ。リン」
震えながらガクガクと音を立てながら首だけこちらに向くリンを気まずそうな視線で手を合わせ謝るナナシ。勝ち誇るアキラ・
「何、言ってるのお兄ちゃん。ナナシからの好感度はご飯ブーストがないと同じくらいでしょ!」
「ま、まあ確かにご飯なしって考えるとアキラとリンは同じくらいかなぁ――」
「ッ、そうなのかい?――今日のご飯はステーキにしよう。それにパンケーキも作るよ」
ナナシの好感度:81
「よし!!」
「よしじゃないよ、お兄ちゃん!!それに、ナナシも簡単に物でつられないで!」
「い、いや――つい――お腹空いちゃって」
残念かな、食欲に忠実なナナシにはこの手の扱いはクリティカルヒットだ。
「――でも、どうしてナナシの好感度はこんなに低いんだろうね」
「ッ、いや、こんなもんじゃないのかなぁ」
顔をリンにガシッと両手でわしづかみにされ逃げられなくなった状態で聞かれる。なんだか、妙に迫力のあるハイライトのない目で思わず身震いしてしまう。
「そうかな、でも私もっとナナシの好感度ほしいな~どうすればいいと思う?」
「?」
「最近、雅さんも誑し込んで――他のみんなも気があるみたいだし、最初は私たちだけのナナシだったのに――」
「り、リン?」
様子がおかしい。黒いというか混沌というかそんなオーラを感じる。
「――例えばなんだけど、ナナシの手足が無くなってずっと私たちに介護される人生に成ったら、それとも檻の中で一生閉じ込めたら、それとも私たち以外が居なくなって一人になったら、一生、私たちと一緒にいてくれる?」
「手足が無くなっても理の律者の力で再生させるし、檻は捻じ曲げて脱出するし、俺の仲間は誰一人、殺させやしない。もちろん、リンとアキラもね。――それに、そんなことが起きなくたって二人が雇ってくれる間はずっと一緒でしょ?」
「――ナナシ、生涯契約を結ばないかい?」
「え!?――いや、それは嬉しいけど正直そこまで長く生きていける気がしないし保留ね」
「ダメだよ、そんなこと言っちゃダメ。ナナシは私たちと生きていくんだから」
(そう言われても、一回殺されたし――いつ次が来てもおかしくない。なるべく、二人には執着してほしくないんだよなぁ)
すっかり嫌われていなくてよかった~で流してしまったが二人の好感度は84と90だ。かなりヤバい――でも――
「善処するよ」
そう言うしかなかった。
え?ナナシの好感度低くないって?
そういうもんでしょ、というかナナシって恋愛感情持ってないし。
このナナシの性能、強いと思う?
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