ゼンレスゾーンゼロ ・ 聖剣   作:うどん米

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モチベ復活!!


エピローグ

 

 

まどろみの中にいたのが嘘みたいに、思考がクリアになっているのがわかる。

上半身だけを起こし、あたりを見渡す、いつも通りの俺の部屋だ。

 

 

いつも、俺をたたき起こす目覚まし時計、グレースからもらったやたらごつごつしている人形。ビリーと一緒に買った、スターライトナイトの強化アイテム。リンと一緒に行ったガシャポンで出た何のキャラかわからないがとにかく虚無の顔をしたペンギン。その他もろもろ――そして、椅子に腰かけているライカンさん。

 

 

(うむ、今日も平和である――)

「お目覚めでございますか、ナナシ様」

「ううぉわあぁぁぉぉぉぉ!!」

驚きが一点に収縮しながら、やっとぼーっとした意識が完全に目覚め切った。驚きのあまり飛び上がり、天井に頭をぶつけるなどの失策を冒しながらも落ち、おちちち――落ち着いた。

 

 

その衝撃で、気づいたのか。扉が開き、アキラとリンが部屋に入ってくる。

「ナナシ、起きたのかい!」

「もー心配したんだから!」

どうやら、結構心配をかけてしまったらしい。俺が倒れた後、何があったのか聞こうと思ったが――。

 

 

 

ぐぅぅぅぅ

 

 

「ナナシ、まずご飯にしようか」

「――うん」

ひとまず腹ごしらえと言うことで、いつものリビングへ向かう。

気づいたが、左手は案の定ギブス状態。

 

「ほら、ゆっくり食べてくれよ」

「――おかゆ」

デジャブである。こいつが出てきたときは決まって相当、久しぶりにご飯を食べるときだけだ。

 

 

「――ご馳走様でした」

手を合わせることはできないので片手で合掌の形を作り、礼を取る。それにしても、第1話と比べて、なんというか格が違うのを感じる。

(――ぐっ)

頭に強い痛みを覚える。なんだろう、どこかからの強制力を感じる。

 

 

 

「それでさ、俺が倒れた後何があったか教えてもらえない?」

「でしたら、私が説明いたします――」

ライカンさんの方に向き直る。まず、驚いたのは三日間起きてこなかったらしい、見事にぐっすり――。まあ、その原因に心当たりしかないのだが。

 

 

「ナナシ様が倒れた後、無事飛行船を着陸させることには成功いたしました」

「おお!よかった、流石ライカンさん。飛行船操縦の腕も一流ってことだね!」

見事、飛行船は着陸したものの、一つ問題ができた。それは、パールマンの逃走である。

 

 

本来なら、ヴィジョンの件で裁判に出るはずだったパールマンはこの混乱に乗じて飛行船に乗って逃走してしまったのだ。

で、結局レインを連れ去ったのはどこのどいつかと言えば――。

 

「反乱軍?」

「はい、バレエツインズB棟屋上へ近づけないよう。何者からか指示を受けていたようです」

つまり、あの停電は反乱軍たちの仕業だったということだ。最初は俺達のことを肝試しかなんかと思ったらしいが、まさに破竹の勢いで停電を解決していたのを見て、そいつらの隊長がただものじゃないと判断し、アフロディをぶつけたというわけらしい。

 

「じゃあ、アフロディは反乱軍だったってこと?」

「いえ、あくまで同じ指示を受けただけのようで、仲間と言うわけではありませんでした」

じゃあ、ますます彼奴は一体何だったんだという謎が深まる。

今回は、相手が最初思いっきりこちらをなめ腐っていたから隙をついて倒せたけど次はそううまくいくかわからない。

 

「まあ、でもよかった。よかった、みんな無事なんだろ!」

「ナナシを除いてね――」

「うっ」

思わず痛いところを突かれてしまう、生きてるしいいじゃんと思いながら左腕のギプスを外す。

「ちょ!ナナシ!」

リンが驚き声を上げる。

 

「ふっ、全回復済みです!」

目の前でくるくる回して無事なことをアピールする。

「――どうやらナナシには説教が必要みたいだね」

「うげぇ!!」

般若がいる!――いち、にい、さん!?ライカンさの目が全く笑っていない。

 

 

「そうだ、なるべく早くみんなに無事だと伝えた方がいいと思うよ。ずっとスマホは鳴りっぱなしだったからね」

スマホを確認する。確かに、交換したみんなから心配のメールが来ていた。

 

「あれ?俺、レインと交換したっけ?」

記憶が正しければ、俺はレインと交換していない。だが、メールの欄には。

『大丈夫?目覚めたなら連絡頂戴』

 

「――ほんとだ、そういえばレインが一回ナナシの様子をパソコン片手に来ていたような」

「流石ハッカー、パスワードなんてもろともしないということか」

まあ、危険性がないのなら放置でいいかととりあえずスマホをしまう。

 

 

「それで、ライカンさんは何でここに居るの?」

目覚めて、顔を見て飛び上がってしまうくらいには驚いたのだ、理由は話してもらわなければ割に合わない。

「作戦中に倒れたナナシを心配して毎日来てくれてたんだよ」

「あ、それはすみません。心配をおかけして」

素直に申し訳なくなって頭を下げる。

 

 

「いえ、私がしたくてしたことですので――それよりも、ナナシ様がご無事で何より安心いたしました。よろしければ、この後他の従業員にもお会いくださいませ、彼女らもとても心配しておりましたから」

そういえばと倒れる前の最後の記憶を手繰り寄せる。

マジン・ザ・ハンドを使い、アフロディを撃退した後、気が抜けてそのままエレンの前で倒れたんだった。

(まあ、普通人が目の前で倒れたら心配するか――)

 

「わかったよ。連絡しておく、ライカンさんも来てくれてありがとう」

その後、ライカンさんは用事が有るとかで帰っていった。

 

 

 

 

「さて、それじゃあ記憶端子の件に移ろうか」

「待ってました!レインは無事に解除できたんだね」

元々、俺達の目的はレインに記憶端子のプロテクトを解除してもらうことだった。

 

「ああ、すでにクレタ達と先に見ておいたよ――」

 

 

『プロキシ――お前ら、この記憶端子を解読するために、まーたとんでもねえことに巻き込まれたんだってな』

『当ててみようか、ニコから聞いたんだろう?まあ今回は、邪兎屋の面々も危うしと言ったところだったからな』

白祇重工の二人にこんな迅速に話が伝わっているならば、出る口は一つしかない。

 

『まあな、それよりもナナシは大丈夫なのか?大けがしたって聞いたが』

『――ああ、まだ目を覚ましていないんだ。一応医者に診てもらっていつ目を覚ましてもおかしくないはずなんだけど――』

左手にギブスを付け、頭と腹部に包帯を付け眠っている、ナナシ。あの事件から二日たったのにまだ目覚めない。

 

(このまま――目覚めなかったら)

そう考えるだけで、アキラの指先は自然と震えていた。

『悪りぃ。一番、心配してんのはおめぇらだもんな』

『いや――大丈夫さ。ナナシはこんなところで倒れたままになるような奴じゃない』

今は信じなければいけない、彼が目を覚ます時を――。

 

『じゃあ、早速見ようか』

『ああ、ずっとこの記憶素子にあるモンが一刻も早く解読出来たらって思ってた――けど、いざその段になってみると、緊張するもんだな』

『大丈夫さ、おチビちゃん。この中に入ってるどんなものと向き合うことになろうと、私達が一緒だよ』

腕を組み深く考えるクレタを励ますようにグレースが声をかける。

 

フェアリーが記憶素子の再生を始める。

『マスター、断片的な音声データが検出されました、システムのタイムスタンプは旧都陥落前日の夜です』

『それを再生お願い!』

 

 

 

『音声を読み込み中、しばらくお待ちください――』

 

【――ふぅ――ゴホッ――どうやら――君たちを見くびっていたようだな――ゲホッゲホッ――】

開口一番に聞こえ来た男のせき込む声、その一声を聞いた時クレタの目が大きく開かれる。

 

『親父の声だ!怪我してる!』

『落ち着いておチビちゃん。これはもう何年も前の録音だよ』

興奮するクレタをたしなめるように、グレースが肩に手を置く。まさしく、その男の声はクレタの父、ホルス・ベロボーグの物だった。

 

【言ったはずだ。何も知らないふりを知ろと――それが、俺達全員の為だと!】

【――ゴホッ、俺は父親だあんな娘の命を脅かすようなもん放っておくわけには――】

誰かと話すホルス社長、どうやら誰かと話をしているらしい。

 

 

【俺は――もうじき――だから、教えてくれ――モニュメントの中のアレは一体――なんなんだ】

【――いいだろう、それが最後の願いなら、聞いてやる。あれは『サクリファイス』――すでにほとんどがアポロに倒されてしまったが――】

ここで、音声は終了している。

 

「う、うぅ――えぇ!」

聞きながら飲んでいた、お茶を喉に詰まらせる。

 

「ああ、驚くの無理ないだろう。君が、見た夢でもサクリファイスは登場していたし、それにレインをさらった連中もサクリファイスのことを知っていたみたいなんだ」

「へ、へぇ――お、驚いたなぁ――あはは」

(――何で、俺のオリジナルの名前が出てきてんだよ!!)

 

 

「それに、アポロかそんな怪物を倒していたなんて一体何者なんだろうね」

「――ああ、うん。でも、少なくとも敵じゃないんじゃない?」

(言おうと思ったけど言えねぇ!ていうか、自分――そいつのクローンなんだよね――って言えるわけじゃん!言えないよ!衝撃カミングアウトだよ!よく、アルターエゴはあんなナチュラルに話せたな、アイツもきっちりいかれ側だよ!!)

 

自分の脳みそで自問自答しながら、少し冷静さを取り戻す。

 

 

 

だが、その後隠し事をしているような感じがしていたたまれなくなった俺はそそくさと自分の部屋に帰り、ベッドにインした。

 

「――いつか言えるのかな――俺がアポロのクローンだって」

そのつぶやきは部屋に響くのみで誰にも聞こえてはいなかった。

 

 

 

ビデオ屋の前――建物の屋上。

「――まさか、彼が――」

「リナ、私共は今日何も聞いてはおりません。ナナシ様の部屋にある盗聴器も取り外しておきましょう」

 

 

 

誰もナナシのつぶやきを聞いたものはいなかった。

 




モチベ消滅!!

皆は閑話とか、IFの話とか読みたい?

  • 読みたーい!(特にヤンデレ)
  • 読みたーい!(ラブラブ!)
  • 読みたーい!(好感度測定器みたいなやつ)
  • いや、読みたいのは本編だ!遅れてんぞ!
  • 作者さんの自由で!
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