ゼンレスゾーンゼロ ・ 聖剣   作:うどん米

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いつか、ナナシが刺されるIFを書くかも。

一応これでも勘が良すぎる主人公。


閑話・ナナシとカリン

 

前日雨が降り今日はどうなるかと思ったが今日は幸いにも晴天、ところどころ水たまりこそ残っているが中止にならなくてよかった。

 

「お、おはようございます!!」

いつも通りの90度最敬礼のお辞儀に困惑しながらも挨拶を返す、一応任務として呼んではいないのだがいつも通りのメイド服で現れた。

「おはよう、カリン――そ、そんなにかしこまらなくてもいいんだけど、今日はカリンにお礼をしたくて呼んだんだから」

お礼と言うのは別にお礼参りと言うわけではなく、バレエツインズでの一件でアフロディと出会いその一戦目の時に食らったゴッドノウズのせいで色々ボロボロになった俺は、屋上に行くまでの道中をカリンに背負ってもらいながら移動していたのだ。

 

 

「お礼なんて――私なんかがもらっても良いのでしょうか」

(――思うがやっぱり自己評価が低い、俺も正直自己評価が高い方とは言えないが、ここまで行くと卑屈のラインだ)

まあ、こちらが勝手に何かするわけにもいかないし、今日はとにかくカリンを楽しませて見せる、そう意気込んでとりあえず“しおり”を取り出した。

 

 

「――まあまあ、気にしない!とにかく遊びに行こう!」

「は、はい!!」

 

カリンの手を引き初めに向かったのは――ラーメン屋だった。

リンのアドバイスによれば、とにかくおいしいものを食べればOKらしい、俺の3ページしか存在しないしおりにもそう書いてある。

 

「ら、ラーメン屋さんですね!」

「うん、チョップ大将のラーメンはとにかくおいしいんだ!」

ちなみにこの後、今日の色々を聞いたアキラから『なぜ、リンに聞いたんだい?』と疑問を呈されることになるのだがこの時の俺に知る由もなかった。

 

 

「ナナシ様はよくここに来られるのですか?」

「うん、この前もちょうどリンとアキラとね――それ以外には邪兎屋と一緒に行くことが多いかな」

リンと一緒に行った後、アキラとラーメンを食べに行ったり、一番直近でそれ以外だとニコと一緒に行ったきりである。

 

 

「おっ、ナナシじゃねぇか!また別の女の子連れてるなんて罪な男だな!」

「違います!!そう言う言い方は多大なる誤解を与えることになるからやめてくれ大将!」

俺がまるで何股もかけているかのような発言にかなり胆が冷えるだが、カリンは笑って流してくれた。

 

「ナナシ様はたくさんの人から好かれてますもんね――わかってますから」

「違う、違うから!!」

どうやら、思いっきり誤解をしていたらしい。その後、何とか誤解は解けたがラーメンを食べる前から顔は真っ赤になっていた。

 

「――どう?」

「お、おいしいです!それに、なんだか体の調子が良くなった気がします!」

「そ、そこまで!?」

俺は食べても何も起こらないのに――まあ、そう言う大それたものじゃなくておいしいものを食べると気分が良くなるよねと言う感じだろう。

 

横目でちらっと見るとカリンはスープまできっちり完食していた。

その後、お代は俺が奢って次の場所へ向かった。

 

「次はここ!!」

「げ、ゲームセンターですね、私も少し来たことがあります」

「そ、そうなの――大丈夫かな」

お察しの通り、俺はゲームがものすごい弱い――リンと戦った時も十戦十敗しかも完全試合は8試合と言う悲惨な結果になっていた。

もし、カリンが経験者ならば今回挑もうとしている対戦ゲームで悲劇が起こるかもしれない。

 

 

 

「じゃあ、まずこの対戦ゲームをやろう、もちろん手加減なしでね!」

「は、はい――やったことはありませんが、私頑張ります!!」

 

数分後――。

 

「――無念」

何が起きたのかわからないがとりあえず負けた。

「えっと、ごめんなさい!!」

「いや、いいんだよカリン。君は何も間違ったことはしてないんだ――誰が悪いかって言ったら―――うん、弱すぎる俺なんだ――うん」

まさか初心者に負けるとは思わず意気揚々と挑んだが、ラウンド1を取られたところからおかしくなり始めた。

 

なんと、ラウンド1で調子を掴んだのか、見事に完全試合――ちょっと心が折れかけた。

 

「じゃ、じゃあ!ちょっと向こうでクレーンゲームでもやろう!」

「はい、お供します!」

 

 

その後、クレーンゲームやメダルゲームを一通り遊んで気づいたら日は落ちかけていた。

横並びになって、帰路についている時だった。

「今日はありがとうカリン!――楽しませるつもりだったのに、こっちばかり楽しんじゃってごめん――」

「い、いえ――私も楽しかったです。むしろ、私なんかが――」

 

横を車が通り、水たまりを踏みその泥水が宙を舞う。

「危ない!」

「きゃっ」

間一髪で、カリンを抱え泥水から守る盾になるしかし、その結果そこまで大きい水たまりではなかったとはいえ膝辺りは見事全滅してしまった。

 

「大丈夫、どこか汚れたりしてない?」

カリンのてっぺんから爪先まで確認するがその純白のメイド服に泥のシミなどは見られない。

「――ごごご、ごめんなさい!!」

顔を上げ、カリンを顔を見ると顔面蒼白で白目をむきかけている。

 

「――何が、ごめんなさいなの?」

「え、私のせいでナナシ様のお召し物が――」

確かに、泥水をかぶって俺のズボンは見事に変色してるが――まあ、カリンにかかるよりは数億倍ましだろう。

 

 

「確かに汚れたけど――それよりもカリンが無事でよかった、だからここは“ごめんなさい”じゃなくて“ありがとう”って言ってほしいかな」

「――あ、ありがとうございます」

「うん!じゃあ、帰ろう!」

今度は、カリンを道路側に立たせることなく二人並んで帰った。

 

 

 

「ど、どうしてナナシ様は――私なんかを助けてくれたんですか?」

「私なんか、か――そんなの理由はたった一つだけ!」

人差し指を突き出し、彼女に見せる。

「カリンが、大切な人だからだよ――守りたいと思うのは当然じゃない?」

「私が、大切な人――大切な人――」

何回も復唱するカリンのことなんて気づかずに、さっさと帰ってこれを洗わなければと考えるナナシ。

 

「あ、あの!洗濯のお手伝いをさせてください」

「え?――で、でも今もう遅いしそろそろ帰らないと真っ暗になっちゃうよ?」

今の時刻は17時、今はまだ夕焼けがその色彩を放ち照らしているがそれも時間の問題だろう。

 

「だ、ダメですか――」

「オッケー!!オールオッケー!!」

上目遣いで、ウルウルしたまるで小動物のような瞳で見つめられて拒否することができる奴を俺は知らない――いや、アフロディはするかもだけど。

 

 

 

「あれ?ナナシ、カリンも連れてきたんだ――その、未成年はどうかと思うよ?」

「違うわ!!さ、流石にこれ以上犯罪に手を染める気はない!!」

大根泥棒、プロキシを冒しているのに加えて未成年に手を出したとなったらもう誰にも顔向けできない存在になるだろう。

 

「だよね――ナナシが他の子に手を出すわけないもんね」

「待って、まるで他の子に手を出したような言い方は止めて!!」

リンとの会話で誤解を与えていないか心配だったが、チョップ大将での一件があったおかげで今回も笑って――

 

「ナナシ様はたくさんの人から好かれてますもんね――わかってますから」

「デジャブ!違うから――本当に違うから、誰も口説いてないから!」

何とか、リンに協力してもらいカリンの誤解を解くことには成功したが――なんだか、さっきのカリンの発言はチョップ大将の時よりも冷え切っていた、というかゾワゾワと背筋に伝う何かを感じさせるものだった。

 

 

リンとアキラに諸々事情を説明してとりあえずカリンには今日ビデオ屋に泊まってもらうことになった。

一応、保護者的ポジションであるライカンさんにも連絡して正式に泊まることになった。

 

洗濯機はとっくに回っていたので、手洗いは覚悟していた。だが、その作業をカリンが代わりにやってくれていた。

「すごいね、完全に汚れが消えた――流石プロだね」

「い、いえ私なんかこれくらいしかできませんから」

正直数十分はこの汚れとの戦いを繰り広げる必要があると思っていたのだが、ライカンさんから聞いてはいたが、カリンの家事の腕はお墨付きと言うのは本当らしい。

 

 

「じゃあ、後は片付けだけだね、手伝うよ」

「いえ、私が――きゃあっ!」

桶を掴んだ瞬間、洗剤のせいか滑り彼女の服を濡らす。

 

「あっ――ははっ結局濡れちゃったな――どうせ泊まるんだし洗ってく?」

「は、はい――すみません――いえ、ありがとうございます」

彼女からの感謝に頬が緩みながら、風呂ついでにメイド服を洗うので俺はその場を後にした。

 

 

 

 

その後、特に何かが起こるわけもなくカリンはリンと一緒に、俺はいつも通り自分の部屋で一夜を過ごした。

 

 

 

「ってことだったわけなんだよ、ニコ」

「ふーん。それで、このあたしに相談したってわけね――」

カリンと一緒に遊びに行った翌日、ニコと一緒に孤児院の手伝いに行く約束をしていたのでついでに昨日あったことを話していたのだ。

だが、話始めてから段々ニコが不機嫌になっていくのは感じ取っていた。

 

 

「第一!最初がラーメンってどうなのよ、それにその次がゲーセンって異性との遊びに最初からそれって正気じゃないわよ!」

「――はっ!」

確かに、言われればそうだラーメンにゲーセンと仮想相手をリンに設定したがゆえの判断だ――だが、相手はカリンだ。これでカリンへの礼を尽くせたと言えるのか。

 

「くっ、リンを参考にしたのが間違いだったか」

「そりゃあそうでしょ!!大体――ナナシならほかに頼れる人がいるでしょ」

なぜか、俺から顔をそらして頬を赤く染める。

 

(頼れる人――アンビー、猫又はないなビリーは論外。クレタ――と言うか白祇重工全員が論外だな――うーむ、はっ)

「あ、あたし――とか練習の相手にもなってあげるのに」

 

 

「そうか、アキラに頼ればよかったのか!!」

「なんでそうなるのよ!!」

よく考えてみれば、あのイケメンフェイス何人も女性を落としてきても不思議じゃない、アキラにアドバイスを頼めばよかったんだ。

 

「思い立ったが吉日だ!早速帰ったら、アキラからエスコートのイロハを教えてもらいに行ってくる!」

「待ちなさい、それよりも今!現在進行形で!身近な人がいるでしょ?」

今、現在進行形――身近――これらに全て該当する人物はただ一人!

 

「なるほど、わかったよニコ」

「そ、そう!じゃあ何を聞いてもいいのよ」

 

 

 

「院長先生に相談してくる!!」

「なんでそうなるのよ!!」

よく考えてみれば、院長は聖職者だ。悩みを打ち明ける相手としてならばこれ以上いないと言っても過言ではない大適任者だろう。

 

「――もういいわ、とにかくナナシ!あんたなら、考えなくてもパッといい場所なんて出て来るでしょ!」

「パッと――バレエツインズだ!」

脳裏によぎったのはまさについこの間、ライカンさんと一緒に酒を楽しんだバレエツインズだった。

 

(今は、大体16時ライカンさんから確か今日は休みだからそのままビデオ屋でリンと一緒にビデオ鑑賞するって言ってたような――この時間ならもしかしたらまだギリギリ帰っていないかも)

 

「ごめん、ニコ――院長さんに謝っておいて、俺行かなきゃいけないところがあるんだ」

「――わ、わかったけど――もしかして、愛の告白とかじゃないわよね?」

「違うけど?昨日の挽回に行ってくる!」

全速力で、孤児院を飛び出しビデオ屋に向かった。

 

 

「あーあ、行っちゃった――引き留めればよかったかしら」

 

 

 

 

数分後

 

「カリン、いる!?」

店内から06号に扉を開けてもらい、リビングに入る。

 

「な、ナナシ様?カリンはここにおりますが」

リンはおらずその代わりカリンがちょこんとソファに座りながらスタッフロールの流れる映画を鑑賞していた。

「カリン、昨日のは本当にごめん――なんというか他人のアドバイスばっかり聞いて――今から、俺と一緒に心から一緒に行きたいところに行かない?」

「は、はい!!」

満面の笑みで俺の手を取るカリン、その勢いのままバレエツインズへ向かった。

 

 

 

バレエツインズに到着すると、すぐさま屋上に駆け上がった。

(時間はもう17時回ってる――間に合うか)

 

 

だが、ここで壁にぶち当たった。前までは使えていた道が崩落し使えなくなっていたのだ――。

 

「カリン、行けそう?」

「す、すみません――流石に難しいかと」

(ここを通らなければ上には行けない――でも、俺ならまだしもカリンの跳躍力でここを跳ぶのは不可能――いや、早速役に立つときが来たみたいだ)

 

「カリン、行くよ『ムゲン・ザ・ハンド!』」

「わ、わかりました!」

両手を重ね二本の小さいゴッドハンドを出現させる。

(ふぅ――練習通りやってやる!)

 

「はぁぁぁ!」

ムゲン・ザ・ハンドで優しくカリンを掴み無事に対岸まで届けることができた。

「ナナシ様はどうされるんですか?」

「ふふん、この距離ならいける『熱血ジャンプ!』」

助走をつけ、思いっきり跳ぶ――だが目測では無事ギリギリ届くかに思えたが謝っていたようで途中で届かないことを察してしまう。

 

「ナナシ様!」

落下する体を掴んだのはカリンだった、支えられるか不安だったがなんと軽々俺の体を持ち上げ無事二人とも対岸に向かうことができた。

「ありがとう、カリン!」

 

 

そして、裂け目をくぐりやっと屋上につくことができた。

 

「これが、見せたかったんだ!!」

時刻はちょうどこの間、ライカンさんと一緒に夕日を見た時間と同じだった。

 

「わぁぁぁ!」

目の前には、夕日があたり一帯を照らしながら輝いている町並みがあった。それはまるで、宝石箱に光を照らしているみたいに輝いていた。

 

 

「私がこの間見たものよりもずっとすごいです!あっ」

「うん?」

(私がこの前見たものより――)

 

この時、すべてを悟った。よくよく考えてみれば、なぜライカンさんはこの景色を知っていたのかそれは見ていたからにほかならない。

それって、ライカンさん一人?否、おそらくヴィクトリア家政全員が見ていたのだ、この宝石箱を。

 

 

「あ、ははは――ごめん、カリン失敗しちゃった」

「い、いえ本当にこの前見たものよりも美しいと思います!」

ナナシは恥ずかしさで思わず顔を背けていたため気が付かなかったが、カリンが最初にすごいと言った風景には無邪気にこの景色を紹介するナナシも一緒に写っていたのだ。

 

 

「い、いや!俺の知っているいい場所はこれだけじゃない――だから、そのまた誘ってもいいかな?」

「はい!いつでも、お待ちしています――あの、ナナシ様はどうしてこんなに私なんかによくしてくれるんですか?」

「あれ?昨日も言わなかったっけ?」

カリンは昨日のことを振り返るも、よくしてくれる理由に関しては特に言及はなかったと首をかしげる。

 

 

 

「俺にとってカリンが大切な人だからだよ」

「ッ!わ、私もナナシ様が大切な――その、人です」

カリンの顔がまるでリンゴのように真っ赤に染まる――だが、夕日の輝きがそれを悟らせぬように瀬戸際で輝き続けていた。

 

 

ちなみにその後――

 

『あの、明日一日付き合ってくれませんか?ナナシ様に『専属メイド体験チケット』を受け取ってほしくて――他の方にお願いする前にナナシ様に奉仕したいんです』

手帳を取り出し、明日の用事を確認する。

(うーむ――明日はリナさんに味見役をお願いされてるんだった)

 

『ごめん、カリン。実は明日用事があって難しいかな、もしよかったらリンとアキラに相談してみるからそっちに渡してみたら?』

メールが送られた瞬間既読に変わり、返信が来る。

 

『いえ、こちらこそ――では、プロキシのお二方にお願いしようと思います。ですけどチケットは渡してもよろしいでしょうか?』

『うんわかった、もちろんいいよ――ありがとう』

ここで一旦メールは終わっている。

 

 

 

 

「――私はナナシ様の大切な人――大切な人――」

この前のワンフレーズが頭の中で響き続けていた。

 




ちなみにナナシの大切な人発言に特に深い意味はありません。恋愛的なことも何もありません。
それと、すっかり忘れていたのですがここで少し補足を――ナナシとアポロが使う聖剣『ジ・アース』の元ネタは、イナイレ無印2期の『ジ・アース』と言う必殺技ではなく、漫画が原作のアニメ化もされている作品『ぼくらの』に出て来る超燃費の良いロボット『ジアース』からこの聖剣の名前は取られています。

皆は閑話とか、IFの話とか読みたい?

  • 読みたーい!(特にヤンデレ)
  • 読みたーい!(ラブラブ!)
  • 読みたーい!(好感度測定器みたいなやつ)
  • いや、読みたいのは本編だ!遅れてんぞ!
  • 作者さんの自由で!
  • こんなアンケートする前に書け
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