ゼンレスゾーンゼロ ・ 聖剣   作:うどん米

95 / 186
ピーンポーンパーンポーン!

今回の話は、めちゃくちゃ難しい上に、胸糞の気配を感じるものなので見たくないよ!って人の場合は最後の後ろ書きに今後登場する要素が書いてあるのでそれを見てください!!


第49話・倫理レベル -100,000,000

 

 

「久しぶりだな、アルターエゴ」

目を開けるとそこは見知らぬ天井ではなく、見知った精神世界だった。視線を向けた先にいるのは背中をこちらに向けながら左足を曲げ何も言わないアルターエゴが座っていた。

 

「ごめん、変なもの見せちゃって」

変なものと言うと、リナさんとお酒を飲んだ時に爆睡し、夢で見た光景。アポロがある宗教団体と交戦し、何人もの命を奪った戦いの情景、それを見た以来からこの精神世界に入れなくなっていたのだ。

「まあ、割と衝撃は受けたよ。でも、それよりも知りたいことがあるんだ。教えてくれないか?」

「――わかってるよ。ジェネシスのこととかだよね?」

頷く、一度目の戦いで何か未知の力を使い正義の鉄拳を突破していた。二度目の戦いに備えて準備はしておくべきだろう。

 

「さて、聖剣ジェネシスか――俺が知ってるのは炎と氷を扱う聖剣ってことだけなんだ」

「炎?――なるほど、それで正義の鉄拳を突破したわけか」

よくよく思い出してみれば、確かに爆発音は聞こえたし、若干熱風のようなものは来ていた。

 

 

「でも、鵜吞みにはしないでくれ。俺の世代のジェネシスの使い手はあまり使いこなせていたとは言えない――だから、そいつがそれ以外の未知の必殺技を使ってくる可能性もある」

「未知の必殺技――わかった」

(そういえば、グランはアストロブレイクとかグングニル。明らかに炎と氷に関係のない必殺技を使っていたな)

前使用者が使えなかった必殺技と考えればアルターエゴが知らないのも辻褄が合う。

 

「じゃあ、もう一つ聞いてもいいか?人工聖剣って何なんだ?」

アポロが襲撃した宗教の教祖が使っていた人工聖剣と呼ばれるもの、それは確かに聖剣と似たような性能を有していて必殺技も発動していた。

 

「――そうだな、話しておくか。まずは、基礎的なことから話そう――」

そもそも、聖剣についての研究はそこそこ進んでいた。

一つ目が、聖剣自由化計画。

二つ目が、人工聖剣計画。

それ以外も色々あったらしいが、主に進められていたのがこの二つだった。

 

 

 

「その一つ目の計画にアポロの妹は犠牲になったわけだな」

「そう――その計画と同時並行で進められていたのが人工聖剣計画だ。まあ、文字通り人工的に聖剣を作ろうって計画だな」

 

聖剣自由化計画とは選ばれしものではない人間でも聖剣を使えるようにするための実験で、実際にアポロが資格者でないのにも関わらず聖剣『ジ・アース』を使っている。そして、俺もその恩恵にあやかっている。

 

「でも――なんというか、人工的に聖剣を作って意味はあるのか?」

「ある、倫理という言葉を辞書から失った愉快な大人たちにとっては“聖剣”はとっても素晴らしいツールだった」

アルターエゴの言葉回しからかなりの恨みつらみがたまっていることが推察される。

(倫理――愉快な大人たち――聖剣がツール――)

この時、頭にあるアポロと教祖の会話の一説が浮かび上がった。

 

人工的に作られたであろう、短剣を持ち構える教祖。

 

『人工聖剣か――だけど、使いすぎれば死ぬぞ』

『えぇ、その通りですが――いるじゃないですか、電池が』

教祖の一言で全てを察したアポロはすぐさま臨戦態勢に入る。

 

 

「最悪だ」

全てを察した俺は思わず口から漏れる。

 

「そう、奴らが目を付けたのは聖剣の力を使って――人の命を燃料に変えることだ」

「――最悪だ」

そして、一体どうやって人工聖剣に力を宿らせるかって言えば―――それは、あの回想に繋がる。

 

「アポロが、潰した宗教――仮面神教は、その時代加速度的な成長を見せていた団体だった――奇跡によって多くの人を救い、幸福を分かち合う――なんつってな。けれど――実状は真っ黒だったんだ――」

なぜ、仮面神教が加速度的に成長していたのか、その理由は主に多数の国からのバックアップが原因だった。

つまり、仮面神教と言うのは聖剣の研究をするための隠れ蓑、そして信者は燃料というわけだ。実験の材料として、己の心から信じる信者たちを燃料へ変えていくのはさぞかし楽だったことだろう。

 

 

「そして、結局奴らはその過程で最悪のウイルスを開発した――それが、ナノマシン型ウイルス――MNB(Mitochondrial Nanomachine battery)ウイルスだ」

主に感染方法は経口摂取、もしくは感染者の死体を触ったり、体液に触れたりする場合でも感染することがあるという悪魔のウイルス。

そして、このウイルスが原因で人々は衰弱していき、最終的には死亡する、なんと致死率は驚異の100%と言う、狂犬病もびっくりな破壊力を持つのだ。

 

「でも、このウイルスはただのウイルスじゃない。こいつは体内に入ると体に在るミトコンドリアに寄生して、そいつが作ったエネルギーを人工聖剣に貯蔵するっていう機能があるんだ」

「ミトコンドリアに!?」

ミトコンドリアと言うのは、生物の体内に入っている細菌で酸素を使い大量のエネルギーを生産してくれるやつ、いわゆる工場の役目を担っているわけだが。これによって作られたエネルギーを人工聖剣へ蓄えられるようになっているのだ、だから教祖は電池と称した。

 

「その上、体は弱っていくし、体を食い破られるような痛みに襲われ、体がもろくなる――それを奴らはアポロの国の隣国の川に流したり、そのウイルスが入った水を聖水と称し販売したんだ」

「クソだな――待って、アポロの国?」

その言い方だとまるで、アポロが国の実権を握っていたみたいな言い方だ。

 

「あー。実はさ、色々あってアポロは王様になったんだよね」

「本当に何があったんだよ!?」

アポロに一体何があったのかわからないが、ともかく王様になるほどの色々とはきっと俺には計り知れないくらいの大冒険だったに違いない。

 

 

「まあ、その話はいつかどこかで話してあげるよ。それで、結局の顛末はナナシが夢で見た通り――アポロによって宗教団体は潰され、ウイルスを製造している大本も抑えた。幸いにも、自然増殖はしないからこれで本当に収束するはずだった――けど」

「けど?」

どうにも歯切れが悪いアルターエゴ。

 

 

 

「――まあ、気にすんな。他に聞きたいことはある?」

気にすんなと言われたら気にしたくなるが、アルターエゴの表情から本当に聞かれたくないことだと察したので話題を変える。

 

 

「じゃあ、何のために国々はそんな頭のおかしい計画を支援していたんだ?」

「――兵器への転用だ。アポロの時代、資本主義派と社会主義派がバッチバチに睨み合っていた。互いに核を持って抑止力とするくらいにはやばかった。それで、なおかつ差をつける必要があったそれぞれの陣営が研究を支援していたんだ――」

けれども、仮面神教の二枚舌によって実質差なんてないようなものなのだが。

この時代は、様々な紛争に資本主義と社会主義の国が干渉し代理戦争が勃発しまくっていた。然も、長期間に紛争に介入しまくったせいでどこでも慢性的な燃料不足に嘆いていた。

 

 

「なおかつ、こういう紛争の場所は大体化石燃料の産地だったりするわけなんだよ――で、そうなると燃料問題が出て来る――そうだ、移民とか捕虜を使って解決しよう!と、考えが生まれたわけよ」

「馬鹿じゃないの?」

「そのくらい戦争ってのは恐ろしいんだよ。神だろうが宇宙人だろうが鬼だろうが悪魔に変えてしまう――そして、更に悪魔を越えた発想の計画が立案された――」

聖剣自由化計画によって、聖剣に意志を付与できることが分かったためそれを転用し、意思を持つ兵器を作り出そうと考えられた。

 

 

 

「それで、作り出されたミサイルが『SSミサイル』だ」

Soul strikeの略で要するに魂のミサイル攻撃って意味。外部からその意思を誘導することによって限りなく精確に誤差なくミサイルを撃ち込めるようになったのだ。

 

「―――もしかして」

「ああ、そのミサイルが。影山との戦いの時、俺の仲間を皆殺しにしたミサイルだ」

おかしいとは思った、確かにその時代のミサイル技術はものすごく発達していたといえる。だが、映像で見た通りあそこまでピンポイントに振ってくるなんてとんでもない不運だと思っていたが、そんな背景があったとは。

 

 

「その上、精神操作がしやすいなおかつ体を燃料に再利用しやすいという点からたくさんの子供を燃料に変えていた」

「いや、流石に子供を頻繁に燃料に変えていたら何かしら批判だったりが起こるはずだろ!」

「起こらないんだ。誰一人国民は子供が燃料になっていることなんて知らないんだから――」

燃料の材料を確保するためにその都度子供を攫って来たり、人身売買とかしてたらすぐばれるしバッシングは免れない。

それを回避するために、政府はある計画を進めた。

 

 

「国民にバレず子供を燃料に変えるために、”クローン”を作る計画を立てたんだ」

「ッ!?どうやって、俺を作る技術を得たのか疑問だったけど、そう言うことか」

「それも、最悪の方法でやったんだ」

作る手順はナナシが作られた時とそう変わらない。

一つ、違う点はその未受精卵は一体どこの物かということだった。

 

 

「使われたのは人間とDNA構造が近いチンパンジーの物だった」

「で、でもそんなことしたらもの凄く短命になるんじゃ――あっ」

「――そう、短命でいいんだ。どうせ、燃料にすれば寿命なんていくら短くてもいい、たとえ死産であっても体内のミトコンドリアが生きていればそれを活用してエネルギーに変換。生きていれば、ミサイルの材料として使われる――後は、量産できる工場を作って――なんて、やっていやがったんだ」

拳を握る力が強くなる、要するに人間を生産する工場を作って燃料に変えていたのだ。

だが、その計画は開始数年後に頓挫することになる。それが、影山が起こしたホロウによる事件だった。

 

 

「皮肉にも、影山が起こした事件によって――救われた命はあった、失われた命もあった」

「―――」

ホロウがその後の時代に残した爪痕は大きい。だが、それによって救われた誰かもいる。

 

 

「考えてみれば、世界が終わるのは――順当な結果なのかもしれないな。――他に何か聞きたいことはあるか?」

「――いや、もういいかな」

「そうか、じゃあ――頑張ってな、ジェネシスとの戦いを――」

そのまま、俺の意識は浮上していった。

 

 

 

「お、起きたかナナシ。もうすぐ、郊外につくぜ」

「ん――ああ、そうだった」

ビリーの運転するトラックに揺られながら目を覚ます。俺たちは、一回都市部へ戻りHDDシステムを郊外まで運んで移動式のプロキシ工房にする準備をしていたのだ。

 

「それにしても、ぐっすりだったなナナシ」

「ああ、ごめん。ビリー、運転してもらってるのにこっちはがっつり寝ちゃって」

「気にすんなって、ナナシは昨日かなりドンパチやってて疲れたんだろ?それに、俺は弾代が節約できてむしろラッキーって思ってんだ。これくらい返させてくれ」

夢での地獄とビリーの優しさの寒暖差で風邪を引きそうなくらいになっているが、ともかく上体を起こし軽く背伸びをする。

そして、昇りかけている夕日を俺はじっと見つめて、こうつぶやいた。

 

 

 

「――今の方が残酷な世界のはずなのに」

 




・聖剣自由化計画
誰でも聖剣を使えるようにしよう!→兵器転用
・人工聖剣計画
人工的に聖剣を作ろう!→命を燃料に
・MNBウイルス
ナノマシン型のウイルスで感染者を聖剣の電池にして100%殺す。
・SSミサイル
人間の魂を入れて、精確性を高めたミサイル!

というか、アポロがツァーリボンバを耐えてたな~まさか!!と気づいた人はどのくらいいるんですかね。

皆は閑話とか、IFの話とか読みたい?

  • 読みたーい!(特にヤンデレ)
  • 読みたーい!(ラブラブ!)
  • 読みたーい!(好感度測定器みたいなやつ)
  • いや、読みたいのは本編だ!遅れてんぞ!
  • 作者さんの自由で!
  • こんなアンケートする前に書け
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。