ゼンレスゾーンゼロ ・ 聖剣   作:うどん米

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いや~50話か~節目ですね。


第50話・人間とは過ちを繰り返す存在である

 

「おはよう店長!ちゃんと休めたか?昨日はよっぽど疲れてたみたいだな、横になった途端ぐっすりだったぜ」

郊外に戻るとリンが起きて、その場で背伸びしていた。

「おはようナナシ、ビリー!どこか行ってたの?」

「うん――あれ?俺達、外出するって言ってたっけ?」

 

確かにビデオ屋に行ってきて帰ってきたのは間違いないのだが、この光景だけ見れば今からどこかに出かけると思ってもおかしくないはずなのだが。

 

「ううん、聞いてないけど――GPSの反応が近づいてきたからそうなのかなって、ナナシが来たからここで待ってたんだ」

自分の体を触る、だが発信器らしきものはどこにもついていないように思える。それに、当然のようにリンは言っていたが俺が来たからということは、俺に確実についているはずなのだ。

 

 

「そうなんだ――ははは」

苦笑いを挟んだ後、俺はビリーに耳を貸すように頼む。

「――発信器を無効化できる代物ってない?」

「そう言うのは持ってねぇな――ホロウに入るしかないんじゃねぇのか?」

たとえ、ホロウに入ったとしてもパエトーンの技術なら普通に追ってきそうで怖い。HDDシステムを応用した発信機とか取り付けてそうで。

(まあ、発信器がついてて困るようなことはしてないし――いっか。それだけ心配をかけているってことだな――うん、注意しよう)

ナナシは、考えることを辞めた。

 

 

 

「電気やらの周辺設備はシーザーが整えてくれる話だからそこは安心していい『たとえ郊外でも――オマエらを『水を蹴った魚』見てぇにしてやるからな!ハハハ』だって、水を得た魚って言いたかったんだと思うけど」

「そう言われると、なんだか緊張してきちゃうかも――あ、あはは――」

「大丈夫だ、リンたちパエトーンの実力は俺達がよく知ってる――今回も成功させよう!!」

すると、バイクを止めている駐車場からシーザーがこちらに向かってくる。

 

「おう、オマエら帰ってきてたか――パエトーンの方も起きたみたいだな」

「うん、おかげさまでね」

「どうしたんだ、シーザー?」

 

 

「そうそう、オマエらはオレらみたいな、根無し草の暮らしは慣れてねぇだろう――ってルーシーの奴がな――」

シーザーの配慮でブレイズウッドと呼ばれる郊外の町に拠点を作ってもらえるという話になった。そして、デバイスが届くまでまだ時間がある――ということでそこまでシーザーが連れて行ってくれるという話になった。

(――まあ、俺も根無し草生活は結局二か月くらいで終わったし、慣れてるとは言えないか)

というか、ビデオ屋での生活になってから毎日が快適すぎてあの頃の生活に戻れる気がしないのだ。

 

 

 

 

ブレイズウッドに到着すると、すぐに俺達はシーザーに連れられてとある家の前に来ていた。

「カーサ、挨拶に来たぜ!プロキシと一緒にな!」

シーザーが家の前で呼ぶと、奥から足音が聞こえ扉が開かれ、褐色の肌にへそ出しの美しい女性が現れた。

 

「おやシーザー――街から来たってプロキシはこの人たちかい?新エリー都の人も、あたし達みたく若いうちからあくせく働いてるんだね」

彼女の発言からこの町は都市部とのつながりが薄いことが考察されるが、それよりも一目見て調査員でもなさそうな彼女から、エーテルの匂いと言うか残滓を感じたのだ。

 

「シーザー、こちらの方は?」

「こちらの方?ははは、都会の人の言い方は面白いね。それに、そっちの奴はあたしのことをそんなにジーっと見てそんなにこの格好が都市では珍しいのかい?」

(あっ――まず、バレたか――何か言い訳を――)

人は、ピンチの時過去の出来事を再現することがある。それは、ナナシも例外ではなく同時に人がなぜ過ちを繰り返すのかを身をもって知ることになった。

 

「ご、ごめんなさい。とても綺麗な方で見とれていました」

沈黙―――。

秒数に直せば5秒ほどだっただろうか、あたりに緊張が走る。端から見れば出会って数秒で口説きに行った男、うんシーザーにぶん殴られても甘んじて受けよう。

そして、瞬時に俺はグレースの時の失敗を学んでいないということがよーくわかった。

 

 

当然、どうやって挽回するのかも同じ行動だった。

「誠に申し訳ございませんでした!!」

沈黙を打ち破りし謝罪は、前回とは異なりクレーターなど作ることなくスムーズに行われた。シーザーとリンからの視線は何だか冷ややかな物へ変化した気がする。

 

「い、いやいいんだよ。ほら、頭を上げな――それに、言われてがっかりするわけないだろう?」

「は、はい――すみません。本当に、すみません!!」

少しの違和感でカーサさんを疑ったばかりか、適当な言葉でごまかすというゴミの所業に己の善意が押しつぶされそうになっていた。

土下座の体制から立ち上がり、シーザーとリンの表情をうかがう。

シーザーは俺の肩に手を置き茶化す

「ナナシ、初っ端から口説きに行くなんて、カーサに惚れたか?」

「違います、口が滑りに滑ったの!!」

 

対してリンは俺のもう片方の肩ではなく腕をつかみ、一言。

「私は、ナナシにとって――綺麗?」

「うん、何を今更」

特に、嘘をつく意味もなかったので本音を言う、するとリンは顔を真っ赤にした後腕を離してくれた。

(てっきり、リンにも茶化されると思ったんだけど――はっ、まさか自分に綺麗と言わせ、なおかつカーサさんへの爆弾発言で二重に奢らせようとしてる!?)

この間の償いくらいならいつでも一緒に行くのに――まあ、リンへ毎回奢っていたら財布が死ぬのだが。

 

「コホン、それじゃあ本題に戻ろうか――あたしはカーサ。ブレイズウッドの町長をやってる。この町は昔、カリュドーンの子の世話になってね。あなた達も必要なものがあるのなら、あたしに言っとくれ」

それで、俺達が泊まる拠点と言うのが今いる場所から少し歩いた場所にある家がそうなのだ。

 

「カーサ。ここへ来る途中、例の装飾を作ってる連中がいたな」

「仕方がないだろう、町への送油管は壊れたままなんだから。ガソリンスタンドが営業できないなら、工芸品でも作って売るしかないのさ――」

そして、どうやらその工芸品に大口注文が入って、そして『ツール・ド・インフェルノ』の影響は売り上げにもあり、工芸品の一つである『サン・プリント』もよく売れているそうだ。

 

「サン・プリント?」

「ああ、そうだ――ちょうど乾かしていたところなんだせっかくだ見せてあげるよ」

そう言い、自宅の扉を開けるとそのサン・プリントとやらが窓際の日の当たる場所に並べられていた。

 

「これが、サン・プリントだ。『ツール・ド・インフェルノ』の時期になると旧油田エリアのほとんどの家がこれを掲げるんだ」

輪の中心にユニークな絵が描かれ、輪っかにはそれぞれ四つ絵柄が書かれた石のようなものがぶら下がっている。

じいさん連中曰く、太陽と炎の神の顔面だそうで、神は英雄を導いて燃える湖に火を付けさせホロウの中から無事生還できるように加護を与える――なんて、言い伝えらしい。

 

(四つの石――弓、双剣か?刀、拳が描かれてるのか――まあらしいっちゃらしいか)

 

 

「けど、別の説もある。サン・プリントに描かれてんのは逆さまの人間で――そいつは走り屋連盟の初代覇者なんだそうだ」

この工芸品のモチーフとなっているのは最初の『ツール・ド・インフェルノ』と、その初代覇者にまつわる伝説。それが、密接に今の郊外の生活に関わっているのだ。

旧油田エリアでは今でも石油は取れる、しかし油田の主要エリアはとっくにホロウに呑みこまれてしまった。

だが、旧油田エリアがエーテル化を免れているのか、それは深部にあった唯一の採掘リグの倒壊がきっかけで天然ガスに火つき、炎の噴射口になった。

それ以来天然ガスは燃え続け、エーテル物質がそれより下に行かないよう抗い続けているのだ。

 

「なるほど、それが『ツール・ド・インフェルノ』の勝者を決める場所シンダーグロー・レイクってわけか」

燃え盛る湖が、ここら辺の人々の生活を守ったのだ。

「その通り、とはいえあたしらがずっと枕を高くして眠れるかというと――そうでもない。天然ガスとエーテル物質が燃焼して出来る副産物は、すぐエーテル決勝に変わって、湖の周回に堆積してくんだ」

それが長く続けば、当然炎の湖は消え、すべての石油はエーテル物質へ変わってしまう――そして、昔実際にシンダーグロー・レイクの炎は消えかけたことがあった。

 

「当時、どうにかしようとある若い走り屋が仲間とホロウに入ったんだ。そいつらは用意してた特製の『火打石』を使い、命がけで結晶をぶっ壊した――今オレの手の中にある、こいつでな」

シーザーはキューブ状で赤い栓のようで絞められた物体を取り出す、これが火打石。

火の湖に投下すると周囲の天然ガスとえーてる 混合物による大規模な爆発を誘発し、エーテル結晶を木っ端みじんにするという代物だ。

 

「ホロウの中は地獄――おまけに『キャロット』さえ持ってなかった。そいつらがどうにかしてシンダーグロー・レイクについた時、結晶はまさに『湖面』を覆いつくすところだったんだが――」

その若い走り屋は湖の深いところにたった一つ残った、炎の噴出口めがけて飛び込んだ。

――それで、炎の湖は守られたのだ。

 

「でも、初代覇者ってことは生還したんだろ?普通は死んでない?」

「そうさ、飛びこんだ翌日に奇跡的にホロウから出てきたのさ。走り屋の勇気に心動かされた、太陽と炎の神が――彼を灰の中から蘇らせたんだとみんなは口々に言った」

なんて、ハッピーエンドで話は終わった。

その後、初代覇者は旧油田エリアの大小さまざまな走り屋連中を集めて、走り屋同盟を結成。『ツール・ド・インフェルノ』を開催し、二度とシンダーグロー・レイクに危機を音ずさせないようにと定めた。

 

そんな背景もあって『ツール・ド・インフェルノ』は町の人にとってはお祭りのようなものになっている。

 

家を出ようとした時、ふとサン・プリントの山に目が行く。大口発注を受けたから、ここに集約させているのはわかるがそれにしても多すぎないかと――一体どこがこんな量を欲しているのか疑問に思ったのでカーサに聞く。

 

「あのさ、大口発注ってどこからなの?」

「え、ええっとそうだね――辺りのもっと大きな町からさ、ガソリンスタンドをやれてる奴らはこういうのは他で作ったものを買うのさ」

動揺を今、確実に感じ取った。目線は定まらず、あたりをきょろきょろしていた。

(――ここには、何か動揺の証拠になるようなものはないか)

あるならば、そちらに自然を目線が行くのが人間の心理というものだ。しかし、先ほど感じたエーテルの残滓。怪しい証言、それとも――シーザーがいるところだと言いにくいのか、どうなのか。

 

再び、完成した工芸品の山に目線を向ける、全部ほとんど同じ物でその技術の高さが伺える、だからこそ――一つ目に留まったものがあった。

 

(何で、これ一つだけ他の物より一回り大きいんだ?)

違和感があるものが複数あるのなら、下手な奴が作ったと想像できるが一つだけというのはどうにも違和感が残る。

カーサたちに見られてないことを確認し、その工芸品を手に取り、感触を確かめる。

 

(――明らかに、他の工芸品よりも重い。本当に、じっくりと見ないとわからないくらいの大きさの差だったけど――ムゲン・ザ・ハンドの特訓中に勘とか反射とか鍛えてから妙にこういうのを見分けられるようになったな)

 

 

そっと、その工芸品を懐に忍ばせる――どうか、俺の気のせいであってほしいと切に願いなら。

 




本編のようにトライアンフの好き勝手にはさせるか!!

皆は閑話とか、IFの話とか読みたい?

  • 読みたーい!(特にヤンデレ)
  • 読みたーい!(ラブラブ!)
  • 読みたーい!(好感度測定器みたいなやつ)
  • いや、読みたいのは本編だ!遅れてんぞ!
  • 作者さんの自由で!
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