ゼンレスゾーンゼロ ・ 聖剣   作:うどん米

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第52話・人工聖剣

 

カリュドーンの子がデータスタンドを設置している間ナナシは――。

 

 

「ベルラムの兄貴!」

戦闘が始まり数分そうこうしている間に援軍が到着してしまった。当然、こいつらも行かせるわけにはいかない――まずはバイクの破壊をしたいが、奴が放っておくとも思えない。

 

「くっ――しつこい!」

「そりゃあそうだろ!オレっちの攻撃を何度もしのげると思うなよ!」

確かに、この熊のシリオンは図体の割に素早いし、明らかに戦いが初心者というわけでもない、ただ――一対一に特化しすぎている気がする。

 

「これなら、どうだ!『ムゲン・ザ・ハンド!』」

4本のゴッドハンドを出現させる。そして、俺はそのまま突っ込み、手のうち2本は側面へ拳を握り攻撃を仕掛けた。

 

「私が、いること忘れてるんじゃないかしら!!」

猫ちゃんの凶弾が俺に迫る――だが、生憎忘れてなどいない。

複数放たれた銃弾のうち、俺に当たるものをノールックでムゲン・ザ・ハンドで防ぐ。

「これでも食らってろ!」

 

チェーンソーのような武器の刃先が躍動しながら俺に迫る。

――ああ、だけれど少しも心配はない、一撃は重いが受けなければ何もない。

 

振り下ろされる直前、ムゲン・ザ・ハンドが側面から迫り攻撃、その衝撃で少しよろめいたまま振り下ろされた一撃は半身で軽くいなす。

「バランスが崩れたら攻撃は難しいだろ!『真・熱血パンチ!』」

「ぐふ――」

拳がお腹にめり込む、しかし――熊のシリオンだからかあまり手ごたえがない。

(狙うなら頭か――関節をもってくしかないか)

 

もちろん、マジン・ザ・ハンドと言う手もあるが、体力の消耗が大きいためそんなに使いたくないのだ。

 

「や、やるな――まさか、お前も地下闘技場の出身か?」

「地下闘技場?」

(名前からするに、明らかに賭博とかの類だろうが――そんなところがあるならもし失職したときに拳だけで食って行けるかもな)

 

「改めて名乗らせてくれ、オレっちはベルラム――お前は?」

「ナナシ――急にどうしたんだ?」

いきなりスっと冷静になったベルラムに不信感を抱くが――それよりも、前からバイクの音が聞こえだしてきた。

 

「軽く痛めつけるだけのつもりだったが、真剣に戦いたくなったんだ――あの野郎をボコボコにする前にお前を倒す!」

「あの野郎?――いや、いいなんとなくわかった」

話の脈絡や、こいつらの状況から推測するに、カリュドーンの子で野郎と形容するのはライトくらいだ。シーザーももしかしたら野郎かもしれないが。

 

 

「尚更お前らを行かせるわけにはいかない!!『ムゲン・ザ・ハンド!』子分だろうが行かせないぞ!」

「お前ら!さっさとそいつを殺せ!」

狼のシリオンが二人とベルラムの子分に発破をかける――それと同時にムゲン・ザ・ハンドを発動し手は待機させる。

 

「消耗品はあんまり使いたくなかったんだけど――仕方ないね!」

猫のシリオンが何かを投擲する、太陽の光に反射しすぐさまそのフォルムが危険だと俺の脳に知らせて来る。

 

(手榴弾――ピンを抜いて今3秒――大体5秒で爆発するから――間に合う!!)

急速に考えをまとめて、待機させていたムゲン・ザ・ハンドを2本向かわせ岩々がある場所にはじく。

 

(二つ目?)

俺の視線が空中に言った瞬間、猫のシリオンの方がもう一つ投げていたのだ。

「ぐっ『真・熱血ジャンプ!』」

幸なことに、2秒ほど同じく爆裂まで時間があったのでその間に後ろに跳び、そのままの勢いで地面に伏せる。

 

 

 

ドガァァァン

手榴弾は炸裂し軽い砂埃を立てて爆発した。

何だかブチっと何かを踏んだような音がしたが、それを気にする余裕はない。

それよりも、ここは道のど真ん中だ――だというのに爆発物を使うということは相手もかなり後がないと思っていいだろう。

 

 

(このまま、行かせなければ――俺の実質の勝利――そうだ、見誤るな決して相手を倒せばいいわけじゃない、考えろ――後のことを考えろ)

 

「――やあ、ナナシ」

「ぐ、グラン様!――な、なぜここに!」

声が聞こえたほうに視線を向けると、そこには岩山に腰を落ち着ける、グランがいた。

 

「――何しに来たんだ?できれば厄介な客には早々にご帰宅願いたいんだが」

「そう睨まないでくれよ――今回は君と俺は戦うつもりはない」

どこまで本当かわからないが、グランが戦わないならばありがたいが――。

 

 

 

「――モルス、どうやら、手こずっているみたいだね」

「い、いえ――後もう少し時間をいただければ!必ずや、カリュドーンの子を!」

あの、狼のシリオンの名はモルスと言うらしい、覚えておこう。どうやら、グランはトライアンフ内でもかなり上の立場にいると考えていいだろう。

 

「ああ、俺も信じているよ――だから、力を貸しに来たんだ」

「ち、力を――ですか?」

頷くグラン、その瞬間岩場の高台から何かを放り投げる。

 

「させるか!」

俺は待機させていた残りのムゲン・ザ・ハンドを向かわせ放り投げたものの回収をしようとする。

「そんな野暮な事しないでくれよ『ノーザンインパクト!』」

4連射のノーザンインパクトが俺のムゲン・ザ・ハンドをたやすく貫き破壊する。

 

「甘い!」

破壊する隙に、ゴッドハンドを手から発動し遠隔でかろうじて一つだけ回収する。

(それにしても、ノーザンインパクトが連射できるのか厄介だ)

回収したものを確認すると、そこには緑の宝石が埋め込まれた指輪があった。

「――ふふっ、やるねナナシ。当然だけどモルス、あの指輪の回収もお願いね」

「承知しました――グラン様」

モルスは己の指に4個の指輪をはめる。

 

 

「覚悟しろ――これで、貴様に勝利はない!」

「指輪一つでそこまで言い切るなんて――負けた時の言い訳でも考えておいたら?」

あの指輪は未知数だが、それと同時に嫌な気配を感じ取った。というか、指輪からかなりなじみ深い気配を感じるような――まるで常に一緒にいるみたいな。

 

「手始めに食らえ『ファイアトルネード!』」

「は?」

思わず、声が漏れた瞬間。赤い指輪が輝き、つけられた手から炎の渦が俺へ襲い掛かってきた。

反射的に横に跳び寸前で回避するも、直撃していないのにも関わらず道の表面は焦げていた。

(これ、もろに食らったらタダじゃすまないな――確実に聖剣だ)

だが、それだと俺のジ・アース。アフロディのゼウス。グランのジェネシス。そして、アイツと俺が今持っている指輪が合計5個というありえないことになっている。

つまり、この指輪の正体は――。

 

「人工聖剣!『ムゲン・ザ・ハンド』」

確信と同時に、防御のためにムゲン・ザ・ハンドを待機させる。

「ははっ!この前、使った奴よりも強くなってやがる――こいつはいい他にも使ってみるか『アイスグランド!』」

今度は、水色の指輪が輝きそのまま地面に触れる。それと同時に、氷が波のようになり俺に襲い掛かる。

 

(まずい、足を取られる!)

眼球だけ動かし、猫のシリオンとベルラムの位置を確認する。

ベルラムはその場から動いていないが――猫の方は俺が跳躍すると同時にその刃を届かさんとしていた。

 

「悪いけど、これ以上しくじったら立場がないんでね――死んでもらうよ」

「残念だけど、俺はみんなを心配させるつもりはないんだ」

刃は俺の頸動脈に迫るが、先ほど待機させていたムゲン・ザ・ハンドが一撃を防ぐ。

そして、ムゲン・ザ・ハンドの腕の一本をガードレールにつかませ横に平行移動する。

 

「――だから、悪いけど戦闘不能になってもらう」

「なっ」

ガードレールを蹴りそのまま猫のシリオンに跳びかかる。

右腕を掴み、足を回し思いっきり体重をかける。

 

「あっ――」

肩が外れた痛みでその場でうずくまる猫のシリオン。

(これで、まずは一人――利き手をやればしばらくは戦えないだろう。それに、彼女がこちらにいる以上相手もそれほど大規模な技は使って来れないはずだ)

 

「ちっ――使えない猫め。用済みだ『トライペガサス!』」

赤、水、青の指輪がそれぞれ輝きを放つ。その輝きは天に上り空想の存在ペガサスを作り出す。

「仲間ごとやるつもりか――」

ここで避ければ当然、後ろの猫のシリオンにこのペガサスは突っ込む。そして、俺がよけるのはそこまで難しくない。

相手は、俺の命を狙った相手だ――ならば死ぬ覚悟もできてるだろう。

 

「で、納得出来たらよかったよ!『マジン・ザ・ハンド改!』」

左手を上段に構え、右手を腰あたりに置き引く心臓にある気が体全身を回り、オーラが立ち昇る。

「な、どうして」

現れたマジンの手にペガサスは収まり粉々に消えていった。

 

「あんたは、別にトライアンフと言うより金で雇われてる傭兵って感じがした。なら――話せば分かり合えると思ったんだ」

「はあ?あんたバカじゃないの――私はあんたを殺そうとしたんだよ」

「わかってる――俺が大馬鹿者なんてことはけど、俺の友達に同じ猫のシリオンがいるんだ」

猫又との出会いは、俺があの時はそもそもかなり疑り深い性格だったから最初から友好的だとは言えなかった。

けれど、彼女は避難できていない住民を助けようと精一杯戦っていた――最終的には自分の身を犠牲にして――。

 

 

「別に、無条件に信じるわけじゃないけど――君は不服って感じに従ってたからさ、嫌な事でもさせられるのかなって――ちょっと信じたくなったんだ」

 

数秒、猫のシリオンは俺の方をじっと見て―――笑い出した。

「ははっ――あんた、本当にバカだね――その猫のシリオンはあんたの“友達”ね――いいわ、私はプルクラ私と友達になってくれる?」

「もちろん、俺はナナシ――できれば末永く友達でいてくれると嬉しいよ」

さて――相手の様子を伺いながらプルクラと話していたが、ベルラムの方は動きはない。

 

「はぁ――はぁ」

そしてなぜか狼のシリオンの方がうずくまっている。

 

 

(やっぱり、人工聖剣は体への負担が大きいのか――)

トライペガサスはゴッドノウズには劣るがそれでもかなり高威力の技であることは違いない、それを使えば当然の代償がもたらされるのは仕方がないのかもしれない。

 

「――どうする、ベルラム。やるか、まだ決着はついていないけど」

狼のシリオンを視界の端に写しながらベルラムにまだ戦いを続けるか問う

「もちろん、オレっちが倒れるまで負けを認めるわけにはいかねえ。お前ら!オレっちらの戦いに手を出すなよ!」

それは例の地下格闘技場でのことを思い出しているのか、再びベルラムは矛先をこちらに向ける。

 

 

「正々堂々正面からベルラム、お前を叩きつぶす!」

ベルラムが武器のエンジンを吹かし振り下ろそうとする。だが、残っていたムゲン・ザ・ハンドの2本の手が側面から迫り先ほどと同様にベルラムの一撃を阻もうと拳を向けてきていた。

 

「オレっちはそう何度も食らわねえよ!」

その場で跳躍しよける、ムゲン・ザ・ハンドは空振り目の前で交差する。

「意外に身軽なんだな――まあ、よけられるかもと思ってはいたけどね『真・熱血ジャンプ』」

振り下ろされる、凶刃に自ら向かって行く。

「これで、終わりだ!」

「打ち砕く!『メガトンヘッド!』」

 

金属同士がぶつかりきしむような音がした後、ベルラムは吹き飛ばされ道路に転がる。

(ぐっ――わざわざ正面から戦ったけど、やっぱり辞めとけばよかったかな。頭がくらくらする)

ベルラムに答えるために正面から戦ったことを後悔しつつ、転がったベルラムを確認する。

 

「――気絶してるか。まあ、この程度で済んでよかったかな」

今度視線を向けたのはその場から動いていない狼のシリオン。

 

「さて、言い訳は考え付いた?」

肩で息をし、もはやこれ以上ぼこぼこにする気も起きないが、せめて彼が持つ人工聖剣は回収しておきたい。

 

「ちっ――近づくな!『ザ・ウォール!』」

相手はうずくまった姿勢のまま手を地面の上に置き、同時に茶色の指輪が輝きだす。

ナナシは後方に下がり、狼のシリオンとナナシを断絶する壁が目の前に立っていた。

 

「何じゃこりゃ?」

だが、昇る瞬間に見えたがこの壁あまり厚くない、使い手の技能もあるんだろうがお粗末と言わざるを得ない。

 

「『真・熱血パンチ!』」

拳で壁をぶち破ろうとしたその時だった。

 

「――失敗したみたいだね『ウォーターベール!』」

目の前にいきなりグランが現れ、水の壁を展開し俺の拳を止める。

 

「なっ――グラン、お前戦うつもりはないんじゃないのか?」

「そのつもりだったけどちょっと事情が変わったんだ――このままだと下手すればすべての指輪を奪われかねないからね――ほら」

グランが指さす先に視線を向けると、カリュドーンの子のメンバーがこちらにバイクで向かってきている。

 

 

「――だから、今日はその指輪で手打ちにしよう」

「そう、ならこいつはもらっておくよ。けどさ、逃がすと思ってるのか?」

睨みを利かせ、瞬時の必殺技にも対応できるようにムゲン・ザ・ハンドを展開する。

 

「――立場が違うよ。ナナシ、君はここで何回必殺技を使ったんだい?もちろん、今俺と君が戦ってもいいけど――どっちが勝つかは明白だろう。それに――カリュドーンの子達が今ここで全滅してもいいのか?」

「――わかった」

グランの言う通り、俺はもうガス欠寸前――正直必殺輪を連打しすぎた、一刻も早く休息が必要な状態に違いはない。

 

 

 

グランは狼のシリオンのもとへ向かい肩に抱き上げる。

「それじゃあ、ナナシ。その指輪、薬指にでもつけておいてくれ」

「付けるわけあるか!」

去り際に、グランを怒鳴りつけると同時にまたあの時のように消えていった。

 

 

「は――あぁ――っ」

その場で膝から崩れ落ちる、本当にギリギリだった。

「ほら、肩貸すよ――つってもあんたに外されたところまだ痛いんだからね」

「ははっ――ごめん。――っ――はあ」

更に視界が暗くなる、プルクラの肩に寄りかかりながらやっと立つのが限界だった。

そして、彼女に預けていた手の力も抜けするりと俺の体は地面に叩き落とされる。

 

 

「ちょ、あんた本当に――」

その先の言葉はうまく聞き取れなかった。けれど――地面の振動と、魂を震わすバイクの音だけは感じ取れていた。

 

 

 

それを最後に俺の意識は暗転した。

 




うーむ、このまま猫又と合流したらキャットファイトが始まる気がする。
それにしても、人工聖剣が指輪型まで小さくなっているとは――。

え?なんで曇らせが入るって?――さあ、知らないけどとにかくこの章の結末を見ればわかるんじゃない?

皆は閑話とか、IFの話とか読みたい?

  • 読みたーい!(特にヤンデレ)
  • 読みたーい!(ラブラブ!)
  • 読みたーい!(好感度測定器みたいなやつ)
  • いや、読みたいのは本編だ!遅れてんぞ!
  • 作者さんの自由で!
  • こんなアンケートする前に書け
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