先日、仮面ライダー鎧武が最終回だったのでこの話を書いてみることにしました!!
それでは、もう一つの鎧武をお楽しみください!!
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紘汰が世界を救い、仮面ライダー鎧武という一つの物語が終わる。
蛇ことサガラは、異空間の中でその最後を見届けた。
貴虎、光実、凰蓮、ザック、城乃内、の五人が笑顔でコウガネを打ち負かした余韻に浸るのを目を細めて眺める。
そして、ふとその世界の裏側を覗きこんだ。
「おいおい・・・・」
その世界は、言わばパラレルワールド。もう一つの鎧武の世界だ。
しかし、そこは運命を決める戦いはおろか、まだライダーすらいない世界だった。
「やれやれ・・・・仕方ない」
そう呟くと、サガラはそのもう一つの世界に飛び込んだのだった。
1
沢芽市に春の風が吹く。
今日から自分も三年生だと思うと、少し胸が躍る。
沢芽高校三年生の剣山 恵(つるぎやま めぐみ)は、スウッと息を吸って新しい教室に踏み込んだ。
三年生の教室は、四階建ての校舎の最上階で一番見晴らしの良い場所だ。
学校自体が丘の上にあることもあって、窓からは沢芽市が一望できる。
新しい自分の席に荷物を置くと、突然声を掛けられた。
「おはよっメグ!」
振り返ると、そこには笑顔の少女がいた。
親友のマイだ。
「おはよマイ。マイも三組?」
「そうだよ。また一緒だね!」
すると、マイの背後から二人の男子が現れた。
「おっ?メグも三組か」
「やったじゃん!俺達四人また、一緒だ!」
ザックとペコだ。
メグミ、マイ、ザック、ペコは幼稚園からの幼なじみなのだ。
休み明けでひさびさということもあり、メグミ達は他愛もないトークに花を咲かせた。
暫く話していると、チャイムが鳴った。
それと同時に一人の長身の男性が教室に入ってくる。
「皆さん。ボンジュール!」
去年担任だった凰蓮先生だ。
オネェっ気のあるフランス語の挨拶にクラスメイト達は、苦笑い気味に挨拶を返す。
「去年一緒だった皆さんに取っては、残念かも知れないけれど。今年このクラスの担当になりました保健体育科の凰蓮です!一年間よろしく」
マジか・・・・また凰蓮のオッサンか。
近くでザックがそんな呟きを漏らす。
ペコもどこかドンよりとした様子である。
「それでは、皆さん!これから全校集会がありますから、体育館に移動してください!それでは、皆さん後程!」
そう言って、凰蓮先生は教室を後にした。
先生が去ると、クラスメイト達がノロノロと移動を始めた。
メグミもマイ達共に体育館へと移動した。
×××
凰蓮が職員室に戻ると、丁度五分間の職員朝礼が始まるところだった。
慌てて、凰蓮が自分の席に戻ると隣から声がした。
「遅いですよ凰蓮先生」
さっぱりとした口調にちょっぴり笑みを浮かべた教師がこちらを向いている。
国語科のシドだ。
すると、更にその隣から声がする。
「まぁ。そう言わないで。凰蓮先生はアナタと違って、今年も担任で忙しいのよ?」
笑いつつも少しトゲのある物言いをするのは、英語科のミナトだ。
シドは、ミナトの言葉に首をすくめる。
ミナトがフフっと笑いを漏らすと、その背後から咳払いが聞こえた。
「ミナト先生、シド先生。始まりますよ」
そう言って、半分垂らした前髪を払うのは、化学科のリョーマだ。戦極先生とかリョーマ先生とか呼ばれている。
その時、前方の席から校長の声がした。
「皆さんおはようこざいます。新学期が始まるにあたり、新しい教員の方をご紹介します。・・・・呉島先生どうぞ」
校長の合図で、一人の男性が職員室に入ってくる。年齢は、三十代前半ぐらいだろうか?かなりのイケメンだ。
男性教員は、教職員達の前に立つと一礼し一言。
「天ノ川学園より参りました呉島貴虎と申します。社会科担当です。よろしくお願いします」
挨拶の後、呉島は指定された席に移動した。
それを確認し、校長は次の話をするべく、二つのアタッシュケースを机に並べた。
「皆さんご存知と思われますが、最近沢芽市とその近辺でインベスと呼ばれる凶暴な生物が確認されています。そこでこの度、政府より対インベス戦闘用スーツ、アーマードライダーシステム[戦国ドライバー]がこの本校に二人分導入されることとなりました」
そう言って、校長は二つのアタッシュケースを開いた。
そこには、黒いベルトのバックルのようなものとフルーツのオブジェクトが付いた錠前がそれぞれ一つずつ入っていた。
ほぉ
と教員達が声を上げる。
校長は続けた。
「そして、理事会との選考の結果、これを使用していただくのは、凰蓮先生と新任の呉島先生ということになりました。お二人にはそれぞれ格闘技の経験がおありということですので、適任かと?・・・・お二人とも前へ」
そう言われて、凰蓮はおっかなびっくり前に出た。
呉島と凰蓮が前に出ると、校長は二人の前にアタッシュケースを並べる。
「お二人には、生徒の安全を第一に戦って頂きたいのですが、・・・・よろしいですかな?」
少しの間を取って、凰蓮は言った。
「おまかせ下さい!大事な生徒はわたくしがキチンとお守りいたします!それがわたくし体育教員のもう一つの責務と存じますわ!」
それにあわせて、呉島も頷いた。
「私も引き受けましょう」
二人の返答を聞いて、校長は満足そうに頷くと二人に戦国ドライバーと付属のロックシードを手渡した。
凰蓮は、ドリアン。呉島は、メロンのロックシードを受け取った。
2
ようやく新学期最初の学校が終わり、メグミ達は帰路についていた。
「リョーマの授業相変わらず、難しいよな~」
ペコが愚痴を零すと、ザックが笑って頷く。
部活に入っていない四人は、いつものようにそれぞれが分かれるポイントに着く。
「それじゃ、また明日な」
ザックのセリフで四人がそれぞれに手を降ってわかれた。
別れ際にマイが思い出したように言った。
「そういえば、最近インベスが出るみたいだし、みんな気をつけてね?」
その言葉にメグミも返す。
「そういうマイも気をつけてね?」
「うん。ありがと」
それから、ゆったりと自宅へと帰路を歩く。
今日の晩御飯は何だろうなぁ~。
そんなことを考えていると、不意に頭痛が起こる。
っ!
すると、脳裏に白銀の鎧にフルーツの描かれた胸当てをした侍風の戦士がよぎる。
「何?・・・・今の・・・・」
そして、再び頭痛。
今度は、その戦士と戦う赤と黄色の騎士風の戦士が見えた。
「これ・・・・は?・・・・っ!痛い」
三度目の頭痛では、さまざまな戦士達が次々に見えた。
頭痛が止み、メグミは思わずその場にへたり込んだ。
「なんなのよ・・・・」
そう呟いた時、
「それは、もう一つの世界の記憶」
突然に声を掛けられ、メグミは顔を上げた。
そこには、黒い衿付きのジャケットを着た若い男性がいた。
「え?」
メグミは、意味深長な男性の言葉に首を傾げた。
すると、青年は一つのアタッシュケースをメグミに投げてよこした。
そして、
「君にこの世界の運命をねじ曲げる覚悟があるのなら、そいつは必ず君に力をくれる。・・・・使い方は、君次第だ」
そう言うと、青年は空気に溶けるようにして消えていった。
「え?え?ええ!?」
夢でも見ているような不思議な現象にメグミは、慌てる。
どうしてよいか分からず、ひとまずアタッシュケースをあけてみる。
そこには、黒いベルトのバックルのようなものとオレンジフルーツのオブジェクトが付いた錠前が入っていた。
「・・・・これって、さっきの戦士達が持ってたやつ・・・・」
すると、急に背後から低いうなり声が聞こえた。
反射的に振り返ったメグミは思わずのけぞった。
「いっインベス!」
そこにいたのは、全身が青みがかった角のあるインベスだった。
確か、ニュースではかなり危険な部類だと言っていた。
逃げなきゃ!
そう思ったが、突然の出来事に足が竦んで動けない。
その時、
「お待ちなさい!相手はわたくしよ!!」
そう叫び、メグミとインベスの間に一人の男が飛び込んで来た。
「凰蓮先生!」
メグミの叫びに凰蓮は、ニコリと微笑む。
「任せて頂戴!」
言うなり、凰蓮は戦国ドライバーを取り出した。
メグミは、気づく。それが自分が手にしているバックルと同一のものということに・・・・
凰蓮は、戦国ドライバーを腰に装着すると、ドリアンロックシードを取り出して構えた。
「変身!」
《ドリアーン!!》
凰蓮が開錠したロックシードから電子音声が響く。
それと同時に凰蓮の頭上に固有クラックが展開され、ドリアンのアーマーパーツが姿を現す。
凰蓮は、ドリアンロックシードを戦国ドライバーのくぼみに装着した。
《LOCKON!》
電子音声の後、ロック調の曲が流れだす。
凰蓮は、ポーズを取ると、戦国ドライバーのカッティングブレードでロックシードをスラッシュした。
《COMEON! ドリアンアームズ!ミスターデンジャー!!》
音声と共にアーマーパーツが凰蓮にかぶさり、バトルスーツが凰蓮を包む。そして、直ぐにアーマーパーツが展開し装甲と化した。
「え!?」
メグミが驚く前で、凰蓮は両手に握られているドリノコを構える。
「さぁ!インベス!かかってきなさい!」
インベスが直ぐに向かってくる。凰蓮がそれを迎え撃つ。
二刀流のドリノコがインベスに次々にダメージを与える。
グフェェ!
インベスが呻き声を上げる。
「喰らいなさい!教師の一撃!!」
そう言って、凰蓮が飛び上がりドリノコを構えた。
が、スーツの力をコントロールしきれなかったのか無駄に大きく飛び上がってしまう。
「あららららら!!」
インベスを飛び越えた凰蓮は、着地に失敗し地面に叩きつけられた。
そこにチャンスとばかりにインベスが反撃を開始した。
インベスの爪がドリアンの装甲を斬りつけ、火花が散る。
「NOooo!!!」
凰蓮は、攻撃のタイミングを失いやられるがままになっている。
「先生!」
メグミがつい声をあげた時、脳裏に作業の男の声がよぎる。
使い方は、君次第だ。
ふと、手にしている戦国ドライバーとオレンジロックシードを見る。
凰蓮は、この戦国ドライバーで変身した。なら、自分にもできるのではないか?そんな疑問がよぎる。しかし、その一方でインベスに対する恐怖の感情が芽生える。
見れば、凰蓮はもうボロボロだった。
時間が無い。
逃げるか・・・・戦うか・・・・。
すると、再び頭痛。
脳裏に白銀の侍戦士がよぎる。その戦士が言った。
『戦える力があるのに、何もしないなんて俺には出来ない!!いくぞ! ここからは、俺のステージだ!!!!!』
その言葉にメグミは、決心した。
「私も戦う!戦える力があるのに何もしないなんてイヤ!!」
そう叫び、戦国ドライバーを腰に装着した。
そして、オレンジロックシードを開錠。
《オレンジ!》
固有クラックが頭上に展開され、オレンジのアーマーパーツがゆっくりと降りてくる。
顔は見えなかったが、ビジョンで見えた青年を思い出しながらオリジナルのポーズを取り、ロックシードをドライバーにセットする。
《LOCKON!》
そして、メグミは素早くカッティングブレードでロックシードをスラッシュした。
《ソイヤッ! オレンジアームズ! 花道オンステージ!!!!》
アーマーパーツが展開し変身が完了する。
それを見た凰蓮が声を上げる。
「メグミちゃん・・・・あなた・・・・」
メグミは、右手に握られたダイダイマルを構える。
そして、こちらを振り返ったインベスに向かって叫ぶ。
「ここからは!私のステージだ!!!!!」