注意、前回までの文章に比べて圧倒的に長いです。
時間のある時にゆっくり読むことをお勧めします!!
僕は
ヒーロー社会になった世の中では、個性が発言する前から僕たちはヒーローになることを夢に見る。
僕たちの世代なら、エンデヴァーやベストジーニスト、でも全員が通るのはオールマイト。絶対的平和の象徴。僕たちは彼が作った平和の世界で、ヒーローという夢に憧れる。
彼らが誰かを救う度、彼らが誰かを倒す度、僕たちは守られていることも忘れて歓喜する。あのヒーローが敵を倒した。あのヒーローが救助した。そんな、ありふれた話を聞くたびに僕もヒーローにと夢に見る。
社会の常識や成り立ちなんてものを理解する前に、
幼稚園や保育園に入る前から、僕たちはヒーローごっこをする。憧れたヒーローを夢に見て、なれると疑わずにヒーローになったことを想像して、僕たちは演じるのだ。
だけど、僕はこれが正しいとは思えなかった。
小学校に上がる頃には、ヒーローになるという理想を現実のものに置き換えて正しいヒーローになることを夢に見ていた。誰かをいじめるようなヒーローではなく、助けれる、悪を倒すことができる、自分の中でのかっこいいヒーローを目指し始めていた。周りの人を無意識に見下して、理想だけが先行する周りを否定して、子どもながらに自分に酔っていたのだ。周りのごっこに興じる偽物ではなく、自分のように子どもの時からヒーローになるために行動していることを正しいと勘違いして、自分は周りと違ってヒーローになることに泥酔していたのだ。
ここでの経験も、僕が浮かれしまう原因の一つになってしまった。
ある日、いつものように学校で過ごしてた日。休み時間の時間にいじめを見てしまったのだ。当時は小学校3年生。僕とナマズが初めて同じクラスになった。3年生になって同じクラスになったものの、前の学年での友達と一緒にいた僕は、その当時の宇偽について何も知らなかった。
あの日は、たまたま先生もいない。周りの人も移動教室に移動していていなかった。遅れて教室から移動しようとするナマズといじめていた子と取り巻きに二人がいたことを憶えてる。
「お前見てて気持ち悪いんだよっ!!」
「ナマズの顔なんてぬめぬめしてそうで気色悪いって」
「なんで、異形型も一緒のクラスなんだよ」
小学校の僕にとっては、彼らもヒーローになるという夢を掲げた普通の少年のはずだった。
毎日生きる中で、ヒーローという志が曖昧でも正しく生きるだろうというと思い込んでいた。
人間はそう善人でもないし、悪人でもない。環境と状況と育て方でどうにでも変化する。どこかの本で読んだようなフレーズが僕の中で頭をよぎった。
彼らは、ナマズに対しての暴言だけでなく、蹴るなどの暴行、ナマズのノートをリーダーのやつが踏んでいた。それを見た僕は、これ以上見ていることなんてできなくて、すぐに飛び出してしまった。
「おい、お前ら何やってんだよ!!」
「よってたかって、言いやがって!!なにやってんだよ!!」
「なにって気持ち悪いから攻撃して何が悪いんだよ、」
「はぁ?ダメに決まってんだろ!!お前らかっこ悪いぞ」
売り言葉に買い言葉。怒りに任せて言った言葉がこの後どんなことを招くかなど考えることもなく発言をしてしまった。いじめの主犯格は、僕の発言が気に入らなかったのか僕にも殴り掛かったのだ。
「俺がかっこ悪い…ふざけんなやっ!!」
殴り掛かられたこと、怒っていて頭の中で正常な判断をできなかった。小学校の子どもならよく先生の注意も聞かずに使ってしまう個性。ありふれてしまった異能の力。使い方も限度も知らない子どもが際限なく全力で殴ってしまうときに個性が出てしまうのもおかしなことではなく。彼は個性が発動した状態で殴ってしまった。
それに対して、殴られそうになったことで咄嗟に僕も個性を発動してしまった。僕の個性「反発」を。
「ッ!!」 バチッ!!!!
「うぁわああ」 ガンッ!!
この後のことは、みんなが想像する通りの結果になった。喧噪と個性の衝撃音を聞きつけた隣のクラスの先生が僕たちの教室に来て、漠然とする。
児童が個性を使って一人の男を吹き飛ばしている現状。一人の児童がいじめられているという現状。
それらを見た先生は担任の先生の連絡や僕たちに動かないように指示をして、慌ただしく動き始めた。
周りの同級生たちが僕を見ている。個性を使って人を傷つけてしまった僕を。いじめをしていた現状よりも子どもたちの光景には個性による攻撃の被害について目に入ってしまい、僕と僕の個性被害者であるいじめの主犯格を交互に廊下から見ていた。
彼らの声や僕の頭の中で強く残った。
「怖いよ」
僕って怖いんだな。
ー
あれから僕は、ナマズと仲良くなった。
個性でいじめられていたのに自分すらこの個性を認められないのが嫌だから、そういって僕に
逆にクラスメイトからは怒ると個性を使って殴ってくるという印象が残ってしまい、これ以上小学校では友達を作ることができず、ナマズと遊ぶことが増えていった。
中学に上がってからは学校の人数も増えたことや、昔のことになって忘れた元クラスメイトたちなど仲良くなっていった。ナマズも小学校の時と比べて、いじめられることもなくみんなから受け入れられていった。あいつの努力が報われたようで俺も嬉しくなったことを憶えてる。
中学も終わりに近づいた3年生。僕とナマズは雄英高校を受けることを学校の先生に伝えた。周りからは期待されていた。小学校の経験から、いじめの初動に遭遇したときは、話し合いで解決することを優先して、解決することを意識した。いつも誰かを助けていたおかげで誰からも信頼されていた。
いじめていた人にもアプローチをすることでどちらもから信頼されるように動いたことが結果が出たのだろう。
小学校の経験から人に向けて個性を使うことは無くなり無機物に付与するだけにしたこと。
この二つが中学校の生活にこびりついていた。
そして、僕たちは雄英高校ヒーロー科の試験が始まった。
俺とナマズ互いにできることはしていた。人に向けることが無くても、小さなものに反発させて遠距離武器にする方法と攻撃を反発して吹き飛ばす個性の使い方を身に付けた。ナマズも冬場でも動けるほど身体能力と個性を鍛えていた。お互い受かることができることを信じて疑わず。合格を友達や両親たちに伝えられることを想像していた。
その想像は僕の傲りで消滅した。
プレゼントマイクの説明の後、僕はナマズとも離れて試験会場に移動した。移動したところでは、ストレッチや深呼吸など思い思いのリラックス方法を試して試験への緊張を解していた。僕自身も、試験への緊張もほどほどに感じつつ、スタートを待っていた。自分の個性の調子を確かめるため、意味もなく起動と停止を繰り返して感覚のずれを無くそうとしていた。
「ハイ、スタァートッ!!」
プレゼントマイクの試験開始の合図が試験会場全体に伝播した。が、突然の開始合図とプレゼントマイクらしからぬ、ぬるっとしたスタート合図だったため、ほとんどの学生は戸惑って体が膠着してしまった。
「えっ…ちょ!!」バチッ…バッコン!!!!
誰かの困惑の声が驚愕に変わる声を聴きながら、僕は試験会場まで個性を使って急速な移動、反発を使って一気にぶっ飛んだ。遅れて気づいたやつ、新たな音の発生で戸惑るやつ、プレゼントマイクの注意で動き出したやつ、状況を飲み込めたかは不確かだが僕に続いて試験会場に受験者が流れ込んだ。
僕は他の受験者よりも圧倒的多くのアドバンテージを得た状況。一番最初に接敵することができた。
「ちょっと想像よりもチョロくない、これなら主席合格もできるな」
僕は完全に調子に乗っていた。
予想よりもついてこれない受験生。1~3までの機械で作られた仮想ヴィランが簡単に壊すことができたこと。吹き飛ばす関係上、他の受験者のアシストではなく妨害や横取りをしてしまう。
(なんでこんなので苦戦するかなー、本当にヒーローになる気あるわけ?)
(俺とナマズが合格で終わりだろこんな試験)
この時は試験の高揚感、周りの受験生の質の低さ、個性を使用し続けたことによる個性衝動、全てが悪い方向に作用していた。ヒーローは見下さない、誰かを助けるもの。絶対にヴィランに負けないこと。そんな自分の正義すら忘れてしまうほど悪い方向に拍車をかけてしまった。ヒーローらしからぬ言動。周りを考えることのない戦闘。いつもの自分が自分では無くなるような
巨大な起動音と建物が崩壊し始める音に戦闘の高揚感が少し下がり、意識を向けて音が鳴る方向を見る。音の先にはおそらく0P仮想敵が町を壊しながら受験者のほうに向かってきていた。ほとんどの人は0P仮想敵の大きさや町を破壊する様子に恐怖してしまう。ポイントも取らないといけない現状から誰かを助けるという余力もなくなり、誰もが0P仮想敵とは反対の方向に逃げていく。
僕はこのとき、誰かを助けることを意識すれば良かった。緊急時、巻き込まれた人を優先して助けること。それが、この時、
衝動は僕をヴィランにさせた。あの時、僕はヒーローではなくなった。
ルールに対して、逃げるべきだと言ったプレゼントマイクに対して、現状の逃げるだけのヒーロー志望に対して、僕は反発してしまった。
「試験ポイントは周りを聞く限り俺が一番。なら少しぐらい遊んでいいよなぁ」
試験ポイントは40後半、周りのポイントカウントを聞く限り一番。目の前には敵がいる。周りの弱いやつを助けないと。そんな浅はかな濁った思考は僕を0P敵と戦うことを優先させた。
個性「反発」による砲撃。幸い瓦礫は多かったため、投げる物には困らなかった。周りにある瓦礫を敵に対して集中砲火して動きを止める。機械の体が攻撃を防ぐが、次第に機械側の装甲を超えて内部の機関に対してダメージを入れていく。次第に部品や装甲が壊れていった。
壊れた装甲は下に落ちる…。
下にいる受験者に向けて…
ここで僕は冷静になることができた。いきなり出た0P敵。そこに人がいればもちろん巻き込まれてしまう。誰かを助けるはずのヒーローが現場を確認してない状態で敵だけを見るのがいかに愚かなことかを。
(周りの受験生は…くそ、ほとんどは0P敵から離れてる。俺の戦闘のせいか…。まずい、落下物に対して砲撃で飛ばさないと)
焦りはあった。落ちることよりも誰かを傷つけてしまうことに対して。誰かの未来を故意に奪ってしまう現状に対して。
砲撃の焦点は合わないのに、落下物は止まらず下にいる受験者の下に落ちてしまう。
(すぐに打つしかないッ!!!)
狙いはそれず、落下物に対して当たった。が狙いに集中していたこと、咄嗟の出来事で威力調整ができなかったこと。失敗の原因は多いがそれよりも、落下物は未だ受験者の頭上にある。
(やばい、当たる…)
そう思うと同時に試験終了の合図と試験会場に立ち並ぶマンションの一角から銃撃音とコンクリートが動く音がした。
落下物は狙撃された弾丸によって起動が逸らされる。落ちてくる瓦礫を防ぐように動くコンクリートが受験者を守った。
「危なかったね、もう少し遅かったら間に合わなかった。」
後ろから声が聞こえた。セメントヒーローのセメントス。彼の個性がなかったら
セメントスはその体に合わず急いで落下物下にいた受験者の安否を確認するために行動を始めた。僕はセメントスに追従するようにに受験者のところに向かった。
「大丈夫かい…」
彼は瓦礫に挟まれて出ることができない様子だった。セメントスに支えられながらコンクリートが動くことで彼を救助していく。彼が無事な様子に安堵しようと目をつぶろうとしたとき、僕は彼の足が瓦礫に挟まれて
だから、僕は間違えた。
だから、僕は後悔した。
だから、僕はヒーローを諦めた。
ーー
「はぁ…はぁ…」
現実離れした惨状を見て、頭の中がパニックになり、昔の後継を走馬灯のように思い出していた悔根は自身の吐き気と吐息の音を自覚した瞬間、現実に帰ってきた。手は震え、体は少し寒さを感じながら、冷静になろうと呼吸を続ける。
(げんじょうの…かくにんと…あんぴを…)
悔根のなけなしのヒーローになるために培ってきた、分析力と現場での対応についての知識が錯乱しかけていた、彼の頭を少しだが冷静にした。
場所は静岡駅から自宅に帰るまでの道中、人通りの少ない道を通ったときに、鉄臭い血の匂いを嗅いだ。そこにいたのは、住宅街のT字路で電柱に寄りかかるように倒れている僕と同じくらいの年齢の男女がそこにはいた。
口の周りに血を付けた男と首に噛まれたような跡とその傷から血を流している女性がいた。
男の子の方は口から血が流れているだけでなく、彼の服にも血が付着した後がある。お腹には三本の切れ傷があり、服も破けていて血も出ているように見られる。赤い瞳隈以外にも少し疲れているような印象を受ける疲れた目をしていた。
彼の下で倒れている女性については、目を凝らして見ると首筋に流れている血はもう止まっているのか、新しくは流れていないように感じる。首筋の噛まれたような傷以外にはこれといった外傷はないようだ。彼女の外見は男性のほうと似ていて髪は白色だった。
(倒れてる彼女には止血することはできないだろうから、彼の個性なのか…)
彼ら彼女らの現状を確認した僕は、血を見たことによって軽い眩暈と想像をしてしまう。
(彼が彼女の首を噛んだ可能性はあるのか?彼が血を飲む衝動がある個性だった場合は彼女を攻撃した現場に居合わせた可能性があるのか?それに男性側の傷。胸から腹にかけて大きな三本の切りさかれたような傷は何だ?血は止まっているようだが彼もあの怪我では相当きついはずだろ?)
現状を理解しようと頭を回すが上手く回らない。血を見たことによるあの時の恐怖が僕に正常な判断をさせないように蝕んでくる。ヒーローでない僕には逃げることしかできないことを、現実を突きつけるような言葉が僕の頭の中を駆け巡る。
(あの時見たいに余計なことをして、誰かが傷ついたら…)
(あの時よりもひどいことが起きたら…)
そんな想像が頭の中を蝕み、少しずつ冷静な思考ができなくなっていく。彼が何か言っているようだが頭の中に入らず恐怖だけが僕の頭の中を反芻する。
(現状は確認できた、どちらも緊急性の問題はないように感じるが男性側が加害者の場合は女性側の安否が心配だ。ヒーローや検察に連絡したとして、ここまで来る間に彼女が無事でいられる保証はない。なら、連絡をすると共に現状の確認をこの男性からすることが僕にできる現状の最善のは…ず…)
(ほんとにさ、俺がしないとだめなのかよ)
(ヒーローに任せれば解決してくれるさ)
(あの時見たいに余計なことして、勘違いして、また誰かを傷付けるのか)
(あの時は、ヒーローがいた。だから、大事にはならなかった。だが今回は?救うことができるヒーローはいない。彼に攻撃された場合、彼女を守りながら逃げれるのか?ヒーローを諦めた君に?資格のない君にできることなのか?誰かを救うってことはさ?)
本当に嫌になるほど、頭の中で反芻する声は鳴りやまず、僕の精神を削ってくる。この場に無言でいるだけでも、もし彼が敵ならば相当な苛立ちを感じることだろう。彼は何も見なかったことにして忘れろといった。何も危害を加えないことを伝えた。あとは少しの確認をした後、逃げてもなんの問題にはならないのではないか?逃げ出して、しまっても問題などないのではn………
(誰かを助けない理由を作るなよ…)
あの日、僕は助けれなかった。助けようとしなかった。己の弱さに縋ってしまった。
(俺の原点は、誰もを救ったヒーローだ。)
あの日、僕は夢を捨てた。ヒーローという誰もが憧れる未来を切り捨てた。なるべきではないと。なれる存在ではないと。
(成りたいと思った人は、オールマイトだ。)
憧れた人は誰もが無理だと思った事件や敵を、笑って誰かを助けて安心を与えて敵も倒すようなすごい人。誰もが憧れるスーパーヒーロー。
(目の前で救わないといけない人がいるのに助けない理由なんて僕にはない!!!)
ヒーローでなくても誰かを見捨てる理由など、悔根 反己には持っていなかった。ただ、我武者羅に現状に対して反発するだけの少年それが悔根だった。
後悔の根を断ち切って、己を貫き通す。
それが、
ーーー
(まずは対話だ。)
僕たちの現状は、こちらは事件性の高い現場に遭遇した一般人A。あちらからしたら見られたくない光景を見てしまったところ。彼を刺激することなく、警察とヒーローへの連絡、病院に救急車の要請ここまでできることが僕の最善。
(相手も対話をすることで、僕を殺そうとするほど殺気だってはいない。対話ができるなら双方の問題を解決できる。)
僕はスマホから、ナマズに対して現在地で事件があったことと警察、ヒーロー、救急車の要請をすることをスタンプと位置情報を送ることで僕が送ることができなかった時に、連絡ができるよう安全策を取りながら白髪赤目の男性に話かけ始めた。
「すみません。その、大丈夫ですか?あなたも女性も傷を負っていて、血も出ている。救急車の要請をしたほうがいいですかね?」
「あぁ~ごめんけど、今はしないでくれるか?後で俺からしとくから。できればすぐに帰ってほしい」
「流石に状況も分からない状態で帰ることは難しいですね。二人とも血が流れてるし、状況も分からないので」
「やっぱり、さっきまでの声聞こえてなかったのか…このままここにいると危ないんだ。僕は彼女を攻撃してないし、彼女からも傷をつけられた訳じゃないんだ。信じて欲しい。君にも被害が出る可能性があるんだ。」
「被害ですか?(
僕が彼の話から、現状を考えようとしたその瞬間。誰かの急いで走る音が聞こえてきた。
(走る音、現状、まずい敵か?!逃げる必要ってそういうことか)
ナマズへの連絡は遅れたが…まだ、警察、ヒーローに対して連絡を遅れていない。現状で敵が来た場合遅れる余裕がなくなる。
(二人を抱えてじゃ走ることもできない、反発を人に対してはさすがに練習不足すぎる。あの時見たいなことが起きない自信がない現状使える手段は限られる!!)
「おい、避けろ!! 後ろだ!!」
僕の判断が遅れたことは否めない。けど、この敵はやすg…
誰かが僕と敵の間に入って攻撃を防いでくれた。
攻撃が届かなかった安心感から僕はやっと敵の姿を見ることができた。大きな体に毛が生えている。耳に尻尾。黒色の毛が彼の怖さに拍車をかけるように靡いている。彼はその黒い毛で覆われた体を大きく動かして後ろに下がった。
僕と敵の間に立った人は、にこやかな笑顔を浮かべながら、僕の憧れた人と同じようなセリフを吐いた。
「もう大丈夫だよ少年、私が来たからね!!」
「思いっきりパクリじゃねーか!!」
「いやー僕の憧れでさ!リスペクトってやつさ」
オールマイトほどの巨体ではないが、それなりのガタイで守るように僕と男性たちの前に立ち敵と対面していた。
大きな青色のマントをした、そのヒーローは最近人気が出てきた若手ヒーローで確か…
「
「そう僕が来たからにはもう大丈夫さ。僕が相手さ、
「君は後ろで倒れてる人たちを安全な場所まで避難してくれるかい?」
「分かりました。」
ヒーローが来てくれたのなら、敵の相手は任せれる今は時間を稼いでくれてる間に連絡を…
「なぁ、なんでお前逃げれると思ってるんだ」
えっ
「ヒーローに負けるなら、ヴィランやってないって」
少しだ、本当に少し目を放した隙に彼は、僕の後ろまで来てスマホ奪い壊した。頭も抑えられたまずいっ…?!
「させないって!!」ガシッ!!
「フロートマン!!」
「早く逃げてこいつ早いし力づよ゛!!」
(まずい、こいつ強い敵だ!!)
新米、若手、そんな経歴だがフロートマンは決して油断はしなかったし、慢心もしてなかった。最善手で一般人の前に立って守ることができたはずだった。少年が移動した瞬間に、僕の下から離れた瞬間にやつは一気に距離を詰めて彼の下まで移動していた。このような強いヴィランはそうそういない。フロートマンは活動2年目だが、こいつほど強いのは一人しかあってない。
(子どもたちだけでも逃がす。せめてあの子だけでも)
彼が抑えている間に、悔根は男女の下を急いで移動する。男性のほうも状況が理解したのか何も言わずに合図で方向を伝えてくれた。
「すみません、さっきは疑って。その女性運ぶの手伝うのであなたは移動に専念してください。」
「ごめんね、それできそうにないかもな…あのヒーローすぐ負けるぞ」
「えっ」
男性からの話された内容を咀嚼する前に背後から、フロートマンの声が聞こえてきた。
フロートマンの悲鳴の声が…
「俺は戦闘することはできるけど、こいつを安全なところに連れていきたい。それと、戦闘するにも広さがほしい。だから、あそこでカウンター狙おうと思ってたんだけど…予定変更だな」
「人がいないエリアまで移動する。できれば山が良いがここからだと少し遠いか…河川敷まで行こう!」
「君はさっさと逃げな、今ならまだあいつから逃げれるから」
この人は、緊急事態でも冷静でやるべきことを見通しができている。僕は焦ったり、冷静でいられなかったのに、敵に追われてるなかで自分の最善を拾えるように動いているのか?それに、ここまで来て巻き込まれた僕の心配をしてくれている。こいつは…信じていい。少なくとも女性を傷つけた犯人はこの人じゃない。なら、俺がすることは…
「俺もついていきます。」
「いや、逃げないとお前殺されるぞ。狙いは俺とこいつだ。お前は殺されることはない!!今からでも逃げればいき…」
「関わったのは僕です。それに、困ってる人を見捨てれるほど優しくはない!!」
「………」
「移動中の防御は僕がします!僕の個性「反発」なら力量に関わらず跳ね返すことも反発して飛ばすこともできる。スマホは壊れたけど位置情報を友だちに送っているから、ヒーローの増援も時間を掛ければ期待できる。まだ、諦めるのはいまじゃない!!」
「………おっけぇ~。こっから先は責任取らないからな!俺の名前は霊潜 夜月だ。個性は夜の間だけ身体能力が大幅に向上と血を少し操れる。止血できてるのは、この個性のおかげだ。」
(血が止まっている理由は霊潜の個性だったのか…道理できれいに止まっているわけだ)
(傷に対して以上に血が止まっている現象に対しては今、説明がいった。彼の個性があるなら少しは血を出すような怪我をしても止めて貰える。出欠死がないから持久戦をする感じになるか?などを考えている中、目的値である河川敷まで移動することができた。現在の時刻は先ほど確認した時間で、11時30分だった。そこから、移動時間を含めれば現在の時間は40分前後だ。緊急の通報だから準備が完了するまで時間かかるとして12時までには解決できるか?なら、あと20分の持久戦か!!)
僕たちは橋の下に移動して、息を整え休憩をしている。ヒーローの悲鳴はあれ以来聞こえていないのでフロートマンの時間稼ぎはできて、僕たちを見失っている可能性もある。ただ…
「あの個性、犬系の個性でいいんだよな?ならっ」
「ああぁ、多分な。だから一か所に固まるのはまずい…だが今できる最善は多分これだ。現在地から移動しすぎれば救援が意味をなさない。戦闘になった場合、直ぐに助けれて、俺たちも戦える、この場所が最善のはずだ。あの速度で奇襲されたら確実に負ける。」
「あぁそうだな…」
霊潜の考えには概ね同意だ。一か所に留まるリスクよりも奇襲のリスクのほうが正直怖い。最初の一回さえ防げれば何とかなる可能性のある現状と見えないところから視認することもきつい速さで切られたら対抗することができなくなる。なら、いっそのこと開けた土地でカウンターもしやすいこっちが正解…だと俺も思う。
(問題は…)
「俺が個性で受け流せるか…か」
「ああ、止血はできるがそれ以上の戦闘経験は俺にはない。できるのは無茶苦茶に戦うだけだ。そっちは?戦闘経験あると嬉しいだけど…高望みか」
「俺は元ヒーロー志望ってだけだ。そこまで強くはないな。戦闘経験もあんまし。」
「そうか、少し厳しいな…」
「できるだけ、俺が攻撃をパリィするから、霊潜が殴るって感じになるか」
「理想はそれだが、そもそも勝負にならない可能性もある…できるだけ準備はしたいが…ッ!!」 …ザザッ!
…雑草を擦る音が聞こえる。大地を踏み、歩く音。どちらかが来た可能性がある。一般人にしてはやや重い足音が僕たちの緊張を加速させる。敵かフロートマンか、どちらか分かるまで僕たちは音を立てるわけにはいかない。あの狼がこちらに来た場合、準備がない現状勝てる可能性はゼロに近い。20分の足止めもできずに負ける可能性がある。
(どっちだ、戦闘音は途中から聞こえなかった。ヒーローが拘束に成功したか、それとも狼敵にやられたか。フロートは悲鳴から確実にダメージを受けた状態…なら)
(あの、ヒーロー?の悲鳴は途中から止まってた。生きていない可能性もある、遊ばれたもしくは狩りやすいように場を整えられたか?)
二人とも考え方は違えど、ヒーローがやられる可能性は考慮していた。悔根は最初の動きに対応できなかったこと。悲鳴を上げてからの戦闘音が聞こえなかったことから戦闘は既に終わっているのではないかと。霊潜は連絡はまだいってないはずなのに、敵と一緒に来たことから敵とグループである可能性まで考慮して、逃げる準備を。様々なことから次に起こる展開を互いに予測しきっていた。
互いに目でアイコンタクトをした後、僕たちは戦闘準備をした。個性がいつでも発動できる状況を僕は準備していた。彼は背負っている女性を寝そべらせて、両手の確保をしていた。互いにいつ来ても対応することはできる。そう僕たちは勘違いをしていた。
敵は不意打ちなどしなくても、自分が強者であることを疑わない敵であること。
一般人相手に不意打ちをする必要がないほど強い存在であることを認識していた。
だからこそ、敵は。
僕たちの前に堂々とその巨体を見せつけながら歩いてきた。先程から見せていた黒の毛並みは逆立っていて、逃げた僕たちに対してイラついていることが窺える。その巨体の手には一人の大人を片手で引きずっていて……
「「ッ!!」」
浮遊ヒーロー、フロートマンは身体中、打撲の跡や引っ搔いたような爪痕があちこちに出来ていて、さっき会った時とは比べられないほど悲惨な状況になっていた。流血している箇所も多く、彼を助けることも想定するならば持久戦をすることができなくなる可能性がある。
(彼の個性を使えば血は止められるけど…)
(
「ああぁー、面倒くさいなー本当にさ。」
「逃げないでくれるかな~あの場所で仕留めたら、楽に終れたのにさ~」
「こいつもよえーしつまらない仕事引き受けたよ、本当に」
黒い毛並みを搔きむしりながら、男は僕たちの方に近づいてきた。ひどく退屈そうな顔をしながら、ゆっくりとその巨体を近づけてくる。
(2mはあるであろう巨体からあのスピードで攻められたら勝ち目はない。)
「なぁ、あんた。何が目的なんだよ」
「あぁ?」
「街中でこんなことやってさ。捕まることとか通報されること考えなかったわけ?もう、僕たちは通報しているぞ。ヒーローの増援が来れば、お前だって勝てないし、逃げ切ることもできなくなるぞ」
「なんだよ、ガキ。さっきスマホはぶっ壊しただろ。お前たちが逃げている間も俺は視界からてめぇーらを見逃してないんだよ。だから、連絡したってのは噓だろお前」
「さぁーあんたが来る前に通報しきってる可能性だってあるだろ」
「ないね。まぁあったとしても来るまでに片付けるから関係ないね」
「一応確認な、そこの白髪坊主には伝えたけどよぉ、そこの白髪の少女を渡してくれたら命までは取らないぜぇ。できれば、無駄な殺生は俺もしたくないんだ。諦めて渡してくれねーかな。」
「絶対!!に嫌だね!クソ狼野郎!いきなり襲って来やがって。何が目的かは察するが死んでも守り抜く」
「別にあったばっかだけど、知った以上は見過ごせないし見過ごさない。」
「ああー最近の若者って血気盛んだなぁ~おい。少しぐらいは楽しませろよな!!!!」
時刻は入学日の零時深夜、僕たちと狼敵との戦闘が始まった。
ーーーー
戦闘が始まった。最初に動き出したのは狼敵だった。ヒーローフロートマンをこちら側に投げつけると共に自身は素早い動きで俺たちに近づいてくる。俺は狼男のほうに近づき、霊潜はヒーローを受け止めるために移動する。
「おぉ、守らなくていいのかよ!」
「僕がお前を止めるからな!!」
素早い動きから右手の大振りが来る!
(個性…準備…方向指定…今!!)
「うぉ、なんだこれ!!」
大振りが僕に当たる瞬間に、左手を個性を発動した状態でぶつける。衝突した瞬間に僕の個性が発動して、狼男の右手は大きく体ごと吹き飛ばされる。ただ…
(俺も吹き飛ばされるけどなッ…!!)
個性「反発」は対象が触れ合うときに、反発する個性。反射と違ってすべてを相手に返すのではなく、相殺して吹き飛ばすように作用する。そのため、僕自身にも吹き飛ばされる、代償を無視するように使うと負荷がかかってしまう。
(吹き飛ばされるが対処はできた。無理に負荷で補うより今は反発の基本能力で時間を稼ぐ)
互いに少し距離ができた状態の睨み合いにもってけた。相手が個性について考えている間に…
(こっちから攻めるッ!!)
相手が理解したら、こっちは掴まれて終わる。勢いがない状態での反発は負荷を考えないといけなくなる。それはこの現状だとできない。なら、飛ばすことが絶対条件だから、相手の攻撃を受け流し続けて、ストレスとヘイトを溜めさせる!!
「なぁお前、少し舐めてないか、俺のこと!!」
相手もこちらに向かってくる。さっきとは違い爪での攻撃。爪だろうと傷つく前に反発を…ドンッ!!
(爪攻撃に合わせて足で蹴られたッ!!)
「てめぇーの反射、オートじゃないな。意識しないと個性が使えないタイプだろ。なら二つ同時に攻撃するか、てめぇが意識してるほうをわざと誘いに乗ってやればいいだけだろ。浅いな経験がよ!!」
続けて、連打で攻撃される。個性を付与している箇所を手から急いで腹部に変更しようとするが連打が激しくて意識が…
(まずい、思うように個性が発動できないッ…一回大きく弾くか、だけどその隙をつかれたら負けるッ)
考えてる間にも連打は続く。ダメージが少しずつ蓄積されていく。まずい、一旦負荷を受け入れて全範囲反発をするしか…
「おらっよッ!!!!」
「ぬっ!!」
狼男の横から彼が、霊潜が蹴りを入れて大きく吹き飛ばすことに成功していた。あの体格だからか、あまり痛そうにはしてないが。いいダメージが入ったはずだ。
「おいおい、直ぐに倒れないでくれよ。防御役いなくなったらこっちは負け確定だぞ」
「すまん…」
「ヒーローの止血は一応完了した。後は二人掛かりでこいつを止める」
「やっぱそこの白髪は良い攻撃するなぁー、最初に反撃受けたときよりは威力が落ちてるが、お前いいなぁ」
「やっぱ、あの時の一撃ぐらい強くないと攻撃通らないのか…まずいな」
「攻撃を通せるのか、あの体に…」
「結構、込めればな。だけど、それが決められるほど余力が少しなくてな。打てて後、二発だ。」
「なら、僕が隙を作ればいいと、」
「できるだけ、大きいの頼むぞ…」
「相談は終わったか…こっちも回復したから、さっきの続きをしようか!!」
狼男が突進をしてくる。まずは僕が個性を用意て、相手の攻撃をいなす。狼男はフェイントで違う攻撃を入れようとしたところを霊潜がガード、もしくは追撃で隙を作って僕が個性で吹っ飛ばす。
(少しずつダメージを蓄積していけば、あいつだって体力が消耗して隙ができるはずだ。)
(できた隙を、個性で吹っ飛ばしたところを意識外からの追撃全力攻撃でダウンさせる)
(拘束できる個性はいない今、これが最善策だッ!!)
「って思ってるだろお前ら?」
「ッ!!」
「残念だったな、俺の個性「人狼」には少し特殊な状況でな。筋力増強、肉体増強だけでなく、再生の個性も付与されてんだよ。さっきから何度も飛ばしてくれるが俺にとっちゃ回復時間でしかないってことよ!」
「嘘だろッ再生+異形型って超強個性じゃん」
「あいつの回復が早い理由は、それか?だけど…」
「そういうこった。諦めなよ。ヴィランってのは、強えぇ~からヴィランになれるのよ。そこらのチンピラと一緒にしないでほしいなぁ~」
「弱えぇーやつボコすのは気持ちがいいなぁー俺が強者でお前らが弱者ッ!!はっきりするこの瞬間の弱者の顔は最高だよ。本当にさぁ~」
下種の顔を浮かべた狼が、僕たちを捕食しようと迫ってくる。拘束するための準備もなく、時間稼ぎすることすら回復する個性の存在によってできない。大技は互いに使えるが隙を作れない素人の一撃など熟練と化した敵の前では恰好の獲物だ。
(本当にまずいなッ!!このまま防衛戦を続けてもこっちが消耗するだけ)
(カイキのやつの体力の消耗が激しすぎる。このまま戦っても勝率が上がることはないっ!なら、現状のパターンに対して、どこかで博打を打つしか…)
二人とも焦りが出始めていた。人狼の強靭なスペックだけでなく、尋常ではない回復速度に二人の個性と戦闘経験のない現状では太刀打ちすることが難しい。拘束する個性と隙を作るための個性、もしくは道具。この二つのピースさえハマれば現状をひっくり返すことができるが…
(連絡手段は最初に潰されているッ!!ナマズに送った連絡が警察に届く確証も現状ない。あいつが見てなかったら救援もこない!!)
(まじで、まずいぞ)
焦りが溜まると綻びに、少しずつなれてくる敵に対して連携が崩れ始めてる現状。少しずつ悔根と霊潜は追い詰められていく。曲りなりにも、ヒーロー候補生だった。ヒーローになるために準備をしてきたつもりだった。個性の使い方も熟練者まで到達したと勘違いをしていた。まだ、何もかも足りなすぎる。悔根のそんな自信さえも消え去り、ついに明確な隙をこっちが作ってしまった。
「おら、よっと」
「ぐあぁ!!」
「カイキ!!」
(まずい、爪で抉られてる!!個性による止血を…)
「お前も逃がさないって!!」
「ぐッ!!!」
綻びは大きな隙に、大きな欠陥に、取り返しがつかない事態に急速に進んでいく。
そう誰もが、思っていた。
「すまんな~
「なんだこいつ、いってぇーなぁ!!!!」
「おっと危ないな」
「てめぇーは…誰だ?」
「そこに倒れてるバカの親友だよっと~」
ひげを四本生やして、手とひげからは電気のバチバチという音を出しながら、河川敷まで救援に最初にきた人物は雨名波 宇偽だった。
ーーーーー
雨名波 宇偽は悔根から連絡が来た時にはすでに動き始めていた。
幸い、彼はまだ家に帰っていなかったことから救援に向かう選択肢をすぐにとることができた。ヒーローの救援要請や警察への通報。救急の手配などを現在地付きで送った後、彼は親友がいた場所まで向かっていった。
現場についたときには、もう戦闘場所は移動された後でどこにいるのかも不確かな状態だった。
血生臭い匂いが微かに残っていることや現場に付着している血からここで問題があったことを察した後は、どこに向かったのかを予測するために頭を回した。
(ここから、移動するってことは捕まったり殺されたかで事件が終わってしまった可能性。NO、これはない。捕まっているにしては戦闘が過激だし、殺されたにしては血が少なすぎる。裏工作してる時間も掃除して証拠を消滅させるには時間が足りてない。なら…おっと。いい証拠があるじゃん)
雨名波が見つけた証拠は、ヒーローを引きずってできた血のりの後。
それを辿っていけばっと、白髪の男と狼男が戦っている河川敷にまで辿りつくことができた。
なぜか、我が親友も倒れているが…
(大方、カウンター狙いで不意打ちの対処失敗して負けたなあいつ)
長年の付き合いと雨名波の推理力で現状を把握した後、狼男に奇襲を始めた。
ーーーーーー
霊潜 夜月 は薄情なタイプだと思っている。
自分が良ければ全て良い。などとは考えていないが今までの人生経験から周りの人間が蔑ろにされないなら他を助けるなどを考えなかったタイプだった。
いつも一緒にいるあいつが幸せそうに笑っていることができるなら、自分は退屈な部屋で一人きりでもいい。本当にそんなことを思いながら多くの時間を一人の部屋で過ごしてきた。
ただ、一人の姉の姿を見続けながら。
今回の事件に巻き込まれた、もしくは対象になった原因を夜月は知らない。姉が突然呼び出して、事件現場に出て見れば狼男に襲われかけた彼女の姿が目に入って咄嗟に全力の一撃を与えてしまった。
最初はやりすぎて殺してしまったと思ったが、狼男は強靭な体格と回復力で少し唸った後、あの場所まで追いかけて来やがった。あのT字路に行くまでに彼女は気絶してしまうし、自分は個性出力が消えてしまうしで結構絶望よりで項垂れていた。
(誰か、ヒーローを呼んでくれ。誰か、助けてくれ。)
現状が分からない状態でできることはただ祈り、救いを待つことだけだった。
そのとき、悔根という男が現れたのは。
黒い髪に黒い瞳。少しとげとげとぼさっとしているが優しい瞳をした人物だった。
最初は彼に助けを求めようと思ったが、血を見て狂気している彼を見てすぐに逃げるように伝えてしまった。自分が助かることしか、頭になかったはずなのにこいつが殺されて欲しくないと初めてそう思ってしまった。
優しい瞳の中で絶望した目をしている人物を俺は毎日見ていたから。
一人ぼっちの部屋で、姉以外の全てを見ることも触ることもできず、学校なんてものも見ているだけ。
そんな絶望しきってる自分と似た目をしていた彼に同情をしてしまった。憐憫を抱いてしまった。
だけど、そんな僕の杞憂を彼は自分で乗り越えてた。
最初は忠告も聞いてないで、呼吸困難気味な呼吸音と辛そうな表情を見て憐憫を抱いたが彼は一瞬、姉を見た後、勇気をもって行動した。話は聞いてなかったから忠告なんてものも聞いてなかったけど、彼は僕たちを助けようと行動をしてくれた。
狼男が来ていることを察してはいたが、もう一人の人物が僕たちを攻撃から守ってくれた。だけど、この人は信用できなかったから、現状を利用して彼と僕、そして彼女を背負って移動を始めた。
彼はさっきまで死にそうな顔をしていたのに現状を理解して、対応していこうと藻掻いでいた。全員が助かる方法を探すように。
ヒーローがやられて、狼敵が来た時も率先して前にでることで俺が止血をすることができるように位置取りをしていた。彼はヒーロー候補生の中でもかなり準備をしていた人なのだろう。勇敢に負けないように戦っていた。
共闘中も俺や姉を心配して、戦闘に集中できていないときもあったが、自分よりも一回りも大きい敵に対して前衛をする姿に答えたくなった。
そんなあいつも俺を庇って倒れてしまった。止血をしようと咄嗟に動いたせいで敵からの攻撃に対応できない。俺もここで死ぬのか…と考えていた。
ナマズの少年が来るまでは…
「で、君は味方でいいんだよね?親友を助けてくれたしさ~」
「カイキのことか…?なら味方で大丈夫だ」
「おっけ~じゃあ反撃開始だなッ!」
「あいつの個性は回復する能力があるっぽい、一撃か拘束しないと意味がない可能性がある」
「うーん、ちょっときついな~。さっきまでは何を?」
「俺が大技で飛ばすために隙を作るために体力を削ってけど…」
「回復されて悔根もやられたと…おっけなら俺が隙を作る担当だな!」
「いけるのか…」
「任せておけって、少なくとも悔根が起きるまでは時間を稼ぐって!!」
「いつまで、俺を無視しておしゃべりですかぁ~!!!」
狼男は先ほどの攻撃に苛立ちつつ、こっちに向かってくる。巨体とは思えないほど早い移動と攻撃にカイキはやられたけど…
「ほっと」バチ
「よって、バチ~」バチバチ
「くそっちょこまかと」
狼男は巨体故の大振りな攻撃と尻尾や足を使った不意打ちの小技しか使えないのか、小さな体で素早く動くナマズ顔の人へ攻撃を当てることができてなかった。ナマズ顔の人は小さな体で素早く動くことで電撃攻撃を当てて翻弄している。先程までの早かった動きに比べて、現在の狼男の動きが鈍くなっているように感じた。
(ッ!!電気の麻痺のせいか、奴の動きが遅くなってる。大振りも隙がでかくなっている!!今なら打ち込める)
狼男の俺に対しての警戒もナマズ顔の人へのヘイトが上回って意識の中にない。今なら意識外から攻撃を決めれる。
なら…
(一撃を入れるなら今ッ!!)
力を右腕に溜めていく。腕が段々と赤黒く染まっていき、個性が発動していることが伝わってくる。タメが大きいほど威力が上がるこの腕なら、あいつを気絶まで追い込むことだって…
個性を使った100%の攻撃を相手に当てるため、相手の隙を伺う…ナマズさんが電撃を入れた…今!!!
「ここだぁーーーー!!!!」
「おえぇっ!!」
赤黒く染まった俺の腕は、あいつの腹部にしっかりと当てることができた。
狼男の体は大きく仰け反り、河川敷の川の方へと吹っ飛ばした。川に落ちた男は、直ぐに起きてくることはなく、川の中に沈んでいった。
(良いの決まった!!!これなら、落とせ…)
ザブンッ!!!
「痛ってぇな~~!!!!白髪!!!」
(嘘だろこれでダメなのかよ!!)
「最初に比べたらまだ、痛くはなかったなぁ~これがが最高打点か?なら、俺は倒せないなぁ~この体に回復の力!!!今の俺はオールマイトだって、倒せない!!!」
(ありえない、あれだけ攻撃を食らって、あれだけ疲労を溜めて、まだ気絶もしないは疎か動きも衰えてないだって。流石に化け物すぎるでしょ。)
あの攻撃をもう一度するには、血が足りない。時間が足りない。体力が足りない。もう一度、全力を出せるほど力は残っていない。
「いや~あれでダメなら攻撃はほぼ通らないね~電撃で時間を稼ぐしかないか~」
ナマズ顔の人も結構しんどそうだ。全力戦闘の経験が足りてない。全力を出し続けるにも体力と精神力、日々の積み重ねがいる。
(ほんとうにまずいッ!!せめて拘束さえできればッ!!)
その時、河川敷に近づく足音が聞こえてきた。狼男でもなく、カイキでもない。姉もまだ寝ている。他の一般人か警察か誰かが近づいてきている。
「やあカイキくん!こんなところで何してるのさ!!」
ここには似つかないような明るい声が河川敷に響いたのだった。
ーーーーーーー
光衣 葵は戦えない。ほんとうに戦えない。
誰かが戦っていることを見つけても見ることしかできないほど一般人らしい一般人をしている。
ただ一つ彼女の異常性を上げるなら、彼女に年齢という概念がないことが上げられる。正確に伝えるならば、時間によって感情が変化しずらいのだ。
それは、本人の個性による影響である。
個性「羽衣」
本来、羽衣とは衣装の一つ、中国や日本で天女などが来ているものとされている。伝承のなかでは、鳥の羽で作成したため飛翔する能力があることなども言われている。
そんな、逸話と同じ個性名をしているのは同じ見た目をしているからという理由のほかにもう2つ理由が存在する。
空を飛べるほどの異能はないが、未来からの感情や記憶を見る能力をこの個性は有していることだ。光の布を操るだけでなく、自分に関わる断片的な未来だけだが見ることができること能力を使い自分が将来好きになる人を調べたりしていた。その人物が悔根だった。しかし、悔根とは結ばれることなく縁が切れてしまったことに対して不服だった彼女はある計画を思いついた。大学からだったから彼女になれなかった。高校から同じ学校に通おうと!そんあ楽観的に未来改変をしてしまった。少女が彼女、光衣 葵である。
葵の花言葉は「豊かな実り」「野心」「大望」
彼女は主人公と結ばれるために過去の自分へ感情を押し付けていた。過去の彼女も最初は嫌がって反対をしていたが、送られる感情にいつしか自分の感情と区別をつけることができなくなり、現在に至る。
本来、異形型でない彼女はネットでの注文で問題もなかったのだが、彼が現地で買うことを知ったことで現地での物販に赴き連絡先を聞き出すなどハチャメチャをしている。
この個性は未来との交信をすることに回数があるため、大人の私はもっと未来の危機とかを送るべきではないかとか、最初こそ思っていたがいつしか彼女の精神は彼を自分の物にしたいという欲求に負けてしまった。
大きく、話を脱線したが彼女がこの河川敷に来れた理由はこれが理由だったということ。そして、彼女の個性名の理由、その2は光る布を使っての拘束をすることができる自身の個性を活用して、悔根に恩を売ろうとしているのであった。
そんなこんなで、
「カイキくーん!起きてますかー?おーい!」ぺしぺし
ナマズと霊潜が未だ倒れず襲ってきた狼男と交戦をしている間、彼女は悔根を起こすという免罪符の下、彼の顔を触って満足していた。
(いや~未来の私分かってるな~この情報があれば雄英入学後も一緒に動けるじゃんナイス!)
寝巻姿でいることも、戦闘中であることも、彼女には関係ないという風に彼女の周りだけ雰囲気が違った。ほんとうに違った。
「うーん、このまま顔を見続けてもいいけど。私が憧れた君はここで諦める人じゃないんだよなー」
「少しだけ力を与えるから起きてよ、カイキくん」
「起きてよ、私の
ーーーーーーーー
目に光が差し込む。
今は深夜だったはずだけど。もしかし、死んでしまったのか…結局僕は何もなせなかったな。誰かを助けようとすることも、敵を倒すことも、その後も。何一つなすことなく、死んでしまったのか…
あの日見た夢のように、誰かを助けたかった。救いたかった。
宇偽のやつ、ちゃんとやれるかな。あのとき、見たいに諦めてしまわないだろうか。あの二人は大丈夫だろうか。ヒーローが来て助けてもらえただろうか。死んでしまった僕にはわからないけど、できれば幸せになってほしいな。家族は心配するだろうな。悲しんでくれるかな……
なんか光が強くなってるんだけど…
誰かの声が聞こえる。女性の声…あの場にいないはずの声…
「ほら、ヒーローの目覚める時間だよ!かいきくん!」
僕は目を覚ました。
目を覚ました僕の視界に最初に入ってきたのは、光輝く羽衣で、幻想的な雰囲気に少し見惚れてしまっていた。少しして、意識が戻り始めるとそこには光衣がいることが分かった。外もまだ暗く夜であることが窺がえる。
(気絶してしまったのか…てかなんで光衣がいるんだ…)
まだぼやけた思考が残っている頭を少しずつ動かし始める。動き出した頭に、戦闘音と思われる音が聞こえてくる。電気がはじける音、打撃音、引っ掻く音。
(そうだ、今は…狼の敵)
急に頭が覚めたことにより、現状を理解した。戦闘中だったこと、霊潜と女性を助けようとしていたことカウンターを食らってダウンしてしまったこと。思い出したと同時に体を無意識に動かしてしまう。体を急に起きようとすれば、頭の上にある物とぶつかるわけで…
「「イタッ!(痛った!!)」」ゴツンッ!!
僕と光衣は頭をぶつけてしまった。
「ごめん光衣…」
「いいよ~かいきくん。あーでもちょっと痛い…」
「ほんと、ごめん。けど今の状況は!!」
「えっとね、狼君と霊潜君、ナマズ君が戦ってるよ~!霊潜君の攻撃が通用しなくて、拘束できる個性の私が動けるように耐久戦してる状態かな?なぜかヒーローの到着が遅れている?ってナマズ君が行ってたかな」
「狼君?ナマズもいるのか?とりあえず分かった。」
「光衣拘束ってどのくらいできるんだ?」
「弱らせてくれたら動けないように布で巻く感じかな?結構弱らせてもらう必要あるけど…できそう?」
「なんとか、やってみるさ」
「うんうん、君ならできるよ!」
光衣の応援を受けて俺も、敵と戦ってる仲間の下に向かう。
「おおぉ起きたのか?反射野郎!!てめぇーもボコしてやるから少しまってろよな!!」
「おっ起きたか。すまんが前衛ヘルプ~」
「カイキ!手を貸してくれ!!」
「すまん、こっから反撃だ!!」
「やれるもんならやってみろやガキどもがーーーー!!!!!」
(こいつの攻撃はもう沢山見てんだよ、突撃するときは、右爪からの大振り)
「お前の動きはもう見飽きたんだよ!ぶっ飛べや!!」
「てめーの拳じゃ俺を止めれないっての!!!」
霊潜がダメージを入れたらすかさず、ナマズが懐に入って、ひげと手から電気を流す。
「なら、俺が変わりに止めますよ~と」ビリリィ!!
「効くかよ、ナマズ野郎がー!!」
「おっと、危ない危ない、けどいいのか俺に気を取られて?」
あいつがナマズと霊潜の近距離戦に気を取られてる間に、反発を利用した大砲攻撃!!
あいつの皮膚装甲は固いけど、突破できないものはないことは霊潜が証明している。
「
「ぐッやれるじゃねーか!!てめぇら!!」
三体一でやっと、戦うことができるレベル。若手とは言え、プロヒーローすらも倒すことができるレベルの相手。少しでも。少しでもその力を誰かのために動かせるなら、救われた人もいただろうに!
「なんで、てめぇーは女性を狙ってんだよ!!」
「ああぁ、どうした喋れるほど余裕があるって勘違いしちゃったかぁ⁈」
「てめぇらには、そんな余裕ねーだろうがよ!!」
「そうだよ、なんでてめぇは姉さんを狙ってんだ!!」
「あぁ、てめぇは弟かよ?なら、分かるだろ!優秀だから狙われた!ただそれだけだろ」
攻防をする中で、少しでも油断と慢心を誘うためにこの話を切り出したが…誰かに依頼されたのか?優秀だからって個性がってこと?
「裏の商売人が言ってんだよ!!
「ふざけんなよ!!そんな理由で俺の姉さんは狙わってたのかよ!それに姉さんは個性二つも持ってないぞ!」
「いやぁ?持ってるはずだぞ!!写真付きで見せて貰ったからな!てめぇなんだろ?隠してるの」
「………!!」
「それにさぁ、仕方ないだよ!!俺の個性さ「狼」じゃないのさ!個性「人狼」人を食べたい、血を啜りたい、肉を貪りたい、抑えられないんだよ!!俺はさぁ!!楽しいからやってんだ!!戦うことも食らうことも依頼を受けることも!!!今からてめぇーら殺すのだって俺の日常なんだよなぁ!!!!!!!!」
個性の衝動、この時代では個性に関する衝動に関する論文はあまり多くない。ある女性とある男性が個性カウンセラーの仕組みについて疑問を持ったことや個性衝動について調べ始めたことで後に判明と実証がされた言葉。
個性につられて、自分の魂に影響するというものである。
悪い個性は悪いことしたくなる。個性の色が性格に影響するというもの。
ナマズならば、夜行性になることや冬は動けないこと。
光衣なら、明るく生きる性格に。
霊潜ならば、人の血を吸いたくなる
悔根ならば、常識やルール、誰かが作った理不尽に対して反発したくなるという物である。
これらは矯正することも、受け入れることもできる。誰しもが生まれてから不変な存在ではなく、ただ最初のステータスでしかない。触れ合ったもの、触れ合った環境、触れ合った人。そんな些細な違いでこれらは解決することはできるものだ。
ただ、この考えは後に後悔ばかりを綴る男が研究者になって、初めて知ったこと。
今はただ、あいつの顔面を殴ってやりたい。そんな、幼稚な考えが頭の中を巡った。
あいつの考えを、あいつの思いを唯々否定してやりたかった。
だから…
「”てめぇはそれがしたかったのかよ!!!!!”」
「ああぁ?」
「個性だからなんだよ!違う生き方だってできただろ!それしか道はなかったのかよ!」
「ああぁん?」
「人狼だから人を食らうのかよ!傷つけるのかよ!」
「なんだてめぇ?いきなり」
「お前はそんな風になることを夢に見てたのかよ!!」
普通の人に対して、これらの言葉は毒だろう。普通に生きれないから今に至ったのに普通を謳歌しているお前が偉そうにいってくるなと、毒どころか禁句にすら当たる言葉。
でも、誰かが止めないと彼では止めれない。彼の周りでは止めれない。彼の思いでは止めれない。なら…
「お前は何がしたかったんだよ!!」
「いきなりなんだよ…。さっきまで楽しく殺し合ってただろ。夢?あるわけないだろ。俺はしたいことをして生きてきた!これが俺だ!これが今だ!!これが現実だ!!!何かになりたいだなんて子どものときの恥ずかしい妄想だろうがよ!人は自分じゃ何にもなれないんだ!!周りが遺伝がなるべくしてそうなるんだろうがよ!」
「なろうとしないとなれないだろうがっよ!!」
「ぐぁ、はぁなろうとしたところでなれるなら今の個性社会はないだろう!なれない果てが敵だヴィランだ。恵まれたのがお前らヒーローだ!!そうだろ反射男」
「ちがうな!恵まれてなるんじゃない!なろうとし続けたやつがなれるんだ!才能なんか関係ない!誰かを助けようと必死に足掻いたやつがなれるんだよ!!」
「あぁ力がない癖になれるのかよそいつはよぉ!!!全ては個性!!個性が全てを決めるんだよ!!」
「てめぇは何をしたかったんだ!今の現実を否定しろ!どんな未来に辿りつきたかったんだよ!!」
「何なんだよてめぇーはぁぁぁぁーーーーー!!!!!」
「悔根 反己ただの一般人だよ、ざっけんな!!ただてめぇと話したいだけだ!!恵まれた個性じゃねーか!誰かを助けれるすごい個性だ!道を間違えただけのやつを助けたいって思って何が悪いんだよ!!」
「くそがああああぁぁぁ!!!!!!」
ここだ、この一瞬全力の個性出力で、あいつの悩みも苦しみを全てを吹き飛ばせるような全力の反発であいつの悪意、全てを引き離す、ぶっ放す!!!
あいつが反省するかは、分からない。けど…ここで助けなきゃ誰もあいつを助けられない!!
「
「おらああぁぁーー!!!!」
あいつの攻撃と俺の反発が衝突し合う。互いに力は互角どっちが負けてもおかしくない。だから、あいつの思いより俺の思いのほうを強くもて。
あいつに届くぐらいの思いを…!!!
あいつの思いが伝わってくる。あいつの拳から沢山の思いが伝わってくる。苦しかったよな、理解してくれない家族にも孤児院の先生にも。壊れてく自分にもさ…だけど、ずっとそこにいるにはお前の力は汚くも怖くもねぇーよ。優しい
「ふきっとっべやぁぁああああああああ!!!!!!1!」
「おおあああああああああああああああ!!!!!!!!」
黒狼の体が少しずつ、浮いていく。均衡が崩れていく。
そして、体が先ほどまで抑えていた力を解き放つようにぶっ飛ぶ!!
黒狼は河川敷の橋を越えるほど飛んでいった。
ーーーーーーーーー
黒血 狼は常に一人だった。
生まれときから一人だった。
家族と言われるものは生まれたときにはいなかった。捨てられたらしい。
育った場所は孤児院。誰も理解できないし、理解してくれない。
この個性が芽生えれば、一人じゃなくなった。弱い自分をいじめるように周りがいじめを始まった。
誰かがヴィラン役になるヒーローごっこが嫌いだった。この個性はヴィラン向きだから。
引き取り先が決まった。取引に応じた人は有権者らしい人だった。個性を生かせる場所と言われてさせられたことは人殺しだった。人を殺す快楽に個性の魅力に取りつかれた少年はこうなるしかなかった。
誰かを食らうことでしか、強くなることでしか、生きることができない、一人ぼっちの小さな狼それが彼だった。
今回の依頼もその家主から。
「二つの個性を体内に宿す人間は個性社会が始まってから初めてだ。すごく、欲しい。研究がしたい。活かして連れて来なさい。止めようとするやつは殺していいよ。それと、その個性を教科するためにある個性を授けよう」
個性を渡されてからは、さらに訳が分からなくなった。
誰かを殺すこと、傷つけて痛ぶることしか、いじめることしか頭の中には無くなった。
だからさ、誰でもない僕を見つけてくれたようで嬉しかったんだ。あいつは敵なはずなのに。嬉しくて仕方がなかった。あいつとリンクしたとき、あいつの後悔と思いを知った。どうして、それが起きたかは分からかった。が、あいつの悔しさも辛さも伝わってきた。それでも、前を向こうと…友のように前に進もうとしている君に会えて良かったよ…少年
君は僕にとってのヒーローだ…まぁ俺は伝える気はないけどよ、ありがとうな…
ーーーーーーーーーー
僕たちは黒狼を倒した後、光衣さんの個性で拘束をした。
黒狼は気絶しているようで抵抗するそぶりをしなかった。
戦闘が終了した、10分後に警察やヒーローが河川敷に来てくれた。
光衣が連絡をしてくれていたらしい。
フロートマンも止血していたおかげで一命を取り留めたそうだ。
「いやー入学前の夜にこんなことになるとはねー!!」
「人生何があるか分からないものですね~!!」
「寝巻姿で君は来てるけどね~」
「ちょっとうぎくんそこには触れないでよ!恥ずかしい」
「そういや、なんで光衣は俺たちの居場所や出来事知ってたんだ?」
「えっあれだよ、雄英入学のためにアパート契約して一人暮らししてるんだけどさ、慌ただしい声が聞こえたから身に来たらびっくり!カイキくんが倒れてるではありませんか~って感じだったよ!!」
「なにそのミラクル、えガチなのそれ…うそぉー」
「ちょっと!よづきくん、ガチだよー!!」
「そうなのか…ありがとうな光衣」
「うん!!」
僕たちは、黒狼との戦いの後から、警察の質問や救急隊の人に応急手当をされながら雑談をしていた。警察が来た時には、光衣さん以外は血がでていたし、この惨状だから色々と心配をされたけど、霊潜の事象説明からなんとか説得することはできた。
「連続殺人犯、黒血の捕縛か…浮遊ヒーローフロートマンもやられている現状から良く学生3人で対処できたものだ。誰か一人でも大事に至らなくて良かったよ。これ本当にね。普通は戦うって選択肢、入れちゃだめだからね」
ヒーローたちからは、感謝と厳重注意をされた。捕縛することは奇跡だったと。誰かが欠けなくて良かったと。この行動の危険性を説かれてしまった。
「黒血 狼、君を逮捕させてもらうよ。」
「ああ、好きにしな。」
「随分と落ち着いてるな、君は相当気性が荒いことで有名だったと思うが?」
「あ?ああ、ただ少し疲れただけだよ。背負っていたものが全部吹っ飛んで軽くなりすぎちまったんだよ。」
「それは…そうか。無所で反省をしな。出た後はきっと前に向けるさ。今の君ならさ」
「どうだろうな~まぁ今よりは楽しく生きるわ。そうだな、俺以上にバカなやつたぶらかして、そいつと話しをするんだ。辛かったよなって。」
「ああ、そうしてくれ。少なくとももう二度と捕まえさせないでくれよ!」
「できたらな」
黒血 狼は僕たちには何も伝えることはないのかヒーローたちに連行されていった。
(ああ、でも個性が亡くなってたことは、伝えても良かったかなぁ~。今どこに行ったんだろうな「再生」の個性)
(あいつだろうが…まぁ教えてやる義理もないか)
僕たちの河川敷での戦いはこうして、誰にも知られずに終わった…いや、終わらなかった。
警察から連絡が行き、僕たちは雄英高校に訪れていた。
「やぁ、お疲れのところごめんね!」
「ネズミなのか、犬なのか熊なのか、かくしてその正体は、ーーー校長さ!」
僕たちは入学前に雄英高校、校長室に呼び出されていた。
学生の身分での敵との戦い。
個性の違法使用。
怒られる理由も退学される理由もそろった現状で僕たちは校長室に来ているわけで…
(流石に合格取り消しとかにはならないよな…ねぇ)
僕たちは黒狼を倒したとき以上に緊張する羽目になっていた。
もう一つ驚いたことは…
「雨名波くん、悔根くん、光衣くん、霊潜くんと霊潜さん、君たちが無事で本当に良かった。たまたま、騒動に巻き込まれた悔根くんも騒動の発端であった霊潜くんと霊潜さんもよく生きてくれた。」
「だけどね、ヴィランと戦う恐怖を知った君たちなら分かると思うけどね、個性という物はそれだけ危険なものだ。使い方や思いを間違えたら、取り返しのつかない結果をもたらしてしまうだろう。君たちは戦闘という行為でヴィランという壁を乗り越えたのさ。だけどね、心配する人がいることを忘れないで欲しいのさ。君たちの家族も僕たち教員も君たちのことを警察から聞いたときは肝を冷やしたのさ。今回の騒動を乗り越えた君たちはとても素晴らしい人物へと成長するだろう。だけどね、無茶なことをして成長してほしいわけではないことを僕からは伝えるのさ。」
「ご迷惑をお掛けしてすみませんでした!」
「「「すみませんでした!!」」」
「あとで保護者の方からも絞られるといいさ。それと、今日はもう遅い2時を回ってしまってる。仮眠室を使っていいから学校で休みなさい。制服などはあるから、明日の入学式まで休めるだろう。」
「ありがとうございます。」
僕たちは根津校長からのお叱りと今回のお咎めがないこと、そして遅いから泊まってゆっくり休むことを伝えられた。この後は、僕たちも疲れていて仮眠室についた後はゆっくり寝てしまった。
◆
「すみません、複数個性の確保失敗しました。」
「そうかい、気にすることはないさ。黒狼が暴れたのだろう?」
「はい、黒狼という敵に阻まれまして」
「次があるさ、そうだ君に渡したいものがある。所定の位置を送るからそこまで来てくれないかい?」
「はっ。ありがたい幸せです。あなたのおかげで私はヒーローになれた。この身に変えてあなた様に願いを叶えます。」
「そうか、いい友人を持ったよ。それじゃああとでね。」
「はい」
その後の話だが、黒血という敵「黒狼」が捕まった情報と、浮遊ヒーローフロートマンが行方不明になったことがニュースで取り上げられていたことをここに記す。
後書きコーナー
皆様お疲れ様でした。先に大変申し訳ございません。暴走状態で進めたら戻れなくなってこうなりました。反省しています。(反省カード首から垂らして)
これにて、プロローグ編終了です。メインメンバーの生い立ちとか目的とか全部ぶっこみました。一話二話はこれを見ながら修正入れれたら入れる感じで…(敵前逃亡)
本作は文才力向上のために作成してるため、毎日投稿を目指していましたが、思ったよりきついですね…( ;∀;)
今まで毎日投稿面白いもの読ませて頂いて作者様方には頭が上がりませんよ。
黒狼くんとメイン四人の戦闘とかもっとできたろ!!今まで何読んできた!!と自分で突っ込みしながら書いてましたが本当にむずいですね…
これからの方針は番外編などを書き進めつつ短編小説や他の二次創作などを書いていき、一定のレベルお気に入りが20人とか何かしら達成したら次も書いてを繰り返していきたいと思います。
次回予告は今回なしです!!番外編や閑話を書いて入学編に続けていきたいと思います。