女神異聞録デビルサバイバー外伝 アツロウENDその後   作:XX(旧山川海のすけ)

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第101話 過去は消えない

 俺の手の中から、潮乾珠(しおふるたま)が消え去った。

 豊玉姫に使用回数1回って言われてたしな。

 

 元に戻すためには、もうひとつを使えってことだろね。

 

 俺はそのまま、もう1体仲魔を召喚する作業に入る。

 俺がノーパソを闘いている間、ポセイドンは

 

「……奥よ。我の何が気に入らぬというのだ?」

 

「オリンポスの神は、他の神の成したことを非難してはいけない。そして口に出したことを取り消してはいけない」

 

 アンピトリテは歌うようにそんなことを口にした。

 ……ふーん。

 

 さすがに神様だけあって、色々ルールがあるんだな。

 結構奔放だけど、完全自由ってわけじゃないのか。

 

「だから別に私は、アナタのなさったことに文句などありませんよ……でも、私は男性はアナタしか知らないんですよねぇ」

 

 私だけ自由恋愛を楽しまないって何だか馬鹿みたいじゃありません?

 そう思いませんかアナタ?

 

 アンピトリテのそんな問いに、ポセイドンは狼狽える。

 

「奥よ! 何を言う! そういうのを人間界では汚嫁と言うのだぞ!? 我はオマエがそんなものになってしまうとただではおれぬ……」

 

 うっは、自分浮気しまくっといて奥さんが自由恋愛したら汚嫁って。

 ヒデエな。

 

 そう思いながら、俺は神獣ペガサスの召喚を完了させる。

 

 俺の足元に魔法陣が浮かび上がり、そこから翼が生えた白馬……

 世界一有名な神獣であるペガサスが召喚された。

 

 彼は知らない人間も多いけど、ポセイドンの息子なんだよね。

 あとで世界中で有名な怪物となるメデューサが、ポセイドンと関係を持ったときに出来たらしい。

 

 それが色々あって怪物化し、英雄ペルセウスに討たれたとき。

 斬首されたメデューサの首の切断面から噴き出した血液から飛び出して来たとか。

 

 ペガサスは嘶き、ポセイドンと対峙する。

 

 ポセイドンはそれに気づき

 

「……なんだその目は? 我に何か文句でもあるのか!?」

 

「文句ナド無イ。コレは独リ言……」

 

 ペガサスは何か、大きな声で呟いた。

 

「元々ニンフだっタ我が母メデューサは、父上と交ワッた罪を咎められテ鬼女と変えラレ、挙句斬首さレ我ヲ産んダ……」

 

 字面にすると悲惨だよね。

 メデューサは元々、美しい妖精族だったけど、確か神殿でポセイドンとセックスをした罪をアテナに咎められ、罰せられて怪物になるんだよね。

 

 普通、神に関係を求められて拒否なんてできる訳ないんだけど、そこに「他の神のやったことに文句を言うな」ってのと繋がるんだろう。

 酷い話だけど。

 ポセイドンに文句を言えないから、代わりに罰せられたんだな。

 

「たまに思ウ。我が母ノ温もリを知らぬのハ、一体何が悪かっタのだろウ、と……」

 

 ペガサスのそんな大きな声の呟き文句に、ポセイドンは震えた。

 多分、怒りで。

 

 そして俺に凄まじい視線を向けて来る。

 

「……許さぬぞ人間! お前は絶対に許さぬぞおおおお!」

 

 ……戦いにおいて、相手を怒らせるのはまあ、基本だよねぇ。

 冷静な攻めができなくなるわけだし。

 

 ポセイドンは怒りのままにその手に握った黄金色の三叉の矛……トライデントを投げつけて来る。

 流石に肝が冷える。

 

 ……今の俺はオモイカネを連れて無いし。

 喰らうとマズイ。死ぬかもしれない。

 

 ハーモナイザーも無いしな。

 だけどそこはペガサスが頑張ってくれた。

 

 俺に体当たりをして、突き飛ばしてくれたんだ。

 

 ぶっ倒れることになったが、致命傷を受ける事態だけは避けられた。

 

「次は外さぬ!」

 

 投げつけたトライデントは、俺を貫かずに大水槽の床面に突き刺さるに至ったけど、ポセイドンはそれを呼び戻すために右手を掲げ……

 

 そこに、ヨシツネの白刃が襲って来た。

 ポセイドンが俺に対するヘイトを高めていたときに、ライドウさんが自分の仲魔を召喚し。

 一気に勝負を決めに来たんだ。

 

「ぐおおおお!? 何という素早さだ!?」

 

 ヨシツネの縦横無尽に跳躍し斬撃を浴びせる剣技をまともに浴び。

 

 そこに

 

 トドメとして、もう1体のライドウさんの仲魔……魔獣ケルベロスのファイアブレスがポセイドンを包んだ。

 

「ぐああああっ! お、おのれぇ! 汚い真似をーッ!」

 

 ケルベロスは蛇女エキドナの子で、エキドナは巨人クリュサオルの娘、クリュサオルはペガサスと一緒に生まれたメデューサの息子の1人だから……

 

 曾孫か。

 

 こうして。

 海の魔神はその実力を発揮する間も与えられないで。

 自分の関係者のフルボッコを喰らって消滅していった……




ポセイドンは自身がとても強いので、楽な仕事で日本近海の支配権を得られるという腹積もりで引き受けたという設定でした。
本人的には「これから買い物に行くなら1000円差し上げますからサンデーついでに買ってきてくださいませんか?」って言われたような気持ち。

読んでいただき感謝です。
ここまでの物語が面白いと思って下さった方、是非評価をお願い致します。
(反響を実感できるのは書き手の喜びです)
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