女神異聞録デビルサバイバー外伝 アツロウENDその後 作:XX(旧山川海のすけ)
その発言をしたのは、50代くらいに見える男性で
着ているものに季節感が無い。
……つまり、路上生活者なんだろう。
衣装を持ち歩く余裕、選ぶ余裕が無いんだ。
そんな男性が、イラついた表情で後を続けた。
「暇つぶしに何を言ってるかを聞きに来てみたら、ふざけんなよ」
明らかに不愉快になっていた。
「俺も、俺の親父も、そのまた親父も、ずっと正月は神社に参って来たんだよ。今年はいい年にしてくださいってな」
声を荒げながら
「それを邪神だと? 何言ってやがんだふざけんな」
「その結果、あなたは悲惨な状況になっているではないですか」
男性の怒りの声に、メシア少女が被せる。
それに対して男性は
「言われても、願うヤツの数が多過ぎて対処しきれないんだろうよ」
しれっと、当たり前のようにそう返し
「言わなきゃ伝わらない。でなきゃお参りなんて行為があることの説明がつかねぇしな」
そう言った。
すると今度は
「とんだ無能邪神だな。民の声を聞き逃すとは」
年配メシアが嘲笑う。
だけど
「至らないからと、やってもらったことをガン無視して相手に無能? ……そーゆーことを言い続けてるとな」
路上生活者の男性は自嘲気味に自分を示して
「こうなるんだよ!」
そう、告白した。
曰く男性は元々はキチンと定職で働いていたらしい。
だけど、偉くなるにしたがって、部下や仲間の仕事に感謝しなくなり。
転落し、こうなったと。
男性の告白に
「あなたは大きな勘違いをしている。あなたは悪くないのです」
メシア少女が男性の言葉を否定した。
否定の根拠は予想できる。
男性の周囲がメシア教では無かったから、排除されたんだ、だろ?
だけど
「そんなことはどうでもいいんだよ」
男性は不機嫌な様子を崩さずに
「俺が一番ムカついてんのは、そこじゃねえ! 俺の家がずーっと手を合わせて来たものを邪神呼ばわりしたことにムカついてんだよ!」
男性の怒りに
「私たちはあなたちのためを思って!」
メシア少女の必死の訴え。
だけど
「上から目線でムカつくわ」
「何を偉そうに。腹が立つ」
「お前らになんて救われたくねぇなぁ。ここの生活は楽では無いが、一応生きてるし」
他の聴衆たちもメシア教への怒りの言葉を口にし始めた。
彼らは
「ここまで落ちても、自分の先祖まで投げ捨てるようなクズにはなりたくねぇんだわ。俺は」
「ああ、聞いて損した。聞く価値が無いクソ話だったよ」
……本当に彼ら、暇つぶしで勧誘文句を聞きに来ただけだったんだな。
彼らが口にしている不満に、それが見えた。
そして
「俺らが拝んでる神様を邪神だって……?」
1人の男性が、激昂した調子で
こう言ったんだ。
「お前らこそ邪神を拝む邪教徒だよ!」
その瞬間だった……
「……ぬかしたな。汚らしい下民が」
「ウジムシどもめ。折角救ってやろうと出向いたのに」
……突如、2人のメシア教徒の様子が変わった。
氷のようなオーラ……殺気か。
そういうものを、感じた。
口々に彼らへの反論をしていた路上生活者たちが、黙る。
察知したのだ……
彼らが、人間でないことを
ふわり、と2人の姿が宙に浮き
変化していった。
下半身が無く、背中に6枚の翼をもつ天使の姿に……
2体の天使の肌の色は青で。
翼の色が赤と黄金色で、それぞれ違った。
赤い天使は、弓を装備し。
黄金の天使は、剣を装備している。
青褪める聴衆たち。
そんな彼らに
「我らの救済を拒否したばかりか、我らが神を侮辱したな?」
「救えぬ者たちよ……覚悟するがいい」
天使たちは高圧的な口調で、言い放つ。
そして
「その罪は、このハニエルと」
赤い翼の天使が名乗り。
「カズフェルが償わせる……死ぬがいい!」
黄金の翼の天使が続いて名乗った。
……こいつら、悪魔だったのか。
俺は鞄からPCを取り出し、前に出る。
さらにその俺の前に、ライドウさんが進み出て。
「皆さん、下がってください。我々が対処します」
その手に片手で2つの管を器用に持って、同時に開封したんだ。
基本的な姿が被ってる天使2体キタ
本作を読んでいただき感謝です。
続きが気になる、面白かった。
その場合は評価、お気に入り、コメント等を頂けますと嬉しいです。