女神異聞録デビルサバイバー外伝 アツロウENDその後 作:XX(旧山川海のすけ)
東京に2時間くらいで戻って来た。
やっぱヘリは速いわ。
返って来たら午後10時。
連続勤務決定で。
色々身支度をして、座った目で次の日の準備。
休息に入る前に俺たちの担当を連絡される。
両面宿儺。
……望むところだ。
嫌な話ではあるけどな。
最後の救いも守れなかった子を、俺たちの手で始末をつける。
これでこの担当まで外されたとしたら、俺は直訴しようとすら思っていた。
……他の2体は、ススムたち他の国家悪魔召喚士が処理するらしい。
まあ、ススムが出るならきっと大丈夫だろ。
アイツは何でもできるヤツだし。
俺は自分の準備作業を自分のデスクで行いながら、そんなことを考えていた。
そうしながら
「ライドウさん」
……本名は知ってるけどな。
彼女の名前はライドウさん呼び。
誰が聞いてるか分からないし。
「アツロウさん、どうしました?」
彼女は自分のデスクで荷物の整理や各種申請をしながら顔を上げる。
「結局、あの子は守れなかったんですね」
そこで俺は「しまった」と思った。
ただの愚痴じゃないか。
自分の無力感の誤魔化しと、自分たちの仕事を引き継いだ誰かが仕事を完遂してくれなかったことへの愚痴。
言ってもしょうがないじゃないか。
ライドウさんは沈黙した。
申し訳なく思う。
だけど、何と言って謝れば良いのか分からなくて、俺も沈黙
静かになる、この部屋。
……どうする?
少し考え、吟味し、覚悟し
そして
「意味のない愚痴を言って……」
「背負うしか無いですよ」
俺が自分の発言を単純に取り消そうとする謝罪を口にしようとしたとき。
ライドウさんの言葉が重なった。
俺の言葉が止まる。
彼女は続けた。
「……人は生きていたら絶対に譲れないものが出てくるときがあるし、そのために誰かと争う必要が出てくることだってあるはずです」
両面宿儺はおそらく、仁徳天皇の時代に討伐された、大和王権に従わなかった豪族の成れの果て。
彼は彼で、譲れないものがあったとは思う。
だけどそれは、こっちも同じだったはずなんだよな。
当時は他国を攻め滅ぼすのは当たり前の時代だったんだから。
「争えば勝者と敗者が出現し、敗者は失い、奪われます」
当たり前の話だな。
大和王権は稲作を主な事業にしていたから、おそらく両面宿儺の民たちは、農作業の人員で取り込まれたと思うけど。
両面宿儺の王位は当然、無くなる。
「……私は勝者に回ったら、敗者に配慮は不要であると思っています」
この言葉を発したときのライドウさんの声は……少し固かった。
そこから彼女はこう続ける。
「ただ……勝った責任……それは自覚すべきです」
勝った責任……
勝ち取った責任……
奪った責任……
「自分の勝利は、他者と争って文字通り勝ち取ったものなんですから」
彼女の言わんとすることは分かる。
自己の譲れないものを護るため、あるいは勝ち取るために。
他者を排除し傷つけた責任……。
「得たものの重さは決して軽いものでは無い筈ですよ」
……そうですね。
俺も譲れないものがある。
それは今日という日に、1つ大きなものが増えた。
ライドウさん……ミヤコさん。
俺は今の世の中を護りたい。
自分の世界を護りたいんだ。
……あの子には同情しかないけど。
最後の幸せも守ってあげられなかったことが申し訳ないけど。
排除することでしかこの世界を護れないなら。
今は、そのことを考えるべきではないのかもしれない。
だから俺は
「……分かりました」
彼女の言葉にそう、答えた。
自分の世界を護ることの何が悪いんだ、という話。
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