女神異聞録デビルサバイバー外伝 アツロウENDその後 作:XX(旧山川海のすけ)
コアアアアアアアア!!
久保は変わってしまった。
体長8メートルはある。
巨大なウツボに似た姿。
色は黒で、派手な背ビレと、その他のヒレがあった、
そしてウツボの頭部。
眉間に当たる位置に、久保の顔。
水も無いのに宙を追う、8メートルに迫る巨大なウツボ。
……それが今の久保の姿だった。
その状態で
「オオオオオオ!! 何で俺は不幸なんだ!? 金も無ければ女も無い! 俺は優秀でカッコ良くて善良で……」
久保の顔が大声で何かを話している。
「価値ある人間なのに!」
……誰に話しているのか分からないというか……
久保の顔は視線が定まっていなかった。
「久保、お前……」
でも俺はこいつの人格形成がどういう流れでこうなったのかがなんとなく分かった気がした。
俺もまあ、中学のとき底辺だったからな。
あのときは辛かった。
かなりディープなパソコンオタクだった俺は、クラスの上位カーストの不良の奴らに目を付けられて、パシリにされそうになったんだ。
そのときは、俺のクラスに正義感の強い男の、ケイスケがいて。
ケイスケのお陰で俺は不良の奴隷にならずに済んだ。
もし、ケイスケが居なくて。
不良のパシリで中学時代を終わるようなことになっていたら。
俺もこいつと同じような理不尽さを感じていたかもしれない。
俺の中学は治安が悪くてさ。
俺をパシリにしようとしていた不良たち。
女子に人気があったんだ。
嫌いな奴が人気者だなんてことが嫌でたまらなかったから、何故人気があったのかは知らないんだけど。
あのときは思ったもんだ。
この世に正義は無いってな。
邪悪な人間が持てはやされ、正直者が馬鹿にされ、嗤われる。
悪いアイツらが彼女持ちで人気者。なのに俺は何も悪く無いのに召使いで、彼女ナシ。
世の中クソだな、って。
ケイスケがいなければ、そう思っていただろうと思う。
だから俺は、ホンの少しだけど……
この久保という男の言い分が分かった。
だけど……
「おい、久保」
今の久保は会話が出来ない状態かもしれない。
でも、言わずにはいられなかった。
「世の中確かに理不尽で納得できないことは多いさ。……でも、お前が不幸なのはそのせいじゃない……!」
その瞬間、久保だった悪魔の動きが止まった。
「お前が不幸なワケは……自分の望みが全て叶うべきだと思ったことだ! そして自分の望みを叶えることしか考えず、他人の望みを叶えることを考えなかったことだ!」
久保は動かない。
聞いているのかどうかは知らない。
でも、俺は続けた。
「望みを叶えられた他人を羨んで、憎み、暴れて……そして今に至ったんだろう!? 違うのか!?」
久保が動いた。
……ウツボの眉間の顔が……怒りに歪んでいた。
俺は危機感を持った。
持ったが……
そのまま
「自分のことしか考えていないヤツが、他人に受け入れられるワケがない! その年齢まで生きて来て、そんなことも気づかなかったのか!? 恥ずかしいヤツだな! オマエ!」
……最後まで続けた!
その瞬間
「コロスウウウウウウ!!」
久保の顔は金切声をあげ、ウツボが突っ込んで来た。
……来たか。
俺はこの展開を予想に入れていた。
だから
久保に言葉を投げ掛けながら、仲魔のオモイカネに証明COMPによるブラインドタッチで指示を飛ばし、物理反射呪法の準備を命じていたんだけど……
オモイカネが呪法を発動させるその前に。
俺の目の前に、ライドウさんが割り込んできて
ツッコんでくる久保の顔に、鞭による一撃を加えたんだ。
「ギャアア!」
……鞭は武器として十分通用する。
刃がついていないから、鈍器じゃないから。
だからそれ以下の武器であるとか、そんなことは無いんだ。
でなきゃ猛獣使いが標準装備してるわけがないじゃないか。
ライドウさんの一撃で、久保の動きが停止し。
その次の瞬間に、オモイカネの呪法が発動。
再度突っ込んで来た久保の攻撃を反射し、噛みかかろうとした自分の攻撃ダメージを自分が喰らう羽目になった。
そこに俺は畳みかける。
サンダーバードの雷撃と、オモイカネの衝撃魔法。
サンダーバードの吐き出した雷撃が久保を直撃し。
オモイカネの衝撃魔法が久保を打ちのめした。
喰らった久保は墜落し。
地面に落ちて。
そのまま黒い塵になり、消えて行った……。
決着。
次回から新章に入ります。
読んでいただき感謝です。
ここまでの物語が面白いと思って下さった方、是非評価をお願い致します。
(反響を実感できるのは書き手の喜びです)