女神異聞録デビルサバイバー外伝 アツロウENDその後 作:XX(旧山川海のすけ)
「彼らがミドリちゃんを襲うのは自衛のためじゃない! 自分の不安や、不満や恨みを晴らすため、反撃が来ないからノーリスクで襲える相手だから襲うんだ!」
「ミドリちゃんの善行の恩恵を受けた奴もいたに違いないのに! 誰一人庇おうとせずに!」
ケイスケはそう言って、邪悪で無力な一般人を憎悪して……断罪したんだ。
それは言葉で徹底批判するだけじゃない。自身の仲魔を使用して、物理的に。
ケイスケがそのときそうしたことに理由はあった。
ケイスケは高校でいじめを受けていたんだ。
その切っ掛けは、俺を救ったときと同じことをしたこと。
俺のときと違ったのは……彼らのいじめの標的がケイスケ自身に切り替わったことと……
ケイスケがいじめから救った人間が、今度はケイスケをいじめる側に回ったことだった。
そのせいで、ケイスケは人間の正義というものに深く絶望し、無力感を感じていたんだ。
そこにこの、醜悪すぎる事件が起きた。
結果、それが決定打になり、ケイスケの心はそこで1度壊れた。
ケイスケは封鎖の中で……悪に死の制裁を加える処刑人になってしまったんだ。
……そんな状態からここに至るまでは色々あったんだよ。
俺たちで力を合わせ、ケイスケのその高すぎる悪への憎悪に惹かれて、魔界から現れてケイスケの仲魔になった魔神ヤマを倒し。
ススムに説得させたんだ。
その結果、ケイスケは分かってくれた。
ケイスケのやったことは……人殺しであって正義では無いってことを。
そして全てが終わって、封鎖が解かれた後。
ケイスケは……罪には問われなかった。
封鎖内の犯罪は立証が困難な状態であったことと……
事実上極限状態であったことで、緊急避難が適用されたんだよな。
全部、一括で。
略奪も、殺人も、何もかも。
おそらく普通に考えて、緊急避難が成立しない犯罪もあったに違いないけど、それを全て立件していくと、逮捕者が恐ろしいことになる。
そういう思惑もあったんだろうと思う。
でも真面目なケイスケは、そんな国の処分を幸運だなんて思わなくて。
裁いて貰えないことに苦しんでいた。
そのとき、ミドリちゃんが
「これからは日本のために働くヒーローになればいいんだよ!」
って言ってくれて。
そこから俺たちと同じように、国家悪魔召喚士の道を選んだんだよな。
で、そのミドリちゃんと結婚。
名字をミドリちゃんの方に合わせたの、自分の罪を考えて、自分の家にミドリちゃんを引き込むことに抵抗があった結果だと、俺は思う。
「僕の場合は奥さんが全力でサポートしてくれたからなぁ……気の利いたことを言った覚えがまるでないんだよね」
自分の記憶を辿り、ケイスケは自分のことを語る。
……ミドリちゃんは、ケイスケが闇堕ちした理由が自分にあるという負い目を持っていたのか、ケイスケを立ち直らせることに全力だったしな。
ケイスケの話を聞いて、俺はそう思った。
「参考になることを言えなくてゴメンな」
色々語ってくれたけど、気の利いたことを言えてないと思ったのか。
ケイスケは俺にそう言って詫びた。
俺は
「いやいや、良いよ。話を聞いてくれただけでも」
そう返すと
ケイスケは最後に
「……参考になるかどうか分からないけど……奥さんとよく一緒に見に行くのは、ヒーローショーだよ。フェザーマンの」
……うん。
悪いけどそれは本当に参考にならない。
お父さんがスーツアクターだったミドリちゃんがヒーローショー好きなのは、女性の一般解じゃないし。絶対に。
……と。
そうこうしているうちに。
目的地に俺たちは到着したんだ。
この地下道「首都圏外郭放水路」での危険地帯。
異界、の入り口に……
異界とは?