女神異聞録デビルサバイバー外伝 アツロウENDその後 作:XX(旧山川海のすけ)
国家悪魔召喚士というのは、国に仕える悪魔召喚士だ。
ちょっと古臭く言うと、だけど。
所属は防衛省と警視庁の両方にあって、そのときの仕事の内容で切り替えるっていう、特殊なものになってる。
犯罪者相手のときは警視庁所属。海外の工作員やテロリスト相手のときは防衛省、といった具合。
通常は試験に合格できないとなれないんだけど、俺と親友のススムとソデコ、あとケイスケという中学時代の友達が無試験で国家悪魔召喚士になった。
理由はまあ、俺たちが悪魔の扱いに習熟し過ぎているのと、もしモグリの悪魔召喚士になってしまうと、とても危険な存在になってしまいかねないので。
そういう、安全保障的な意味合いでの、特別扱いだ。
貰える給料がかなり良いので、俺は大学進学を諦めて、この道を選択。
無論、給料だけに惹かれたわけじゃないけどさ……
大学進学はお金が掛かるし、俺としては悪魔召喚士を仕事にしたい気持ちが確かにあったから。
世間一般の見栄のために、ただなんとなく大学に行くのは違うんじゃ無いのか……?
そう思ったので、こっちを選択した。
そしてそれを俺は、今のところ後悔していない。
だけど。
仕事以外の面で、俺は悩む羽目になった。
親友の結婚式の件もだけどさ……
ケイスケのやつも、結婚するらしい。
結婚式の招待状が俺の官舎のポストに届いてた。
うわー。
何気に高校時代モテモテだったススムは兎も角。
ケイスケにも先を越された……。
まあ、おめでとうとしか言えないわけだけど。
……お嫁さんは……ミドリちゃんか。
まぁ、ケイスケを支えられるのはあの子しか無いよな……
そんなことを考えたとき。
何故だか俺は、酷く寂しくなった。
……俺の両親が普通にやったことを、何故俺はできないんだろうか?
彼女いない歴イコール年齢。
別にそれを苦痛には思って無いけど……
周りがこうなってくると、気にはなる……
「くだらないな」
何だか他人に相談したくなり。
俺のコンピュータースキルの師匠のナオヤさんに連絡を取って、飲み屋……落ち着いた感じのバーで落ち合った。
ナオヤさん……ススムの従兄の天才プログラマー。
俺たち国家悪魔召喚士が使う重要システム……悪魔召喚プログラムを作ったのもこの人で。
その悪魔召喚プログラムを、俺の要望通りにシステムを変更してくれたのもこの人。
師匠ってだけでなく、ここに至るまで色々世話になった人なんだ。
すごい人なんだけど……
問題が一つ。
それは、ファッションセンスが終わってるってことで。
よれよれのシャツに、ベルトの無いズボン。
それに半纏を羽織ってる。
……顔つきは悪っぽい美形で、体型もスラッとしてて高身長なのに、その服装で全部台無しにしてる人だ。
正直、俺はそんなにお洒落では無いと思うんだけど……
反面教師的に、自分はちゃんとしようと思い。
年相応で、みっともなくない服装……
黒いパーカーに、青の帽子。
そして黒いジーンズを穿いて、服装で他人に笑われるようなことは無いようにしてる。
「くだらないですか」
「ああ、くだらない」
ナオヤさんはそう言って、俺の悩みを一蹴する。
一蹴して、自分の飲み物のウイスキーをストレートで煽った。
そして言う。
「いいか? 女と結婚出来れば必ず幸せになれるというものでは無いんだぞ?」
「はぁ」
それはまあ、分かってます。
俺は今、お金には困って無いし。
それを変な女と結婚したせいで、小遣い制にされるのは絶対に嫌ですし。
「でも、家に誰もいないのは寂しく無いですか?」
俺の問いに
「どうしようもないクズに家に居座られるよりはマシだ」
すぐさま返答。
で、ぐうの音も出ない。
……そこだよなぁ。
結婚しても幸せになれる保証はないってことのポイントはさ。
……ナオヤさんはどうなんだろうか?
「ナオヤさんは結婚しないんですか?」
だからちょっと訊いてみたんだけど……
そのとき、ナオヤさんのスマホがブーンって鳴った。
「ナオヤさん」
俺が取るように促すと、ナオヤさんはグラスを置き。
通話をオンにする。
……ナオヤさん、電話の音声を聞き取るのが苦手なのか、毎回スピーカーにするんだよな。
だから聞こえたんだけど
『ああ~、ナオヤ? ちょっと今いい~?』
……女性の声だった。
なんかちょっと間延びした感じが特徴的な。
ナオヤさんは
「スマンが、今は人と会っている。あとにしてくれ」
別にテレもせずにそう言った。
言ったんだけど……
何だか俺は、ナオヤさんにも先を越されそうな気がしたんだよね……
周りがどんどん結婚していく……!